2022年3月10日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑
(大要)


・太陽光発電の大幅導入について

【斉藤委員】
 私も地球環境問題について質問いたします。
 2月28日に、IPCC第二作業部会が第6次となる新たな報告書を公表いたしました。これは、「人間の活動が引き起こす気候変動がすでに広範囲な悪影響と損失・損害を与えている」と、こういう報告であります。「すでに現状で33億〜36億人が気候変動に対して脆弱性があり、水害・水不足などの被害が起きやすい状況にある」と。「世界の平均気温はすでに1.1℃上昇している」と。「2030年までに平均45%CO2を削減しないと、後戻りできない状態になってしまう」と。こういう厳しい科学者の指摘でありました。これは質問項目に入れてませんから聞きませんが、2030年までというのが、本当に私たちにとってきわめて重要な期間になると、こういう立場で本会議でも取り上げました。
 まず1つは、太陽光発電について、今回県は県有施設200カ所の調査をするということでお聞きをしましたけれども、問題は、すべての住宅、すべての事業所の屋根に太陽光発電を整備すると。こういう意気込みで今取り組む必要があるのではないか。まず現状ですね、住宅の太陽光発電はどのぐらい設置されているのか。事業所の太陽光発電の設置状況がどうなのか把握しているでしょうか。

【特命参事】
 太陽光発電の設置状況についてであります。令和3年9月現在の導入実績でございますけれども、10キロワット未満の主に住宅用のものが31253件であり、また、ほとんどが主に事業用と考えられる10キロワット以上のものが4772件となってございます。

【斉藤委員】
 事業所の関係は分からないということね。事業所も聞いたんだけれども。

【特命参事】
 事業用のものということでございますけれども、主に10キロワット以上のものというのが住宅にはございませんので、これが4772件ととらえております。

【斉藤委員】
 それで長野県は、2030年までに6割CO2削減すると。再生可能エネルギーは2倍にすると。こういう意欲的な目標を去年の6月、カーボンニュートラル戦略ということで打ち出しました。私これぜひ参考にしていただきたい。
 長野県の住宅太陽光は、いま82000件なんですね。これを30年には22万件、2.7倍に増やすと。岩手県の計画は25年までしかないんですよ。これも今29000なんですけれども、38500にする。1.32倍程度です。30年の目標がありません。もう2030年が焦点なんだから、2030年までにどういう規模でこの太陽光発電の導入を拡大するのか。もう新しい開発の時代じゃないと思います。今ある住宅や事業所の屋根使って、屋根ソーラーで太陽光発電を拡大すべきと考えますがいかがですか。

【特命参事】
 東日本大震災津波により被災した家屋への太陽光発電事業の支援や、また事業所向けとしては、低利融資事業を行っておりまして、これらを引き続き行ってまいります。現在の岩手県地球温暖化対策実行計画、省エネ住宅などの導入というのを進めていくということを記載してございます。
 ただ、今回国の方の動きであるとか、またグラスゴー合意といったものも、国内外のさまざまな情勢ございますことから、来年度この実行計画を見直すこととしておりまして、その中で必要な施策についても検討してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 ぜひ新たな開発に頼るんじゃなくて、既存の住宅、事業所の屋根を最大限使うと。そして具体的な目標を持つと。2030年までに、長野を参考に一つやっていただきたい。

・住宅の省エネ、断熱化について

【斉藤委員】
 二つ目は、住宅の省エネ、断熱化なんですけれども、環境省の住宅の断熱化への補助制度はどう取り組まれているでしょうか。施工可能な工事事業者の状況は把握されているでしょうか。

【特命参事】
 環境省の補助制度についてでございます。環境省が経済産業省・国土交通省と連携して実施しております、省エネ・再エネを組み合わせて年間のエネルギー収支をゼロにする住宅を整備する事業、いわゆる「ZEH等支援事業」というのがございます。こちらの事業でございますが、事務執行団体が公表した資料によりますと、本県の令和3年4月〜10月末までの戸建て住宅補助決定件数40件となってございます。
 また、その施工可能な事業者でございます。こちら、いわゆるZEHビルダー・プランナーというものでございまして、環境省の補助制度の補助要件というのが、ZEHビルダー・プランナーが設計・建築・改修・販売する住宅となってございます。令和2年度が直近の数字でございまして、本県の登録者数は192事業者となってございます。

【斉藤委員】
 私なぜこれを聞いたかというと、実は昨年作った実行計画の中に、省エネ住宅ストック率というのがあるんですよ。この省エネ住宅というのが、「二重サッシまたは複数ガラスを使用している住宅」と。これほとんど断熱性能ないんです。率直に言って、あまり意味がない。だから、例えば現状、これ2019年なんですけれど62.5%になっているんですよ。こういうのは全然指標になりませんから、いま環境省も国交省も、2030年には最低基準でZEH、ZEB、だいたいそういう基準です。鳥取は、私本会議で紹介しましたけれども、その上をいくレベルを目指しています。そういう意味で、住宅の断熱性能の基準というのを、実は日本の基準がヨーロッパと比べてあまりにも低くて問題にならないというのが専門家の見方です。ぜひ、長野はそれを超えて、鳥取もそれを超えてやろうとしているので、それをぜひ参考にしていただきたい。

・家庭での省エネ対策について

【斉藤委員】
 それで実は、家庭のCO2で何が一番多いかというと、家電製品なんです。これはクーラーとか冷蔵庫。それで長野県では、家電製品を購入するときに「省エネ性能説明義務」というのをやっています。いわば家電製品もピンからキリですから。この家電製品はこれだけの省エネ性能があって、少し高いけれども○年で元が取れますと。こうやっているんですよ。実は、暖房・灯油より家電製品のエネルギー量が多いんですね。私はこの省エネ家電製品というのはかなり出回っていますから、そういうことが積極的に使われるような、長野県のように業者に説明義務を課すとか、そういうことでしっかり取り組む必要があるのではないかと思いますが、考えていますか。

【特命参事】
 ただいま委員から紹介ありました通り、長野県では、家庭の省エネ化の推進であるとか、そういったものも含め全国的に先進事例という風に認識しております。
 来年度「グリーン社会」というのを推進していくという中で、先ほども申し上げた通り、計画の見直しなども行ってまいりますし、また全国の中でも先進的なところで進めている「脱炭素社会をめざす条例」というものもございます。いろいろな義務づけとかそういったものは条例などで謳うというようなところもあるかと一般的には認識しております。そういった見直し、また条例に向けた検討の中で、先進事例を参考にしながら検討してまいりたいと思っております。

【斉藤委員】
 来年度実行計画を見直すと。これはもう明確に知事も表明いたしましたので、そう考えると1年もないと思うんです。だから早々に全国の取り組みを研究しながら、本当に学べるもの、生かせるものは最大限生かすと。そのために必要な条例改正とか、補助制度だとか、大いに英知を結集してやっていただきたい。

・いわて水素モビリティ実証事業の問題について

【斉藤委員】
 そこで、私これだけは見逃してほしいと思うのが、いわて水素モビリティの実証事業なんですよ。いま燃料電池車は県内にどれだけ普及していますか。

【特命参事】
 県内の燃料電池車についてでありますが、国の公表資料によりますと、本年2月末現在1台登録でございます。

【斉藤委員】
 県内1台しかないんですよ。普及していない、しない理由があるのです。実はいま、燃料電池車を製造している自動車会社は世界で2つしかありません。トヨタ自動車と韓国の現代自動車だけです。いわば、これはもう競争で決着ついたと言わなければならないぐらいなんですよ。こんな時にですよ、税金を使って使われない水素ステーションをつくって、採算成り立たないでしょう、これでは。手を挙げる業者はないんじゃないかと危惧するぐらいです。使う自動車がないんだから。県庁が3台使ったって、これは成り立たない事業ではないのかと。
 長野県はどういう計画を立てているかと。長野県はEV、現在1911台、これは2019年の数字ですけど、これを2030年には10万台。乗用車の1割まで広げると。いわば本気になってCO2削減をやろうと思ったら、具体的で効果的な対策こそ必要ではないでしょうか。

【特命参事】
 水素を使った燃料電池自動車でありますけれども、本県においては普及が進まない最大の原因というのは、その水素を供給する水素ステーションがまだ設置されていないというところと考えておりますので、毎年度その水素ステーションの導入に向けた補助を検討しているということもございます。
 また、国の水素エネルギーに関する戦略など、国の方でも水素の利活用に関するものを戦略的に進めておりまして、その一環として今般国の方でも補助事業が行われていると認識していますので、この機をとらえて令和4年度予算で予算化しているということでございます。
 世界の流れとしてもですね、ドイツの方のメーカーも参入するという動きがありますので、そういった流れもとらえて検討して、まずは実証事業に取り組んでまいりたいと思っております。

【斉藤委員】
 あまりにも全体を見ない答弁ですね。本当に、国の補助制度ができたから手を挙げたという程度ですよ。CO2削減に取り組もうなんていう気持ちが全然伝わらない。EVの普及計画がないじゃないですか。やっと今EVに光が当たってですね、トヨタも本気でEVの生産に入りましたよね。しかし何が問題かというと、これ重点設備が十分ないんですよ、それでも。県の計画に、次世代乗用車で削減目標というのがあるでしょう。これは何でやるんですか。次世代乗用車を拡大して、CO2削減する計画を出しているでしょう。その中身を示してください。

【特命参事】
 実行計画におきまして、指標として乗用車の登録台数に占める電動車の割合ということで、令和元年度の現状値として17.4%であるものを、2025年度までには29.0%にすると。県内の電動車の導入割合というのも一定程度ございますので、これは電動自動車について、国でも導入する場合の補助などございます。そういったのもございますし、またCO2をなるべく排出削減するということで、ガソリン車からの転換というものも広く呼びかけてまいりたいと思っております。

【斉藤委員】
 今のは、電動車の中にはハイブリッドも入っているんですね。世界的にはハイブリッド入れていないのです。長野県の計画も入っていないです。さっき私が紹介したように「EV」。そしてアメリカの計画には、次世代自動車の普及で28万5千トンCO2削減するとなっているんですよ。これはEVじゃないんですか。FCVも入っているんですか。

【特命参事】
 電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車などを含めたものでございます。

【斉藤委員】
 だったら台数を示してください。

【特命参事】
 現在の次世代自動車の普及状況でございます。まず電気自動車、いわゆるEVでございますけれども、令和3年3月時点で1198台となっております。また、プラグインハイブリッド車、いわゆるPHVと呼ばれるものですが、1593台となってございます。FCVは先ほど答弁申し上げた通り1台ということでございます。HV、ハイブリッド自動車でございますけれども、99123台となってございます。これら次世代自動車を合計しますと、10万340台、国の資料になりますとそういう状況になってございます。

【斉藤委員】
 全然答えになっていないんですよね。EVとPHVで乗用車の中で0.52%ですよ。これリアルに見て、何を普及すべきかという戦略を立ててやるべきですよ。FCVを3台買って、ステーションつくって、どうやってCO2削減できますか。宣伝にもなりませんよこれは。本当にEVでやるんだったら、EVのしっくりした目標を持つと。ハイブリッドは次世代に入っていないというのが国際的な考え方ですよ。そういう意味で、これは見直しの課題だと思うので、これだけのお金をかけるんだったら、もっとEVの普及に本格的に取り組むという風に見直した方がいいのではないか。採算のとれない事業をやってもプラスになりませんよ。そういうことを率直に指摘しておきます。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 県央ブロックごみ処理広域化計画について、この間の進展状況、地域住民の合意はどう図られているか。ごみの減量計画はあるのか。
 また、いま決められた予定地というのは前潟イオンの近くです。いわば交通の要所、まちづくりの要所ですよ。排ガス対策とか交通渋滞対策というのは検討されているのか。まとめてお聞きします。

【資源循環推進課総括課長】
 まず、進捗状況についてでありますが、昨年3月に開催された県央ブロックごみし尿処理広域化推進協議会において、整備予定地が決定された後、同年5月および10月に前潟地区において住民説明会などが開催され、意見交換が行われたと利いております。また12月1日に開催された協議会では、広域処理開始後の焼却処理以外のごみ処理体制や、最終処分の方針などの課題について、8市町間で協議・検討を行うため、全体の工程を1年遅らせ、新たなごみ処理施設は令和14年度からの稼働を目指すことになっていると承知しております。
 次に、県央ブロックのごみ減量計画でございますが、県央ブロックの8市町においては、各市町それぞれで一般廃棄物処理計画などを策定し、ごみ減量化に取り組んでいるところでございます。今後は、広域化に向けて8市町において循環型社会形成推進地域計画を策定し、ブロック全域におけるごみ減量化のための3Rの目標・施策を定めるとしております。
 続きまして排ガス対策ですが、盛岡市クリーンセンターにおいて、現在は国の基準よりも厳しい基準で運転しております。今後、新しい施設についてもそのような地域との協議によって設定されると思います。また、交通渋滞対策については、今後実施する環境影響評価の中で、より詳しい調査を行い対応していくと考えております。

【斉藤委員】
 結局ね、減量計画がない、渋滞対策の検討もない。すべては場所ありきで進められていると。そのことを指摘して終わります。