2022年3月10日 予算特別委員会
復興防災部に対する質疑
(大要)


・被災者支援センターの体制について

【斉藤委員】
 それでは最初に、被災者の生活再建を支援する被災者支援センターの問題について、本会議に続いて取り上げたいと思います。
 昨日の岩手日報に、遺族アンケートというのが報道されました。健康面の変化で、「悪化」「やや悪化」と答えたのが54.3%、「経済的な変化で悪化している」というのは50.4%と。大変深刻な状況が、丸11年を迎えてもあるんだと。こうした中で、昨年5月から被災者支援センターが設置をされました。これ実は、10年間は沿岸4地域に、県が被災者相談センターを設置していたんですね。その規模を半分にして新たな形で再編したというのが実態だと思います。私は11年目以降も、こうした被災者に寄り添った生活再建を支援する体制をとったということは評価をしたい。ただ、今の被災者の深刻な実態に十分対応できているのかという点でいけば、私は本会議でも指摘したように、この体制は不十分なのではないか。
まず最初に、1月末までの相談件数や弁護士等の相談件数示されましたが、2月末は出ていますか。

【被災者生活再建課長】
 2月末の数字につきましてですけれども、いわて被災者支援センターの2月末の相談件数についてでございますが、そちらの方はまだ委託先の方で内容等について精査している段階で、県の方への報告はいただいておりません。

【斉藤委員】
 聞けば分かるんだと思うんですね。私は2月3日に、いわて被災者支援センターを訪問して取り組みを聞いてきました。2月3日ですからね、これは12月末までの相談件数だと思いますけれども、相談回数が773回でした。1月末が995回でしたから、だいたい100件を超えるような相談が月にあったということになります。
 県内外の避難者の実態を調査をやってですね、いわて被災者支援センターの存在が周知をされて、相談件数が増加をしていると。こういうお話でした。だから、周知をされて相談件数がある意味尻上がりで増えていると。
 そこで、本会議で知事はこう答弁したんですね。「相談件数の状況に応じて、相談支援員を増員するなど、柔軟に対応している」と。相談支援員増員といっても、県の予算は人員4人分なんですよ。これ増員したら、委託事業者が自腹で人を増やすしかないのではないですか。この増員の実態、県はそこに対してきちんと手当しているんでしょうか。

【被災者生活再建課長】
 いわて被災者支援センターの増員についてでございますが、いわて被災者支援センターの体制につきましては、今年度開設当初、職員6名でスタートしたところでございます。6名のうち、相談業務に携わる職員が4名でございました。その後、相談業務を行う職員を年度途中に2名増員しておりまして、現在は相談を行う職員が6名がということになっております。こちらにつきましては、昨年度末に、センター開設にあたりましての企画競争を実施したところでございまして、その際に、センターの受託先となりましたNPO団体の方から職員7名を置くということでの企画提案をいただきまして、その後いろいろありまして、センターの方がスタートしたというところがございます。ですので、今年度の委託につきましては、年度途中での変更ということはしておりません。

【斉藤委員】
 今年度も来年度も被災者支援センターの委託費というのは、相談員が3名、事務職員が1名という、こういう人件費しかみていないんですよ。それを今答弁あったように、それでは足りないから、相談員を最初から4名にして、事務職員2人にして、6名でスタートしたと。そしてさらに2人増やしたということでしょう。だから8名体制ですよね。人件費は4名分しかみていないんですよ。やはり実態に即して手当をすべきではないかと思いますが、部長、委託費は人員4名しか見ていない、しかし実際は8名体制でやっているということは、これは手当すべきことではないでしょうか。

【復興防災部長】
 センターの運営にかかる予算につきましては、先ほど課長から答弁した通り、企画提案に基づいて措置をしているという状況でありまして、その人件費の分、4名分ということであります。その中で、センターの方で兼務のような形のものも含めて相談体制を構築しながら対応していると承知してございます。

【斉藤委員】
 だから結局、人件費4人分では対応できない相談業務、弁護士さんの相談体制に対応しているんですね。やはりそこをしっかり見るべきだと思いますよ。
 お聞きしますけれども、伴走的な支援で、個別支援計画何件作成されているか分かりますか。

【被災者生活再建課長】
 個別支援計画の策定数でございますが、委託先の方からは毎月報告をいただいておりましたが、申し訳ありません、今ちょっと手元に持っておりませんので、後から回答させていただきたいと思います。1月末の数字でございます。

【斉藤委員】
 伴走型支援というのは、例えば弁護士さん、これまで81回相談をすると。弁護士さんの相談というのは事前に予約をして、その相談の中身を整理してやるんですよ。そしてそこで一定の解決策が示されたら、その中身によって個別支援計画を立てて、その後のフォローもしているんですよ。私が2月3日に聞いたときには133件個別支援計画を立てていました。この時点で終了したのは24件ということでした。だから伴走型支援というのは一回相談すれば終わりじゃないんですよ。今回の目的は生活再建、特に困難で複雑な課題に対応する。だから毎週弁護士さんとの相談もしているんです。その準備からフォローからやっているわけです。そして相談件数全体が増加しつつあると。今までは、10年間は4カ所でやった。それを今、釜石と内陸のサブセンターでやっているわけですね。私はそういう意味で、相談業務、伴走型支援、これは全国のモデルになるような取り組みだから言っているんですよ。全国のモデルになるような取り組みを今やり始めているから、しっかりその取り組み、全国でいろんな災害があって被災者が出たときに、岩手はこう取り組んだというモデルになるような取り組みをしっかり進めていただきたい。
 そこでもう1つ、これは本会議の答弁でもあったんですけれども、避難者のアンケート調査をやりました。帰郷希望者、岩手に戻ってきたい、沿岸に戻りたい、これが県外の方は36世帯、県内の方は42世帯、計78世帯でありました。この帰郷希望者、求めている必要な情報は何でしょうか。

【被災者生活再建課長】
 今年度実施いたしました、県外および県内避難者に対する実態調査についての結果でございますけれども、帰還する上で支障となっていることにつきましては、「家の再建の目途が不明」ですとか「県内や避難元市町村に仕事が見つからない」などという回答があったところでございます。

【斉藤委員】
 避難者実態調査は、調査をやったのは支援センターですけれども、分析したのは県なんですよ。
 正確に言いますと、第1位は「仕事のこと」48%、第2位は「住まいのこと」48%、第3位が「生活資金のこと」46.1%、4番目が「体や心の健康のこと」38.8%でした。だから78世帯が今度の調査で「帰郷したい」と、これは貴重だと思います。帰郷できるように、いま求めている情報、これに基づいて支援を継続する、このことが大変重要だと。
 そしてもう1つ、帰郷希望者が今の生活で困っていること―1つが「体や心の健康のこと」32.4%、「生活資金のこと」24.4%でした。だから、そういう避難者の調査をせっかくやって実態を把握したのだから、それを踏まえた支援の継続・強化、体制の強化も含めてしっかり進めていただきたい。
 予算が決まったからこの枠の中でやってくださいということではなくて、その相談の内容や件数が増加したら、私はその状況に応じて必要な委託費も含めて、柔軟に考えるというのが当然だと思いますけれども、改めて部長に聞きましょう。

【復興防災部長】
 この実態調査の結果として、今お悩みのこと、帰還する上で支障となっていること、いま委員ご紹介の通りでありまして、県では、災害公営住宅の募集案内ですとか、いわて暮らしサポートセンター等の情報など、帰還に向けて支援を開始しているところでございます。
 また、帰還希望者の詳しいことをしっかり把握して支援につなげていくために、回答があった78世帯に対しまして、順次センターが連絡をとって個々の状況を確認しているという段階でございます。令和4年1月末現在で21世帯に連絡をとってやりとりをしているという状況であります。
 引き続き避難者の帰還につながるように、市町村とも十分に連携をし、またセンターとも十分な意思疎通を図りながら支援を継続してまいりたいと思います。

【斉藤委員】
 被災者支援センターについては、私以外にもこの特別委員会でも議論になりました。昨日朝日新聞が取り上げました。今日は岩手日日が被災者支援センターについて注目をして報道もしています。大変注目をされている取り組みですから、本当にこれが全国のモデルになるような取り組みにしていただきたいと。
 私本会議で言ったんですけれども、いわて心のケアセンターというのは、今も4つの沿岸地域にセンターを設けて、ここは1カ所8〜9名の体制です。全体で52名の体制でやっているんですよ。知事は、この心のケアセンターは「減らすつもりは全くない。中長期でやります」と言明をしています。私は、被災者支援センターもそういう位置づけで、せめて心のケアセンターの1カ所並の8〜9名の体制が必要な、そういう重要な生活再建、心のケアと生活再建の支援というのは両輪だと思います。そういうことでしっかり進めていただきたい。

・来年度の住宅再建の見込みについて

【斉藤委員】
 来年度、被災者住宅再建支援事業費補助、1億1590万円余予算が計上されています。これは県が市町村と共同して100万円の補助を行うということでありますが、来年度住宅再建を希望している、再建の見込み世帯数はどうなっているでしょうか。

【被災者生活再建課長】
 被災者住宅再建事業補助の関連でございますけれども、本制度を創設した平成24年度から令和4年1月末までに、10255件、県と市町村を合わせた補助額で144億7662万円余補助したところでございます。
 来年度の当初予算にあたりましては、市町村の方等から支給見込み件数を調査いたしまして、全体で187世帯を見込んだところでございます。

【斉藤委員】
 来年度も187世帯の方々が住宅再建を予定していると。大変重要だと思います。そういう点でいくとですね、内訳を言いますと、複数世帯が135世帯、単数世帯が52世帯ということでお聞きしています。しっかり住宅再建を支援をしていただきたい。
 当初、住宅再建というのは、岩手県は約1万件ぐらいを見込んで、それを超えて独自の自主的再建が進んでいるということですから、私は住宅再建に対する支援策が功を奏していると。特に、県の市町村と共同した100万円と合わせて、沿岸市町村も200〜300万円の支援をしました。沿岸市町村の住宅再建の補助、この状況を示してください。

【被災者生活再建課長】
 市町村の住宅再建にかかる独自施策の状況でございますが、今年度10市町村におきまして、建設・購入費へのさらなる補助ですとか、借り入れに対する利子補給の補助などの独自事業を実施しているところでございます。

【斉藤委員】
 県とあいまって、市町村もこういう支援をやって、厳しい中でも被災者の自主的再建が進んできたと思いますので、しっかり支援をしていただきたい。

・被災事業者の支援について

【斉藤委員】
 被災事業者の支援について、地域基幹産業人材確保事業、これまでの実績、来年度の見込みはどうなっているでしょうか。
 沿岸地域起業者等成長支援事業について、これまで起業した女性・若者などの164者の状況と、それへの支援の状況はどうなっているか示してください。

【復興くらし再建課総括課長】
 まず地域基幹産業人材確保支援事業についてでございますが、本事業は平成27年度から実施しておりまして、昨年度までの6年間で宿舎整備事業を16者、家賃補助事業を4者、職場環境改善事業を2者が活用しておりまして、計22者に対しまして8100万円余の補助金を交付したところでございます。また、今年度につきましては、宿舎整備事業2者、職場環境改善事業5者が活用しておりまして、1500万円余を交付決定しているところでございます。来年度につきましては、市町村を通じた要望調査を行っておりまして、これに基づきまして宿舎整備事業5者、職場環境改善事業2者の活用を見込んでおりまして、補助金等として2401万5千円を当初予算案に計上してございます。
 次に、沿岸地域起業者等成長支援事業についてでございますが、こちらにつきましては、平成25年度から昨年度までの8年間で計164者に対して、起業・新事業の支援にかかる補助金を交付してきたところでございます。こういった事業者の方々へのさらなる支援ということで、今年度から取り組んでいるものでございます。状況といたしましては、この補助金の交付先に対して、一定期間ですね事業の実施状況の報告を求めております。そういった中で、今年度報告のあった事業者さん、こちらにつきましては令和元年と令和2年の比較ということで、売り上げ状況、実施状況の報告を求めたところ、事業者の約6割が前年よりも売り上げを伸ばすという状況になってございます。一方で約4割の事業者につきましては、売り上げを落としているという状況にございます。交付先の事業の継続と成長をサポートするため、県の商工会連合会の方に、専門経営指導員1名を配置をいたしまして、経営問題を抱えている方や新たな取り組みを行う方などへの経営指導を実施してございます。あわせて、より専門的な支援が必要な方に対しては、専門家の方を派遣いたしまして、さまざまな支援を行っているという状況でございます。

【斉藤委員】
 水産加工などで、技能実習生などの宿舎を整備する、これに支援をしてきたと。私かなり積極的な取り組みだったと。
 あわせて、164者の若者・女性の起業を支援してきた。これは貴重なんですが、残念ながらこれは継続されないで、それをフォローする取り組みになってしまった。これはちょっと残念です。フォローの取り組みももちろん大事ですけれども、私はやはり攻めの起業をさらにきめ細かに支援するという取り組みも必要なのではないか。時間がないので残タイムでお答えください。

【復興くらし再建課総括課長】
 沿岸事業者の起業支援等でございますが、震災直後から支援を行ってきたところでございます。そうした中で、現在、県の支援制度でありますとか、商工会とか商工団体でもさまざまな支援制度、あとは市町村でもそういった制度届いているという状況を踏まえまして、県はアフターフォローの方に専念すると。そちらに力を入れるということで、今年度から取り組みを起こさせていただいたというところでございまして、こういったところで寄り添う支援を行っていきたいと考えてございます。