2021年12月6日 文教委員会
「いわての高校魅力化グランドデザイン」に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
このグランドデザイン、スクールミッションについて、これを見て、高校再編計画の前に本当はこれが示されるべきだったと。私は、高校再編計画の実態は、この高校の魅力化に逆行するものになったと。これは少し後でやりますけれども、文科省の方針に基づいて忠実に岩手県の指針を作ったというのが実態ではないのかと思います。
それで、「グランドデザイン」とか「スクールミッション」とか「スクールポリシー」、なんで美しい日本語で書かないんでしょうか。スクールミッションというのは、ここに書いている通り「学校の存在意義、社会的役割の明確化」、ミッションというのは「使命」とかそういうことですからね。これは比較的分かるけれども、次のスクールポリシーはさっぱり分からない。訳としても正確なんでしょうか。スクールポリシーというのは。スクールポリシーってなんですか。日本語で言うと何になりますか。
【学校教育企画監】
スクールポリシーという言葉でございますけれども、日本語に直しても「指針」になりますので、学校の指針ということで、まさにどんな生徒に入ってもらいたいのかという指針でありますとか、どういった教育課程をやっていくのかという指針でありますとか、どういった人材を育てたいのかという指針という形になります。ただ、スクールポリシーですとかスクールミッションという言葉が必ずしもイメージとして分かりづらいということもございますので、我々県教育委員会としては、一言でもしこれを伝えるならば「魅力化」なのかなと思っています。学校もその魅力をどう形にするのか、見える化していくのか、そこがまさに1つの大きな柱だということで、魅力化という言葉を使っているところでございます。
【斉藤委員】
ポリシー=指針というのはちょっとどうなんですか、英語の堪能な方。違うんじゃないかと思いますよ。我々がポリシーといった場合には「魂」とかそういうイメージの方が強いですよ。「指針」なんていう、そんな現実的なものではないんじゃないでしょうか。「指針」というんだったら「指針」という風にやればいいんですよ。カタカナ使ったり横文字使ったりしたときは本質が見えなくなる。だいたいこれは国のやり方なんですよ。私はやはり分かりやすい日本語で、本質を一言で、みんなが分かるようにすべきだということをまず1つ言っておきたいと思います。
そこで、これは中央教育審議会の中の(2)のBのところで、「『普通教育を主とする学科』の弾力化・大綱化(普通科改革)」とあります。これは具体的にどういうことでしょうか。
【学校教育企画監】
すいません一点修正させてください。「指針」ではなく「方針」でございました。
普通科の弾力化・大綱化についてでございますが、これまで普通科につきましては、普通科はいわゆる「普通科」でしか表示できなかったところを、文科省の方で大綱化しましたので、いわゆるスクールポリシーを踏まえて各学校で名前を自由に設定できるようになったというところでございます。なので、普通科の中でも地域と連携をしまして、地域と地域の課題の探求するようなところに関しましては、例えば「地域探求科」ですとか、例えば何かを新しく地域でつくっていくとなれば「地域創造科」のように学科名を変更して、そのカリキュラムみたいなものを特色化していくというところを打ち出して、この普通科の弾力化・大綱化という言葉を使ってございます。
【斉藤委員】
いまヤフーでちょっと検索したんですけど、ポリシーというのは「政治的な策略、政策、政略、または事を行う原則」、最後に「方針」とあるんです。だから、方針をポリシーというのは訳としても正確じゃないと思いますよ。ほんの一部の中身でそれは。我々が「ポリシー」から感じる意味合いとはかなりズレているということを、私は率直に指摘しておきたい。文科省の言う通り書いたんだろうけど。
そこで、例えば文章の方では最後のところに、「(普通科)学科名変更の検討」「普通科の弾力化」と、かなり大胆なことが出ています。これはもっと慎重に今の高校教育の実態を分析して、どういう改革が本当に正しい改革なのかという、そういう現在の高校教育の現状分析から出発すべきだと。それがないんじゃないかと。突然「グランドデザイン」というのが出てきて、文科省の通り岩手県の指針を決めたということが実態なのではないか。
もう1つ聞きますけれども、「各学校の3つの方針(スクールポリシー)の策定における指針」を示すと。この「3つの方針」というのは何ですか。
【高校教育課長】
スクールポリシーと呼ばれるものには3つあります。まず、各高等学校の入口から出口までの教育活動の方針となります。
「このような力を伸ばします」という内容の育成を目指す資質能力に関する方針を「グラジュレーションポリシー」と言います。
「このような学びを行います」という内容の教育課程の編成および実施に関する方針を「カリキュラムポリシー」と言います。
「このような生徒を待っています」という内容の入学者の受け入れに関する方針を「アドミッションポリシー」と呼んでおりまして、この3つをまとめて「スクールポリシー」と呼んでおります。
【斉藤委員】
この本文の方、見て何が何だか分からなかったんだけれども、この3つの方針はどこに書いているんですか。いま言ったところは。書いていますか。
【高校教育課長】
いま委員からご指摘のあった通り、例えば本文の1ページのところに、「各学校の3つの方針(スクールポリシー)の策定とはしてありますが、それを具体的に今ご説明したように、3つに分けて説明しているところはちょっと探せないところですが、実はこれに資料がありまして、文科省から出ている3つのポリシーについての注がありまして、それを本文と、あとは策定要領のところに一緒につけております。そこの中にその3つのポリシーについて名称および内容を説明しているものがございます。
【斉藤委員】
驚くべき答弁でした。ここの指針には中身はないと。私はてっきりこの説明文書で、この説明文書だと、「スクールポリシーの策定 上記の3つの枠組みをそれぞれ意識しながら―」と書いているから、上記3つの枠組み―地域連携、学術・国際連携、産学連携のことだと思っていましたよ。そうじゃないんですね。そしてこの指針には3つの方針は書かれていないと。驚くべき指針ですね。これ読んだら分からないでしょう。ポリシーもよく分からないけれども、私は本当にこれは中教審の方針を具体化しただけで、本当に皆さんが分かっているかどうか、今カタカナ語でいろいろポリシーと言われたけれども、誰も分かりません。県民に分からない中身なんですよ。県民のものになんかなりませんよこれは。「アドミッションポリシー」とか「グラジュレーションポリシー」とか「カリキュラムポリシー」とか、誰が分かるんですか。こんな分からない指針を決めて、方針の中にも説明もない。おかしいんじゃないですか。教育長は分かっているから出したんですか。
【教育長】
まず、各学校の3つの方針ということで、1ページの最下段に、「スクールポリシーの策定における指針を示すこととした」ということで、グランドデザインの考え方をお示ししております。それも先ほど須川課長から説明ございました、グランドデザインの方向性のそれぞれ3つの色分けしたもの、これを大枠としてそれをまず組み合わせていただきたいということ。それから、いま委員ご指摘のところの5ページのところの「各高等学校における具体の取り組み」ということで、ここにその今申し上げました3つの色分けした「地域連携」「学術・国際連携」「産学連携」の3つの枠組みを設定したというところでございます。このようにこの資料の方には説明をさせていただいてございまして、それを分かりやすくしたのがこちらでございました。これをですね、各学校ごとに地域との連携・協働をしていくということでの魅力化協働パートナー、先ほども佐々木委員から、いろんな方との関わりをもってということが大事だということもご指摘ありました。私もその通りだと思っておりまして、この高校再編の場合も、子どもたちの希望する進路の実現と、地域産業を担う人材の育成というところを、地域ととともに進めていく、取り組んでいくということで、それを「いわての高校魅力化グランドデザイン」ということで、この10年後を見据えた方向性を示し、そして各学校においてそれぞれのスクールポリシーを作っていただくという趣旨でございます。
【斉藤委員】
率直に言って、普通科の改革と提起されたんですけど、私は不来方高校と盛岡南高校の統合計画というのはそれに反するものだったと。盛岡南高校は、今までの進学校とはまた違った特色をもった、そしてスポーツ人材を育成する大きな役割を果たして、生徒には大変人気のあった学校ですよ。これをなくしてしまった。
もう1つは、専門学科改革の中で、「産業界と一体となって地域産業界を支える革新的職業人材の育成」、この点で言いますと、福岡工業高校と一戸高校の統合、これまたこういう専門学科改革の人材育成に反する計画だったと思いますよ。だから言っていることと目指していることとやっていることは全く違ったものになっているのではないか。
立ち入って福岡工業高校についてお聞きしますけれども、今年もさまざまな資格取得で県の第1位を獲ったという成果も聞いておりますけれども、資格取得で福岡工業高校は全国的にも県内でもトップクラスの成果をあげています。わずか2学科の専門高校です。そして、統合しようとする一戸高校より今年は入学者は1人多かった。一戸高校は3学科で56人、福岡工業高校は2学科なのに57人だった。多い方を学科を減らして、専門教育を縮小すると。この魅力化・特色化の方針に反するんじゃないかと思いますよ。やっていることは。本当にきわめて重大な矛盾を感じます。
専門学科の改革と言うんだったら、これだけ全国的にも注目される、県内でも資格取得でトップクラスの成果をあげている県北唯一の工業高校を、維持・拡充するということこそ、特色化・魅力化の方向に合致するんじゃないでしょうか。いかがですか。
【高校改革課長】
今回スクールポリシーの策定等を通じて、高校の魅力化・特色化を図ると。これを通じて、生徒が自主的な高校選択につながるということは非常に望ましいことと考えております。
一方で今後におきましては、中学校卒業者数は大幅に減少していく、これが見込まれる状況でございます。これが現実としてあるわけでございますので、これに合わせながら子どもたちにとってより良い教育環境を整備していく必要もあるものと考えております。
二戸地区におきましては、一戸高校さまざまな専門課程の教育を有する総合学科高校でございます。やはりこの学びはしっかり残したいということでございますし、一方で福岡工業高校にある工業の学びもしっかりと残して、二戸地域の子どもたちのさまざまな学びに触れ合えるような環境を整備したいと考えておりますので、一定規模を持つ学校として再編の上、地域と連携の強化を図りながら特色ある魅力的な学校となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
いろいろ言うけれども、本当に生徒・教職員が頑張って、全国的にも県内でもトップクラスの資格取得に取り組んで、子どもたちが生き生きと活躍している学校が福岡工業高校です。
実は、福岡工業高校のPTAが福岡工業高校を紹介するパンフレット、これは二戸市の支援を受けて作られたものです。そして二戸市は、来年4月から通学費を半額補助すると、こういう取り組みもやってですね、このパンフレット、市の広報で福岡高校・福岡工業高校を紹介した広報をまとめて、市内の中学生に配布をしています。
地域との協働ということも魅力化のことで言われました。二戸市あげて福岡工業高校の魅力化・特色化に取り組んでいるときに、そして一戸高校と比べても入学者が今年多かったという、この事実を踏まえて、計画は決まったけれども、これは慎重に検討する、検討し直すということが必要なんだと思います。
統合計画検討委員会が12月にも設置という基本方針がありましたが、これはどうなっているでしょうか。そしていま二戸市をはじめ、PTAも総力をあげて福岡工業高校の魅力化に取り組んでいますが、この取り組みをどのように県教委は評価しているでしょうか。
【高校改革課長】
令和6年度の統合予定でございますが、これに向けまして現在統合計画検討委員会の設置に向けた調整を図っている段階でございます。あくまで参考例として、早ければ12月に検討委員会の設立ということで、1つの参考例としては組み立てておりましたけれども、必ずしもこれにこだわっているものではございませんで、現在はまだ委員の選定、委員会の設立に向けた調整を図っているという状況でございます。
地元二戸市、PTA等でさまざまな取り組みをされている、こういった形で地元と学校が連携しながら学校の魅力化・特色化を図る、これが生徒にとって学校の魅力の理解につながり、自主的な進路選択につながるというのは非常に望ましいことであろうと考えております。これにつきましては、地元の努力というものも非常に重要なことと我々は考えておりますので、それについては今後とも注視してまいりたいと考えております。