2021年12月6日 文教委員会
コロナ禍における学生支援に関する質疑(大要)
・コロナ禍における学生支援について
【斉藤委員】
最初に、新型コロナに関する学生支援の取り組みについてお聞きをいたします。
昨年度の新型コロナに関する国・県・県立大学等による支援の実績はどうなっているか。岩手大学・盛岡大学・富士大学等を含めた実績を把握しているでしょうか。
今年度の取組み状況はどうだったでしょうか。
【学事振興課総括課長】
まず昨年度の状況についてでございますが、国では、家庭から自立してアルバイト収入で学費をまかなっている学生のうち、アルバイト収入が減少して就学の継続が困難となった学生を対象に「学生支援緊急給付金」の支給を行ったところでございます。県内の大学・短期大学・高等専門学校等におきまして、1955人の学生に支給をされております。対象となる学生全体のうち14.4%ほどの学生が対象になってございます。
また県立大学では、国の給付金の条件を満たさないために給付が受けられない困窮学生など113人に対して、大学独自に5万円の給付金を支給したところであり、県は県立大学への運営交付金でこの取り組みを支援したところでございます。
また岩手大学や盛岡大学でも、給付金の支給が行われたところでございまして、岩手大学は646名の困窮学生に5万円または2万5千円が支給されております。盛岡大学は、遠隔授業環境整備等支援金を全学生一律5万円給付したと聞いております。
このほか富士大学では、学生応援奨学生として、収入が激減した学生に対し5万円〜10万円の範囲で奨学金を給付したと聞いております。
今年度の状況でございますが、岩手大学で、経済的に困窮する学生に対して、大学生協で利用可能な電子マネーを配布したと聞いております。
【斉藤委員】
昨年度はかなり国も県立大学・各大学ともそれなりの支援があったと。しかし今年は、今回の経済対策に学生支援が盛り込まれているようですが、この国の経済対策の中身を示してくれますか。
【学事振興課総括課長】
国におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい環境にある学生等の学びを継続するために、今回の補正予算案に、学生等の学びを継続するための緊急給付金675億円を計上しております。昨年度に比較しまして144億円の増額となっております。この給付金は、大学・短大・高専・専門学校の学生が対象でございまして、留学生も対象とされております。給付額は一律10万円とされているところでございます。対象者は、高等教育の就学支援新制度の利用者のほか、自宅外で生活していること、家庭からの多額の仕送りを受けていないこと、家庭からの追加的な支援が期待できないことなどの要件をもとに、大学が総合的に判断したうえで、日本学生支援機構に推薦することとなっておりまして、対象学生には日本学生支援機構から直接給付金が支給される仕組みとなっております。
【斉藤委員】
県独自の支援策はどうなっているでしょうか。
【学事振興課総括課長】
今年度の県独自の支援策ということでございますが、現時点では実施していないという状況でございます。
【斉藤委員】
国もついに遅まきながら経済対策で、これは額的には144億円増の緊急交付金と、対象もかなり広げて、一律20万円ということですが、今日補正予算で出されたと思います。
県や県立大学独自でも、学生の実態を踏まえて検討するべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
あわせて、県内の大学で農協などのお米の支援などを含めて、「100円定食」がやられたと思いますけれども、その取り組みをどのように把握しているでしょうか。最近は地元の商店街が「200円弁当」ということで、そういう取り組みも岩手大学の周辺では行われているということですが、そうした県内・大学における学生支援策の取り組みをどう把握しているでしょうか。
【学事振興課総括課長】
まず一点目、県の独自の支援策につきましては、県といたしましては引き続き新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、学生が安心して学生生活を遅れるように、必要に応じて支援をしてまいりたいと考えております。
県内の大学における100円定食とかお弁当の取り組みの状況把握でございますが、今年の7月に岩手大学・県立大学・盛岡大学・富士大学の4大学におきましては、JA全農いわて、JA新いわてから寄贈されました、米・牛肉・野菜等の県産食材を用いまして、学生食堂において低価格の食事の提供が行われたと聞いております。
また岩手大学では、先ほど委員からお話がございましたお弁当、11月に地元の上田商店街協同組合等と連携して、「上田飯」と題して格安でお弁当を販売する企画を実施したと聞いております。
【斉藤委員】
今度の経済対策では、子ども食堂等に農協等が余剰米を提供した場合に10分の10を補助すると、こういう施策も盛り込まれているんですね。やはりこの取り組みを県も音頭をとって、100円定食というのは結局通年ではなくなっていると思いますので、できるだけこの時期、米の消費拡大という点でも使える施策は積極的に活用して、この100円定食というものを当面継続できるようにすべきではないのかと思いますが、これは農政部との連携が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
【学事振興課総括課長】
いま委員からお話ございました件でございますが、我々の部と部局間連携で農林水産部等とまた連携しながら継続的にできるように進めていきたいと考えております。
【斉藤委員】
国の経済対策35億9千万円の補正予算案が今日計上されて国会でも議論になります。その中で中身もまた明らかになると思いますので、使える施策は最大限活用できるように、連携して取り組んでいただきたい。
・生理の貧困問題について
【斉藤委員】
先ほども生理の貧困問題ありました。岩手大学では、男女共同参画の大学の委員会が実態調査をやったりですね、さまざまな取り組みをやって、学生の中でもそういう男女共同参画を進める取り組みも行われているということでした。この取り組みをどのように把握されているでしょうか。
【学事振興課総括課長】
生理の貧困問題にかかる岩手大学の取り組みということで、いま委員からご紹介ございました点についてお答え申し上げますと、岩手大学男女共同参画推進学生委員会の主催によりまして、「生理の貧困をきっかけに考える自分と相手の身体を大切にする方法」をテーマとする講演会を先月20日に岩手大学で開催をしたということでございます。学生・教員等がそれに理解を深め、考える機会を設けたということでございまして、当日も参加した学生に生理用品を配布したと聞いております。会場参加とオンライン参加という形で開催したと聞いております。
そのほか岩手大学では、岩手県の環境生活部の方で実施しております「女性のためのつながりサポート事業」の委託事業者と連携しまして、対面での提供、それから女子寮での配布によりまして、生理用品300セットを女子学生に配布したと聞いております。
【斉藤委員】
岩手大学では、大学当局、学生自身の取り組みでそういう生理の貧困問題を正面から取り組んで、生理用品の配布にも取り組んでいると。
私は前にも、県立大学において生理用品を大学のトイレに配布する取り組みを進めるべきではないのかという提案をしてまいりましたけれども、県立大学における生理用品の、特にトイレへの配置を含めた取り組みはどうなっているでしょうか。
【学事振興課総括課長】
県立大学におきましても岩手大学と同様に、女性のためのつながりサポート事業の委託業者と連携をしまして、学内に設置した支援ブースでの提供、女子寮での配布ということによりまして、生理用品250セットを配布したところでございます。また、県立大学で生理の貧困実態調査というような形では行っておりませんが、新型コロナウイルスなんでも相談窓口、健康サポートセンターにおきまして学生の相談に対応していると聞いております。それから、トイレの中の方に生理用品を置くというところも、当課と県立大学事務局の方といろいろやりとりをさせていただきましたが、ちょっと衛生管理上、いろんな方が触るような形で、管理がなかなかできなくて、衛生管理の問題で現時点ではトイレの中に生理用品を置くというところまでは至っていないという状況でございます。
【斉藤委員】
実はこれは11月14日付の朝日新聞で、この生理の貧困問題の世界的な取り組みが紹介をされておりました。
スコットランドでは、昨年11月に生理用品の無償化法案を全会一致で可決をされて、世界で初めて生理用品の無償化を実現したと。台湾では、来年以降に台北市内の72中学校に無償配布実施の方針。フランスでは、2月から大学や学生寮などでの無償配布を決定と。ニュージーランドでは、6月から国内の全学校で無償配布を開始していると。
世界各国で新型コロナの下で、生理用品の配布というのは人権に関わる、トイレットペーパー配置するのと同じなんだと、こういう認識が広がっているところです。
そしてここでは、「日本の取り組みでは、今年の7月までに623の地方公共団体が無償化・配布などを検討・実施」となっています。ですから、国内でも623の地方公共団体が検討・実施ということですので、いま生理の貧困問題に対する取り組みというのは、国内外で画期的に広がっているのではないかと思います。
この朝日新聞の記事の中に、署名活動に取り組んでいる任意団体「#みんなの生理」がオンラインのアンケート調査を実施したと。その中間報告で、学生773人のうち5人に1人が「過去1年以内に生理用品の購入に苦労した」と。こういう実態も明らかにされ、静岡県立大学では、2つのキャンパスに10月からスマホアプリを使って生理用品を取り出せる装置が36台トイレの個室に設けられたと。今そういうスマホアプリを使って取り出せる装置というのが民間で開発をされて、それを静岡県立大学では設置をしていると。これは全国29箇所に398台設置をされていると。
朝日新聞はかなり全体的にこうした取り組みを紹介しておりましたので、ぜひ県立大学において、新型コロナの下でこそ生理の貧困問題が顕在化をして、それにやはり積極的に対応する例を作っていく必要があるんじゃないか。衛生問題というのもあるけれども、トイレットペーパーと生理用品は同じだと考えれば、この衛生問題は解決できるし、さまざまないま紹介したような機器も出ているということですので、そういう点でこの問題、新型コロナの下で顕在化した、そして認識が画期的に国内外で広がった課題だと思いますので、しっかりそういうことで取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
【学事振興課総括課長】
いま委員からご紹介ございました事例等も踏まえまして、今後トイレの中にできるだけ置けるような方法はないかというようなところ、県立大学の事務局と相談して進めていきたいと思います。
【斉藤委員】
これで終わりますが、県立大学には看護学部という、まさに医療に関わる、女性のさまざまな問題に関わる専門学部もありますので、そうした方々の英知を結集して、学生の実態などもよく把握して進めていただきたい。終わります。