2022年3月16日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑
(大要)


・新型コロナによる事業者への影響と実態、支援について

【斉藤委員】
 新型コロナ感染による事業者の影響と実態についてでありますけれども、この2年余、影響が継続している。そして1月以降、オミクロン株で本当に桁違いの感染が急拡大して、1月以降の事業者の影響というのはきわめて深刻ではないかと受け止めていますが、どのようにリアルに今の現状を把握しているでしょうか。

【経営支援課総括課長】
 委員ご指摘の通り、やはりオミクロンの猛威で1月以降、我々やっている影響調査でもかなり苦境を訴えるといいますか、それがうかがえるような大幅な売り上げの減少というものが見えております。
 先ほど来繰り返しになりますけれども、各組合の方々からの要望でありますとか、あるいは私どもとしても、商工機関あるいは金融機関を通じての各事業者様の動きということになりますけれども、そこで交わされる、あるいは報告される中身についても、かなり厳しい状況にあるということは承知をしております。

【斉藤委員】
 リアルにと言ったのに抽象的でした。
 1月の事業所の影響調査では、21%以上の売り上げ減少というのが64%でした。41%を超える売り上げ減少というのが、宿泊業では36%、飲食では41%、運輸業では31%と、41%以上の売り上げというのは普通なら即倒産してもおかしくないぐらいの打撃ですよ。そういうのが2年余継続して、さらに悪化していると。このことをしっかり踏まえたうえで県の対応策がとられなければならないと思っております。
 そこで、私一般質問を行いましたが、知事はこう答弁をいたしました。「切れ目なく事業者の皆さんへの支援が行われるように対応していきたい」と。ところが今年度末で国の支援も県の支援も切れるんですね。「切れ目なく」と言ったら、4月から事業者の新たな支援がなくてはならない。
 そこで先ほど部長がかなり踏み込んだ発言をしたと思っています。「今すぐにでも予算化できるように準備している。『今議会中にでも』というスピード感で」検討していると。すごいですね、今議会中に。来年度補正予算切れ目なく出すと、こう受け止めてよろしいですか。

【商工労働観光部長】
 先ほど答弁申し上げました通りでございまして、いま検討を早急に進めておりますので、具体的な中身が何かというのは、ちょっとここでしゃべることは難しいですけれども、県で取りうる対策というのも今現在の状況では限られてきますので、できるものをまずは予算化して、準備期間等も必要ですので、できるものをまずは予算化したいという趣旨の発言をさせていただいたところです。

【斉藤委員】
 できるものは今議会中にと、こういうことですね。今議会中に。分かりました。
 部長は私の質問に対してこう答えているんですよ。「現在の事業者の実態に応じたさらなる支援が必要と考えております。このため、地方創生臨時交付金のさらなる増額や大胆な経済対策を国に強く働きかけながら、県としての追加事業の構築や既存事業の拡大・拡充を含めた検討を進めてまいります」と。これは本会議での答弁でした。今日はもっと立ち入って、今議会中に補正予算を提案すると。ここまで聞きましたので。
 実は、今年度もっとも喜ばれた県の施策は「地域企業経営支援金」でした。これは1月の事業者実態調査でも、「何を利用しましたか」の第1位は「市町村の独自補助」でした。ほとんど同じ率で県の地域企業経営支援金でした。国が無策な中で、県と市町村の支援が県内の中小企業を支えてきたと思うんですよ。そして今市町村は、例えば1月以降だけで、宮古・花巻・北上が家賃補助、大船渡はプレミアム付き商品券、陸前高田市もプレミアム付き商品券と20〜30万円の事業者支援をやるということを3月議会でも打ち出しております。もっとたくさんあると思いますけれども、市町村は現場に近いですから、本当に今こういう支援しないともたないという判断でやっていますので、県も昨年は財源なかったけど財政調整基金を取り崩してやったんですよ。そのぐらいの決断を知事はしたんですよ去年は。私はそのことも含めて、補正予算で100億円ぐらい財調積んでいますから、その気になったらかなりのことができると思いますので、しっかりやっていただきたい。

・いわて旅応援プロジェクトについて

【斉藤委員】
 いわて旅応援プロジェクトの実績と4月以降の取り組みはどうなるか。
 今日の新聞に、昨日国土交通大臣が県民割をブロックに拡大すると、こう明言をしました。おそらく4月以降は県民割をブロック拡大ということじゃないかと受け止めましたが、4月以降の取り組みの方向性を示してください。

【プロモーション課長】
 はじめに、いわて旅応援プロジェクトの実績の方でございますけれども、第一弾および第二弾の2月末までの精算状況の合計は、利用人数が約79万4千人、割引額とクーポン券を合わせた利用金額は約45億9千万円となってございます。
 4月以降の取り組みについてでございますけれども、昨日国交大臣が記者会見をしていますし、今日もいろいろ報道等では情報が出ていますけれども、現時点におきましてはですね国の方からまだ正式な連絡はきていないところでございます。ただ把握しているところでは、国の地域観光事業支援、現時点で3月31日までとなってございますが、国の方では令和4年度の予算の繰り越し手続きが整った段階で補助対象期間を延長するという方向で話を聞いてございます。プロジェクトを円滑に進めるためにはですね、早期に事業の帰還であるとか、割引の内容とか、範囲の拡大といったところを関係者に周知する必要があることから、国の方から連絡があり次第速やかに事業を進めてまいりたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 ああいうニュースがあったら、通知を待つんじゃなくて確認をすると。いま議会中なんだから。こういう大事なことは、私は質問しているんだから、通告も。国に確認をして答弁するぐらいの構えじゃなきゃだめじゃないですか。だいたいもう昨日の答弁見たら、4月はブロック拡大としか読めないでしょう、大臣の記者会見は。
 それで今いわて旅の実績答弁ありました。第一弾は4月16日から、第二弾は3月31日までですけれども、3月14日までの実績が45億9100万円ですね。今度の議会で12億円補正して、その後80億円補正したんですよ。2年間分ぐらいの県民割なんです。これは中断する理由まったくない。そういうことで、できるだけ早く確認をして、そしてちゃんと県民にもお知らせすると。ホームページにも明らかにすると。こないだ3月10日までというものの延長は県のホームページにも出ないんだから。我々にも通知ないんだから。だめですよこういうのは。本気でやろうとしているのかと。予算だけは莫大に、これはどういうわけか予算化・事業化されているんです。この半分でも事業者支援しなくちゃならない。そのことも強く求めておきたいと思います。
 それで一言評価をしておきたいと思うんだけれども、実は今日の新聞なんですけれども、河北新報。東北の宿泊者、11年以降は最少になったという中ですけれども、前年比で伸びたのは岩手と青森でした。前年比は5.5%伸びて、19年比では27.5%減と。だから県民割で前年比を上回る宿泊客になったんだと思うんですよ。だからそういう意味で、本当に40%以上の売り上げ減少の中でかろうじて今持ちこたえていると。そしてこの産業は、かなり裾野の広い産業ですから、そういう点でも影響は大きいと思うので、ぜひ良いことは早く、県民に分かりやすく徹底するということを強調しておきたいと思います。

・東日本大震災津波からの生業の再生について

【斉藤委員】
 東日本大震災津波からの生業の再生について。グループ補助の今年度の実績と来年度の見込みを示してください。あわせて、グループ補助を受けた事業者の経営実態、倒産件数はどうなっているでしょうか。

【経営支援課総括課長】
 今年度のグループ補助金の実績についてでありますが、令和4年2月末現在で、東日本大震災にかかるものが3グループ3事業者に対して9500万円余を、また福島県沖地震にかかるものが1グループ20業者に対して3700万円余を交付決定しているところであります。
 来年度の見込みにつきましては、市町村や商工指導団体と連携して需要把握に努めているところでありまして、現在新規申請3グループ4件の要望を確認しております。
 また、経営実態であります。グループ補助金交付事業者の経営実態につきましては、東北経済産業局が昨年8月に実施し12月10日に公表した東日本大震災グループ補助金フォローアップ調査の結果によりますと、震災直前の水準以上まで売り上げが回復している事業者の割合は、岩手県では36.1%となっております。また、グループ補助金を交付した後に倒産した事業者は、令和4年2月末現在で19者となっております。

【斉藤委員】
 このグループ補助金の交付を受けた経営実態は答弁の通りなんですけれども、実は前回と比べると、令和2年10月公表と比べると、震災前の水準以上の回復が44.6%だった。それが36.1%に。そして売り上げが震災前の水準に達していないというのが55.4%から63.9%と。これまた悪化をしているということで、本当に震災・コロナ・大不漁、さまざまな困難に直面しているのが実態だと思います。
 そこで、水産加工業の実態と振興策についてお聞きをいたします。

【産業経済交流課総括課長】
 水産加工業の実態についてでありますが、近年の主要魚種の不漁により国産原材料の確保が困難となる中で、高騰分の価格転嫁が難しいことや、新型コロナの影響により外食需要が縮小したことによりまして、多くの事業者が利益の確保に苦慮していると承知しております。
 県が事業者に行った聞き取りでは、一部には消費者向けのネット通販で売り上げを伸ばしているものもありますが、多くの事業者は事業継続に向けた課題として、魚種の転換や高付加価値商品の開発、ハードの拡大・確保を挙げておられます。このため県では今後の振興策として、アドバイザーの派遣や商品開発にかかる相談会の開催等により、売れる商品づくりを支援していきますほか、県内外での食の商談会の開催や、民間企業と連携し航空機で輸送した新鮮な海産物を西日本の飲食店等で提供する取り組みを本格化させるなど、新たな販路開拓につなげてまいります。また、いわて希望応援ファンドに沿岸地域の事業者の優先補助枠を新たに設け、水産加工業をはじめとする事業者の新事業の展開を支援してまいります。

【斉藤委員】
 水産加工業は、沿岸被災地の基幹産業であります。先ほど19件、グループ補助で倒産したうちの5件は水産加工ですからね。これはもう水産振興課とも連携しながら、水産加工業への支援策を本当に多面的に強化をしていただきたい。一部に売り上げを伸ばしているところあります。こういう経験・教訓がどう普及できるのか。あとは共同ですよね。共同というのも今つくられていますので、共同の力でどう再建・振興を図るのかも考えてやっていただきたいと思います。

・雇用拡大と県内就職率の目標達成に向けた取り組みについて

【斉藤委員】
 雇用拡大と県内就職率の目標達成に向けた取り組みについてお聞きします。
 新規学卒者の求人状況、自動車・半導体・医療機器の岩手がメインとする求人と就職の状況はどうなっているでしょうか。

【雇用推進課長】
 新規学卒者の求人状況等についてでありますが、岩手労働局によりますと、令和4年3月卒の高校生の県内求人数は、令和4年1月末現在で5421件と、前年同期比で1.9%の増となっております。
 自動車・半導体・医療機器の分野別に一律に求人を分類することはできませんが、製造業全体では1752件と、前年同月比で9.2%の増となっております。
 また、令和4年3月卒の高校生の就職内定率ですが、令和4年1月末現在で95.1%であり、前年同期比0.2ポイントの減でありますが、そのうち県内就職の内定割合は73.6%と2.6ポイントの増であります。また、製造業に内定している者の割合が内定者全体の42.9%を占めております。

【斉藤委員】
 1月末で県内就職率、これは高卒ですけれども73.6%ということでありました。84.5%というのが県の目標なんですね。去年71.4%でしたから、これは前進をしたとは言えますけれども、去年の水準は全国35位なんですよ。だから73.6%というのは微増ということに残念ながらとどまっているのではないか。
 そこで、目標達成に向けてどういう取り組みをすべきなのか。私は本会議で、北陸三県、山形県等の取り組みに学んで強化すべきだということを提起しましたが、90%を超える北陸三県、80%を超える山形県、何が違って、今どう取り組んでいるのかということを具体的にお聞きをいたします。

【雇用推進課長】
 他県との取り組みの比較についてでございますけれども、北陸三県・山形県等の状況を見ますと、すべての高校を対象としましたキャリア教育支援や進学を希望する高校生に対して、地元の魅力ある企業や暮らしやすさを知ってもらう取り組みなどがあり、こうした取り組みを長年にわたって着実に実施してきたことが効果をあげている一つの要因ではないかと推測されます。
 本県ではこれまで、学校関係者、民間企業等と連携を図りながら、小中学校の段階から企業見学会や企業ガイダンス、出前授業などを実施するとともに、高校生に対しては就業支援員による個別面談等の支援をしておりまして、今年度新たに県内就業キャリア教育コーディネーターを広域振興局に配置しまして、進学希望者を含む高校生への県内企業の認知度向上等のキャリア教育支援の取り組みの強化を図っているところでございます。
 令和4年度はこれらの取り組みに加えまして、県内の大学等と連携して、授業を活用した県内企業の魅力紹介、普通高校の生徒も含めた県内企業等との交流イベントの開催、女子学生を対象とした若手社員との意見交換会や職場体験等の実施によりまして、高校生、大学生も含めまして県内への就職という流れを着実につくっていくことによって、将来県内へ定着する人材を確保していきたいと考えております。

【斉藤委員】
 就業支援員、キャリアコーディネーターを配置したというんだけれども、就業支援員の数の範囲内でキャリアコーディネーター配置なんですね。そして、県内で専門高校のセンター高校には残念ながら配置されていないと。ここが一番県内就職率頑張らなくちゃならないところには残念ながら配置されていないというのも実態です。だからそういう意味で、本当にしかるべき手立て・対策がとられるように、しっかりやっていただきたい。
 あと本会議で新規学卒者の県内就職のために、首都圏と何が違うかと。1つは、寮・社宅なんですよ。やはり就職したら自立したい。しかしそういう設備というのがないと。そういう意味で、本会議でも紹介しましたけれども、水産加工業者が実習生を確保するときのアパートの整備なんかには補助金を出しているんです。だから県内就職を高めるために、そういうものにもきっちり支援する必要があるのではないかと考えますがいかがですか。

【労働課長】
 県内就職に向けた寮・社宅整備への支援についてでございますけれども、県内就職の向上、Uターンの促進を進めていくためには、若者や子育て世代の暮らしやすさを確保していく必要がございます。こういった方々が、委員ご指摘の通り、生活の上で負担になっているのは住宅費ですとか通信費等に要する経費の負担軽減ということを図っていくことは必要であると考えております。
 県では令和2年度に、若者向け住宅支援施策ワーキンググループというものを設置しておりまして、若者向けの住宅費用ですとか移住費用等の負担軽減に関する支援施策の一体的な検討を進めてまいりました。今後も人口減少対策の一環として検討を継続しているところでございます。この中で、令和3年度につきましては、県土整備部でWi-Fi通信環境がある県営住宅を提供するモデル事業を実施しておりますし、4年度はこの範囲を全県に広げて、県営住宅を全域で拡大して活用いただくということで、就業者の住宅支援制度のない県内企業に対しても貸し出すというところが新しい部分になってございます。
 当部といたしましては、働き方改革の運動に参加している企業さんはじめ、企業さんの方にこういう情報を周知して活用促進に努めてまいりたいと考えております。