2022年3月16日 予算特別委員会
企業局に対する質疑(大要)
・企業局におけるグリーン社会実現の取り組みについて
【斉藤委員】
県政の重点課題であるグリーン社会実現の取り組みの角度で質問します。
これまでの企業局における再生可能エネルギーによる取り組み、CO2削減量はどうなっているでしょうか。
【電気課長】
企業局の再生可能エネルギーによるCO2排出量削減効果についてでございますが、過去3年間を例にとりますと、供給電力量をCO2排出削減量に換算した値は、令和2年度は135万トン、令和元年度は約28万トン、平成30年度は約31万トン、平均では約31万トンとなってございます。
【斉藤委員】
令和2年度が約35万トンでしたが、30年度は30万トン、令和元年度は28万トン、この上下は水量の関係ですか。
【電気課長】
年度によって排出量が変わるのは、降水による取水量の影響でございます。
【斉藤委員】
それで、今後の再生可能エネルギーの開発、CO2削減の目標、見通しはどうなっているでしょうか。
【電気課長】
今後の再生可能エネルギーの開発、CO2排出削減量の目標、見通しについてでございますが、令和5年度までを取り組み期間とする現在の中期経営計画においては、簗川発電所の新規開発と稲庭高原風力発電所の再開発の具体的な取り組みとして掲げておりまして、供給電力量は年間約1200万キロワットアワーの増加目標を達成する見込みでございます。これをCO2排出削減量に換算しますと約6600トンでございます。また、令和6年度以降につきましては、入畑発電所および胆沢第二発電所の再開発により、供給電力量は年間約56万キロワットアワーの増加を見込んでおりまして、これも同じくCO2排出削減量に換算いたしますと約300トンとなってございます。
【斉藤委員】
2030年までに岩手県の昨年立てた計画は、2013年比で41%CO2削減と。この県が立てたときの企業局としての削減目標というのはあったんでしょうか。
【経営企画課長】
中期経営計画は令和2年度からということで、令和2年度に立てまして、その時点では、いわて県民計画の方は作成されていたんですけど、地球温暖化対策実行計画の方がその後に作成されましたので、CO2削減の目標値については経営目標にはございません。
【斉藤委員】
ないと。それは経営企画立てたのがその前だったとしても、去年県全体の目標として41%削減で決めたわけですよ。それは各部局で、各分野でこれをどう達成するかということになるわけじゃないですか。私は企業局もその重要な一翼として、しっかり目標を持って、目標達成の一翼を担うということが必要なんだと思いますよ。
それで、実はこの41%削減目標というのは、去年の時点では国の計画を上回っていたけれども、いま国も見直して国の計画よりも低くなった。そしてCOP26で、これは世界平均で2030年までに2010年比で45%削減ということが合意をされた。ところが今各国の目標を足しても、それはいかないのです。だから各国の目標をさらに引き上げるというのがグラスゴー合意だったんですね。これを受けて岩手県は来年度実行計画を見直すというのが本会議での知事の答弁でありました。来年度この実行計画を見直して、せめて世界平均を超えるような目標を持って取り組まなくちゃならないと私は思っていますし、長野県は60%削減の目標です。そのぐらいの目標を持たなくちゃならないと思うけれども、やはりそれに呼応した企業局のCO2削減目標というのを来年度しっかり立てるべきじゃないかと思いますがいかがですか。
【経営企画課長】
来年度、地球温暖化対策実行計画のCO2削減目標値を変更するということは承知しておりますので、時期の中期経営計画につきましては令和5年度策定予定でございます。2050年度の温室効果ガス削減ゼロ、実質ゼロを見据えまして、令和5年度に中期経営計画の目標を設定していきたいと思っております。
【斉藤委員】
来年度に県の目標を見直すというときに、企業局は令和5年度ということではないんだと思いますよ。全体の経営計画は令和5年度でいいですけど、CO2削減の全県の目標をどうやるかということで、その分野での企業局の目標・計画は、県が見直すものとセットで示されるべきだと。
これは局長に聞きましょう。地球温暖化防止対策の本部会議に局長も出ているんだから、そこで決めるんだから。そことセットで企業局の目標・役割というのも明確にされるべきだし、皆さん自身も真剣に考えて、2030年までに45%削減にどう貢献するかということは、本当に企業局がしっかり目標・計画を持つことが必要だと思いますけれどもいかがですか。
【企業局長】
岩手県地球温暖化対策実行計画の改定に当たりましての企業局としての目標設定等についてでございますけれども、地球温暖化対策実行計画来年度改定作業に入るということは承知してございます。その中で、委員ご指摘のありましたように、私も、正式名称ちょっとあれですが、本部員会議といいますか、合同の会議の中の一員に企業局長も入ってございます。そういったことだけではなくて、この実行計画の県として作る改定版の作業の中に、企業局としてしっかりと入りまして、具体的にその中で企業局がどのような位置づけなり役割を期待されているかということ等も踏まえまして、県の改定作業に参画・コミットしてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
現段階の皆さんの取り組みは、既設の改修ですよね。これは結構大規模な改修。基本的には発電量は変わらないんだけど、効率性が良くなって年間発電量は増えると。それはそれで評価しますけれども、やっぱりそれはわずかなんですね。これから大幅にCO2削減しようと思ったら、やっぱりまた発想を変えて取り組む必要があるのではないか。
それでですね、企業局が関わって前向きの取り組みという点でいけばですね、CO2フリー電気の供給というので、アマリングリーンでんき滝ダムの電気を供給して、久慈の合庁はそれでRE100ということで、二戸もこれはまた縄文発電所だと思いますけれども、RE100を目指すと。
やはり企業局のこうした発電はですね、県や全体のCO2削減の取り組み、地産地消の取り組みに結びつけていく必要があるという風に思いますけれども、これをどう広げるか。そういう計画・方針はあるのか示してください。
【経営企画課長】
CO2フリー電気の地産地消の推進の取り組みでございますが、企業局では県内の産業経済の発展と民生の安定に寄与するという観点で、これまでも県内の電力の安定供給を基本として取り組んでいるところでございます。地域経済循環の担い手である県内の地域新電力を支援するため、令和2年度から公募型プロポーザルにおいて県内事業者を対象とした県内枠を設定しているところでございます。令和4年度から5年度の売電につきましては、県内枠という枠を設定いたしまして、電気を久慈地域エネルギー株式会社に供給する契約を締結しております。県内枠として早池峰発電所という枠もあったんですけど、そちらの方が残念ながら公募がなくてですね、そういう状況でしたので、県内の地域新電力にアンケートをとりまして、ニーズ等を調査しておりますので、次の売電契約が令和6年度以降になりますけれども、その際にはそういった他の地域新電力のニーズ等を確認しながら、どういった方策でやるかというのを検討してまいりたいと思います。
【斉藤委員】
もう1つ検討してほしいのは、来年度県は県有施設200カ所、太陽光発電等の開発可能調査をやります。ここにも企業局の施設も入るんじゃないかと思いますが、いま新北上浄水場建設を大規模にやっているわけですよね。こうした新しい施設、既存の施設に太陽光発電を積極的に企業局としても設備すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
【電気課長】
企業局の施設における太陽光発電設備の導入ということでございますけれども、まず、平成10年度に北上市の工業用水道施設内に、すでに30キロワットの設備を設置済みでございます。また、企業局で所管する2カ所の事業所のうち、県内施設管理所につきましては、平成25年度に100キロワットの設備を設置しておりまして、もう1つの施設総合管理所でございますが、こちらの方は令和5年度に建物の改修を予定してございますので、それに合わせて設置に向けて検討しているところでございます。
これらの発電設備につきましては、売電を目的としたものではなくて、それぞれの施設で消費する電力を供給するものであります。発出するCO2削減にも貢献するものでございますので、今後も可能性がある施設については導入を検討してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
いま整備中の新北上浄水場の施設はどうなんでしょうか。それこそ新設こそ性能の良いものを整備すべきではないかと思います。
あわせて最後ですけれども、旧稲庭風力発電所はすでに解体をされました。最終的な費用対効果はどうなったのか。その教訓、それを新しい新設の太陽光発電にどう生かすのか。このことについて示していただきたい。
【電気課長】
旧稲庭高原風力発電所の費用対効果についてでございますが、損益につきましては、事業の終了後の風車の撤去費用等を含めますと、収益が約14億2千万円に対しまして、支出が約16億5千万円となり、損益は約2億3千万円の赤字となる見込みでございます。なお、効果につきましては、平成13年9月に営業運転を開始して以来、令和3年2月までの19年5ヶ月間で約7000万キロワットアワーの電力を供給してございます。CO2排出量換算で約38000トンの削減に貢献したほか、県内で稼働している風力発電の先導的な役割も果たしたものと考えてございます。
【業務課総括課長】
ただいま委員お尋ねの太陽光発電への稲庭高原風力発電のこれまでの実績とか、経験なりを生かせないのかとったご質問だったと思いますけれども、やはり発電の手法が違うということで、技術的な部分についてはなかなか自電したり発電したりする部分については、こういった建設なり改良を職員が経験するということでですね、技術的な部分での知識なり経験をため込んで、企業局の職員にとっては非常に有益な技術だったり知識になっていくのかなと考えております。
【斉藤委員】
旧稲庭高原風力発電、これは初めて企業局が風力発電に取り組んだと。雷でストップしたり、さまざま私もこの場でいろいろお聞きをいたしました。しかしそういう取り組み、経験が高森高原風力発電に生かされていると思うし、今度は1基ですけれども、性能の良い風力発電になったということは評価をしたい。ただ、結果として2億3千万円の赤字だったというのは、ちょっと経営としては残念な結果だったということを率直に指摘しなければなりません。
いずれにしても、今日はグリーン社会の実現、気候危機打開という角度で、企業局が今までのノウハウを生かして、新たな役割を発揮するということを強く求めたいと。最後に局長にお聞きをして終わります。
【企業局長】
企業局におけます今後の新たな分野等に対する取り組み等についてでございますけれども、まず委員先ほどご指摘の通り、旧稲庭の経験につきましては、そういったご指摘も受けまして、今後反省等も含めて、今後の事業展開に生かしてまいりたいと思いますし、今後もそういった面で企業局の強みと考えております技術やノウハウ、こういった蓄積を生かしまして、新規の開発や再開発に取り組んでいきたいと考えておりますけれども、若干再生可能エネルギー導入にあたりましては、送電線の空き容量の不足にともないます接続の制約や、水力発電開発の適地の奥地化にともないます建設コストの増加などの課題もございますところ、現時点では新たな発電所の建設にただちに取り組むには課題も多いところでございます。ただ、今後につきましては、まずは現在予定している再開発事業を電気の安定的供給のために着実に進めつつ、新しい分野や可能性につきましては、柔軟な発想でさまざまな可能性等について研究・追究してまいりたいと考えております。