2021年12月3日 12月定例県議会本会議
議案に対する質疑(大要)
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第7号、2021年度岩手県一般会計補正予算(第9号)、議案第12号、県営住宅等条例の一部を改正する条例、議案第16号岩手県立高田松原津波復興祈念公園の指定管理者を指定することに関し議決を求めることについて、質問いたします。
・新型コロナ対応にかかる超過勤務手当について
議案第7号、2021年度一般会計補正予算(第9号)は、新型コロナ感染防止対策に関する13億9100万円余の補正予算であります。
給与費が2億1600万円計上されています。これはワクチン接種や中小企業支援をはじめとする新型コロナウイルス感染症対応等による業務量の増加に伴う超過勤務手当を増額補正するものであります。今年度、知事部局において他律的業務の比重が高い部署において、@月100時間以上、A連続する2ヶ月から6ヶ月の平均が80時間超、Bこれ以外の部署においては月45時間を超えて超過勤務を行った職員数はどうなっているでしょうか。どういう職種で超過勤務が増加したのでしょうか。職員の健康管理対策、超過勤務を調整するための職員の増員、応援体制はどう行われたのでしょうか。
【総務部長】
知事部局における超過勤務の状況についてでございます。
令和3年4月から9月までの速報値におきましては、月100時間以上超過勤務を行った職員は全体で73人おりまして、超過勤務の上限等の区分ごとに、他律的業務の比重が高い部署のうち、月100時間以上超過勤務を行った職員は44人、連続する月の平均が80時間を超えた職員は51人となっております。また、これ以外の部署において、月45時間を超えた職員は128人となっております。
新型コロナウイルス感染症への対応にあたりましては、特にワクチン接種体制の構築や、積極的疫学調査、入院搬送調整等の業務を担う医療政策室や各振興局保健福祉環境部において超過勤務時間が多くなっておりまして、感染者数の拡大時には、保健師等の専門職員の負担が大きくなっているものと認識をしてございます。こうした超過勤務が多い職員に対しましては、長時間労働による健康障害を防止するため、産業医による保健指導を行うとともに、ワクチン接種や軽症者等宿泊療養施設の応援業務に対する全庁からの業務支援を実施いたしましたほか、保健所支援本部による支援や専門職員の保健所間応援派遣などを行ったところであります。また、年度途中に医療政策室へ職員を増員いたしましたほか、令和2年度末と比較し、会計年度任用職員を含めて保健師を22人増員してございまして、今後におきましても必要な人員体制の確保に取り組んでまいります。
・県営住宅等条例の一部を改正する条例について
【斉藤議員】
議案第12号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例であります。
東日本大震災の被災者に係る収入超過者の認定及び高額所得者に対する明け渡しの請求の特例措置を講じようとするものであります。具体的には、災害公営住宅の収入基準を、現行の月収15万8000から25万9000円に引き上げるものです。
災害公営住宅に被災者が入居する場合は、収入基準はなく入居できますが、収入基準を超えた被災者の場合、3年が経過すると収入超過者として上限77400円まで家賃が引き上げられます。その結果、これまで自治会の担い手であった働く世代が退去せざるをえない残念な事態が出ています。今回の収入基準の引き上げはこの問題を打開する一歩となるものであります。そこで具体的にお聞きします。
@現在の収入超過者の実態はどうなっているでしょうか。認定収入超過者、今後認定予定の収入超過者を示してください。
Aこれまでに収入超過者はどれだけいて、退去された方はどれだけいたのかを示して下さい。
B今回25万9000円まで収入基準を引き上げることによって収入超過者とならず、家賃が引き下げとなる世帯はどれだけでしょうか。実際のどれだけの家賃引き下げとなるのか具体例を示してください。
C月収31万3001円以上の世帯は高額所得者となり、これまでは住宅の明け渡しが求められてきました。今回の条例改正案では、明け渡しは求めず、割増家賃の下で入居継続が可能となります。対象となる世帯の実態はどうなっているでしょうか。
D月収25万9000円を超える世帯は、引き続き上限77400円の割増家賃となります。災害公営住宅の空き室が増える中で、退去せざるを得ない状況が残されます。さらなる独自の軽減策が必要ではないでしょうか。
E市町村との協議も行ってきたと思いますが、市町村の災害公営住宅でも同様の対策が講じられるのでしょうか。
【県土整備部長】
まず、現在の収入超過者の実態についてでありますが、県営災害公営住宅における本年10月1日現在の収入基準を超過している世帯は116世帯であり、このうち収入超過認定されている世帯は100世帯、今後認定される可能性のある世帯は16世帯となっております。
これまでの収入超過者数と退去者数についてでありますが、先ほどご答弁させていただきましたが、令和3年10月1日現在の収入超過者として認定されている世帯は100世帯となっております。なお、時点が異なりますが、令和2年度末までに退去した収入超過者は28世帯となってございます。
家賃が引き下げとなる世帯についてでありますが、県営災害公営住宅において本年10月1日現在で、収入基準を超過している100世帯のうち、対象となる世帯は70世帯となっております。具体例といたしましては、釜石市平田アパートの3DKに居住し、月収20万円、入居後6年目を想定した場合、これまでは収入超過認定を受けた場合、家賃減免措置後の上限家賃である月額77400円となっておりましたが、条例改正後は収入に応じた家賃である月額43200円となるものでございます。
高額所得者の実態についてでありますが、県営災害公営住宅における本年10月1日現在、31万3千円を超えている高額所得世帯は22世帯となっております。
独自の軽減策についてでありますが、今回の改正は公営住宅法で定めた上限額25万9千円まで引き上げようとするものであり、さらなる家賃軽減措置については難しいと考えております。なお、高額所得者であっても退去を求めない措置を独自の軽減策として提案させていただいております。
市町村における対応についてでありますが、花巻市と岩泉町において、裁量世帯の収入要件を25万9千円に引き上げたことは承知しておりますが、今回の条例改正案に関する内容や事務処理の参考例を各市町村に提供したところであります。各市町村がそれぞれの地域や実情に応じた措置を講じられるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。
・高田松原津波復興祈念公園の指定管理者の指定について
【斉藤議員】
議案第16号は、岩手県立高田松原津波復興祈念公園の指定管理者を指定することに関し、議決を求めるものであります。具体的には、高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体を指定管理者としようとするものであります。そこで質問します。
@高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体の構成団体と、これまでの実績を示してください。
A高田松原津波復興祈念公園の管理運営方針はどうなっているでしょうか。
B年間の委託費と正規・非正規の人員の体制、賃金水準と労働条件はどうなっているでしょうか。
【県土整備部長】
高田松原津波復興祈念公園の指定管理者の構成団体とじっせきについてでありますが、今回指定しようとする高田松原津波復興祈念公園マネジメント共同体の構成団体は、一般財団法人公園財団と特定非営利活動法人みどりの相談室であります。一般財団法人公園財団は、公園の管理運営を主な事業とする団体であり、13の国営公園を管理運営しているほか、16の地方公共団体の都市公園や公共施設を管理運営している団体であります。特定非営利活動法人みどりの相談室は、県内の造園事業者等からなるNPO法人であり、内丸緑地や県立緑化センターのほか、盛岡市が所管する盛岡城跡公園の指定管理を行っている団体でございます。
管理運営方針についてでありますが、高田松原津波復興祈念公園の基本計画では、「犠牲者への追悼と鎮魂の場を維持し、震災の記憶と教訓の伝承や復興の有り様を国内外に向け発信するとともに、中心市街地や道の駅と一体となって、地域の賑わい創出に貢献する管理運営が求めれる」とされております。今後のことを踏まえ、復興祈念公園において多様な活動が展開できる環境が整えられるなど、魅力あるサービスを継続的に提供できるよう、国・県・市が連携した管理運営を目指すとともに、市民やNPOとの共同による管理運営体制の構築を目指すこととしております。
年間の委託費と人員体制等についてでありますが、指定管理に要する経費としては、年間3842万円の指定管理料を見込んでおります。人員体制については、管理運営業務責任者1名、施設管理等を担当する業務担当者1名、利用者サービス等を提供する庶務担当者1名のほか、清掃・巡視等を担当するマルチスタッフ3名の計6名の体制となる見込みであります。職員6名のうち、管理運営業務責任者と業務担当者の2名は正職員、それ以外の4名は正職員以外となる見込みであります。賃金水準につきましては、指定管理者候補者からの聞き取りによれば、現時点で正職員の年収は540万円〜660万円程度、正職員以外の年収は200万円〜240万円程度を見込んでいるとのことであります。時給に換算いたしますと、正職員は1時間当たり2780円〜3400円程度、正職員以外は1000円〜1240円程度と試算されます。労働条件については、職員6名とも週40時間のフルタイム勤務を予定しているとのことであります。
<再質問>
・超過勤務手当の支給について
【斉藤議員】
超過勤務手当を今回いち早く対応したと。2億1600万円。これは評価をしたいと思います。そして、かつてない新型コロナの感染拡大のもとで、大変献身的に奮闘されたということにも敬意を表したいと思いますが、先ほど産業医による健康観察と言いますか、この産業医による対応というのは100時間を超えた方々が対象なのでしょうか。どれだけの方々が対象になったのかを示してください。
【総務部長】
産業医による保健指導の状況について答弁を申し上げたいと思います。
対象者についてでございますが、月100時間を超えた職員、それから連続する月の平均が80時間を超えた職員、それから労働により心身の疲労の蓄積や健康上の不安を有している職員で、本人の申し出があった職員、または所属長が必要と認める職員について行ってございます。
今年度の実績でございますが、4月から10月までということで、現時点で287人ということになってございます。これは前年度同月に比べても多い状況となってございますので、引き続き超勤の削減にあらゆる方策を講じてしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
・災害公営住宅の収入超過者への対応について
【斉藤議員】
災害公営住宅の収入基準の引き上げの問題でありますけれども、かなり前から私は収入超過者の対応を求めてきました。かなり時間がかかりました。市町村とも協議をしてきたと思うんですけれども、今の答弁を聞くとですね、花巻市と岩泉町はすでに収入基準を引き上げていると。あとの沿岸市町村の多くに災害公営住宅があるんですよね。収入超過者もいると思うんですよ。やはり市町村と足並みを揃えて取り組むべきだと思いますが、市町村との協議でどういう風に今後の方向が確認をしているのか改めてお聞きします。
【県土整備部長】
災害公営住宅にかかる市町村との協議の方向ということでありますが、今回の条例改正案については、各市町村に提供はさせていただいています。いずれ今回条例として議決いただければ、またその内容を改めて市町村を回って周知させていただいて、なるべくならば一緒の方向になるように、引き続き市町村の相談に乗ったり支援をしていきたいと考えております。
・高田松原津波復興祈念公園について
【斉藤議員】
すでに国の国営祈念施設、これは国からの委託になっております。聞くところによると、面積そのものは狭いんだけれども、5000万円余の委託費と。県営の復興祈念公園は広大な面積ですよ。それが委託費がわずか3842万円、人員体制も正規が2人、非正規が4人と。こんな貧困な体制で本当に管理運営ができるのか。高田松原津波復興祈念公園というのは、いま津波伝承館もあり道の駅もあると。そしてあそこには4つの震災遺構があるわけですね。ですから、これを本当に活用した総合的な管理運営が求められていると思うんだけれども、委託費も少ない、人員体制も少ない。それで本当にできるものかどうか。管理面積は広いのになんで国の追悼施設の管理運営よりも大幅に少ないのか。
最後ですけれども、非正規の場合は、週40時間と言いながら最低は時給1000円と。年収200万円ということはワーキングプアですよ。県が委託するこういう事業でワーキングプアやワーキングプアに準ずるような労働者をつくってはならないと。岩手県の契約に関する条例も制定されているじゃないですか。そういうところを。そして非正規が正規の倍ですよ。本当にみんなが安心して働けるような、素晴らしい施設なんだから、しっかりした管理運営体制をとるべきではないかと思いますがいかがですか。
【県土整備部長】
国営追悼祈念施設との比較ということでありますが、国営追悼祈念施設はご案内の通り、復興の象徴として10ヘクタールでありますが、国が設営して管理しているということでありまして、復興祈念公園を訪れる方々のメインの動線になっているところでありまして、そこはやはりしっかりと管理していく必要があるものだと思っております。
県の方もそれにならってというところではありますが、他の県立公園との単価を比較すると、花巻広域公園・御所湖広域公園がありますが、それは80ヘクタール当たり84万円〜93万円ぐらいなんですが、高田松原津波復興祈念公園については100万円程度ということで、いずれ今回が最初の取り組みということでありますので、公園の利活用の促進を図りながらですね、次の展開、柔軟な対応というのは検討して育必要があるのかなと思っておりますが、まずは運営をしていくといったところが大事な部分かなと思っております。
非正規につきましては、県が締結する契約に関する条例の規定によりまして、指定管理者に賃金および社会保険に関する事項を遵守させるとともに、毎年度職員の配置などの管理運営体制も含めた施設の管理運営にかかる評価を行っていくこととしております。今後におきましても、適正な雇用・労働条件が確保されるよう引き続き指定管理者制度の適正な運用に努めながら、高田松原津波復興祈念公園の利活用の促進、それから適正な管理に努めてまいりたいと思います。
<再々質問>
【斉藤議員】
災害公営住宅の収入基準の引き上げについて、これは本当に前向きな対策なので、来年4月から新たな家賃になりますから、早く適切にアナウンスをして、いまの収入超過者が安心して継続的に入居できるようにしていただきたいと。これは要望して終わります。