2021年10月21日 決算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)
・新型コロナによる影響と対策について
【斉藤委員】
新型コロナ感染による事業者の影響、売り上げの減少の状況、課題はどうなっているでしょうか。
【経営支援課総括課長】
新型コロナ感染による事業者の影響等について、毎月県が行っております影響調査、直近6ヶ月の推移をみますと、「影響が継続している」と回答した割合は一貫して70%を超えており、特に8・9月は約79%と高い状況にございます。
また、売上実績について、同じく6ヶ月の推移をみますと、コロナ前との比較で「41%以上減少」の割合が、4〜6月は20%台であったのに対しまして、7〜9月は30%台となっており、売上の減少幅が大きくなっている状況であります。国・県へ求める支援策に関する設問では「景気回復策」への要望が最も高く、次いで「資金繰り支援」、「雇用維持支援」の順に高くなっており、特に売上の回復が事業者の抱える最大の課題と認識しております。
【斉藤委員】
それで、これまでの対策の実績をお聞きしたいんですが、たくさんあるでしょうから、融資・資金繰り、事業者に対する直接支援、ホテル・旅館等への支援策の実績を示してください。
【企画課長】
令和2年度に行った支援策等の実績についてでありますが、資金繰り支援につきまして、新型コロナウイルス感染症対策資金は1,279件・512億4,550万円余、対応資金につきましては11,817件・1,894億126万円余となっております。また、直接的支援としまして実施した家賃補助については、支給件数が7,863 件、補助額が8億3,413万円余、感染対策補助については、補助件数が16,291件、補助額が13億9,616万円余となっているところでございます。
次に主な需要喚起策についてでありますが、岩手県民を対象としました「泊まるなら地元割クーポン」の2,000円割引の利用実績は、95,588枚・1億9,117万円余、3,000円割引の利用実績は、104,322枚・3億1, 296万円余、岩手県民以外の東北各県及び新潟の県民を対象としました割引の「おでんせ岩手券」の実績は、33,427枚・1億28万円余となっているところでございます。
【斉藤委員】
それで事業者調査の最新版の9月分のものを見ますと、ここでは、「国・県・市町村の支援策のうち、活用したものは何か」というので、一番活用されたのは県の地域企業経営支援金で24.6%、二番目が市町村の補助金・助成金で24.3%、三番目が制度融資等の金融支援策21.5%、そして四番目が雇用調整助成金で20.2%。だから県と市町村の支援策が、厳しい中でも中小企業、ホテル・旅館等の経営をぎりぎりのところで支えてきたのではないかと思います。その点では国は何をやっているのかと。持続化給付金も家賃支援給付金も去年だけですからね。本当に国の出番がなかったのではないかということも指摘をしておきたいと思います。
そこで次の質問ですけれども、いわて旅応援プロジェクトについて、第二弾の取り組み状況はどうなっているでしょうか。決算の総括でも取り上げましたが、今後の追加が必要だという指摘をしておきました。今後の追加対策の見通しについて示してください。
【観光・プロモーション室長】
いわて旅応援プロジェクト第2弾の取組状況でありますが、ご案内の通り第1弾の予算残額8億5千万円を活用いたしまして、10月1日から開始しておりますけれども、予算の執行管理を適切に行っていくという必要がありましたので、宿泊施設や旅行業者への配分方式といたしまして、第1弾の利用実績に応じて割引原資を配分したところでございます。
現在、新型コロナウイルス感染症が急速に落ち着いたこともありますし、事業者によってはすでに配分額に達したところも出ておりまして、プロジェクトの事務局からは、10月19日現在、登録している宿泊施設416 のうち、14の宿泊施設で割引適用の受付が終了していると報告を受けているところでございますが、実際にはこれ以上に多いものと思慮しているところでございます。
今後の追加の対策についてでありますが、全国的にも感染状況が落ち着きまして、先般の報道等によりますと、国におきましては地域観光事業支援の対象エリアを拡大する動きも見られますことから、まずは国の動向を注視いたしますとともに、国に対しましては引き続き事業費の拡大を要望しながら、県としての支援方法について検討を進めています。
【斉藤委員】
私は決算の総括でも紹介しましたけれども、主なところは10月の数日で割り当てが終了してしまったと。それでこうなっているんですよ。問い合わせがくると「終了しました」と言うと予約をしないで「ああそうですか」となってしまうと。これが今の実態です。だいたい予算額も1ヶ月分程度でしたので。だからここで途切れるのではなくて、11月以降も継続をしないと、せっかくやっとお客さんが戻ってきた、県民もやっと安心して旅ができるという状況で、おそらく具体的な検討がされて、この議会中にもきちんとした対応がされると思うんだけれども、いかがですか。そういうスケジュール感で考えていますね。
【観光・プロモーション室長】
第二弾の予算がですね、だいぶ少なくて早くそういった原資が無くなっているという状況がございますので、先ほどご答弁申しました通り、支援方法について検討しているところでございます。
【斉藤委員】
私いつも言うんだけど、良いことは早く。議会だから、本当は明日にでも公表されるんでしょうけれども、そういう機敏な対応を県が考えているということは高く評価したい。そういう良いことは、はっきり言わなくても、分かるように答えるということもあるんじゃないでしょうか。部長さん、どうですか。
【商工労働観光部長】
本当に宿泊施設が大変だという声がですね、私どもにも直接届いておりまして、また第二弾何とかしてほしいという声を受けております。室長が答弁いたしましたけれども、今後の国の動きによっては、非常に、これまで事業を順調に進めていたところが少し不利になってしまうような、使っていないところはこれからできるわけですので、そういう状況が危惧されますので、少し必要なものにつきましては速やかに対応できるように努めております。
【斉藤委員】
それで、ホテル・旅館関係というのは裾野の広い業界なんですよ。仕入れからクリーニングから何から。同時に、ホテル関係者どう頑張っているかというと、雇用調整助成金を最大限活用して雇用を守っているんですよ。簡単に首切りなんかしていないんですよ。そのこともしっかり伝えていく必要があると。そういう裾野の広い産業だけに、しっかりした手立てをとっていただきたい。
・雇用対策について
【斉藤委員】
コロナ禍の下で、いま紹介した雇用調整助成金の活用、休業支援金の活用、これはどうなっているか。
それからこれは一部だと思いますけれども、コロナで解雇せざるを得ないという状況はどうなっていますか。
【雇用推進課長】
雇用調整型助成金についてでありますが、岩手労働局によりますと、10月15日現在で支給申請書受理は2,855事業所から延べ23,151件、支給決定は2,834事業所の延べ22,783件、また、休業者本人に支給される新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく10月15日現在で支給申請は延べ3, 122名から8,640件、支給決定は7,694件で4億7,200万円余となっております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇が見込まれる労働者数については、1,024人とうかがっております。
【斉藤委員】
この雇用調整助成金は一応11月まで延期となっていますが、いま感染者本当に減少しているんだけれども、まだまだ元に戻っているわけではないんですね。1つはこの継続を国に求めると。あとは解雇の数では、140事業所・1024人というのは、いわゆるハローワークに相談した件数なんですね。ある意味氷山の一角だと言ってもいいと思いますから、事態はもっと深刻だと思います。これについてもしっかりした対応をしていただきたい。
・県内就職率向上の取り組みについて
【斉藤委員】
それで先ほど高卒の就職率の話があったので私も関連して一言お聞きしたい。実は一貫して高卒の就職率を、せめて8割まで上げるべきだと。東北の高いところが宮城・山形、8割だったんですね。せめてそこまでは上げれるはずだということを提起してきました。それを受けて県民計画は、一気に84.5%という目標を掲げたんですよ。この目標は努力目標であってはだめなんですよ。やるべき目標なんですよ。本来なら年次計画で、70%、75%、80%と引き上げていくというのが合理的な計画だったと思います。突然60%台から80%なんていかないんだから。私はやはり設定の仕方に合理性が欠けていたんじゃないかと思います。しかし、あなた方が掲げたら本気になって取り組むと。
実はリーマンショックのときに、県内就職率が高まったんです。いま新型コロナの下でそういう傾向があります。あの当時までいかないけれども、そういう「ふるさと待機」。だから今ある意味チャンスなんだと想いますよ。思い切って県内就職率を高校も大学も高めるという、今までの延長線上ではない対策を今とるべきだと思いますけれどもいかがですか。部長、簡単に答えてください。
【商工労働観光部長】
私も県内の企業を回って話を受けるのは、「人を確保してくれ」と、そのことがどこからも言われております。そういう意味でも、この目標を達成するようにしっかりやっていきたいと思います。
【斉藤委員】
一言だけ注文しておくと、実は高校の就職担当の現場は、首都圏等から大企業からの求人が多いもんだから、悩んでいないんです。困っていない。そこの頭を変えないと、私はどんなに県内に魅力ある企業があっても、本気で進まない。そこを思い切って打開していくことが必要だと。その点でこの間知事は産技短で講演をしましたけれど、知事や部長が先頭に立ってそういう場で訴えていただきたいと思います。
・東日本大震災津波からの生業再生について
【斉藤委員】
最後の質問ですけれども、東日本大震災津波から10年ということで、生業再生の現状のポイントをお聞きしたい。
被災市町村の商工団体会員事業所による被害状況調査の最新の結果はどうなっているか。これは一番正確なデータだと思います。
あわせて、グループ補助の実績と売り上げ等再建の状況、倒産・廃止の状況、今年度以降の見込み、フォローアップの取り組みと体制についても合わせてお答えください。
【経営支援課総括課長】
まず、商工団体の被害状況調査、令和3年9月1日現在が最新でございます。被災事業所4,341者のうち営業継続・再開が2,956者、営業未再開が20者、休業が 26者、転出が77者、廃業が1, 251者となっております。前年令和2年9月1日現在と比較しますと、営業継続・再開が31者減少した一方、廃業が27者増加しており、営業を一旦再開しても様々な要因で残念ながら廃業に至っている事業者がいらっしゃるものと認識しております。
グループ補助金の状況でございます。これまで、令和3年9月末現在で、延べ1,571事業者に対し918億円を交付決定しております。売上の状況でございますが、東北経産局が、昨年6月に実施しましたグループ補助金のアンケート調査によりますと、震災直前の水準まで売上が回復している事業者の割合は、岩手県では44.6%とまだまだ低い状況でございます。そのグループ補助金を交付した後に倒産に至りました事業者の方の数は、令和3年9月末現在で17者、また、事業を廃止した事業者の方は25者となっております。
今年度以降の見込みでございます。市町村や商工指導団体と連携して需要把握に努めておりまして、来年度は新規申請4件の要望を確認しております。
グループ補助の事業者の方に対するフォローアップでございますが、県、商工団体、産業支援機関が連携をしまして訪問調査を重ねております。経営が厳しい状況にある事業者の方には、例えば高度化スキーム貸付の条件変更や専門家派遣などの経営支援を行っているほか、販路開拓のための専門家派遣などを行ってきている所でございます。
【斉藤委員】
商工関係者の再建状況というのはこの調査が一番正確だと思うので、復興防災部も頭を切り換える必要があるんだと思いますけれども、全体では68.1%の営業再開なんですね。ただ市町村別に見ると、津波の被害が大きかったところは、陸前高田市で48.7%、大槌が54%、山田が53.7%ということで、半分前後津波で再開に至らないところもあるわけで、頑張っているところに本当に継続的な支援が必要だと。震災、コロナ、特に沿岸は水産加工を中心に「大不漁」という。さらには福島原発の汚染水の海洋投棄という新しい問題も出てきて、現場では「四重苦」と言っていますよ。この四重苦の中で、こうした中小企業をしっかり支援していくことが大事だと思います。
あわせてグループ補助金については、44%が震災前の水準を回復していると。これは立派なことだと思います。今のような条件の中ですから。ただ本当に今ぎりぎりで経営を継続しているところも少なくないので、その点最後にお答えいただいたフォローアップの体制、これしっかり強化をしていただきたい。特に水産加工についてはもう聞きませんけれども、本当にしっかりした設備はしたけれども、原料難、さらには販売先が途切れているという形で、本当に一番困っているのは水産加工じゃないかと思います。その点でですね、従来の延長線上ではない、新たな災害を受けたような状況の中で、抜本的な対策をしっかりとっていただきたい。一言だけ回答をいただきましょう。
【産業経済交流課総括課長】
水産加工業についてでありますが、これまで実施してきた取り組みに加えまして、インターネットを活用して、直接消費者向けの販売を開始しようとする事業者もありますことから、今年度から大手ECサイトへの新規参入や、自社のインターネット通販サイトへの集客等の支援に取り組んでいるほか、「いわての食応援プロジェクト」による飲食店の支援を通じた外食向け水産加工品の需要拡大に取り組んでいるところでございます。