2021年11月25日 12月定例県議会本会議
千田美津子県議の議案に対する反対討論全文
・職員の期末手当削減にかかる議案について
日本共産党の千田美津子でございます。
私は、議案第1号の特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例については賛成をするものでありますが、議案第2号、一般職の任期付き職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例から第6号の市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例については、県職員の期末手当の引き下げ議案でありますので、一括して反対の討論を行います。
今回の条例改正は、人事委員会勧告に伴う条例改正であり、月例給については、概ね均衡している状況から改定を行わず、一時金については、職員給与が民間を0.17月上回っているとして、一般職の職員と特定幹部職員、市町村立学校職員が0.15月分、一般職の任期付き職員と任期付研究員、一般職の再任用職員、市町村立学校職員の再任用職員がそれぞれ0.1月分の引き下げを行うというものです。また、会計年度任用職員については、令和4年度分から0.15月分を削減するというものでありますが、これはコロナウイルス感染症による最大のパンデミックの中で、日夜奮闘されている多くの県職員に対し、激励するどころかモチベーションを下げるものでしかありません。これらは地域経済に及ぼす影響も大変大きいことから、到底認めがたいものであります。ただし、今回の改定では、獣医師に係る初任給調整手当の改定も行われており、これは一定の評価をするものであります。
さて、この間の新型コロナウイルス感染拡大により、岩手県における累計患者数は、3,487人、死亡者は53人となりました。こうしたもと、県職員をはじめ、医療従事者のみなさんは、コロナウイルス感染拡大の中で、感染拡大防止と感染者の保護、隔離、治療のため、感染のリスクもある中で、懸命の努力を続けてこられました。全ての公務員に共通することは、全体の奉仕者として住民目線に立って働く中立公正な公務労働であり、こうした職員のみなさんの労働環境の改善と職員の定数増こそが必要であります。そして、県職員の奮闘に報いるためには、給与や待遇面からも応えるべきであります。
そこで、以下三点について反対の理由を申し上げます。
反対する第一の理由は、新型コロナウイルスへの対応に献身的に取り組んでおられる医療関係者や保健所職員をはじめ、多くの県職員に対して、今回の一時金の引き下げは、職員のモチベーションを下げるものでしかありません。しかも昨年は、介護・医療従事者には国が慰労金を支給したわけでありますが、今年は支給されておりません。このような状況下にあって、本来は賃上げや慰労金の支給こそ必要であり、一時金の引き下げなどとんでもありません。
また、今回の引き下げが適用される職員数は、医療局や企業局を含め約24,700名であり、さらに約500名の技能労務職員なども期末手当の削減の対象となる等、その規模と影響は大変大きなものとなります。今やるべきは、民間より低い初任給水準の引き上げや高齢層職員の賃金改善、諸手当の改善こそ必要であります。
第二の理由は、今回の県職員の一時金引き下げは、コロナ禍の長期化で深刻化する地域経済にますます悪影響を及ぼすものであるということであります。その影響額は、普通会計で約12億9千万円の減、医療局で約4億3千万円、合計約17億2千万円であります。これらは、民間企業の賃金引き下げに波及し、社会的にもマイナスの影響を及ぼすものであることから、今回の一時金の引き下げは実施すべきではありません。
第三の理由は、医療局の場合、深刻な医師不足の中、医師確保が重要な課題となっておりますが、今回の改定により医師も一人当たり138,000円の引き下げとなります。また、コロナ対応で感染の不安を抱えながら日々県民の命と健康を守るために奮闘しておられる看護師についても、今回の改定で一人当たり平均約74,000円もの引き下げとなります。さらなる医師確保、看護師確保が求められている中で、このような引き下げは見直すべきであります。
以上申し上げまして、一時金削減議案に対する反対討論といたします。
ご清聴、ありがとうございました。