2022年3月8日 予算特別委員会
高田一郎県議の総括質疑
(大要)


1.新型コロナから県民の命と暮らしを守る課題について

【質問】高田一郎委員
 日本共産党の高田一郎でございます。新型コロナ感染症から県民の命と暮らしを守る課題について質問いたします。
 第6波でも高齢者に感染が広がって命を落とす人が増加しています。全国の死者数は2月だけでも4,000人を超えました。70歳以上は9割強となっており、高齢者施設でのクラスターの増加と関連しています。県内でもクラスターの件数は第5波と比べて10倍を超えています。高齢者の死者数の増加、高齢者施設への感染拡大の要因をどのように分析し、今後どう対応してしようとしているのでしょうか。

【答弁】達増知事
 オミクロン株については、基礎疾患等を有しない50歳未満の感染者の多くは、症状が軽いなどの特徴がある一方、デルタ株に比べて感染拡大のスピードが極めて早いといった特徴があります。
 また感染の場面を分析すると、教育・保育施設、学校でのクラスターに加え、家庭や職場に拡大しており、家族が高齢者施設に勤務している場合など、感染の自覚がないまま出勤し、高齢者への感染につながっているものと考えております。
 2月以降に確認された10人の死亡者の方々については、いずれも高齢で基礎疾患を有する方々となっていますことから、死亡者を減少させるためには、重症化リスクの高い方が多く利用している高齢者施設での感染拡大を防止することが喫緊の課題と認識しております。
 高齢者施設における感染対策については、平時からの取り組みが重要でありますことから、今後においても最新の知見に基づき更新されるマニュアル等の活用の徹底を図るほか、施設内感染発生時等における事業継続計画の策定の支援に取り組んで参ります。
 また感染者が発生した施設においては、岩手医療福祉施設等クラスター制御タスクフォースによる感染制御、トリアージの支援を行うことにより、施設内での感染拡大及び重症化防止に努めてまいります。

【質問】高田一郎委員
 高齢者施設に対しては今後ますます対策の強化が必要だと思います。特に有料老人ホームを含めて、十分に感染対策を学んでいるわけでありません。オミクロン株の特徴を踏まえて外部からの感染対策の支援が必要と考えますけれどもいかがでしょうか。
 もう一つ大事なことは高齢者施設でワクチン接種を一刻も早く取り組むことだと思います。いつまでに終了させるのかを含めて、目標をもって最優先の課題として取り組む必要があると思いますが、改めてワクチン接種の対応についてお聞きたいと思います。

【答弁】野原保健福祉部長
 介護施設における感染対策についてでありますが、介護施設における感染拡大を防ぐためには、ゾーニングや個人防護具の着脱、利用者の健康管理等を適切に行うことが重要でありますが、委員ご指摘の通り介護施設の職員は必ずしも感染対策の訓練を受けているわけではなく、また施設によっては居室が多床室であり、陽性者の個室管理が難しい等の構造的な課題も抱えております。
 このため保健所や広域振興局では、感染対策について医療安全研修会や介護サービス事業者への集団指導において研修を行っているほか、保険所長や保険師が介護施設等を訪問するなどして指導を行なっております。
 また介護施設等においてクラスターが発生した場合、感染者や出勤可能な職員の人数等も踏まえ、個々の施設の状況に応じた柔軟な対応が求められることから、これらに精通した専門家による支援が不可欠であり、これまでも多くの施設においていわて医療福祉等クラスター制御タスクフォースによる支援を行なってきたところであります。
 今後におきましてもこうした専門家の知見を活かす取り組みとして、例えば様々な対応事例から得られた具体的なノウハウを学ぶ研修を行う等により、介護施設職員の対応力向上に向けた支援に取り組んで参ります。
 またワクチン接種についてでございます。委員ご指摘の通り高齢者の方々、今比較的子ども達の感染なんですが、これが高齢者のほうに広がっていくということで重症化リスク、また死亡リスクが高い高齢者が集団で住まわれております施設の対策が重要であり、そのためにはワクチン接種を速やかに行うことが重要であるというのは、ワクチン接種を進めている市町村、そして県、また医療関係者においても共通して認識して進めております。
 2月末時点で市町村でも、施設へのワクチン接種の加速化を重点的に進めていまして、概ね把握している段階では、7割以上は完了したという認識をしておりますが、さらにこれを一刻も早くワクチン接種を希望する方が終了するように、市町村と連携して取り組みを進めていきたいと考えています。

【質問】高田一郎委員
 高齢者施設でクラスターが起きれば命にかかわる問題だと思います。先ほどワクチン接種率が7割ということは、決して高くない数字だと思いますので、重症化・死亡リスクを大きく下げる、大きな役割を果たしてるのがワクチン接種と思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこでもう一つ心配なのは陽性率の高さであります。2月末の陽性率は24.29%、第5波では最大でも8.72%ですから大変高い数字だと思います。捕捉率が低く、多くの陽性者を見逃しているのではないでしょうか、こういう時に検査数を拡大して、感染の実態を広く把握する必要がある、そういう時期ではないこと思いますがいかがでしょうか。またの高齢者施設からは、せめて週2回検査をしたいけれどもなかなか検査キットがないという声が、いまだにどこの施設に聞いても共通しております。この検査キットの配布と利用状況はどういう状況になっているんでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 PCR検査等につきましては、行政検査のほか薬局等における無料検査、市町村が高齢者施設等に対して実施する、一斉・定期的検査、国が配布する抗原検査キットを使用して、高齢者施設等が実施する検査などがあり、広く実施されているところでございます。
 本県の検査体制については、昨年夏の第5波での対応を踏まえ、PCR検査等については1日当たり4,033件から4,886件に、抗原定性検査についても6,317件から8,885件に拡充したところであり、現在の検査需要にも対応し得る体制を確保していると認識しております。
 一方で効率的な検査の実施には、受け入れ可能件数の確保だけではなく、検体採取や検査に至るまでの様々な事務処理などをスムーズに進めることが必要であり、主にこうした業務を担う保健所の役割が重要でありますことから、引き続き保健所の適切な業務執行体制の確保に努めて参ります。
 また高齢者施設への抗原検査キットの配布については、県内の入所施設675カ所に対し、約79,000回分が国から配分されており、使用実績のうち県に報告があったのは2月末現在で約4,300回分となっているほか、独自支援として抗原検査キットを確保し、事業所等へ配布する等の支援を行っている市町村もあると承知をしております。

【質問】高田一郎委員
 感染が広がっている場合は高齢者施設などについては、定期的な検査をするのは岩手県の方針です。先日の一般質問の野原部長の答弁でも、感染が広がっている現状にあり、実施を考えたいと述べておりました。今まさに感染が広がっている状態ですありますので、今こそ実施するべきだと思いますけどもこの点についてはいかがでしょうか。
 またPCR検査については、無料の検査は県民から大変歓迎されております。しかしこれも今月末までとなっておりますので、この延長が必要だと思いますけれどもこの点についていかがでしょうか。
 また当初予算にはPCR検査促進事業費として22億円の予算が設置されております。具体的な今後の検査体制、検査戦略をどのように考えているのかこの点についても併せて伺います。

【答弁】野原保健福祉部長
 感染リスクが高まっております。行政検査という枠組みで申しますと、岩手県新型コロナ感染症対策専門委員会の見解においては、新型コロナウイルス感染症対策分科会が示すステージV、またはWの指標を目安として実施すべきとされており、今のレベルで申しますとレベル3に相当するものでございます。
 現時点において、県内の感染状況はレベル3に相当するものではありませんが、行政検査として一斉網羅的な部分については専門委員会の意見を伺いつつ、行って参りたいと考えております。
 一方で先ほど答弁申し上げたとおり、行政検査の枠組み以外に国から多くの抗原検査キットが配布されております。
 あと市町村独自で、盛岡市などは1月から高齢者施設の検査を始めました。
 また多くの市町村で抗原検査キットをリスクの高い施設の方へ配布する取り組みを進めています。
 我々としても今まさに感染拡大、検査前確率が高まっていますので、従事者の方々に関しましては、国が事務連絡に示すとおり、週に1回程度の検査というのは必要性が高まっている時期と認識しておりまして、国や市町村、県の方で調達した検査キットの有効活用について市町村とも連携して使用して参りたいと考えております。
 またPCR検査の来年度予算についてでございます。令和4年度におきましても、今実施しております感染が不安な県民等が、検査を受検できる体制の整備に努めることとしておりまして、来年度におきましても検査に必要な予算については、当初予算に22億円計上しているところでございます。
 これらの無料検査及びこれまで実施している行政検査に係る令和4年度予算については、第5波及び第6波の検査実績を超える規模の約35億円を計上しているところでございます。
 このほか先ほど申しました、国の配布事業による検査キットの活用なども合わせまして、効率的・効果的な感染実態に適応した検査の実施を推進していく考えであります。

【質問】高田一郎委員
 野原部長から盛岡市については、高齢者施設で一斉・定期的な検査をしているというお話でしたが、その他の地域については一斉検査はやるのでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 市町村単位で一斉・定期的な検査を実施している盛岡市のほか、その他については抗原検査キットを用意して施設等に配布し、従事者等に対して検査することを支援している市町村があると承知しているところでございます。

【質問】高田一郎委員
 岩手県の検査方針でも感染が拡大しているところでは、幅広く一斉・定期的な検査を実施するという方針になっております。今まさに感染が拡大している状況ですので、ぜひこれは決断して頂きたいと思います。
 次に自宅療養者は現在2,197人となっております。2月は、70歳以上は延べ225人になっております。健康観察や食料支援、医師の往診体制など一人ひとりに寄り添った支援が行われているのでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 自宅療養への支援についてでございますが、県で設置しておりますいわて健康観察サポートセンターでは、保健所と連携しながら、自宅療養者の健康観察や相談対応、必要に応じた食料品の提供等を行なっており、2月28日まで993人の支援、延べ5,407件の健康観察を行なっております。
 また自宅療養に導入以降、保健所による健康観察のほか、協力いただける診療・検査医療機関などセンターや関係機関が連携して、自宅療養者を支援してきたところであります。
 この協力医療機関は現在のところ、全9圏域で163医療機関となっており、健康観察のほか、自宅療養者の状況に応じて、診療対応いただいているものと認識をしております。
 引き続き関係機関と連携を図りながら、協力医療機関の一層の拡充とオンライン診療の普及に努め、患者への適切な療養先の選定及び必要な医療の提供に取り組んで参ります。

【質問】高田一郎委員
 介護が必要な方は基本的には自宅療養としないという方針でありましたが、先日担当者にお伺いした時に、高齢者施設の方の施設待機は40人になっているという話を聞きました。今具体的にどの程度になっているのか、またその理由は何かその点についてもお伺いします。

【答弁】野原保健福祉部長
 今現在の高齢者施設での待機状況については、毎日取りまとめているわけではございませんので、その点をご理解いただければと思いますが、高齢者施設の方々に関しましては、クラスターが起こった場合は保健福祉のためのチームを派遣しております。
 感染防御のICAT、療養中の加太型の移動サポート・入院支援等をサポートするチームを派遣しております。
 クラスターごとに例えば、症状がある方に関しては入院等調整班と連携して入院対応、またワクチン接種を既に2回接種をされていて症状がほとんどないような方に関しては、例えば抗体情報などを施設で実施するなどにより医療の管理を必ず行い、その上で例えば適切な診療場所、冬の寒い時期にご高齢の方を転院するというのもリスクでございますので、その介護の場所で医療の支援を受けながら療養する方が適切だと判断された方に関しては、医療の適切な支援をいただきまして、施設での療養ということも行っていく、ということでございます。

【質問】高田一郎委員
 介護現場の感染対策の課題についてお伺いいたします。
 居宅介護事業所の職員は、防護服など完全防備で対応するなど、感染リスクを背負いながら高齢者宅を訪問してがんばっています。介護報酬加算も特にない中で費用もかさみ、職員の負担も大変大きくなっています。コロナ禍における居宅介護サービスの役割について県はどのように評価しているでしょうか。

【答弁】菊池副知事
 コロナ過での居宅介護サービスの役割についてでありますが、居宅介護サービスは、コロナ過においても利用者やその家族の生活にとって欠かせないものであることから、例えばデイサービスにおいて陽性者や濃厚接触者が確認され、やむを得ずサービスの縮小等を行なう場合においても、代替サービスとして居宅を訪問してサービスを提供する等、必要なサービスの提供に努めていただいているところであります。
 居宅介護サービスの従事者は、利用者と密に接する時間が多く、感染リスクを背負いながらの介護は、心身の負担も大きいと伺っておりますが、要介護高齢者や障がい者の在宅生活を支える重要な役割を担っているものと認識しております。
 また費用の関係について申しますと、訪問介護を行なう職員が自宅療養や濃厚接触者にサービスを提供した場合、「割増賃金」や「危険手当」等については、サービスの継続に必要な経費として補助を行なっているところであります。
 この補助はこれまでクラスターが発生した施設を中心に活用されてきた実態がありますが、訪問介護等の在宅介護サービスにおいても活用可能であることは、既にご承知のこととは思ってはおりますが、先般改めて居宅サービス事業所に対し、この補助金の有効活用について改めてお知らせしているところでございます。

【質問】高田一郎委員
 北上市などでは事業所に固定費などを援助しているとか、あるいは訪問ケアプランの作成などにあたっても様々な支援を行なっております。コロナ禍の中でも在宅介護サービス、ケアプラン作成は欠かせない重要な役割を果たしていますので、やはり事業所や職員の負担を軽減して事業継続できるような後押しをすることが大事だと思います。県としても北上市の例を全県に広げるなどさらなる支援策を行なうべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】菊池副知事
 居宅介護サービス事業所への支援についてでありますが、県では感染者や濃厚接触者に対応した事業所等に対し、地域医療介護総合確保基金を活用し、サービスの継続に必要な経費の補助を行なっているところでございます。
 居宅介護サービス事業所等において、職員が陽性者や濃厚接触者にサービスを提供した場合の割増賃金や手当のほか、衛生用品の購入費用等に対する補助に要する経費を令和4年度当初予算案に盛り込んだところであります。
 また市町村においても、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用する等により、地域の実情に応じて対策を講じているところであり、介護現場の実態やニーズの把握に努めながら、感染拡大時においても居宅介護サービスが継続して提供されるよう、県、市町村がそれぞれ所要の支援を行なっていく考えでございます。

【質問】高田一郎委員
 介護事業所は昨年事業を休止したのは111件、毎年3ケタを超える介護事業所が事業を辞めざるを得ない状況になっております。コロナでも事業を休んでしまって、この事業に対する減収補填を求める声も最近いくつか寄せられました。ニーズの把握をやることでありますのでコロナにおける実態把握を行なって、県としてさらなる支援の在り方をぜひ検討していただきたいと思います。
 次に介護職員の処遇改善支援補助金についてお伺いします。2月から9月を対象に月額9,000円を引き上げるという岸田政権の方針でありますけれども、その賃上げの実態をどのように県は把握されているでしょうか

【答弁】菊池副知事
 委員ご指摘の介護職員処遇改善支援補助金は、令和3年11月19日に閣議決定された新たな経済対策に基づき、令和4年2月から9月分を対象に、介護職員の収入を3%程度引き上げるために要する経費に対し補助を行なうこととしている。
 現行の処遇改善加算を取得し、かつ令和4年2月分から賃金改善に取り組んでいる介護サービス事業所等を補助対象としており、賃金改善を開始した旨の報告書の提出期限は3月末までとされていることから、現行の加算を取得している約2,500事業所のうち、2月末現在で1,169事業所から報告書が提出されているところでございます。
 この賃上げの関係は手続き上報告書の提出がありまして、対象となっていくプロセスがありまして、現在まだ3月末までの受付期間の中の2月末現在の提出状況が把握されているところでございます。

【質問】高田一郎委員
 3%、9,000円という話がありますが、どこの施設に聞いてもなかなかそうならないと、大体3,000円から6,000円という話を聞いております。介護従事者によれば、一桁違うという声も出ております。しかも10月からは介護報酬となってしまいますので、利用料や保険料に跳ね返るという新たな問題も出てきております。更なる処遇改善、他の従事者と比べても月額8万円も違ってなかなか介護従事者になれない要因となっております。ですから更なる処遇改善とともに保険料や利用料に跳ね返るのではなくて、そうならないような直接補助となるように改善を国に求めていくべきだと思いますけれどもその点についてはいかがでしょうか

【答弁】菊池副知事
 委員ご指摘の通り、令和4年10月以降の対応については、国では介護報酬の臨時改定により新たな加算として処置することとしていることから、その動向については十分注視するとともに利用者の負担の増に繋がらないよう、必要により国に要望していく考えでございます。

【質問】高田一郎委員
 小学校休業等対応助成金について質問いたします。これは保育園の求人や小学校の学級閉鎖で休む労働者に賃金を保証する国の制度であります。今県内でも学級閉鎖あるいは休園が相次いでいますけれども、県内の臨時休業等の状況はどうなっているのでしょうか。また小学校休業等助成金の活用状況について県はどう把握されているのでしょうか。

【答弁】保副知事
 教育・保育施設や学校等の休園・休校等の状況については、令和4年1月1日以降2月24日までの期間に、延べ347の学校・施設が休園・休校等の措置をとっております。
 この助成金については岩手労働局に確認したところ、2月25日現在で県内に本社のある延べ67事業者からの申請を受け付け、今のところ59事業者への支給を決定したという状況でございます。

【質問】高田一郎委員
 県内347の学校施設が休業となって、(助成金の申請が)67事業者、(支給決定が)59事業者は大変少ない数です。これは制度がよくわからない、ほとんど知らないというのが実態だと思います。子供が感染しても濃厚接触者になって休んでも対象になります。非正規とかパートなどを不安定雇用のもとで働く人ほど、「私はパートだから対象にならないじゃないか」ということで活用されない私の周りもたくさんいらっしゃいます。子供が感染しても安心して休める、こういう制度を作ったにもかかわらず、ほとんどと言っていいほど使われてないという実態だと思います。
 もう一つは個人で申請はできますけれども、個人で申請した場合はお金が8割支給です。そして事務でも会社が休業を認めることが要件になっていますので、会社が承認しなければできないんです。だから制度を関係者に徹底するとともに、休暇扶養事業者の義務化など制度の改善が必要でないかと思いますけどもその点についてはいかがでしょうか

【答弁】保副知事
 この制度が周知できていないのではないかということについて、国の事業ではありますが、県としても課題意識は持っております。
 商工団体や各小学校、県のHP等を通じて、事業者や保護者への周知を図っているところでございます。また2月25日には県の新型コロナウイルス感染症対策本部第50回本部員会議の場を活用して、改めてこれへの対応の周知を図り、知事のメッセージの中でも事業者の方々に「保護者が希望に応じて休暇を取得しやすい環境整備」についてお願いも行なっております。
 国の制度ということであり、全国知事会を通じて期間の延長や支給額の上乗せなど、引き続き取得しやすい制度となるように国への要望もしているところでございます。

【質問】高田一郎委員
 制度の徹底と改善をしっかり取り組んでいただきたいと思います。

2.水田活用直接支払交付金について

【質問】高田一郎委員
 次に、水田活用直接支払交付金について質問いたします。
 今回の見直しは、転作交付金は抑制すべきだという財務省の財政制度審議会の建議を受けて行われたものです。農業を発展させるということではなくて、財政削減を最大の目的にしております。しかも米価が大暴落しているもとでこれを具体化してしまえば、離農に拍車をかけることは明らかだと思います。そこで伺います。今度の交付金見直しは5年後のことではなく、今年からすぐ影響が出ます。飼料用米などの複数年契約加算と牧草の単価見直しによって、県はその影響どう試算されているでしょうか。

【答弁】保副知事
 この見直しにつきましては、詳細は我々も12月に承知したものです。今それぞれその経営体、あるいは農家の皆様において、非常に困惑と混乱が広がっているということは、我々も認識しております。
 具体の数値については、現段階では個々の経営体の皆様が検討しており、現時点では影響額をお示しするのは難しいところでございます。

【質問】高田一郎委員
 県南のある農業法人では328万円も今年から減少になり、経営計画が立てられない、借りた土地は一部返したいとの声もすでに出始まっています。今回の見直しで最悪なのは5年間で一度も水張りしない農地は対象から外すことです。そこでお聞きしますが、水張り出来ない場合は大幅な収入減収となります。交付対象から外れることで土地の評価の下落、土地改良区の維持管理、中山間直接支払交付金への影響が考えられますけれどもどのような検討されているでしょうか。また水張りを行なう場合は、水田を戻すための補修作業、作付の増加で需要の落ちた米生産の影響や収益性のある他の食物への転換が停滞することなど、様々な懸案があると思いますけれども、それぞれの影響や懸念について県としてどのように検討をされているのでしょうか。

【答弁】保副知事
 水田活用の直接支払交付金は、水田機能を有する農地を対象に主食用米から他の作物への作付転換を支援するため交付されているもので、国では今回の見直しについて、交付対象の水田であり続けるために、今後5年間に一度水張りを行ない、水稲の作付を促しているものではないと説明しており、また国の説明では畑作物の生産が固定化している水田については、既に水田ではないと考えられるとの話であります。そういったものについては、高収益作物畑地化支援の枠組みで、恒久的な畑地化を促すということ、連作障害を回避し収量、品質の向上を図るため、水稲と麦や大豆等の転換作物とのブロックローテーションの徹底を促し、これを定着させるということを狙いとしている、と説明を受けている。
 また土地の評価については国からは、「水張りの有無により地目の変更を求めるものではない」と聞いていおります。
 土地改良区の実態として、水路等の維持管理のため水田等の面積に応じて、農家から賦課金を徴収しており、今回の見直しで賦課金の収入が減少し、施設の維持管理に支障が生じるのではないか、という懸念が多数寄せられているということを我々も承知しております。
 中山間地域等直接支払交付金は、水張りの有無にかかわらず畦畔や用水路等を有している農地が交付対象とされており、今回の見直しと直接関連せず影響はないと国から聞いております。

【質問】高田一郎委員
 水田活用直接支払交付金は畑作物の生産維持や中山間地域の振興、農地の保全、環境の保護などにも十分役割を果たしていることを踏まえて、交付金削減ではなくてその役割を強める方向で交付金の見直しを求めていくべきと思います。その基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

【答弁】保副知事
 今回の見直しは12月に入って情報が入ってきたということで、非常に唐突でありまして、非常に農家の皆さん、現場に大きな動揺があると伺っています。
 国ではこれは再徹底だということで、基本的なフレームについては、今の制度ができたのは平成25年度からでありまして、29年度に一旦厳格化を図るということも行われてきた、交付対象を明確化することを行われてきておりますが、今回はその再徹底だという説明をしております。
 ただ現場にすれば、これまで交付金をいただいて様々な形で営農を仕組んできた、ということがありますので、急に再徹底と言われても困るということは実態としてあります。
 国はまだその辺のところ姿勢はかたくなでございまして、我々とすればいかに今回の見直しが現場にそぐわないものであるかということについて、基本的な数字、これだけの生産に交友形で交付金が入って、これで維持ができているということをしっかりデータを用意したうえで、どういう形で国に訴えていくか、また交付金の制度ではない形で、実態として農家の皆さんの経営が今後も持続可能なように何かできないか、そういった観点でも考えております。

【質問】高田一郎委員
 今保副知事から、データに基づいてしっかり国を説得できるように対応していきたいと、これまでの答弁から一歩二歩前向きの答弁だったと思います。
 いま義務でもない77万dものコメを輸入しながら、それでも農家の皆さんは転作が必要だということで、減反政策に協力して農地をずっと守ってきました。
 5年たったら水田じゃないとかブロックローテーションは有効だとか、農家に自己責任を求める今回の見直しだと思います。与党の中からも見直しを求める質問も出ております。こういう時に丁寧な説明を求めていく、これではなく問題点を整理してしっかりと国に改善を求めていってほしいと思います。今回の議会でも竜胆とかハウスの設置など、水田に戻せない農地がたくさんあるということも他の同僚委員から、これは無理だという声が出ておりましたので、知事も積極的に知事会を通じて取り組んでいただきたいと思います。知事の考えを伺います。

【答弁】達増知事
 農家の皆様は基本的に米を作りたいという思いがある中、状況が許せばまた米を作れるような水田という形の中で、当面は野菜でありますとか、竜胆でありますとか付加価値の高い園芸作物など新基軸を展開することで、希望をもって地域で農業を持続させていくということが、岩手のそれぞれの地域でかなり軌道に乗ってきているとの手応えがある中で、今回の見直しがあったところであります。
 全国でも各都道府県それぞれの地域でそういう状況でありますので、国による説明という機会を通じながら、地域の事情を国に理解してもらってその地域の状況に合うような農政施策というものを求めていくようしているところでありますが、生産者の皆様の希望が叶い、力強く農業を進められるよう、全国知事会と連携しながら取り組んでいきたいと思います。