2022年3月2日 2月定例県議会本会議
高田一郎県議の議案に対する質疑
(大要)


【高田議員】
 日本共産党の高田一郎でございます。議案に対する質疑を行います。
 議案第42号、令和3年度岩手県一般会計補正予算(第12号)について質問いたします。
 補正予算(第12号)は、感染拡大防止を図りつつ、社会経済活動を支えるための新型コロナ感染症対策、国土強靱化対策や、三陸復興創生のための観光拠点整備などを計上しており、総額322億円となっております。

・財政調整基金等の積み立てについて

 第一に、財政管理費として265億168万円余が計上されております。本補正予算では、今年度の普通交付税の精算減額などに備えるため、財政調整基金積み立てに114億9888万円余、臨時財政対策債の償還に備えるために、県債管理基金積立金に150億円を増額するものであります。本会議でも議論がありましたが、新年度一般財源は、121億円の財源不足となるなど、厳しい財政事情にあります。財政調整基金および県債管理基金積立金として総額265億168万円もの増額をした理由を示してください。

【総務部長】
 財政調整基金積立金等の増額理由についてであります。財政調整基金については、令和3年度の県税等が当初予算額よりも増収となったことにともないまして、翌令和4年度から令和6年度までの3年間において生じる普通交付税の精算等、これは実質的な返還をしないといけないということでございますが、これに備えて115億円。それから、県債管理基金につきましては、国が臨時財政対策債の償還費として追加交付した額、これも今年度交付税に参入されない額になります。これを踏まえて150億円、合わせて265億円を基金に積み立てることとしたものでございます。

・新型コロナ対応資金貸付金および地域企業経営支援金の減額補正について

【高田議員】
 第二に、新型コロナウイルス感染症対応資金貸付金は43億円、地域企業経営資金事業費は7億3000万円もの減額補正となっております。この利用実績および大幅な減額補正となった要因はなんでしょうか。

【商工労働観光部長】
 まず、新型コロナウイルス感染症対応資金の令和3年5月末までの取り扱い機関における利用実績は、累計で12110件、1944億円余となっており、今般の減額となった要因は、年度末に駆け込みで多くの事業者が利用することを見込んだものの、実際には多くの事業者の利用が前倒しで進んでおり、この時期の利用が想定よりも少なかったことによるものでございます。
 次に、地域企業経営支援金支給事業費のうち、売り上げ減少を支給要件とする支援金の支給実績は、1月末現在、10133事業者・11234店舗に対し34億5000万円余となっております。
 また、いわて飲食店安心認証制度の認証を受けた飲食店に対する10万円の経営支援金の支給実績は、2月24日現在、3870事業者・4395店舗に対して4億3000万円余となっております。
 これが減額となった要因でございますが、国の事業復活支援金の創設にともないまして、売り上げ減少対応の対象期間を短縮したため見込みを下回ったものでございます。

・バス運行対策費について

【高田議員】
 第三に、バス運行対策費6031万円余は、バス路線の維持を図るために運行欠損額に対する補助対象額を拡充するものであります。補助要件および補助対象経費はどうなっているでしょうか。
 新型コロナ感染症に関わる特例措置となっていますが、影響が継続する限り支援をしていくべきでありますが、国の動向はどうなっているでしょうか。
 バス事業については、新型コロナ感染症が続く中で、厳しい経営状況に加え、運転手の高齢化などを背景に、運転手の要員確保も課題になっています。バス事業者の要員不足問題を含め、新型コロナ感染症による影響、実態をどう把握されているでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 まず、バス運行対策費補助についてでございますが、国との協調補助であり、複数の市町村にまたがる広域的かつ幹線的なバス路線のうち、一日当たりの運行回数が3往復以上、輸送量が15人以上150人以下の路線が補助対象となっております。ただし、新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置として、令和2年度および令和3年度お補助金については、輸送量要件が150人以下に緩和されているところであります。また、補助対象経費は、補助対象路線の経常費用の見込み額から経常収益の見込み額を差し引いた運行欠損額となっております。
 なお、一便当たりの平均乗車人数、我々平均乗車密度と呼んでおりますが、5人未満の路線等については、補助対象経費が減額調整されますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、乗車人数が減少したバス路線の維持を図るため、令和2年度に引き続き、令和3年度の補助金についても、国庫補助に基づき当該減額調整措置を適用しないこととし、本定例会に補正予算を提案させていただいたところでございます。
 県におきましては、これらの特例措置を国に対して要望してきたところでございます。現時点では、令和3年度までとされておりますが、来年度以降におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響も見込まれますことから、引き続き国に対して特例措置の継続を働きかけてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症によるバス事業者への影響についてでございますが、バス事業者では、従来から運転手不足の傾向にあったところでございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう社員の自宅待機措置等により一層要員の確保が難しくなり、通常ダイヤでの運行に支障をきたす恐れが出てきたとして、岩手県交通は2月21日から盛岡地区の1路線で減便して運行しているところでございます。また、主要な乗合バス事業者3社―岩手県交通、岩手県北自動車、JRバス東北の3社でございますが、この3社の令和3年4月から令和4年1月までの運賃収入は、新型コロナの影響が生じる前の一昨年の同時期に比べますと36.4%・17億4000万円余り減少するなど、昨年度に引き続き大きな影響を受けている状況にございます。このような状況もありまして、岩手県交通は、4月1日からのダイヤ改正におきまして、盛岡地区の22路線で減便することを昨日発表したところでございます。
 県では、運行支援交付金の交付、それから先ほどご答弁いたしましたバス運行対策費補助の追加交付など、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるバス事業者の運行を支えているところでございますが、今後も新型コロナウイルス感染症による影響等を注視しながら、適時適切に必要な支援について検討してまいります。

・いわて旅応援プロジェクトについて

【高田議員】
 第四に、いわて旅応援プロジェクト推進費82億4260万円余は、実施期間の延長にともない、宿泊代金の割引などに要する経費を増額しようとするものであります。
 このいわて旅応援プロジェクトは、補正予算第11号で12億1900万円の増額補正を行ったばかりであります。これまでの利用人数約68万人、利用金額が約39億円となっており、今回の補正はそれを上回る規模であります。
 そこでいくつか質問いたします。延長第三弾として、2022年度以降も対象期間を拡大しようとするものでありますが、3月11日以降の実施については、国との調整はどのようになっているでしょうか。本補正予算でどれだけの利用人数や経済効果を期待されているでしょうか。
 宿泊事業者には、体調チェックや料理の提供方法、三密対策など、感染対策の順守などを依頼しています。感染防止対策の取り組みへの支援が十分行われているのでしょうか。

【商工労働観光部長】
 いわて旅応援プロジェクトにかかる国との調整状況ですが、国では専門家の意見や感染状況等を踏まえ、地域観光事業支援の期間延長等を行うこととし、現在補助金交付要綱の改正に向けて調整を進めていると聞いております。
 プロジェクトを円滑に進めるためには、実施期間に割引内容などを早期に関係者に周知する必要があることから、交付要綱が改正された後速やかに延長分の予約受付が開始できるよう準備を進めております。
 次に、今回の補正予算額に対応する利用人数についてでございますが、来年度の詳細は明らかになっていないんですが、第三弾としての実施が、現在の割引上限額等で継続されると想定した場合、約135万人の利用が見込まれるところです。経済効果につきましては、新たに喚起される需要額を割引原資の予算額を2倍とするなどして、総務省の経済波及効果の簡易計算ツールにより単純に計算しますと、約234億円と見こまれます。
 次に、宿泊施設の感染防止対策への支援についてでございますが、県では、宿泊事業者が実施する感染防止対策等に要する経費として、令和2年度および令和3年度の2年間で328件、補助金額で4億3521万円余の支援を行っております。また、いわて旅応援プロジェクトの参加条件として、関係する感染拡大予防ガイドラインの順守を義務づけており、そうした中で現在、375施設が参画している状況から、県内のほとんどの宿泊施設で十分な感染対策がとられているものと受け止めております。

・陸前高田オートキャンプ場モビリアの再開整備について

【高田議員】
 第五に、三陸復興創生観光拠点整備事業費6億271万円余は、陸前高田オートキャンプ場モビリアの再開に向けて、施設などを整備しようとするものであります。
 テントの大型化やグランピング、ソロキャンプなど、キャンプ場へのニーズが多様化しており、利用者のニーズに沿った整備を行い、利用者の拡大を図る必要があります。この事業計画の中身、および運営はどうなるのでしょうか。
 あわせて、再開時期に向けたスケジュールについても示してください。

【商工労働観光部長】
 陸前高田オートキャンプ場モビリアの事業計画等についてでございますが、モビリアの再開に向けた既存施設整備にあたりましては、テントの大型化や利用人数の多様化に対応した施設とする観点から、民間のノウハウを最大限生かすための提案を募り、設計施工一括発注、いわゆるデザインビルド方式による公民連携手法で整備しようとしております。
 また、運営につきましては、指定管理による運営を行うことを予定しておりますけれども、事業の公募により、設計者および施工者、指定管理予定者を一括で選定することとし、指定管理予定者の意向も踏まえた施設として整備していくことにすることを考えております。
 再開に向けたスケジュールにつきましては、本日から公募を開始し、4月中に民間事業者から提案を受け、事業者選定を行い、5月には設計施工契約締結、その後速やかに改修整備に入り、令和5年2月末には再整備を終了、同年4月の施設再開を目指しております。

・一般国道107号大石地区仮橋仮設工事の請負契約について

【高田議員】
 最後に、議案第63号は、一般国道107号大石地区仮橋仮設工事の請負契約の締結に関し議決を求める議案であります。
 仮橋仮設工事は、事業費10億7569万円にもなるものです。この仮設道路にあたっては、応急工事の上にさらに盛土し安全確保したうえで現国道を運行する案と、ダム湖水に仮橋を設置して対岸の県道付近に接続する迂回路の確保―との2案でこの間検討されてきました。施工期間やコスト、安全面などを判断しての今回の提案だと思いますが、その具体的な検討内容についてうかがいます。
 また、工事にあたっては、ダム貯水量を下げて工事が行われることから、農業用水や発電事業への影響を考慮する必要がありますが、どのように検討されているのでしょうか。

【県土整備部長】
 国道107号大石地区仮橋仮設工事の請負契約議案についてでありますが、仮設道路の県等にあたっては、仮設道路としての安全性を確保することとし、応急工事で施工している盛土にさらに50万立方メートルの盛土を行い、現国道を通行する盛土案、ダム湖に約470メートルの仮橋を設置し迂回路を確保する仮橋案の2案について比較し、早期交通確保が可能な仮橋案を選定したところでございます。
 具体的には、資材の調達や現場条件を踏まえた施工能力等に基づく交通確保の時期、工事費について、盛土案が早くても令和5年夏の共用、工事費約50億円。仮橋案が令和4年積雪期前の共用、工事費約35億円とそれぞれ見込んだところでございます。
 また、応急盛土工事および仮橋工事中のダム湖の貯水の運用については、通常よりも低い水位を基本とすることでダム管理者と調整をしており、運用の考え方について、農業・発電にかかる利水者からご理解とご協力をいただいているとダム管理者からうかがっております。