2021年10月25日 決算特別委員会
千田美津子県議の県土整備部
に対する質疑(大要)


・土砂災害危険箇所の実態と整備状況について

(千田委員)
 最初に土砂災害危険箇所の実態と整備についてお聞きします。土石流危険渓流、それから地すべり地域、急傾斜地地域などそれぞれ危険箇所の実態はどのように把握をされているでしょうか。さらにそれらのうち、整備が必要な対象箇所数、整備済みの箇所はどうなっているかお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 土砂災害危険箇所の実態と整備状況についてでございますが、土石流、地すべり、急傾斜を含めました土砂災害危険箇所14,348箇所のうち、保全人家5戸以上などの要整備対象箇所3,994箇所に対する令和3年3月末時点の整備状況は、整備済は521箇所、整備率は 13.0%となっています。
 それぞれの内訳の整備状況でございますが、土石流につきましては7,198 箇所のうち要整備対象箇所数2,204 箇所に対しまして整備済みが215箇所、整備率9.8%、地すべりが191箇所に対しまして要整整備対象箇所数191、整備済みが17箇所、整備率8.9%、急傾斜地が6,959箇所に対しまして要整備対象箇所数1,599 箇所、整備済みが289 箇所、整備率は18.1%となっております。

(千田委員)
 岩手県の場合危険箇所が非常に多いと感じました。その中で整備箇所が土石流関係で9.8%、地すべり関係で8.9%、急傾斜地で18.1%、トータルで13.0%とのことであります。皆さんには頑張っていただいているんですが、これら危険箇所をこれからしっかりと整備していくことが、安全という点でも非常に大事な課題ですが今後の整備事業の課題をどのように捉え、また今後の見通しを持っておられるかお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 整備率の現状と今後の進め方についてですが、ハードの整備状況が13.0%と数字上は高い数字にはなっておりませんが、ハード整備には多大な費用と時間を必要とすることから、事業の実施にあたっては被災履歴のある箇所、要配慮者利用施設が立地する箇所など保全対象の重要性が高い箇所について優先的に整備を進めていきたいと考えております。
 いずれ限られた予算の中で、早期の効果を発揮するために、このような優先箇所を重点的に整備して参りたいと考えております。

・土砂災害警戒区域等の指定について

(千田委員)
 次に土砂災害警戒区域等の指定についてお聞きします。令和元年度末に土砂災害危険箇所14,348箇所ありまして、基礎調査がすべて終わり、県内では土砂災害が発生する恐れのある土地の区域は13,316箇所になりました。これも大変多いわけですけども、これらの指定をやはり一刻も早く進める必要がありますけども、2年度末の指定の現状と、3年度に入り現在までの指定はどの程度進んでいるかお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 土砂災害警戒区域等の指定状況についてですが、土砂災害警戒区域の指定が必要な 13,316箇所に対しまして、令和3年3月末時点の指定状況は11,079箇所、その指定率は 83.2%、また土砂災害特別警戒区域の指定が必要な12,338箇所に対する指定状況は、10,265 箇所、その指定率は83.2%となっております。
 また、令和3年度の指定状況は、9月末時点で土砂災害警戒区域については169箇所増の11, 248箇所、指定率については84.5%、土砂災害特別警戒区域が156箇所増の10,421箇所、指定率は84.5%となっております。

(千田委員)
 実は予算議会の際にお聞きした時は、今年1月末時点での指定が8,762箇所で指定率は65.8%でした。また土砂災害特別警戒区域は12,338箇所のうち指定済みが8,124箇所で指定率はやはり65.8%でした。ですから今答弁いただきましたけれども、指定率が1月末の65.8%から3月末では83.2%と17.4%も引き上げられたということで、コロナ禍の中でも本当に頑張っていただいたなと感じました。それからさらに今年になって9月末84.5%まで進んだようであります。さらに今年度中の見通しについてお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 土砂災害警戒区域等の指定の見通しについてでございますけれども、現在、市町村の協 力を得ながら指定に向けまして、関係する住民等に資料を郵送するなどの作業を進めてい るところでございまして、令和3年度内に全ての箇所の指定を完了するよう取り組んで参 りたいと考えております。

(千田委員)
 今年度中にすべての指定を終わらせるということで引き続きよろしくお願いをいたします。今、市町村とやり取りをしながら頑張っておられると思うんですが、県内市町村の指定率を見ますと60%台、70%台のところが9市町村ほどあります。沿岸地域が多いなと思っておりますが、その対策は今年度中に全部終わらせるということですから頑張っていただくわけですが、沿岸地域への対策についてはどのように考えているかを聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 沿岸地域におきましては東日本大震災、台風第10号、台風第19号関係で甚大な被害を受けてそれらのハード対策事業に注力したこともあり、指定が進んでいない部分もありましたけれども、昨年度は、住民説明会等も集合形式ではできなかったことより、資料を直接 住民の方へ郵送し個別対応することで周知の徹底を図りながら指定の作業を今現在進めて おり、そのようなことを引き続き行い、年度末に向けて市町村の協力を得ながら指定の加 速化に取り組んで参りたいと考えております。

・国の新たな指針「土砂災害防止対策基本指針の変更」について

(千田委員)
 そこで全国では土砂災害警戒区域以外でも土砂災害が多この間発をしており、昨年新たな指針が出されております。県としてもそれらを加味しながら取り組みを強めていらっしゃると思いますが、それについてどのようにお考えかお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 土砂災害警戒区域外での災害発生に対する県の取り組みでございますが、国では、令和元年東日本台風等を踏まえまして社会資本整備審議会に土砂災害防止対策基本指針の変更について諮問したところであります。
 この諮問に対する答申の中で、土砂災害警戒区域等に指定されていない箇所における課題について、(1)基礎調査中であり、土砂災害警戒区域の指定に至っていなかったもの、(2) 基礎調査時に、より詳細な地形データを活用すれば、抽出できる可能性があるもの、(3)現在の土砂災害警戒区域等に該当しない箇所で発生したもの、に分類されたこと等を踏まえまして、国は令和2年8月に土砂災害防止対策基本指針に、土砂災害警戒区域等の指定を早期に完了させ土砂災害警戒区域等の認知度向上を図ること、土砂災害警戒区域等の指定基準を満たす箇所の抽出精度の向上を図るためより詳細な地形データを用いること、について盛り込んだところであります。
 県といたしましては、基本指針の変更を踏まえまして、土砂災害警戒区域等の令和3年度内の指定の完了に向けて取り組むとともに、高精度な地形情報等を用いて土砂災害の発生するおそれのある箇所の抽出に取り組んで参りたいと考えております。

(千田委員)
 いろいろ配慮しながら頑張っていただきたいわけですが、そこで土砂災害警戒区域等の指定がどんどん進めてこられてご苦労だったと思いますが、この後の部分で指定後、市町村は速やかに避難場所等の見直しを行いハザードマップに反映させることが規定されております。問題は住民に最も身近なこのハザードマップへどう反映されて、危険防止に繋げることができるかだと思います。この点については市町村とより連携が求められると思いますがどんな状況にあるかお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 市町村との連携につきましては、土砂災害警戒区域の指定の情報を速やかに情報提供し、ハザードマップの更新を早期にしていただくことや、住民周知のための土砂災害警戒区域の看板を設置すること等について、取り組んでいるところです。

・洪水浸水想定区域の指定の現状、課題等について

(千田委員)
 次に洪水浸水想定区域の指定について、指定の現状、それから今後指定すべき想定区域はどのくらいあるのか、また課題は何かを聞きします。

(上澤河川課総括課長)
 洪水浸水想定区域の指定状況についてでありますが、想定最大規模の洪水浸水想定区域につきましては、令和2年度末までに26河川を指定しておりまして、令和3年度はこれまでに久慈川など7河川を新たに指定し、現時点で33河川が指定済となってございます。
 平成29年度から令和3年度までの5カ年を計画期間とする「洪水浸水想定区域指定5ヵ 年計画」におきまして、合計 44 河川の指定を目標としてございまして、今年度末までの残り11河川の指定に向けて、引き続き作業を進めてまいります。
 また、この浸水想定の課題についてということでありますが、5カ年計画に基づいた44 河川の指定を終えた後、今年度、水防法も改正になりまして、その他の河川についても、洪水浸水想定区域の指定を進めていくことになりましたものですから、今後、そういった河川等について、沿川の人口、資産の状況とか勘案しながら、優先度の高い河川から、順次進めていくことにしております。
 まとめて課題としましては、浸水想定の策定については地形等の調査とか、浸水域・浸水深を計算するための氾濫シミュレーション、市町村との調整等を行うということで、これらの作業に一定の時間と予算を要するということがありますので、令和2年6月に国が示した「小規模河川の氾濫推定図作成の手引き」等による合理的かつ効率的な解析手法を採用しながら、必要な予算を確保しながら、指定に向けて取り組んでまいりたいと思います。

・西和賀町通行止めの国道107号線の現状と見通しについて

(千田委員)
 当面は5ヵ年計画に則っとる44河川を目標に頑張るということで、かなりの経費もかかりますが、是非住民にとって大事な指定になりますので今後ともよろしくお願いします。
 次に今議会でも議論がありましたが、国道107号線西和賀町の大石地区の地すべり問題と今後の見通しについてお聞きいたします。国道107号線西和賀町の大石地区の地すべり問題と全面通行止めでありますが、これは5月1日に大雪と地震による地すべりが発生しその夜から全面通行止めとなっております。そこで9月6日に共産党議員団として現地調査を行い、県南振興局長や北上土木センター所長、西和賀町建設課長等から説明を受け、西和賀町長とも懇談をいたしました。この間、国の専門家による現地調査、あるいは技術検討会、さらには今月20日には5回目の情報連絡会議も開催されたようでありますので年内には工事に着工したいと説明しておられたわけですが、どのような状況にあるのか改めてお聞きします。

(戸来砂防災害課総括課長)
 通行止めとなっております国道107号大石地区の現状についてでありますが、5月1日にのり面の変状を確認して以降、国の助言を踏まえまして、地すべり範囲を推定するための調査を行い、この調査結果を基に、@来年春の融雪期の地すべり活動を抑制するための応急盛土、A早期交通確保のための仮設道路、B国道の機能回復、について、 それぞれ検討を進めてきたところであります。
 このうち、応急盛土につきましては、現在、現地に重機を搬入し、盛土のための準備工事を進めており、来月から盛土に着手していく予定としております。
 仮設道路につきましては、仮橋案と盛土案について施工上の課題や工程の検討を行いまして、来年の積雪期前の交通確保を見込むことのできる仮橋案を採用することを、今20日、大石地区の斜面変状情報連絡会議において公表したところであります。
 国道の機能回復につきましては、原形復旧を基本としつつ、あらゆる可能性を含めて検討を重ねているところでありまして、速やかに国道の復旧案を示すことができるよう、引き続き取り組んで参ります。

(千田委員)
 来月からは盛土の工事が始まるということ、それから20日の会議の中で仮橋案にすることが決定されたようであります。二つの方法の中で決定されたわけでありますけども、供用開始は来年の雪積期前ということで約1年後になるわけですね。それで現在は無料の代替コース、高速道が無料になっているわけですが、このまま継続はしてもらえんだと思いますが、この見通し、それから住民説明会が20日前に10月14日に開催されたようでありますが、住民の皆さんの反応あるいは要望はどうだったでしょうか。

(菅原道路環境課総括課長)
 秋田自動車道の無料化の今後の見通しですが、無料化については、県の要請によりNEXCO東日本株式会社が道路法に基づき、災害等により高速道路を並行する国道等が通行止めとなった場合に措置されるものです。
 なお、引き続き通行止めが続く間は無料措置が継続されるものと認識しています。
(戸来砂防災害課総括課長)
 住民説明会の際の住民の方々の状況ですけども、今月14日に耳取地区で行いました住民説明会につきましては、応急盛土工事の着手にあたりまして、その工事内容を説明したものでございます。
 工事の着手に伴いまして、大型トラック等、交通量が増えるものですから、それらについてご説明いたしまして、住民の方々からは、災害復旧工事ということで工事についてはご了解をいただいたところです。

(千田委員)
 地域の方々の要望等も反映させながら工事を進めていただきたいと思います。この間町長からは5月以降全面通行止めとなっており、代替道路として高速道がなっているけども 高速道路を使えない高齢者や女性もいる、それから6年前も8ヶ月間全面通行止めとなっているので、是非抜本的な改良、整備、トンネル化を検討して欲しいとの要望を受けました。また期成同盟会からもトンネル化も含めた抜本的な改良工事が要請されておりますので、これらについてもしっかりと検討すべき時だと思いますがどのような状況でしょうか。

(照井道路建設課総括課長)
 西和賀町の川尻地区から当楽地区までの改良ということだと思いますが、この区間につきましては延長が約13キロメートルありまして、川尻から道の駅錦秋湖付近までは、急峻な斜面とダムに挟まれた地形であります。
 また、道の駅から当楽間は、高低差が約100メートルもございまして、非常に厳しい地形条件となっておりますので、この区間の改良には、長期的かつ安定的な予算の確保が必要となります。
 一方で、並行する秋田自動車道の北上西インターチェンジから湯田インターチェンジ間は、今年度から4車線化事業に着手されておりまして、事業が進みますと、国道107号と秋田自動車道のダブルネットワークが強化されるものと考えております。
 このため、県といたしましては、国道107号を適切に維持管理しながら、通行の確保を図ることが重要であると認識しております。