2022年3月18日 予算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)
・災害公営住宅の家賃問題について
【斉藤委員】
災害公営住宅の家賃問題についてお聞きします。
国の特別家賃低減低減事業の対象世帯、すでに5年が経過した世帯、県の家賃低減制度に移行した世帯はどうなっているでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
国の特別家賃低減低減事業の対象世帯、県の家賃低減制度の状況でございますけれども、国の東日本大震災特別家賃低減低減事業対象世帯数ですけれども、令和4年1月4日時点で942世帯、全世帯1453世帯における割合は64.8%という形になっております。また932世帯中、供用開始5年経過したアパートに居住する世帯は675世帯、全入居世帯1443世帯における割合は46.5%となっております。
また、県の独自減免を活用している世帯数ですけれども、令和4年1月4日時点で127世帯となっておりまして、割合は8.7%となっております。
【斉藤委員】
64.8%が国の低減家賃、これは15万8千円が公営住宅の基準です。8万円以下ですよね。ですから約その低い基準の半分以下の低所得者が64%を占めていると。すでに5年経過して家賃が徐々に上がり始めていると。一方で岩手県は独自に、国の低減とほぼ同程度の家賃減免の制度がありますから、ここの移行をしっかりやるべきだと思いますけれども、その点はどうですか。すでに県の方が有利な入居者、こういう方々に徹底されているでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
低減制度の移行につきましては、国の低減制度を活用している期限を迎える方、また、基本的には5年間は国の制度は一律なんですけれども、5年目以降は段階的に10年まで上昇していくという制度になっております。その中で、県の方が有利な制度になっている方につきましては、家賃決定の際などを通じまして、適切にご案内しているところでございます。
【斉藤委員】
ぜひ繰り返し周知徹底をしていただきたい。
そこで次に、収入超過者、これ来年度、今年の4月になりますけれども、25万9千円に収入基準が引き上げとなります。これは一歩前進だと。どれだけの世帯は対象になるのか。ならない世帯はどうなのか。その動向について把握しているでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
収入超過世帯の状況についてでございますけれども、県営災害公営住宅におけます本年1月4日時点で、収入基準を超過している世帯は112世帯という形になってございます。そのうち、収入超過認定をされている世帯は96世帯、今後認定される可能性がある世帯は16世帯という形になっております。また、収入超過認定されております96世帯のうち、収入基準の引き上げを行いますけれども、こちらによりまして裁量世帯という風に移行する世帯は67世帯、収入超過世帯に占める割合は69.8%なっております。
なお、収入基準の引き上げ後も収入超過認定される世帯は29世帯と把握してございます。
【斉藤委員】
収入超過を引き上げても、3割の方々は残念ながら対象にならないと。これ結果的に追い出しになりかねないのです。
少しリアルな話をしますとね、これある県営住宅で規模の大きいところです。30代半ばで、自治会の副会長、管理人もやっている。その方がわずか400円程度オーバーしそうだと、新たな収入基準に対して。現在6万円の家賃なそうですけれども、71000円の家賃が4月から出されたら出ざるを得ないと。民間のアパートに入らざるを得ないと。こう言っているそうです。子育て世代ですよ。来年4月に小学校に入る子どもをかかえて、奥さんはパートで働いていると。奥さんパートですから、この400円弱は何とかなるんじゃないかと思うんだけれども、そういう配慮があっていいんだと思うんだけれども、こういう実例があるわけですよ。30代半ば、働き盛り、自治会の役員、こういう方々を追い出していいのかと。いま目的外使用で若者を移住・定住でやっているでしょう。これは良いことですよ。しかし、いま災害公営住宅に入って定住しようとしている方々を、高い家賃で追い出すなんてことをやったら、私はこれ本当に逆行するんじゃないかと。私は目的外使用の定住の対象にこういう方々をしっかり据えて、子育て中で自治会役員をやっている方ですよ。こういう方々が安心して入居が続けられるような手立てが必要だと思いますけれどもいかがですか。
【建築住宅課総括課長】
収入基準の引き上げの対象とならない世帯の皆様に対する対策でございますけれども、収入基準の引き上げ後も収入超過認定される29世帯につきましては、引き上げと同時に高額所得者であっても退去を求めない措置というものを県の独自の対策といたしまして、4月から実施させていただくという風にしているところでございます。このような方々につきましても、家賃決定の際の通知などにおきまして、退去を求めないというところにつきましては、きちんと通知して、急に住まいを失うということのないように努めてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
これ回答になっていないんですよ。「退去を求めない」だけで、高い家賃になるんですから。「高い家賃だったら出ざるを得ない」と言っているんですよ。ここが問題ですよ。いいですか、39歳以下の若者だったら、県営住宅に目的外入居いま認めているわけでしょう。被災者で、災害公営住宅を終の棲家として、子育てもして、自治会役員もやっている。なぜこういう方々が追い出されなくちゃならないのかと。こういう方々に、やはり血も涙もないやり方じゃなくて、一緒になって考えて、定住という角度から、特別な手立て、目的外使用も含めた手立てが必要だと。
部長、若者だけじゃなくて、この方は30代半ばですから若者ですけれども、被災地の若者を今の災害公営住宅から追い出していいんですか。自治会役員のなり手ですよ。こういう方々が災害公営住宅のコミュニティの中心になってやっている。こういう方々が住み続けられるような手立てが必要だと考えますけどいかがですか。
【県土整備部長】
災害公営住宅のコミュニティの担い手となっている方々に長く住んでいただけるようにという意味でのご指摘ととらえました。長く住んでいただくためには、そういった観点で、12月議会でですね、収入基準の見直しというのをさせていただいて、議決いただいて、来年度からそういったことで対応させていただきますし、あとは裁量世帯の対象の範囲を拡大するといったような取り組みもさせていただくことにしております。ただ、そうはいっても委員ご指摘の通り、全員がそういう対象になるかというと、現状の制度としてはそうではないとなっておりますので、いま何ができるかというと、ちょっと難しいところはあるんですが、どういった制度がいいのか、見直すのかどうかというところまでは、まだそういう段階では当然ないので、今これからやろうとしている制度をしっかり皆さんに周知して、長く住んでいただけるようなことで考えていきたいと思っております。
【斉藤委員】
私具体的に提案します。
若者向けの目的外使用、来年度は沿岸にも拡大するとなっているんですよ。ここに、私が紹介したのはまったく若者ですよ。そういう自治会の担い手、こういう方々も対象にすると。こういう形で、とりわけ被災者なんだから、そして地元で子育てして、自治会のコミュニティの中心になっているこういう方々に対して、若者の定住という角度で、そうすれば対象になりますので、ぜひそういうことを考えてしっかり被災者の切実な願いに応える対応を強化をしていただきたい。
・気候危機打開と住宅の断熱化について
【斉藤委員】
次に、2030に向けた気候危機打開と住宅の断熱化についてお聞きいたします。
県内の住宅の断熱化の状況ですが、先ほど長野の話がありました。長野県では住宅の90%以上が断熱不足と言っているんですよ。それは基準が違うんです。低い国の基準じゃなくて、本当に断熱に必要な性能基準を基にしてやれば、90%は断熱不足。それを2030年までに全ての新築建築物をZEH・ZEB化を実現する―これが長野の方針です。
やはり岩手県も、いま住宅マスタープランも出そうとしているでしょう。来年度は、岩手県の地球温暖化防止の実行計画も見直すと言っています。ここに合わせて、国の低い基準じゃなくて、鳥取県や長野県、そういう国の基準を超えたヨーロッパ並の断熱基準の住宅建設で、CO2削減、健康にも良い、そういう住宅の整備を県土整備部としても進める必要があると思いますけれどもいかがですか。
【建築住宅課総括課長】
国の省エネ基準を超えます断熱住宅の建築推進というところという風にとらえておりますけれども、こちらの国の省エネ化の断熱化の基準というものにつきましては、現在、岩手型住宅の基準にも準用しておるところでございまして、今のマスタープランの改定におきましては、このガイドラインの方も見直すという風にしております。この中で、どういった基準がいいのかというところも検討しながら、言及しながら、県独自の断熱基準というものも研究してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
もうちょっとリアルに紹介しておきましょう。
鳥取県の「とっとり健康省エネ住宅性能基準」、これ断熱性能だけ紹介しますと、UA値―国の省エネ基準は0.87、ZEH基準は0.60、とっとり健康省エネ住宅性能基準は、G1で0.48、G2で0.34、G3で0.23、いわばZEH基準を超えたレベルの住宅、その整備に最大110万円〜150万円の補助。
長野県が昨年打ち出した「信州健康ゼロ住宅指針」、これも最低基準が、UA値で0.4〜0.5、推奨基準は0.3〜0.4、先導基準は0.2〜0.23。これも国の基準を大幅に超えた、三段階にしていますけれども、それぞれの性能基準に応じた補助をやっています。
EUは義務化なんです。日本は努力義務なんです。そういう点でも、基準も低い、そして義務づけもしていない、そういう中で、やはり鳥取・長野の取り組みに学んで、ぜひやっていただきたい。
1つだけ紹介すると、長野県はどうやってこれを推進しているかというと、いわば「レベルの高い住宅をつくれば、400〜500万円高くつきます」と。「しかしそれは年間30万円水光熱費が削減できて、17年で回収できます」と。ここまでやっているんですよ。だからそういう具体的な基準、そしてその効果、こういうものも示して、岩手型住宅という林業の分野とも少し整合性をもたせて、岩手型住宅のレベルを、例えば三段階なら三段階定めて、それに応じた支援・補助をするということを、ぜひ来年度に向けて押し出していただきたい。いかがですか。
【建築住宅課総括課長】
さらなる断熱化への取り組みという風にとらえました。こちらの方の取り組みにつきましては、繰り返しになりますけれども、岩手型住宅のガイドラインの見直しというところで考えたいと思います。ZEH、いわゆる今の省エネ基準を超えたさらなる高みのZEHという国の省エネ基準、また長野県ですとか鳥取県の取り組みを今研究しているところでございまして、今後県といたしましてどれぐらいがいいのかというところを研究してまいりたいと思います。その中で、やはり消費者であります建て主さんが納得してその住宅を建てていただけるというような制度を確立していく必要があるかと思いますので、その辺は委員からご指摘あった通り、どれぐらいの金額が回収できて、どれぐらいどのようなメリットがあるかというところを適切に伝えるというような方法も一緒に検討しながら、推進を図ってまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
私も研究しました。住宅見学会にも行ってきました。私が見た住宅はですね、断熱性能、UA値0.28以下、これはG2グレードです。機密性能C値0.5以下、これもG2・G3のレベルです。こういう住宅はすでにつくられて、完成見学会に行ったんですけれども、それで坪80万円だというんですよ。決してこれはそんなに高くない。おそらく10年そこそこで回収できる。エアコン1台、夜だけ温めて、日中は消して、私が見たときには24℃、風呂場も24℃でした。こういう住宅が整備をされるということは、CO2削減にとっても健康にとっても大変素晴らしいことではないか。そういう力をもった業者もすでに出ていますので、ぜひこのことを進めていただきたい。
さっきの省エネリフォームのやつは、たった10件でしょ。芽出し程度ですね。やるのなら100件200件やるような予算を組んでいただきたい。
県営住宅の屋根に太陽光発電を設置すべきではないか。
【建築住宅課総括課長】
まず、県営住宅への太陽光発電の設置についてというところでありますけれども、国の方では令和4年度からですね、公営住宅の省エネ化・再エネ化導入を図るために、太陽光発電設備を原則設置という形にしたうえで、再生可能エネルギーの設備の設置につきましても補助対象に追加しておるところでございます。
県営住宅への太陽光設備の設置の検討につきましては、積雪寒冷地でございます本県の発電効率ですとか、後付けで設置するという建物構造上の調査等々の検討をする必要がございますので、設置の可能性につきましては、他県の事例等の研究を行いながら検討してまいりたいと考えております。
・住宅リフォームについて
【斉藤委員】
市町村の住宅リフォーム助成、やはり県の住宅リフォームは、高断熱に思い切って、そういう住み分けをしてもいいのではないかと思っていますが、市町村の実績を含めて答えてください。
【建築住宅課総括課長】
市町村の住宅リフォーム助成事業の取り組みの実績、経済効果というところでございますけれども、県で把握しております市町村の住宅リフォームに関する助成制度につきましては、県内33市町村のうち29の市町村で実施されておるというところでございます。
令和3年度12月末時点の住宅リフォーム助成制度の実績につきましては、補助件数が549件、補助額が約8700万円という形になっております。経済波及効果につきましては、リフォーム助成制度の対象工事を比べますと、約9億8千万円という風になっておりまして、補助額に対しまして約10倍の経済効果となっているものと考えているところでございます。