2021年10月22日 決算特別委員会
農林水産部
(第1部)に対する質疑(大要)


・米価暴落の影響について

【斉藤委員】
 新型コロナ禍を契機とした米価の大暴落の問題についてお聞きをします。
 まさに今、農村・農業・農家の存亡の危機に直面をしていると言っても過言ではない事態だと思います。
 先ほど、米価暴落の影響については答弁がありましたから、これはちょっと確認をした上でお聞きをしますが、2.1ヘクタールの平均的な耕地面積の農家は44万円の減収、10ヘクタールの農家は220万円の減収、令和2年・令和3年の2年間を合わせると、2.1ヘクタールで60万円、10ヘクタールで286万円の減収ということで間違いありませんね。

【県産米戦略監】
 間違いございません。

【斉藤委員】
 そうすると、100ヘクタールの集落営農だと、今年の暴落で2200万円ということになります。2年連続合わせると2860万円の減収と。本当にこれは耐えられない減収ですが、昨年度・今年度、農家の減収の総額はどうなりますか。

【県産米戦略監】
 県全体の総額という減収の額ということでございますが、この減収額につきましては、米価下落によります減収額でございますが、ただ、それに対しまして、ナラシ対策とか収入保険とか、そういう生産者に保険される金額を除いたものと捉えるべきだと考えてございますので、しかしながらこの収入保険につきましては、米だけの補てん額を算定することが困難であるということで、その影響額についてはお示しできないところでございます。

【斉藤委員】
 収入保険は分からないと。ナラシも分かりませんね。ですから、現時点で純粋に減収の総額はいくらですか。

【県産米戦略監】
 純粋と申しますと、概算金の減額にたいし、民間流通であります米の量が17万トンほどあります。それに単純にかけますと、だいたい65億円ほどの金額になるところでございます。これは令和3年度になります。令和2年度につきましてはまだ計算してございません。

【斉藤委員】
 計算してください。2年度は確定しているんだから。ちゃんと出していただきたい。

【県産米戦略監】
 令和2年度の減収額ということで、単純に概算金の金額が民間流通量にかけた数値ですとだいたい22億円ということになります。

【斉藤委員】
 純粋な減収額は2年間で合わせると87億円ということになりますね。
 それで、生産費を賄えない農家の現状について、作付規模、農家数、率、示してください。

【水田農業課長】
 生産費が賄えない農家の現状ということでございますので、答弁申し上げます。
 最新の値となります令和元年産の東北の米生産の作付規模別の自作地地代等を含む全算入生産費は、3〜5ヘクタールの作付規模で10アールあたり116,689円、5〜10ヘクタール規模で10アールあたり100,964円となっております。
 令和3年産のひとめぼれの9月の相対取引価格を基に、9月25日現在の国の作柄概況で示された本県の10アールあたりの予想収量555キロを用いまして、10アールあたりの収入額を試算しますと113,809円となり、5ヘクタール以上の規模で生産費を上回る状況となってございます。
 件数ですけれども、5ヘクタール規模未満の経営体数はですね、2015年センサスの数字ではございますけれども、約33000戸となっておりまして、割合は96%となってございます。

【斉藤委員】
 いわば今回の米の暴落で、5ヘクタール未満の農家96%です全体で。これが赤字になると。大変深刻だと。昨年はたしか3ヘクタール未満でしたね。昨年の米価下落では3ヘクタール未満だったけど、今回の暴落だと5ヘクタール未満はみんな赤字だと。大変深刻な実態だと思います。
 ナラシ対策、収入保険の加入状況、率、これを示してください。

【水田農業課長】
 まずナラシ対策の加入状況等について申し上げます。ナラシ対策の加入状況につきましては、令和2年産の加入面積は、主食用米の作付面積48200ヘクタールの約36%・17507ヘクタールとなっております。令和3年産のナラシ対策の加入面積は、10月中旬に国から公表される見込みでしたが、国によりますと11月以降に公表を延期するということでございますので、現時点は答弁を申し上げることは難しいところでございます。
【団体指導課総括課長】
 主食用米の作付にかかる収入保険の加入状況でございますが、令和2年産の収入保険の加入面積は8950ヘクタールで、その作付面積に占める割合は18.6%。令和3年産の収入保険の加入面積は12046ヘクタールで、その作付面積に占める割合は26.1%となっております。

【斉藤委員】
 今回、飼料米への転用をやったわけですけれども、飼料米への転用、作付状況はどうなっているでしょうか。あわせて、飼料米の場合、国が10アールあたり5000円、県も今回5000円上乗せしました。主食用米の価格と比較するとどうなりますか。

【水田農業課長】
 まず飼料用米の作付状況ということでございますが、農林水産省が9月15時点として公表した令和3年産の水田における作付動向によりますと、本県の令和3年産の飼料用米の作付面積は約4700ヘクタールと、令和2年産と比較して約1100ヘクタールの増となったところでございます。
 今年度実施いたしました水田フル活用農業高度化プロジェクト事業、この5000円の助成事業ですけれども、これにつきましては、10月14日現在の申請面積として、約1000ヘクタールとなってございます。これは飼料用米と野菜、雑穀、この3品目が対象となってございまして、合計で約1000ヘクタールという集計をしております。この助成額は全体で5000万円になりますし、別途国から都道府県連携型助成として同額が支給されるために、合計で約1億円の助成となる見込みです。
 主食用米との額というものは、いま実際はしていないところでございます。
【農産園芸課総括課長】
 飼料用米と主食用米との価格の差というものでございますが、飼料用米におきましては、いま答弁申し上げました連携助成の他にですね、国の水田活用の交付金からですね、戦略作物助成等々入るところでございます。我々の試算でいきますと、主食用米とほぼ同等の10アールあたり収容が確保できるというものでございます。

【斉藤委員】
 主食用米とほぼ同等ということは、暴落した主食用米とほぼ同等ということですか。

【農産園芸課総括課長】
 主食用米と同等というのは、昨年度の主食用米の価格ということでございますので、本年度の分よりは、試算ではありますけれども上回る基準という風に考えてございます。

【斉藤委員】
 米の暴落によって飼料米の方が価格が高くなると、こういう異常な事態だということだと思います。
 そこで、今回の米の暴落は農家の責任でも全くない。新型コロナによる主には需要減によってもたらされたものであります。しかし、農家に責任がないのに、この需要減をみんな農家に責任を押し付けているのが今の自民党農政であります。いわば、そういう点でいけば人災なんです。アメリカはですね、昨年ですけれども、コロナ対策で2兆1000億円の緊急支援策を決めました。そのうち1兆7千億円は農家への直接支援であり、3300億円は食肉・乳製品・野菜の買い上げを実施しました。EUでもそうして余った農産物を買い上げて、困った方々に支援する、これ当たり前のようにやられているんです。日本だけなんです。新型コロナで需要減で余剰米があっても買い取りもしない。なぜかというと、国民の食料、主食というものを、安全保障という立場で考えていないからなんです。アメリカもEUも、食料というのは国の安全保障の柱なんですよ。そういう考え方がないから今回のような大暴落があっても何の手立てもとらない。
 それで、北海道・東北の農業協同組合中央会の会長が連名で、この余剰米を買い上げて市場から隔離すべきだと要請をしています。全国知事会も備蓄米を増やせと要求しています。農家も要求をしています。これは当然の要求だと。いわば市場から隔離しなかったら、在庫米が今年も来年も残るんですよ。来年も暴落になるんですよ。しっかりこれは隔離しないと解決しないと思うけれども、いかがですか。

【農政担当技監】
 米の需給関係でございますけれども、米の需給と価格の安定に向けましては、国全体での対応が重要と考えてございます。このため県では、先月国に対しまして、国指導による実効的な過剰米への対策ですとか消費喚起などの需要拡大対策、これを推進するよう強く要望しているところでございます。

【斉藤委員】
 あっさりした答弁でしたけど、農水省、与党は、民間保管に補助金を出すという提案をしております。保管に補助金かけたって在庫米はそのままなんですよ。これでは全く解決されないと思うけれどもいかがですか。

【農産園芸課総括課長】
 保管の云々ということでございますけれども、与党の方で言われているという制度等につきましてはですね、県として新聞報道以外に情報を持っていないところでございますので、コメント方は差し控えさせていただきます。

【斉藤委員】
 総選挙の中でこの米暴落問題について、しっかりした対策を示さない、こんな無責任なことはないと思いますよ。本当にこれは無責任であり、この米の暴落は改めて人災だと厳しく指摘しておきたいと思います。
 私はこの間、米所の岩手ふるさと農協、江刺農協、岩手中央会の会長・副会長さんらと懇談をしてまいりました。共通して「こんな時に77万トンのミニマムアクセス米を全部輸入するなんて考えられない」と。ミニマムアクセス米というのは義務輸入じゃないんです。「輸入機会を確保する」というだけなんですよ。だからお隣の韓国は全部輸入なんかしていないんですよ。米がこんなに余っているときに77万トン輸入する。あり得ないじゃないですか。余ったお米を、そういうさまざまな加工とか海外支援にまわすというのは当たり前のことじゃないですか。そう思いませんか。

【農産園芸課総括課長】
 ミニマムアクセス米についてでありますけれども、県ではミニマムアクセス米につきまして、主食用への仕向け量が増大した場合はですね、主食用米の価格低下が懸念されるということから、国に対しまして、毎年度国内需給に影響を及ぼさないための対策を講じるよう要望しているところでございます。

【斉藤委員】
 もう1つ指摘しておきたいことは、今回の大暴落が引き起こされた直接的な要因は、2018年に政府が生産調整から撤退して農業者任せにしてきたことです。いわば米の需給の責任を放棄してしまった。下がったら農家の責任、これが自己責任の自由主義なんですよ。こういう農政の転換がいま強く私は求められていると思います。

・米大暴落と農家の減収に対する県の支援策について

【斉藤委員】
 時間がなくなりましたので2つの問題を最後にお聞きしたいと思います。
県議会の請願も採択をされました。こうした米大暴落と農家の減収に対する県の支援策についてお聞きしたい。

【県産米戦略監】
 米大暴落と農家の減収に対する県の支援策についてでございますが、米価の変動を受けた生産者の経営安定と県産米の需要拡大が重要であることから、県では生産者の経営安定に向け、経営継続に必要となる資金の円滑な融通や、既往債務の償還猶予等が図られるよう県内の金融機関に対し要請したほか、広域振興局や農業改良普及センターなどに相談窓口を設置しまして、生産者からの経営相談や活用可能な無利子の資金の周知等を行っているところでございます。
 また、量販店と連携したキャンペーンなど、県産米の販売促進や消費拡大に向けた取り組みを進めており、引き続き関係団体と連携しながら生産者の経営安定が図られるよう積極的に取り組んでいきます。
 さらに、今定例会におきまして、追加提案を予定しております補正予算において、生産者の経営安定に向けた資金繰り支援や観光キャンペーン等と連携した県産米の需要拡大に取り組んでいくこととしております。

【斉藤委員】
 一言だけ、今日県会議員に示された第8号補正で、「銀河のしずく」等を主には県外者にお配りをするということですが、どのぐらいの米の量を考えているんですか。

【農政担当技監】
 今回の補正予算では、主には県外の方に、県内の方は日頃から県産米を食べていらっしゃるだろうということで、県外の方を中心に試供品等をお配りして、なるべく試供品を通じておいしいということを感じていただき、さらに2キロ5キロのお米を買っていただきたいと考えてございます。そういった試供品に考えているお米の量ですけれども、現時点では130トンほどと考えているところでございます。

・県種子条例に基づく取り組みについて

【斉藤委員】
 もう1つは、制定された県種子条例に基づく取り組みについてお聞かせください。

【水田農業課長】
 県種子条例に基づく取り組みということでございます。
 県では本年8月に、条例第7条に基づきまして、令和5年産小麦の種子生産補助として約115ヘクタールを指定するとともに、農業改良普及センターにおきまして、優良種子の安定生産に向けて種子生産者に対して、育苗、施肥、病害虫、雑草防除、収穫などを指導しております。