2021年11月25日 12月定例県議会本会議
千田美津子県議の議案に対する質疑(大要)
・職員の給与改定にかかる議案について
【千田議員】
議案に対する質疑を行います。議案第2号から第6号までの人事院勧告にともなう議案について質問いたします。
議案第2号、一般職の任期付き職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、これは岩手県人事委員会勧告により、期末手当をこれまでの3.35月分から3.25月分に0.1月分削減するものであります。
議案第3号は、一般職の任期付き研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条でありますが、これも期末手当を3.35月分から3.25月分に0.1月分削減するものであります。
議案第4号、一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は、期末手当の改定において、一般職員について2.6月分が2.45月分に0.15月分が削減、そして特定幹部職員についても2.2月分が2.05月分に0.15月分削減、さらに再任用の一般職員は1.45月分が1.35月分に、特定幹部職員は1.25月分が1.15月分にそれぞれ0.1月分削減しようとするものであります。
議案第5号、会計年度任用職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例でありますが、期末手当を令和4年度から、現行の2.6月分から2.45月に0.15月分削減するものであり、
議案第6号の市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例については、一般職員については、現行の2.6月分から2.45月分に0.15月分削減し、再任用職員については現行の1.45月分から1.35月分に0.1月分削減しようとするものでありますが、私はこれらの削減は、コロナ禍のもと、頑張っている県職員の努力に水を指すものと指摘をさせていただきます。
そこで質問でありますけれども、まず第一は、それぞれの条例案の対象職員数は何人になるのかお知らせください。また、この条例によって対象となる医療局や企業局も含めた全体の対象職員数はどれくらいかお知らせください。
質問の第二は、それぞれの改正に伴う影響額はどれくらいになる見込みか。さらに、医療局、企業局も含めた全体の影響額をお知らせください。
質問の三つ目は、今回の期末手当の引き下げは、コロナ対応等に昼夜を分かたず頑張っている保健福祉部や医療局をはじめ、多くの部署で働く職員のモチベーションを上げるどころか、まったく逆になってしまうと考えておりますが、知事はこのことについてどう考え提案されておられるかお聞きします。
質問の第四は、人事委員会の報告においては、公衆衛生分野及び家畜衛生分野等において役割が重要性を増しているとの文言がありますけれども、今回の改正はこの報告にまったく矛盾するものと指摘をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
質問の第五は、不妊治療と仕事の両立についてであります。人事院が新設を表明した不妊治療のための有給休暇の趣旨や他の都道府県の動向も踏まえて、岩手県人事委員会も新たな休暇制度について検討する必要があると指摘をしておりますけれども、今回の条例において提案されてないのはなぜか、お聞きをしたいと思います。
質問の第六は、今回の期末手当の削減は、疲弊する地域経済に悪影響を及ぼすと考えるものでありますけれども、この影響についてどう考えているでしょうか。
【達増知事】
千田美津子議員のご質問にお答え申し上げます。
職員のモチベーションについてでありますが、今年度の給与改定については、県人事委員会の勧告を最大限に尊重するという従来からの基本姿勢を踏まえつつ、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に則り、勧告通り実施することが適当との判断に至ったものであります。
今般のコロナ禍におきましても、職員はそれぞれの職場で真摯に職務に精励しており、特に新型コロナウイルス感染症対応業務に従事する職員に関して、防疫作業に関する特殊勤務手当の増額や、保健所等の職員に対する勤勉手当の評価への反映など、給与上の処遇について、モチベーション確保のための対応を行っているところであります。
今後におきましても、職員の勤務意欲の確保に向け、処遇の改善を図るなど、さまざまな視点からの取り組みを進めてまいります。
【総務部長】
まず対象職員数についてであります。令和3年4月1日現在で、一般職の職員の給与に関する条例の適用職員が約10700名、市町村立学校職員の給与等に関する条例の適用職員が約8600名となっております。なお一般職の任期付職員の採用等に関する条例および一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の適用となる特定任期付職員および任期付研究員については、現在任用がないところであります。これらの職員数に医療局および企業局の会計年度任用職員および技能労務職員を除いた職員数を合わせますと、全体で約24700名となるところであります。また、会計年度任用職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例案について、令和4年4月1日からの施行となるものでございまして、来年度の任用数は今後調整するため、現時点で対象職員は明確にお示しできないところでございますが、参考までに会計年度任用職員のうち、本年12月期の期末手当の支給対象職員につきましてお示しいたしますと、医療局および企業局を含め約4200名となっております。
次に、改定にともなう影響額についてでありますが、県職員一人当たりの引き下げ額については、行政職の40歳主査級職員をモデルに試算をいたしました場合、年間給与額で58000円程度の減となるところであり、その総額は普通会計ベースで12億9000万円程度の減と見込んでいるところでございます。また医療局および企業局を含めますと、総額で17億2000万円程度の減と見込んでいるところでございます。
次に、人事委員会報告についてでありますが、公衆衛生分野および家畜衛生分野を担う獣医師の処遇につきましては、議員ご指摘の通り、人事委員会から採用の促進に向けてさらに給与上の処遇の改善を図ることについて検討を行うことが必要との報告があったところでございます。このことを踏まえ、今回提案した一般職の職員の給与に関する条例の一部改正案では、獣医師の確保に向けた給与上の処遇改善として、初任給調整手当の上限額の引き上げを行うこととしておりまして、これにより採用初年度の手当額が年間18万円増額することから、給与改定による期末手当の引き下げ分を考慮いたしましても、一定の処遇改善が図られるものとなっております。
次に、不妊治療にかかる新たな休暇制度への対応についてでありますが、国が昨年5月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱において、不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備が盛り込まれるなど、不妊治療と仕事の両立支援は官民問わず重要な課題と認識しております。国におきましては、民間企業における動向等も踏まえ、今年8月の人事院の報告において、不妊治療のための特別休暇を新設することとされたところであります。本県におきましても、今年10月の人事委員会の報告において、不妊治療のための特別休暇の創設について検討する必要があるとされたことから、国に準じた不妊治療のための特別休暇の創設に向け、現在人事委員会と調整を進めているところでございます。なお、不妊治療のための特別休暇の創設につきましては、12月上旬に国の人事院規則が改正される見込みであり、その内容を踏まえる必要があるところでございます。また、この休暇制度を創設する場合には、条例ではなく人事委員会規則で規定することとなるところでございます。
次に、地域経済への影響についてでありますが、先ほど知事からご答弁いたしました通り、地方公務員の給与は、人事委員会の勧告を最大限尊重しながら、地方公務員法の給与決定の諸原則に則り決定すべきものであり、今般の給与改定におきましても勧告通り実施することが適当と考えているところでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、厳しい経済情勢が継続していることは認識してございまして、県といたしましては、累次の補正予算の適切な執行と合わせ、12月補正予算案に新たな取り組みを盛り込むとともに、今後におきましても感染拡大の防止に加え、経済的な影響を受けている県民・事業者の社会生活や経済活動の支援に引き続き取り組んでまいります。
<再質問>
【千田議員】
ありがとうございました。
職員のモチベーションを私は指摘をしたわけでありますけれども、まず知事は人勧を最大限尊重すると。そしてコロナ対応等真摯に職員の皆さんが頑張っていただいているので、防疫手当とか給与上の処遇の対応を行っているという答弁がありましたが、これはごく一部になってしまいますね。それで今回の給与改定は、全体に及ぶものでありますから、やはり全体、そして医療関係者のみならず、コロナ対応では本当に多くの職員の皆さんが頑張っているわけですから、そういう全県職員がモチベーションを上げて頑張れるような状況をつくるべきだなと思っておりますので、もう一度お聞きをしたいと思います。
それから、総務省が昨日総務副大臣名で、地方公務員の給与改定に関する取り扱いの通知を出したようであります。これは国家公務員については、臨時国会が来月になるということで、その取り扱いが地方と異なるということの通知だと思いますが、これについてはどのように県は見解を持っているかお聞きをしたいと思います。
それから3つ目は、県内市町村における人事委員会の勧告に対する対応状況についてお知らせいただきたいと思います。
最後4つ目ですが、医療局長にお聞きをしたいと思います。国の経済対策において、看護師の給与の引き上げが示されております。ですから、今回医師・看護師含めて全体が一時金の引き下げという形でやられるわけでありますけれども、私は引き下げるどころか、独自の慰労金を支給するなど、そういう手立てこそ必要ではないかと。いま第6波に備えて現場でもいろいろ検討がなされ、コロナに感染する危険性がある中で頑張っておられるわけですが、そういう方々に対する処遇改善が私は必要ではないかと思うわけですがいかがでしょうか。
【達増知事】
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、まず職員自身が感染しないようにということを気をつけなければならないことがありますし、また、世界的な流行、国内的な流行、県内での流行、かつてなかったようなパンデミックという異常な事態でもありますし、職員一人一人の大変さというのは非常に大きいものがあると思っております。また、市町村との連携、民間事業者の皆さんとの連携、困っている方々、困窮している方々とのやりとりなど、通常業務以上に踏み込んでさらに取り組まなければならないこともあり、職員が直面している仕事の大変さというのは非常に大きいものがあると思っております。
そういった状況を県の対策本部員会議をはじめ、随時共有し、私もそこをきちんと理解し、状況を把握しながら、また県としての目標、さまざまな、例えば県独自の緊急事態宣言の趣旨・目的ややり方など、そういった県が県民と力を合わせてやっていること、その理解を共有しながらやっていることが実を結んでいる、県民もそれを求めているということも確認できるようにしながら進めていきたいと思っております。
【総務部長】
まず、議員ご指摘の通り、昨日国の方から通知等がきてございます。これについては議員ご承知の通りでありますが、国家公務員につきましてはですね、「令和3年度の引き下げに相当する額については、令和4年6月の期末手当から減額することで調整を行うこととしている」というような趣旨でございました。県といたしましてはですね、国の考え方につきまして、令和3年度分を令和4年でまとめて引き下げるということになりますと、令和3年度末で退職される方については支給をされるということで、職員間に不均衡が生じるということ、もっと言いますと令和4年度の新規の採用された職員の方は令和3年度の分まで引き下げられるということについて、これは合理的なのかということがございます。ですので、私どもとしてはやはりさまざまな課題があると考えてございまして、かつこれは東北6県とも私総務部長通じて直接確認をしましたけれども、東北6県の各県については予定通り12月で引き下げるということでございましたし、全国の多くの他県も同じように12月期で引き下げるということでございましたので、今回条例を提案させていただいたところでございます。
それから県内市町村の状況でございますけれども、これは現在市町村において検討中の団体も一定数あるということで聞いておりますけれども、現時点では全33市町村中約3分の2ほどが県と同様に今回12月期に引き下げる見込みということで聞いてございます。
【医療局長】
給与改定につきましては、地方公営企業法におきまして、企業職員の給与は生計費同一または類似の国および地方公共団体の職員および民間事業の従業員の給与、それから当該地方公営企業の経営状況、その他の事情を考慮して定めなければならないと定められております。医療局におきましても、人事委員会勧告を尊重して、県職員の給与改定に準じた取り扱いを行うことが適当と考えております。
新型コロナウイルス感染症に対応した職員のご労苦に対しましては、防疫等作業手当の引き上げなどを行っていますほか、病院がコロナに従事する者しない者、皆一丸となって対応してまいりました。昨年度実施した慰労金の支出や職員に対します表彰や評価などで配慮を行っているところでありまして、今後におきましても職員のモチベーションの維持に必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
慰労金につきましては、昨年度国の事業として交付されたものでありますが、今後の感染拡大状況なども考慮のうえで要望することなどを含めて検討してまいりたいと考えております。
<再々質問>
【千田議員】
慰労金についてはですね、ぜひ独自に、職員の大変な取り組み、頑張りに応えて前向きに、国に要望すると同時に県としてもそういう対応をすべきだと思いますので指摘をしておきます。
もう1つだけ、会計年度任用職員について、来年からの引き下げということでありますが、実は会計年度任用職員について、勤勉手当の支給がないと思うんですが、総務省のマニュアルでは、制度の多くを国の非常勤職員に準拠するように示していると思うんですね。そういった意味で、期末手当から削減するということは、全体が引き下がるということになりますので、これは勤勉手当の支給をどうしていくのかということが先になるのではないかと思うわけですが、この点をお聞きします。
【総務部長】
会計年度任用職員の勤勉手当の関係でございます。これも議員ご承知の通りですね、国の制度、地方自治法あるいは地方公務員法の制度の中でですね、勤勉手当の支給についての規定がないところでございます。これについては、我々国の方にも確認をいたしておりますけれども、国家公務員の方の扱いなんかもさまざま検討されているということでございますので、我々その状況については注視をしているところでございます。
一方で今回の対応につきましては、この会計年度任用職員の方につきましては、さまざま任用期間が異なってですね、その関係によりまして、今回引き下げるとさまざまな不公平が生じかねないということで、会計年度任用職員につきましては令和4年度以降ですね引き下げられるということで、一定対応を講じさせていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、国の動向等も踏まえて今後しっかり対応してまいりたいと考えてございます。