2021年12月3日 12月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問(大要)
1.新型コロナウイルス対策について
【質問】高田一郎議員
日本共産党の高田一郎でございます。通告に沿って質問します。
第一に、新型コロナウイルス感染から県民のいのちと暮らし守る課題についてです。
新型コロナ感染は8月に、首都圏を中心に感染爆発が起こり、「自宅療養者」は13.5万人、自宅で亡くなった人は250人にもなりました。
岩手県はすべての感染者を診察し入院または宿泊療養を基本に対応するなど全国でも先進的な対応が行われました。医療資源が乏しい中で重症者を比較的少なく抑えることができたことは今後に生かすべき教訓です。これまでの取り組みをどう評価し第6波に備えていくのでしょうか。知事にお聞きします。
【答弁】達増知事
高田一郎議員のご質問にお答えします。
まず取り組みの評価と第6派への備えについてでありますが、この夏の感染拡大を踏まえた今後の保健・医療提供体制の整備に係る目標と目指す水準については10月に国から、@全ての感染者が速やかに健康観察や診療が受けられること、A早期に適切な治療を受けられ重症化が最小限に抑制されること、B入院を必要とする者が迅速かつ確実に入院等につなげられること―の3点が示されました。
本県では、新規感染者は「原則入院または宿泊療養施設での療養とし、これを経ずに自宅療養を行うことはしない」との方針に基づき、この夏の感染拡大時においても全ての感染者に対して速やかに疫学調査を行い、早期に適切な入院治療や宿泊療養につなげる体制が維持されてきたことから、国から示された目標・水準には概ね対応できていたものと考えております。
そのうえで県としては次の感染拡大に備え、この夏のピーク時における入院患者の1.2倍の患者数を想定した病床や宿泊療養施設の確保などにより、今般確認されたオミクロン株への対応も含め対策を強化していく考えであります。
【質問】高田一郎議員
次に、感染対策についてであります。
ワクチン接種を行っている諸外国では時間の経過とともに、中和抗体の低下でブレークスルー感染がおこり、また規制の緩和で感染の再拡大が発生しています。ドイツでは一日の感染者が6万人を超え、日本よりワクチン接種率が高い韓国では一日の感染者が5000人、重症者600人と過去最大になっています。
国内では感染者が大幅に減少しているものの、感染伝播が継続している状況を踏まえ感染対策の継続強化など一層の取り組みが必要です。とりわけ3回目のワクチン接種を確実に進めることが重要となっています。
(1)県内の2回目の接種率は、人口比で11月30日現在80.3%となっているものの、20代は77.9%、30代は78.7%となっており、若い世代への接種率をどうあげていくかが今後の課題です。どう取り組まれるのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
若い世代のワクチン接種率の向上についてでありますが、本県では年代順に予約を受け付けてきた市町村もあるため、若い世代ほど接種率が低い状況にあると認識しております。
こうした状況を踏まえ県の第3期集団接種においては、若者を対象とした先行予約を実施したほか、市町村の集団接種会場の新規設置やワクチンの融通調整などに取り組んだ結果、若い世代も含めて接種率の向上が図られているところです。
また現時点で1、2回目の接種を受けていない方がいることを踏まえ、3回目接種と並行して全市町村で未接種者が接種できる体制を確保しております。
今後は若い世代の接種率の一層の向上に向け、接種を希望しない方にも十分に配慮しつつ、県のホームページやSNSなどを通じ正確な情報発信に取り組むとともに、希望する方が円滑に接種を受けられるよう、ワクチンの配分調整などを通じて市町村の接種体制の確保を支援してまいります。
【質問】高田一郎議員
(2)高齢者施設や障がい者施設などについては、入所者と従事者を同時に接種することが大事であり感染対策上からもごうりてきである、市町村と連携し取り組むべきですが県の対応について伺います。
【答弁】野原保健福祉部長
高齢者施設等の入所者と従事者への接種についてでありますが、議員ご指摘の通り重症化リスクの高い入所者の感染を防ぎ、クラスターの防止を図る上では入所者と従事者への同一機会での接種が有効と考えております。
県では1、2回目の接種の際に市町村に対し、高齢者施設等の従事者などへの早期のワクチン接種を働きかけ、市町村においても地域の特性や感染状況などを踏まえ、入所者と従事者への接種を進めて参りましたが、こうした取り組みにより県内の高齢者施設や障がい者施設では、8月上旬までに概ね2回の接種が完了したところであります。
3回目接種においてもクラスターの防止や接種の効率性の観点から、こうした取り組みが効果的と考えられますことから、2回目接種終了から8か月を経過した方が速やかに接種を受けられるよう、市町村と連携し接種体制を確保してまいります。
【質問】高田一郎議員
(3)ワクチン接種会場までのタクシーを活用した輸送費支援は、これまで16市町村で実施され市町村から歓迎されました。高齢者の3回目の接種は冬期間の2月から3月がピークとなるだけに前回以上に活用されることも予想されます。これまでの実績と3回目に向けた支援の具体的方針を示してください。
【答弁】熊谷ふるさと振興部長
新型コロナウイルスワクチン接種市町村輸送機能強化事業費補助、いわゆるタクシーを利用した場合の補助についてでありますが、予算額1億120蔓延に対しこれまで2回目までの接種に要する経費として、16市町村に7千8百万円余を交付決定しておりが、これら市町村の10月末時点の執行見込額は3千3百50万円余となっており、予算に対して約33%の執行率となっております。
冬期間においては高齢者等の接種会場までの移動手段の確保がより困難となる場合も想定されることから、この執行残を活用し3回目の接種についても補助対象とすることとし、現在各市町村に対して所要額の調査を行なっているところえございます。
【質問】高田一郎議員
(4)次に、PCR検査についてです。
ワクチンの感染予防効果は半年で50%まで落ち、また感染しても症状が出にくくウイルスが常在するような状態に変わっていると専門家は指摘しています。したがって高齢者施設や医療機関等での定期的な検査が必要と考えます。県内のPCR検査能力は一日4,886件に拡大されました。感染拡大するハイリスクな場所については、定期的な検査を行なうことが必要と考えますがいかがでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
PCR検査についてでありますが、県では新型コロナウイルス感染症対策専門委員会に意見を伺いながら、蔓延期における一斉・定期的な行政検査の実施方針について定め、これまで市中感染のリスクが高まった場合に市町村とも連携して、高齢者施設や繁華街の飲食店等を対象としたPCR検査を実施してまいりました。
県としましては高齢者施設等の従事者への集中的検査等について、緊急事態宣言等の対象地域に限らず財政措置を行なうよう、全国知事会を通して国に要望しているところであります。
今後も行政検査の実施方針に基づき専門委員会等の意見を参考にしながら、必要に応じて高齢者施設等への一斉・定期的な検査を実施してまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、医療機関及び保健所の体制の強化についてです。
県南の公立病院では一病棟をコロナ病床にして対応したために他の病棟の病床利用率は100%前後となり、一般医療を行ないながら大変な困難の中で診療に当たられたと院長から伺いました。県は今後の感染に備えコロナ病床を400床、宿泊療養施設370室を整備する方針ですが、医師・看護師の増員こそ必要です。どのような対応を考えているのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
医師・看護師の増員についてでありますが、本県におきましては新型コロナウイルス感染症の対応に対し、適切な医療を提供するとともに一般医療への影響を最小限にとどめ、限られた医療資源を有効に活用する医療体制の方針としており、医療従事者の体制についてはそれぞれの医療機関において、職員の配置換え等により計画的に対応しているものと承知しております。
このうち県立病院においては多忙となっている病院に対して、病院間の医師・看護師の相互応援等を行なっており、看護師については応援体制強化などのため今年度から36名を配置していると聞いております。
また宿泊療養施設の看護師については、会計年度任用職員や人材派遣会社への委託等により体制強化を図って来たところであり、今後さらに増員が必要な場合はこれらに加え民間医療機関からの応援体制も構築しているところであります。
【質問】高田一郎議員
和歌山県ではすべての陽性者に対して入院措置を続けこれまでに入院した5,169人の追跡調査を行いました。その結果検査の時点で無症状だった1,199人のうち331人(25%)が肺炎と診断されました。76人が酸素投与が必要な中等症以上となり20人が死亡したとのことです。感染後の容態変化に対応した支援とともに追跡調査が必要と考えますが、岩手県ではこれまでどのような分析・調査と対応が行なわれてきたのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
容体変化に対応した支援についてでありますが、本県においては入院中に容体が変化した方については随時経過観察しており、入院した医療機関で治療が困難な場合は高度医療機関等への搬送町政を行なっています。
宿泊療養施設に入所された方については毎日数回、体温や酸素飽和度などを確認しているところであり、容体が悪化した場合医療機関に受診または必要に応じて入院いただいているところであります。
また患者のうち人工呼吸、ECMO(エクモ)、ネーザルハイフロー、抗体カクテル療法の実施や重症化の状況等については、本県においても医療機関を通じ把握しているところでありますが、新型コロナウイルス感染症に係る調査や分析については議員ご指摘のほか、例えば後遺症や感染ルートの状況など多様な項目が想定され、調査に際して医療機関に一定の負担も生じることから、今後の感染症対策に生かしていくためどのような項目が必要であるか検討してまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、県民の暮らしと事業者への支援策についてであります。
10月の事業者実態調査では、「影響が継続している」75%、特に前々年度との比較では41%以上の売り上げ減少は飲食業で42%、宿泊業で51%にもなっており、感染者ゼロが続いている中であっても厳しい状況にあります。県は県内事業者や生活困窮者の厳しい現状をどう把握されているのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
生活困窮者の現状とコロナ給付金についてでありますが、県では市町村や社会福祉協議会等と連携し、自立相談支援機関などにおける相談支援を通じて生活に困窮している方の現状の把握に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、令和2年度以降新規相談受付件数は大幅に増加しており、生活福祉金の貸し付けや各種給付金の支給などの経済的な支援についても、引き続きニーズが高い状況にあると認識しております。
そのような中今般の国の経済対策において様々な困難に直面している方々が、速やかに生活・くらしの支援が受けられるよう、子どものいる世帯や住民税非課税世帯への給付が実施されることとなったものであります。
支給される交付額の試算については、子どものいる世帯への給付として16万8千万人余の児童を対象に、クーポンを含む168億2千万円余を見込んでおり、住民非課税世帯への給付については現在市町村において世帯数の把握等を進めているところであります。
【質問】高田一郎議員
政府が経済対策で行おうとするコロナ給付金は、住民税非課税世帯や子供のいる世帯が支給となり、コロナで最もしわ寄せを受けた非正規労働者や多くの学生は対象外となります。「事業復活支援金」は支給要件を緩和しましたが、個人事業主で持続化給付金の半減(50万円)となります。それぞれ、支給される対象者世帯または事業者数と交付額はどう試算しているのでしょうか。
【答弁】岩渕商工労働観光部長
県内事業者の現状と事業復活支援金について蛇りますが、県内の中小事業者は幅広い業種で、コロナ禍前の売上に遠く及んでおらず引き続き厳しい状況にあり、また各種支援策のうち地域企業経営支援金が金融支援策や雇用調整助成金などを上回って活用されている状況から、事業継続を図るための減収補てん策に対するニーズが高いと受け止めております。
国における事業復活支援金の対象事業者数や交付額の算出方法は把握しておりませんが、本県が地域企業経営支援金の実施に当たって活用した、経営センサスによる業種別事業者数と影響調査による売り上げ減少の状況を基に機械的に計算すれば、農林水産事業者を除き約4万事業者中約9千事業者が対象になり、交付額は約60億円と想定されるところであります。
【質問】高田一郎議員
「いわて飲食店安心認証制度」による認証点数は11月26日現在4,598件となっています。対象店舗約9000店の5割程度にとどまっています。認証店が少ないと思いますが、課題と今後の対策を含め示してください。また認証店に対する支援金の支給状況についても示してください。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
いわて飲食店安心認証店についてでありますが、本県は東北の中で福島に次ぐ認証店数であり、多くの飲食店に認証基準に沿った感染対策に取り組んでいただいているところであります。
感染拡大の防止と社会経済活動を継続していくため、引き続き認証制度の普及が重要であることから再度の訪問確認を行ない、認証制度の質を担保するほか岩手の食応援プロジェクトやスタンプラリーキャンペーンなどにより、認証店の利用促進を図るとともに市町村や商工会議所・商工会等とも連携しながらより多くの飲食店に認証をしていただくよう取り組んで参ります。
【答弁】岩渕商工労働観光部長
認証店に対する支援金の支給状況についてでありますが、11月29日現在3,394事業者、3,855店舗に対して3億8,550万円を支給しております。なお現在約200店舗が支払い手続き中であるほか、全ての認証店に申請書を送付しておりコールセンターでの問い合わせ対応も行なっております。
【質問】高田一郎議員
「6兆8千億円」規模の地方創生臨時交付金が国会に提案される予定です。6.8兆円の内容、本県への配分額をどう試算されているか。今後配分される財源を活用し経済対策に取り組むべきです。例えば12月末で終わる「いわて旅応援プロジェクト」をはじめ、経済対策に係る取組を早期に予算化すべきと考えますが、どう検討されているのでしょうか。
【答弁】石川政策企画部長
地方創生臨時交付金と今後の経済対策についてでありますが、今般増額された6兆8千億円の内訳をみますと、地方が活用可能な単独分が約1兆5千億円、検査促進枠分が約3千億円、協力要請推進枠等分が約5兆円となっております。このうち検査促進枠分、協力要請枠等分につきましては、事業実績が確定した段階で交付限度額が算定されるものでございます。
一方地方が活用可能な単独分につきましては国が配分の都度、都道府県の交付限度額の算定方法を交付金制度要綱において示しておりまして、現時点でその詳細は明らかになっていないことから、県としましては引き続き情報収集を進め、県予算での対応が必要な事業について適時適切に補正予算に編成を進めていく考えであります。
【質問】高田一郎議員
次に生活困窮者に対する支援と相談体制についてです。
生活福祉資金の特例貸付が増加し本県では10月末現在、緊急小口5,335件、総合資金3,172件となっています。生活困窮者自立支援金については僅か32件(30万円)となっており、「求職要件などが厳しい」と現場からも改善を求める声も出ています。このたび特例貸付や自立支援金の見直しが行なわれましたがどう見直しされたのでしょうか。生活や就労支援等生活困窮者の自立支援に取り組む業務が増加しています。現場からは「生活改善に向けた充実した伴走型支援ができない」との声が出ています。社協職員の増員が必要と考えますが県はどう対応されるのでしょうか
【答弁】野原保健福祉部長
生活困窮者に対する支援と相談体制についてでありますが、今般の国の経済対策においては生活福祉資金特例貸付の申請期間の延長に加え、生活困窮者自立支援金について再支給の実施や支援要件のうち求職活動が緩和されたことなどにより、コロナ禍で困窮する世帯への支援を貸付から給付へシフトするよう見直しがなされたところであります。
コロナ禍の影響により社会福祉協議会や生活困窮者自立相談支援機関における、新規の相談件数は大幅に増加していることから、県では社会福祉協議会や自立相談支援機関において、貸付や支援に必要な人員体制が確保できるよう、本年度特例貸付の原資と合わせて人件費や自立相談支援機関の体制強化に要する補助を実施しているところであります。
今後は貸付終了後の生活再建に向けた包括的な支援がさらに重要となることから、引き続き社会福祉協議会などにおける人員体制の確保を通じて、様々な困難を抱える方々に適切な支援が行なえるよう取り組んでまいります。
2.東日本大震災津波からの復興の課題について
【質問】高田一郎議員
第2に、東日本大震災津波からの復興と被災者支援について質問します。
これまで継続してきた被災者の医療費、介護保険利用料などの免除措置は「被災者の命綱」として大きな役割を果たしました。しかし県は市町村の動向などもあり今月末でこの事業を終了する方針であります。
知事は9月県議会で「生活困窮者自立支援制度やいわて被災者支援センターによる相談支援等により被災者の方々が経済的な理由により必要な医療が受けられないことがないよう支援していく」答えています。そもそもこの生活困窮者自立支援事業は生活困窮者への就労支援や生活費の貸し付けなどを行なう事業であり、医療費の窓口負担を免除できる事業ではありません。
岩手県保険医協会の調査では、4月から自己負担が発生した被災者のうち「通院できなかった」は12.7%、1月から負担が発生した場合「通院できない」は24.2%となっています。経済的な負担で通院できない被災者の実態を把握し、具体的な支援策を講ずるべきと考えますが県の対応を伺います。
【答弁】野原保健福祉部長
被災者の医療費等の免除継続についてでありますが、一部負担金免除を終了後においても医療を必要とする被災者が、適切な医療を受けられることは重要なことと考えており、経済的な理由により受診をためらっている被災者が高額療養費制度の活用や生活福祉資金の貸付、被災者の置かれている状況によっては生活保護による医療扶助の活用等を図ることにより、医療が受けられるよう市町村や社会福祉協議会等に対して、様々な支援制度の周知について協力を依頼したところであります。
一部負担金免除終了後の被災地の医療の状況について把握することも必要と考えておりますが、受診控えの実態についてはその定義や調査方法について様々な課題が考えられますことから、まずは保険者である市町村等から被災者が抱えている医療の課題について聞き取りを行なうほか、国保データベースの活用などにより状況の把握に努めてまいります。
県としましては一時的な措置であった一部負担金免除終了後においても、恒常的な仕組みの中で市町村をはじめ社会福祉協議会などの関係機関と緊密に連携を図りながら、被災地の状況把握に努めるとともに、様々な制度を活用しながら被災者一人ひとりの状況に合わせた支援が行なわれるよう取り組みを進めてまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、災害公営住宅入居者への見守りとコミュニティ支援についてです。
県営災害公営住宅では9月末現在、入居世帯数は5,287世帯、65歳以上の独り暮らしは35.1%。高齢化、生活苦、孤独化が同時進行しており、災害公営住宅での孤独死も続いています。
被災者の見守りとコミュニティ支援が重要であり、50世帯以上の災害公営住宅に生活支援相談員の配置を繰り返し求めてきました。10月末現在では3市町4個所にとどまっており、多くの集会所は鍵がかかっている現状にあります。
先月私は南三陸町の被災者支援の取り組みを調査しました。南三陸町では738戸の災害公営住宅に10人の支援員が配置されていました。志津川中央災害公営住宅(142戸)には2人の生活支援員が常駐し見守りや相談活動、住宅内交流会と地域交流事業、毎日の体操にも取り組まれ事務室のホワイトボードは行事がびっしりでした。
「みんなの食堂」という事業では、入居者が弁当を作り地域の協力で高齢者宅への宅配弁当(300円)に取り組まれておりました。また生活支援コーデネーターも参加した支援員の経験交流会を行い支援の在り方を学びながら取り組んでいました。「支えてもらう仲間がいて、入居してよかった」と入居者からも話を伺い支援員が常駐していることが入居者の大きな安心と支えになっていると感じてきました。
県内で配置されている災害公営住宅や南三陸町の経験に学び、集会所への生活支援相談員の配置にいまこそ取り組むべきです。新年度に向けどう検討されているのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
災害公営住宅入居者への見守りとコミュニティ支援についてでありますが、本県では生活支援相談員を配置して、被災者の見守り等の個別支援やサロン活動等の地域支援を重点的に実施する「地域見守り支援拠点」の設置を推進してきたところであり、現在5市町村で9カ所の拠点が設置されております。
これらの拠点は4カ所の災害公営住宅のほか、複数の災害公営住宅が立地する地区や防災集団移転先団地、被災者が通いやすい商店街等に設置され、災害公営住宅への定期的な出張を行なうなど地域の実情に応じて設置、運営されております。
来年度の見守り・コミュニティ支援の体制については、現在市町村や市町村社会福祉協議会の意向を伺いながら調整を進めているところでありますが、今後もこうした地域の実情に応じた拠点の取組等を進め、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支えあうことができる福祉コミュニティの形成を推進してまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、「いわて被災者支援センター」について質問します。
被災者支援センターは、住宅ローンの返済や家族関係の悩みなど多様な悩みを抱える被災者への伴奏型支援を行なっています。先日活動状況を学ぶために「いわて被災者支援センター」を調査しました。
県内外の避難者実態調査も対象が限定され、被災者の相談も即対応できないなどの課題も伺いました。活動の取り組み状況と課題をどう県は把握されているのでしょうか。全国から注目された取り組みで重要な事業でありますが、わずか4人の人件費では十分でないと感じています。抜本的な体制と予算の拡充が必要と考えますがいかがでしょうか。
【答弁】戸舘復興防災部長
いわて被災者支援センターについてでありますが、本年4月の開設から10月までの相談対応実績は、相談支援員が531回、弁護士などの専門家が49回となっており、沿岸部はもとより県内陸部や県外を含め、被災者からの相談にしっかりと対応していただいています。
また県外及び県内他市町村への避難者で前回調査の際、帰還意思なしと回答した方やすでに帰還された方などを除いた方々を対象に、被災元自治体等への帰還意思などを確認する実態調査を行なっており、この結果に基づき市町村等と連携しながら帰還意思のある方の帰還に向けた支援を行なうこととしています。
今後に向けてましては支援を必要とする被災者にセンターを周知し利用につなげたり、被災者が身近な地域で搬送型支援を受けられる環境を構築するためには、市町村や市町村社会福祉協議会の役割が重要でありますことから、今後さらに連携を強化する必要があると考えています。
センターの体制や予算につきましては、被災者を取り巻く状況や昨年度までの被災者からの相談件数の推移等を踏まえ措置したものでありまして、現時点においては概ね当初の想定通りの運営がなされているものと認識しています。
今後も被災地の実態及び被災者のニーズを踏まえ対応してまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、東京電力福島第一原発事故による汚染水の処理問題です。
4月の政府の海洋放出決定から本県で初めての説明が行われました。盛岡、宮古の2会場では参加者からどんな意見が出たのでしょうか。原発事故による放射能汚染はくらしと生業に深刻な被害を及ぼしました。汚染水の海洋放出は震災、大不漁、コロナの三重苦にさらに追い打ちをかけるものです。
東電は海洋放出する際のトリチウムの濃度について「規制基準の100分の1まで薄める」、「風評被害が生じた場合は賠償を行う」とのことですが、そもそも放出決定前に説明すべき内容です。政府と東電は2015年福島県漁連に対し「関係者の理解なしに汚染水のいかなる処分も行わない」と文書回答しているにもかかわらず、海洋トンネルを作り沖合に放出することまで計画しています。知事はこうした政府と東電の対応についてどう受け止めているのでしょうか。
【答弁】達増知事
福島第一原子力発電所事故の処理水についてでありますが、福島第一原子力発電所の処理水の取り扱いについては、国は福島県の地元自治体や農林水産業者を中心に報告や意見交換を行ない、加えて関係者の意見を聞く場の開催や国に寄せられた意見等も踏まえて、国の責任において処分方法を決定したとしています。
しかしながらその処分方法や処理水の安全性、風評対策などについて国内外の理解が得られているとは言えない中での決定であり、県内の市町村などから海洋放出によらない新たな処理・保管方法の検討を求める意見が出されているほか、漁業者からは風評被害を懸念する声が挙げられています。
県としては水産業をはじめとする関係団体や関係市町村等への丁寧な説明と真摯な対話、慎重な対応を国に求めてきたところであり、今般国への働きかけにより県内の関係者等に対する説明の場を盛岡市と宮古市で設けたところであるが、出席者からは方針決定に至る経緯への不満や安全性に対する不安、風評被害への懸念、さらに丁寧な説明を求める声が挙げられたところであります。
国においては安全性や風評被害への依然として強い不安や懸念の声に真摯に対応し、さらに丁寧な説明や不安・懸念を払拭する具体の取り組みが必要と考えます。
【質問】高田一郎議員
海洋放出には40年かかるとされその間に大型のタンクで保管することもできます。トリチウム分離技術も研究され実証実験も行われており海洋放出以外の立場で英知を集めることが必要です。宮城県は海洋放出以外の方法について国に検討を求めています。岩手県も宮城県と連携し国に求めていくべきと考えますが知事の見解を伺います。
【答弁】達増知事
処理水の海洋放出についてでありますが、処理水の処分に関する基本方針については、国のALPS小委員会において専門家が風評影響になど社会的な観点も含めた総合的な議論を行ない、技術的に可能な処分方法を検討し海洋放出がより現実的であるとした報告書を踏まえ、国において決定したとされている。
県としては処理水の処分は本県の自然環境や漁業を始めとする産業に影響を及ぼすものであってはならないと考えており、政府予算要望を始め様々な機会を捉えて関係団体や関係市町村等に対する丁寧な説明と慎重な対応を要望してきたところであります。
またこれまで全国知事会及び北海道・東北地方知事会を通じて、国民の理解を得る取り組みや事業者などに対する万全な風評対策とともに、新たな技術動向の調査や研究開発を継続するよう国に要望してきたところであります。
今後においても安全に関する客観的で信頼性の高い情報の発信や、安全性をさらに高める処理技術の研究開発など、県民の安心が得られるような具体の取り組みを引き続き求めてまいります。
3.米価の大暴落と岩手の農業について
【質問】高田一郎議員
第3に、米価の大暴落と岩手の農業について質問します。
岸田総理は9月の総裁選挙で「市場隔離を含めた充分な支援を行う」と訴え総裁となりました。しかし10月の所信表明では一転して「市場隔離は制度の趣旨に合わない」と表明し、15万トンの特別枠で対応しようとしています。しかし15万トンの特別枠は保管料を補助するもので1年後には古古米として売却するものであり、米価の暴落を抑える対策とはなりません。在庫米を買い上げ生活困窮者への支援を行うなど「市場隔離」こそ必要です。
国に対し「市場隔離」をしっかり求めていくべきと考えますが県の考えを伺います。
【答弁】佐藤農林水産部長
米の需給対策についてでありますが、米の生産流通は各都道府県単位で完結せず国全体での対応が極めて重要であることから、県ではこれまで「国主導による実行的な過剰米への対策」などを、り返し要望してきたところであります。
今般全国知事会農林商工常任委員会では、国に対する提言に「米の需給と価格の安定化に向けた真に実効性のある在庫対策や消費喚起などの需要拡大対策の推進」を盛り込み、国に対し要望していくこととしており、県としては引き続き全国知事会、北海道・東北地方知事会とも連携しながら国に対し対応を強く求めてまいります。
【質問】高田一郎議員
令和3年産米は県内で2,000haの作付転換となりましたが、令和4年は新たに4万haの転作が必要と農水省は述べています。本県ではどの程度になるのでしょうか。
あらたな作物への転換を進めるには初期投資への支援や飼料米にしても主食用米と遜色ない収入となるような支援でなければなりません。
令和3年産米は県の「水田転換緊急対応助成」と国の都道府県連携型助成を合わせて10アール1万円の助成が行われ、主食用米と遜色ない対応がされました。飼料米の補助金が確保されるのでしょうか。国・県の支援策はどうなるのでしょうか。
【答弁】農林水産部長
作付転換面積についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により全国的に米の儒球が緩和する中、先月国は令和4年産の主食米等の適正生産量を全国675万トンとし、令和3年度産に比べ21万トン、約3%の削減としたところであります。
この削減量は令和3年度の36万トン、約5%より少ないことから、令和4年産の本県の作付転換面積は今年度の実績2,000 haを下回ると見込んでいるところです。
次に作付転換への支援についてでありますが、県では全国的な米の需給緩和により主食用米からの大幅な作付転換が必要となった令和3年産の米について、特に主食用米と同様の栽培管理ができ今後も需要が見込まれる飼料用米の作付拡大が図られるよう、本県独自の事業を創設し国の都道府県連携型助成と合わせて、主食用米との収入の差を補えるよう支援を行なっているところです。
国の令和4年度予算概算要求には、主食用米からの作付転換等を支援する「水田活用の直接支払交付金」約3,300億円が盛り込まれ、今年度と同様の「都道府県連携型助成」も位置づけられているところです。
こうした国の状況を踏まえ現在軒の支援策を検討している。
【質問】高田一郎議員
世界的な原油価格や穀物相場の上昇で生産資材、春肥料、飼料などが高騰し農業経営にも深刻な影響が出ています。燃料が高騰し「この冬だけでも100万円規模で負担が増える」と試算する農家も出ています。農家は燃料や肥料などが高騰しても農産物価格に転嫁することはなかなかできません。農家はこの一年間、大雪や雹被害、コロナと大きな痛手を受けています。県はこうした実態を把握し必要な支援策を講じるべきと考えますが県の対応についてお伺いします。
【答弁】佐藤農林水産部長
農家の支援策についてでありますが、本年10月の東北地方の重油価格は前年同期比で約4割上昇したほか、本年第3四半期の配合飼料価格は前年同期比で約2割上昇しています。
県では野菜や花卉の生産に暖房を使用する生産者に対し、燃油使用料の節減に向け保温効果の高い二重カーテンの活用や、暖房機の保守点検による効率的な運転などの省エネ生産技術を周知するとともに、燃油価格が一定の基準を超えた際に補填金が交付される施設園芸セーフティネット構築事業への加入を促進しています。
また国の配合飼料価格安定制度について配合飼料価格が高どまった場合でも、畜産経営体の再生産が可能となる十分な補填金が交付されるよう国に対し要望しているところです。
今後ともこうした燃油を節減できる省エネ技術の徹底や、国のセーフティネットの活用を進めるなど生産者の経営安定に努めて参ります。
【質問】高田一郎議員
次に、学生、生活困窮者への食糧支援についてです。
子ども食堂や子ども宅配を行っている団体には政府備蓄米が無償交付されていますが、どれだけの団体が交付を受けているのでしょうか、今回国の経済対策で食糧支援が拡充されるといわれていますが、その内容について示してください。政府備蓄米の無償提供はあくまで食育の観点での提供であり、生活困窮者へ広く提供するものではありません。県として学生やひとり親家庭等生活に困窮する世帯へ食糧支援が必要と考えますがいかがでしょうか。
【答弁】佐藤農林水産部長
政府備蓄米の無償交付等についてでありますが、国ではご飯食の拡大を支援するため政府備蓄米を、子どもに食事を提供する子ども食堂は団体ごとに1申請あたり90kgを、子育て世帯に食材を提供する子ども在宅は団体ごとに1申請あたり300 kgを上限に無償交付しており、県内の本年度の交付実績は11月末時点で盛岡市の1団体300 kgとなっています。
また来年1月から子ども食堂への上限数量が90 kgから120 kgに引き上げられるほか、先般閣議決定された国の令和3年度補正予算案で示された「コロナ影響緩和特別対策」に、JAなど集荷団体が子ども食堂等の生活弱者に米を提供する場合に、その経費を全額支援する事業が盛り込まれているところです。
県ではこうした支援策の関係団体等に提供してまいります。
【質問】高田一郎議員
給食施設における県産農林水産物の利用実態調査(H30年)では、県産米の活用が社会福祉施設は87%、公立病院は30.2%、県立病院は99%となっています。また地産地消給食事業者に認定されていない民間企業の社員食堂は調査対象とはなっていませんが、県産米が十分利用されていない実態にあります。
民間企業、公立病院、社会福祉施設に働き掛け、消費の拡大に取り組むべきですがいかがでしょうか。
【答弁】佐藤農林水産部長
県産米の消費拡大についてでありますが、民間企業の社員食堂等で県産米を使用することは、県産米の需要拡大のためにも重要であると考えています。
県はこれまで県産食材を積極的に利用する「いわて地産地消給食実施事業所」を79カ所認定するなど、市町村、関係団体等と連携しながら地産地消の取り組みを進めてきたほか、給食提供事業者と連携し県外の社員食堂等において県産食材を利用した岩手フェアを開催してきたところであり、県内外の民間企業等において県産米をはじめとする県産食材の利用が拡大している。
県としては更なる県産米の利用拡大に向け、民間企業や病院、福祉施設に対し働きかけを強化するなど、市町村、関係団体等と一体になって取り組んでいく。
4.気候危機の打開について
【質問】高田一郎議員
第4に、気候危機の打開について質問します。
国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で岸田首相は、焦点の石炭火力に一言も触れず「火力発電がアジアでも必要」と訴え、また、「アンモニアや水素を石炭に混ぜて燃やす技術を開発する」と強調し石炭火力発電を温存・維持する演説を行ない、この演説で日本は国際NGOから「化石賞」を受賞しました。一方、COP26「グラスゴー気候合意』では、「気温上昇を1.5℃に制限する努力を追求する」ことや「石炭火力の段階的な削減」も確認し、「各国の2030年削減目標を来年末までに必要に応じて検証する」よう要請しました。
知事はCOP26の成果、および政府の対応をどう受け止めているのでしょうか。
【答弁】達増知事
COP 26の成果及び政府の対応についてでありますが、COP 26では交渉の過程で先進国と中進国との攻防が見られたものの、最終的には二酸化炭素排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減や、化石燃料への非効率な補助金の段階的禁止への努力を加速させること等を各国へ求め、また地球温暖化に伴う被害を低減するために「産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑える」という目標実現に向けた努力を追及することが合意されたものと承知しております。
目標の達成に向けて先進国も中進国も含めてあらゆる国々が努力して地球温暖化対策を進める責任があり、我が国においても地方から率先して対策に取り組んでいく必要があると感じております。
県として「いわて気候非常事態宣言」に基づき気候変動に対する危機感を県民と共有し、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けて県民総参加による地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。
【質問】高田一郎議員
次に「第2次岩手県地球温暖化対策実行計画」の見直しと、目標達成に向けた対策について質問します。
政府の「地球温暖化対策計画」でのCO2削減目標は2010年比で42%減ですが、これは国連IPCCが示す45%減よりも低い目標ですが、岩手県の実行計画は2013年比41%減となっています。県の削減目標は見直す必要がありますがいかがでしょうか。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
第2次岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しについてでありますが、本県の実行計画におけるCO2を含めた温室効果ガスの削減目標については、県独自の取り組みのほか国の施策による削減可能量も踏まえたうえで、基準年の2013年度比で2030年度までに589万トン・41%の削減を目標としたところです。
国が4月に削減目標を引き上げ10月には地球温暖化対策計画を改定しており、今後都道府県の計画を改定するためのマニュアルが示されることから、本県の実行計画についても目標見直しを含めて検討してまいります。
【質問】高田一郎議員
岩手県におけるCO2排出量のトップは産業分野で41%、製造及び民生業務部門では2018年比で排出量は増加しています。県は大きく排出する企業に「地球温暖化対策計画書」の提出を義務づけていますが達成率は53%です。目標を達成するためには企業の取り組みは重要です。目標を達成できない要因と目標を達成するための県の支援策を示してください。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
地球温暖化対策計画書の目標達成についてでありますが、その原因の一つに省エネルギーに向けて努力しているにもかかわらず、目標の設定の仕方が事業の実態に合っておらず想定以上に受注量が増えた等、結果として目標未達成となっているケースが見られます。
県としては省エネルギー設備導入に係る補助等によって、目標達成に向けた取り組みを支援することに加え、計画策定時に事業実態に適合した方法で目標設定するように助言や指導を行なうことにより、企業の目標達成率の向上を図ってまいります。
【質問】高田一郎議員
県の「実行計画」では2030年度までに再生可能エネルギーによる電力自給率65%を目指すと積極的な目標を掲げていますが、太陽光、風力、地熱、水力等それぞれの分野でどう取り組み目標を達成しようとしているのか示してください。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
再生可能エネルギーの自給率向上に向けた取り組みについてでありますが、全国的にも優位な地熱をはじめ太陽光、水力、バイオマスなど本県の再生可能エネルギーの高いポテンシャルを踏まえて、地域ごとに活用しやすい再生可能エネルギーの創出・導入・利用拡大を図ることにより、電力自給率65%の実現に向けて取り組むこととしております。
例えば風力では県北地域を中心として多くの導入計画があり、さらに導入を進めるため国及び市町村との連携による環境との調和に配慮した事業化への支援に取り組んでまいります。
また太陽光では住宅用の太陽光パネル・蓄電池設備の共同購入や企業への低利融資による貸付金事業等により、建物の屋根の上などへの設置を進めてまいります。
【質問】高田一郎議員
再生可能エネルギーの拡大には環境を壊さず地域に貢献できることが大事です。森林法でのメガ発電開発など、大規模な施設建設への規制には限界があります。環境保全と建設可能地区を明確にしたゾーニングを作ることが必要と考えますがいかがでしょうか。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
再生可能エネルギー拡大に係るゾーニングについてでありますが、国は大規模な再生可能エネルギー事業を環境影響評価法に基づく環境アセスメントの対象にしており、本県でも一定規模の太陽光発電事業等については、令和2年4月から国よりもさらに厳しい規模要件で岩手県環境影響評価条例に基づくアセスメントの対象としております。
また国や県のアセスメントの対象とならない事業についても、環境保全に関する遵守事項等が盛り込まれた国の事業計画策定ガイドラインや環境配慮ガイドラインを開発事業者に周知し、環境への配慮を求めているところです。
まずはこれらの取り組みをしっかりと行ないながら、環境との調和に配慮した再生可能エネルギーの導入を図ることとし、議員お尋ねのゾーニングについては国や他の自治体の動きを見ながら総合的に検討してまいります。
【質問】高田一郎議員
次に、省エネルギー対策の推進です。
民生家庭部門におけるCO2排出量は20.8%と産業分野に次ぐ排出量です。「実行計画」では2030年比4割削減目標を掲げていますが、暮らし(住宅など)・産業・地域(公共交通、自動車など)におけるエネルギー消費量の削減の具体的な対策を示してください。
【答弁】企画理事兼環境生活部長
エネルギー消費量削減の具体的な対策についてでありますが、国ではこれまで進めてきた工場等への省エネルギー性能の高い設備・機器の導入支援等に加え、今後住宅や建築物の省エネ基準への適合義務付け拡大等の取り組みを進めることとしており、また本県では独自の取り組みとして、暮らしの分野における住宅用の太陽光・蓄電池設備の共同購入への支援を実施、産業分野における中小企業者等を対象とした国の支援対象にならない規模の高効率省エネルギー設備導入に係る費用の補助、市町村には公共交通機関の利用に向けた普及啓発、地域公共交通体系の再編や利用促進に取り組む市町村への補助―等に取り組んでいる。
今後も国が進める取り組みを有効に活用しながら、県独自のエネルギー消費量削減に向けた取り組みを進めてまいります。
【質問】高田一郎議員
高断熱・高気密な住宅は省エネ効果とともにヒートショックやアレルギー、喘息などの予防・改善効果があるとの調査結果もあります。長期優良住宅、「いわて型住宅」、住宅用太陽光発電導入など住宅、建築物の省エネルギー化の一層の普及促進が必要です。目標と取り組みはどうなっているでしょうか。
【答弁】県土整備部長
省エネ住宅の普及についてでありますが、岩手型住宅賛同事業者92者を対象としたアンケート調査では、令和元年度は着工戸数229件の中岩手型住宅は52件でその割合は23%、令和2年度は323件の中74件、23%となっており、着工件数は増加しておりますがその割合は伸びていない状況となっております。
県といたしましたは現在改定を進めている岩手県住宅マスタープランにおいて、岩手型住宅の建設戸数の割合を引き上げること等を目標に掲げる方向で検討しており、岩手型住宅のメリットをSNSなどを活用し、多くの世代に周知することや設計者や工務店の技術者の育成等の取り組みを進めることにより、岩手型住宅をはじめとする省エネ住宅の一層の普及を推進してまいります。
5.介護保険制度について
【質問】高田一郎議員
第5に、介護保険制度について質問します。
特別養護老人ホームなどの食費・居住費の負担について、この8月から「補足給付」の見直しにより軽減措置が縮小されたことから、大幅に増となりました。「いわての介護を良くする会」の調査では、回答施設入居者数3,593人のうち月額2万円以上の負担増は775人、21.6%、最も負担が増加した額の平均は4万円(年間48万円)で、月額約9万円の負担増の入居者もありました。
「補足給付」は2005年の介護保険制度改悪で食費と居住費を全額自己負担にしたときに厚労省が「低所得者に配慮する」として導入しました。入所者は「いつまで入居できるか不安」施設職員からは「家族の生活も安定せず施設でも不安」という声もでています。県はこうした補足給付の見直しによる県内の実態や影響をどう把握されているのでしょうか。
住民税非課税世帯にも新たな負担を求める『補足給付』の縮小は中止を求めるべきですがいかがでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
補足給付の見直しについてでありますが、今般の見直しは介護保険制度の持続可能性の確保と罪悪で介護を受ける方との公平性等の観点から、一定額以上の収入や預貯金等をお持ちの方を対象に食費の負担額の見直しが行なわれたものと承知しております。
見直しによる影響について市町村からは、利用者からの負担増に対する問い合わせや苦情が寄せられていると聞いており、特に預貯金の基準の見直しにより対象外となった方は増額幅も大きいことから、介護保険施設を対処せざるを得ないということのないよう、市町村と連携し見直しの影響や実態の把握に努めてまいります。
また国に対してはこれまでも制度運用上の課題等を把握したうえで、必要な見直しを行なうとともに低所得者対策を一層拡充するよう要望してきたところであり、今後も国の動向を注視しつつ必要な働きかけを行なってまいります。
【質問】高田一郎議員
次に特養ホームの待機者や在宅で介護を続ける介護者への支援についてです。
非正規雇用と不安定な雇用条件の中で家族介護に必死に取り組む介護者が増加しています。90代の介護度4の両親を介護する50代の男性からは、「仕事をつづけながらの介護も、離職もできない、入所が決まっても利用料を払えない」と相談を受けました。コロナ過の中で在宅介護を担っている方の負担は一層増加しています。こうした方にも安心して入れる施設を整備し利用料の負担の心配なく介護できる環境整備が必要です。国民年金で入れる特養ホームがあるのでしょうか、利用料の負担が軽減できる支援制度はどうなっているのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
介護施設入所に係る支援についてでありますが、施設の整備にあたり国においては要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る観点から、ユニット型個室の整備を推進しているところでありますがユニット型個室の利用料は高額となることから、県では一般的に利用料が低く抑えられる多床室の整備も地域の実情に応じて認めているところであり、利用者負担額の4分の1を減免する制度もあり県内132法人において行なわれております。
【質問】高田一郎議員
「特別障害者手当」は、介護度4,5での対象になる場合があります。在宅介護を支援するためにも制度の周知とともに介護手当の増額・拡充が必要と考えます。市町村の支給状況はどうなっているのでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
在宅介護者等への支援についてでありますが、特別障がい者手当は在宅の重度障がい者の負担軽減を目的とするものであり、県ではホームページでの周知のほか、市町村に対し効果的な広報の実施を依頼しております。
またいわゆる介護手当については国の地域支援事業を活用し、家族介護者への慰労金として支給されており、令和2年度は5市町村で74件、約116万円の支給を行なったところであります。
地域支援事業を活用した家族介護者への慰労金の増額・拡充については、制度上財源として介護保険料も充てられており、保険料への影響も考えられるが支給単価の上限等の定めはなく、市町村の裁量で支給額を決定することが可能となっております。
特別障がい者手当もいわゆる介護手当も、介護を要する方やそのご家族の経済的な負担を軽減するための支援策であり、市町村とも連携しながら多くの方に利用いただけるよう周知を図ってまいります。
【質問】高田一郎議員
介護施設の老朽化に伴う改築や待機者解消のための整備が必要です。老朽化で改築を検討する社会福祉法人からは「建設コストが上昇し施設更新には13億円程度だが補助金は2億円にもならない、法人の努力だけでは厳しい」という声もあります。施設整備に対する補助の拡充を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
【答弁】野原保健福祉部長
介護施設整備に対する補助の拡充についてでありますが、県はこれまで定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホーム等の整備に対する補助について、国が示した基準単価の上限額を採用し人事引き上げてきたほか、定員30人以上の特別養護老人ホームの整備に対する補助について、直近では平成30年度に単価の引き上げを行ない全国平均を上回る単価により補助を行なっているところであります。
県としてはこれまでも随時補助単価の見直しを行なってきたところでありますが、今後も社会情勢の変化等を注視し必要に応じて見直しの検討を行なってまいります。
6.憲法改悪とオスプレイ参加の日米合同訓練の問題について
【質問】高田一郎議員
最後に憲法改悪とオスプレイ参加の日米合同訓練の問題についてです
憲法改正を巡っては総選挙後3つの動きがありました。@自民党が改憲に向けて党内に「憲法改正実現本部」を立ち上げたこと、A敵基地攻撃能力の保有をはじめ自衛隊を「海外派兵型」の軍隊に作り替える動きが進んでいること、B日本維新の会や国民民主党が「憲法改正論議加速」合意などです。こうした動きは9条改定の国会発議をやることにおかれています。中国を念頭に「日本を取り巻く安全保障の環境の厳しさ」が改憲論議の理由としていますが、中国の覇権主義的な行動は国際法にもとづいた冷静な外交的批判で包囲していくことが大事です。軍事対軍事では悪循環を作り出し東アジアの平和と安定にとっても逆流と危険を作り出します。総選挙後のこうした9条改憲のあたらしい動きに対する知事の見解をお伺いします。
【答弁】達増知事
憲法第9条の改正に向けた動きに対する見解についてでありますが、日本国憲法第9条は先の大戦とそこに至る日本のあり方について、深い反省のもと過ちは二度と繰り返さないという国民的な決意として定められたものであり、その趣旨は国際連合憲章の理念に合致する極めて重要な条文であると考えております。
今回の衆議院総選挙において憲法改正が国民的な争点になったとは考えにくく、各政党や国会議員の皆さんにおいては、改めて民意を尊重して新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、重要な課題に優先的に取り組んでいただきたい。
民意を尊重せずに先ほど述べた趣旨の憲法第9条を改憲するべきではなく、政府においては友好と正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求めることを期待したいと思います。
【質問】高田一郎議員
オスプレイが参加する日米の共同訓練は明日14日〜17日まで行われ、岩手山演習場での訓練は初めてです。米軍機オスプレイは、飛行ルートや日時も明らかにせず各地で事故を起こす「欠陥機」と言われ、今年も各地で飛行中の部品落下、夜間無灯火での低空飛行訓練などを繰り返してきました。
知事は、11月11日の防衛省の記者発表後速やかに、訓練内容や安全性などについて丁寧な説明を求めるコメントを発表し11月15日東北防衛局へ要請を行いました。機敏な対応でありました。防衛局の丁寧な説明や安全性などの回答があったのでしょうか。米国と軍事同盟を結んでいるドイツやイタリアでは訓練や演習は許可・承認が必要で、国内法が適用されています。しかし日本では国内法が適用されず訓練内容もルートも明らかにせず訓練が行われています。
訓練の中止と「日米地位協定」を見直すよう強く政府に求めるべきです。知事の見解を求めます。
【答弁】達増知事
日米共同訓練についてでありますが、日米共同訓練の実施については国民の理解が不可欠であり、訓練の安全性については国が丁寧に説明していく必要があると考えております。
岩手山演習場における日米共同訓練の実施については、同演習場が日米地位協定の規定に基づき、米軍が一定の期間に限って使用できる施設・区域に位置づけられておりこれまで13回実施されています。
しかしながらオスプレイの飛行が伴う訓練は初めてでありこれまでの経緯を踏まえれば、安全性等に対する地域住民の不安を払しょくすることが重要であり、国に対してそうした対応を求めてきたところでありますが、いまだ県民に対する十分な説明等はなされていないと認識しています。
県としては訓練の実施によって県民の生命・健康・財産等に影響を及ぼすことがないよう、引き続き関係市等とも連携し県民の安全を最優先に対応してまいります。
また日米地位協定の見直しについては全国知事会において毎年度行なう国への要望の中で、航空法令や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることなど抜本的な見直しを要望しているほか、令和2年11月には米軍基地負担に関する提言の中でも同様に決議し国に要請したところであります。
<再質問>
・ワクチン接種について
【再質問】高田一郎議員
ワクチンの接種に係って質問いたします。一日から始まったワクチン接種について来年3月迄必要なワクチンが確保される見込みとなっておりますが、ファイザー社とモデルナ者がそれぞれ半分という説明をいただいております。受ける側にしてみれば選択できなくなるのではないかという課題とともに、複数のワクチンを使うことで医療機関の負担が増えたりなど、結果的に接種が遅れてしまうのではないかという心配もあります。
配分調整については県が行なうということになっていますけれども、どのような配分調整になるのでしょうか。
ワクチン接種についてはスムーズに接種できるように、これまで職域接種はこの間県内では21団体に取り組みました。県が集団接種にこの間積極的に取り組んで、1,000人以下、90人以上についても調べましたら50団体、8,276人の方々が接種をしてワクチン接種促進に大きな役割を果たしてきました。これらの職域接種や集団接種についても3回目もスムーズに進めていくためにも、引き続き積極的に取り組むべきではないかと思いますけれども集団接種の考え方について答弁いただきたい。
コロナの後遺症についても野原部長から一言触れられました。コロナの後遺症については特に若い人たちの間で増加して、中には職場の理解を得られずに職場を辞めてしまったという事例も出ていると伺っています。世田谷区では大規模にアンケート調査を行なって無症状者の中に3割も後遺症がいたとか、埼玉県では後遺症外来を設置するなど全国的には相談所も各地につくられています。こうしたコロナの後遺症に対する現状把握と支援に乗り出す自治体も広がっていますが、岩手はどのような対応、取り組みをしているのか、しようとしているのかこのことについても答弁いただきたい。
【答弁】保健福祉部長
3回目接種で来年3月までにワクチン接種の見込みでございますが、国からは2月、3月についてはファイザーが約6割、モデルナが4割で約半々で具体的に示されました。まだどの時期にどれくらい来るかはまだ示されていませんが、市町村に対しても2月、3月には大まかにはそういった枠組みで配給されるということが国から説明があったところです。これに対しまして1回目、特に高齢者に関してはファイザーを受けた方が多く同じワクチンを打ちたいという方も多いと想定されますので、市町村からもやはり懸念の声が上がっておりまして、私ども全国知事会等を通じまして、やっぱり希望しているワクチンをきちんと受けられるように国の方の責任において確保に努めてほしいと要望しているところでございます。また医療機関の負担になるということもございますので、そういったことのないように、実際にモデルナの方、これも接種した実績は集団接種でございますので医師会とも連携しながら混乱の無いように進めて参りたいと思います。
また3回目の集団接種につきましては、職域接種は1,2回目は県が実施して集団接種、職域の対象としてやってまいりましたが、まだモデルナ製の3回目は薬事承認されていないということもございまして、こうした動向や混合接種の詳細、国の方では認めておりますけれども、そういったところもきちんと十分見極めたうえで、今後3回目、県のやる接種についてもあり方を検討を進めて参ります。
またコロナ後遺症でございますが、やはりコロナに関しまして後遺症で悩んでおられる方が非常に多くおられまして、だんだん治験も出て参りまして、今般後遺症に関するガイドラインも国の方から示されて参りました。こういったものも活用しながら医療従事者の方々にも支援の仕組み、医学的な治療、こういったものを周知して支援にあたっていきたいと思っております。また県としましても後遺症に関しましてどんなニーズがあるのかに着目して、今後実態把握に調査をしたいと考えておりまして、今その内容について検討を進めているところでございます。
・東日本大震災津波からの復興の課題について
【再質問】高田一郎議員
被災者支援については被災者の医療費免除措置の問題については、部長から様々な支援制度を周知していきたいと答弁ありました。知事からは、経済的な理由で医療が受けられないことがないようにしなければならないと答弁がありましたが、様々な支援制度を周知したとしましても中々具体的なものが見えてこない。そこで例えば災害公営住宅の集会所などを使って医師や保健師の力を借りて、無料健康相談会や健康予防教室など、こういったものを定期的に開いて生活相談支援員とも連携しながら、被災者の置かれている相談、実態を把握していくという取り組みが必要ではないか。もう一つは医療を受けられるという問題では部長もご存じと思いますが、「無料・低額診療事業」というのがあります。これは生活困難者が経済的な理由によって必要な医療を受けられるような機会を制限されることがないように、社会福祉法の規定に基づいて医療費は無料、または低額な料金で診療できる事業でまだ少ないと思いますが県内では6つの医療機関があります。ここはDV被害者やホームレスといった今本当に大変な人も受けられますが、同時にこの事業は低所得者も受けられる制度です。医療機関は少ないけれどこういう制度を周知するとともに施設をもっと数をひろげていくことも大切ですが、部長がさまざまな周知をしていくだけではなく、もっと具体的に踏み込んで経済的な問題で医療が受けられないようなことがないような支援策を打ち出してほしいと思いますが、この点についてはどう考えているのでしょうか。
もう一つは被災者支援については災害公営住宅への集会所の人の配置の問題です。南三陸町のことについて紹介をいたしました。人がいるのといないのでは大きな違いがあります。岩手県の場合県営災害公営住宅30カ所のうち、月に集会所が利用されているのは一桁台が25カ所にもなっています。ほとんどの集会所が月1回や2回とか、鍵がかかっているとかこういう状況になっています。この現状は何が原因なのかを改めてお聞きしたいと思います。同時に予算の問題ですが、復興庁は20年度の予算の執行状況について新聞でも報道されています。被災者支援事業については20年度は執行率が64%になっている、私はこういった国の予算をもっともっと活用できるのではないかと思います。第2期の復興創生機関でこの事業は終わってしまうから、段階的に予算も減らしてしまうということになったら問題だと思いますが、国に予算をしっかり要求して必要な予算を確保して人の配置をしていく、そういう努力が必要ではないかと思いますがその点について改めてお聞きしたいと思います。
【答弁】保健福祉部長
被災地の相談について、議員から集会所等で健康相談というお話もございました。市町村の方に今般11月に被災者の方々、今回対象から外れる方々についての実態把握について改めて依頼したところですが、市町村は医療も保健所としてやっていますが、特定健診、保健指導など住民の方々への保健指導などきめ細かくやっておりますので、そういった市町村の地域に応じた活用、そういったものについても市町村とともに検討を進めていきたいと思いますし、市町村にも申し上げていきたいと思います。
また議員からご紹介あった通り無料低額診療事業、社会福祉法に基づいて無料または低額な料金で低所得者のために行う事業で県内6医療機関ございます。これも確かに具体的な事業でございますので、今後市町村とも連携しながら被災者の生活困窮度に応じて、このような無料低額診療事業を行なっている医療施設を紹介するなど、被災者が適切な医療を受けられるように促してまいりたいと考えております。
続きまして地域見守り拠点支援事業について、公営住宅の集会所などを活用してやっていますが、議員ご指摘の通り週に何日か開催というところもございますので、こういったところ集会所も活用しまして見守りなどできるような形で出来ないかというのは、市町村や市町村社会福祉協議会等とも意見交換しながら検討を進めて参りたいと考えています。
【答弁】戸舘復興防災部長
被災者支援事業につきましてご質問頂戴いたしましたが、今いわて被災者支援センターを設置していますが、この事業の実施にあたりましては本年2月に予算額、業務内容そして組織体制などをお示しして、コンペ方式という形で企画提案を募集して応募団体から提出された企画提案書をプレゼンテーションによる審査をしまして、県の示したこの予算の範囲内でその組織体制、配置職員数等を上回る提案を行なった団体を受託候補者として決定し、1年目の運営をしていただいている状況でございます。被災者支援センターの運営実態、そして被災者の実情等を踏まえて今後については検討して参りたいと思いますけれども、国の充てられる予算が十分にあるから拡大をするということではなくて、やはり現場の実態に合った予算を措置をして参りたいと考えております。
<再々質問>
・ワクチン接種について
【再々質問】高田一郎議員
ワクチン接種や後遺症問題については野原部長から前向きな答弁があったと思います。ただ集団接種についてはモデルナで対応したと思います。今後両方来るということになりますと、先ほど指摘したように、部長も心配するように様々な問題が起きてくるのではないかと思います。そういう意味では今回も集団接種や職域接種についてはモデルナで対応するというメッセージを、早く作っていく必要があるのではないかと思います。もうワクチン接種も始まっています。先ほど野原部長から集団接種のあり方について検討すると述べていますけれども、どのあたりで検討するかわかりませんが早くそういう方向性を示すべきではないかと思いますがその点についてもお伺いしたいと思います。
【答弁】野原保健福祉部長
ワクチン接種でございますが、職域については国からは1、2回目と同様にモデルナ社製ワクチンを使用することを想定する方針が示されておりますので、そういった想定で準備を進めているものと考えております。また県の接種につきましてはまだ都道府県の集団接種の方針が、国から具体な部分が示されていないところでございますが、そういった方針を見極めながら早期に方針を示してまいりたいと考えております。
・災害公営住宅への支援員の配置について
【再々質問】高田一郎議員
災害公営住宅への生活相談支援の配置についてですが、私は南三陸町の素晴らしい経験を学んで南三陸町でやっていることがなぜ岩手でも出来ないのか、という思いをもっています。人が配置されることで入居者の安心感、そして1人70世帯を担当しているので入居者の顔がみんなわかる、どんな悩みや病気をもっているのかわかる、そして入居者もここに入所して楽しいというお話も伺いました。今後5年間の姿勢が大事になってきてると思います。そういう意味ではしっかりと人を配置することが大事だと思います。9,000人以上の入居者のうち35%が一人暮らしです。きちんと対応しないと単なる高齢者住宅になってしまうのではないか、孤独死で亡くなる方ももっと増えるのではないかという懸念もあります。ぜひそういう対応を取っていただきたいと思いますが、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。
【答弁】野原保健福祉部長
また被災地における地域見守り支援拠点でございます。現在各地ではそれぞれ災害公営住宅に限らず様々な被災者の方々がおりますので、地域の実情に応じて各市町村が工夫しながら進めているものと考えております。来年度も見守り拠点の設置を検討している市町村もあると伺っておりますし、現在来年度の生活相談支援員の配置ついては市町村や市町村社会福祉協議会と調整を進めているところでありまして、その中で検討を進めて参りたいと考えてございます。
<再々々質問>
・気候危機の問題について
【再々々質問】高田一郎議員
気候危機の問題についてお伺いしたいと思います。岩手県における温室効果ガスの実質排出量は基準年からしても増加していますし、ここ5、6年排出量はほとんど並行して実質あまり減っていない、先のCOPの会議でも世界の削減目標を実行しても2.7℃になってしまう、そういう危機感からああいう形で声明が出されたと思います。だから岩手県が目指す目標というのは単なる目標ではなく、目標というのは必ず実行しなければならない、必ず達成しなければならないそういう決意で知事先頭に取り組むべきだと思います。この点については知事にお伺いしたいと思います。
岩手県の「ゼロ宣言」今年やりましたけれども、調べてみますと県内ではまだ14市町村しか宣言をしていません。県民運動を全体に広げていく点では県はしっかりイニシアチブを発揮して「ゼロ宣言」をすべての自治体で実施する、広げるそういう取り組みをお願いしたいと思いますし、今若い人たちが非常にこの問題に関心を持っています。「私たちの未来を奪わないで」と世界各地で若い人たちが運動しています。地球温暖化対策の様々な政策決定の中にこれから若い人たちをどんどん入れていく、こういう取り組みが必要だと思いますけれどもこの点についても改めてお伺いしたいと思います。
【答弁】達増知事
岩手県内の温暖化対策、二酸化炭素排出量削減の三業会につきましては、岩手県は復興による様々な産業、生業の再生があり、また日本の中でもこの岩手に拠点性があるということで、新たな工場の新設、増築なども進んだこともございます。一方新しくできるところ増設されるところは、かなり進んだクリーン工場になっているというところはございまして、その努力が数字の上にも出てくるように努めて参りたいと思います。そして市町村の対応についてはやはり市町村住民の皆さん、市町村団体自治と同時に住民自治としても盛り上がる、そのうえで団体自治としても自主的に決めることを期待するところでありますが、そのような機運情勢もやはり県も率先してやっていかなければならないと思っておりますので、早期に進めていきたいと思います。
【答弁】石田企画理事兼環境生活部長
「ゼロ宣言」についてでございますけれども、市町村では今14市町村ということでございます。やはり市町村におきましては地球温暖化の実行計画市町村独自のものを作っていただいて、どのようにゼロにしていくかは地域の実情に応じた形でやっていくのが、住民の皆様にも理解されるのではないかと思っております。したがいまして県といたしましては、まずは市町村への支援としてこの実行計画を策定するよう、その策定については県の方でも必要な助言等々行ないながら、また国の地球温暖化計画、さらに目標を引き上げられましたので、県に改定のマニュアルが今月にも示されます。それらも示しながら市町村の方の策定支援にも取り組んで参りたいと思っていますし、またその中で若者への支援ということも取り組んで参りたいと考えております。