2022年3月25日 2月定例県議会最終本会議
議案に対する質疑(大要)
・感染拡大の状況と事業者への影響、補正予算の意義について
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第68号、2022年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について質問します。
今回の補正予算は、新型コロナ・オミクロン株による感染拡大で、長く、大きな打撃を受けている飲食店や事業者支援のための補正予算であり、今議会中に提出したことを評価するものであります。
知事に質問します。新型コロナ・オミクロン株による感染拡大で、飲食業や宿泊業、運輸業など事業者は大きな打撃を受けています。特に、オミクロン株による感染拡大は県内でも感染爆発というべき事態となり、学校、教育・保育施設、高齢者施設や医療施設でもクラスターが多発するなど、極めて厳しい状況となっています。感染拡大の状況と事業者への影響、今回の補正予算提出の意義と内容について示してください。
【達増知事】
斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
本県の感染状況と事業者への影響、補正予算提出の意義等についてでありますが、感染状況については、3月23日時点で新規感染者数の今週・先週比が0.8と減少傾向が見られるものの、一日200人以上の新規感染者が確認される日も多く、高い水準の感染レベルが続いており、また、感染の場面については、保育園・幼稚園や学校での集団感染とそれにともなう家庭内感染が主となっています。こうした中、事業者の方々には感染対策にご協力をいただいておりますが、原油高の影響なども相まって、その経営状況は一段と厳しさを増していると受け止めており、事業者影響調査の直近2月末の結果においても、コロナ前の同月比で売り上げが41%以上減少している事業者の割合が28%と、年明け以降再び上昇傾向にあり、特に宿泊業と飲食業が高い割合となっています。感染の拡大を食い止めて減少させていくことは、事業者に対する最大の支援と考えておりますが、こうした状況からさらなる支援策を講じていく必要があると考え、関係団体等の意見も踏まえ、事業者が抱える過剰債務などの課題解決に向けた支援センターを立ち上げるとともに、需要喚起策としての「いわての食応援プロジェクト第二弾」を実施しようとするものです。
あわせて、事業復活支援金を4月以降も対象期間とすることや支援額の増額、売り上げ減少率の要件緩和、地方創生臨時交付金の増額などを国に強く働きかけながら、今後も事業者に対し感染状況に応じた切れ目ない支援を行い、事業の継続と雇用の維持を図っていく考えであります。
・いわて飲食店応援事業費について
【斉藤議員】
補正予算の具体的内容について質問します。
第一に、「いわて飲食店応援事業費」に5億5千万円が計上されています。
@昨年の8月2日から今年の1月16日までの利用期間で取り組まれた、第1弾の「いわての食応援プロジェクト」の実績、利用店舗数と財源を示してください。
A今回の第2弾となる「いわて飲食店応援事業」は、いつから開始されるのか、どれだけの規模の事業となるのか示してください。
Bすでに県内市町村でもプレミアム商品券等の事業を実施していますが、その状況と実績をどう把握しているでしょうか。
【商工労働観光部長】
まず、いわての食応援プロジェクト第一弾の実績につきましては、額面5000円、販売価格4000円の25%プレミアム付食事券22万9695冊、額面で11億4847万5千円が販売し、販売額の99.5%にあたる11億4292万4千円が利用されております。参加店舗数は2113店舗であり、その利用状況については現在精査中でありますが、実際の利用がなかった店舗は25店舗程度になるものと見込んでおります。財源につきましては、主に割引原資が国負担で約2億3千万円、事務局運営費や広告料を含めた事務費が県負担で約1億1千万円となっており、これについては国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用しております。
次に、開始時期等についてでありますが、一定の準備期間が必要となるため、現在、本年5月中旬までに販売利用を開始する方向で調整を進めており、利用期限は12月中を予定しております。事業規模につきましては、前回のいわての食応援プロジェクトと同様に、25%のプレミアム付食事券を、500円券を10枚綴りとして35万冊、額面で17億5千万円分を発行する予定としております。
次に、市町村の実施状況についてでありますが、令和3年度においては、20市町村がプレミアム付の食事券や商品券の発行、キャッシュレス決済利用者へのポイント還元等を実施していると承知しておりますが、個々の事業規模や実績額までの把握は行っておりません。また、令和4年度につきましては、食事券に限定したものとしては、盛岡市で発行を予定していると承知しておりますが、その他複数の市町村で商品券としての発行を予定していると把握しております。
・中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業について
【斉藤議員】
第二に、「中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業」に2億6896万円余計上されています。
@事業の目的と内容を示してください。過剰債務などを抱える事業者を支援するとしていますが、過剰債務を抱えている事業者の実態を示してください。
A具体的には、商工会議所(9)、商工会(25)、商工会連合会(1)の35団体と信用保証協会(7) に、事業者を支援する人件費を補助しようとするものですが、人件費の期間と額はどうなっているでしょうか。専門家の派遣はどう行われるのでしょうか。
【商工労働観光部長】
次に、中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業についてでありますが、先ほど知事が答弁した通り、事業者が抱える過剰債務などの課題解決に向けた支援センターを立ち上げ、商工指導団体や信用保証協会といった事業者により身近な機関が連携して、窓口相談や専門家派遣などを行い、事業再生や再チャレンジを含めたワンストップ型の支援体制を構築して、事業者の事業継続を図っていこうとするものでございます。
事業者の債務の状況につきましては、いわゆるゼロゼロ融資を利用した事業者のうち、約半数となる5891件が令和4年1月末までに返済を開始しているものの、この貸付金をいまだ手元に残している事業者も多くあると見込まれ、条件変更が行われた件数は、同じく1月末時点で延べ214件にとどまっているところでございます。しかしながら今後、手元資金の減少や売り上げが回復しない状況の継続により、多くの事業者が借入金の返済に支障をきたしていく可能性が高いことが、商工指導団体や金融機関から指摘されているところでございます。
人件費等についてでありますが、窓口設置などの事業実施期間は、おおむね来月中旬から来年3月上旬までの約11ヶ月間を想定しており、そのうち人件費については、県内35の商工指導団体分について1億6300万円余、県内6支所を持つ岩手県信用保証協会分については、専門家派遣費用を含めまして、7200万円余を見込んでおります。専門家派遣につきましては、金融に関する専門的知見を有する岩手県信用保証協会が主体となり、商工指導団体と連携を図りながら、解決すべき課題に適した専門家を選定した上で、事業者の事業継続や再チャレンジを支援していこうとしております。
<再質問>
・広範な事業者に対する支援について
【斉藤議員】
知事にうかがいます。
オミクロン株の感染拡大でですね、岩手県が毎月実施している事業所の影響調査、これ2月分ですけれども、「影響が継続している」というのが77.8%、そして「21%以上の売り上げ減少」で見ますと53%であります。影響が大きいのは、飲食・宿泊・運輸ですけれども、それに限らず多くの事業者が影響を受けているというのが実態だと思います。そういう点でですね、今年度の補正で、いわて旅応援プロジェクトは二度にわたって大型の補正が行われました。今回は飲食店向けに「いわて食の応援プロジェクト」ということで、飲食店対策になると思います。しかし広範な事業者が影響を受けているという点でいくとですね、私はそうした広範な事業者を対象にした支援策が必要なのではないか。
例えば、すでに陸前高田市では最大50万円の緊急支援金、これを実施するというのが今年度の補正予算で可決をされて、今月中に支給しようと。こういう実態調査を踏まえた取り組みが行われています。住田町では家賃の支援、大船渡や盛岡市ではプレミアム商品券、こういう市町村が独自にそういう取り組み多数行われていますが、私は飲食・宿泊だけではない、その他の影響を受けている事業者に対する切れ目のない支援も必要なのではないか。これをお聞きします。
【達増知事】
幅広い事業の、さまざまな事業の支援に関しましては、県の地域企業経営支援金の支給から、国の事業復活支援金の支給という風につなげているところでありまして、まずはこの事業復活支援金の利用を促していきたいと考えております。その上で、今後地方創生臨時交付金のさらなる増額について国に強く働きかけ、県としてのさらなる追加事業の構築や既存事業の拡大・拡充を含めて検討を進めてまいります。
・いわて飲食店応援事業費について
【斉藤議員】
商工労働部長にお聞きしますが、いわて飲食店応援事業費でありますけれども、第一弾は参加店舗数が2113店でありました。飲食店の認証を受けている店舗数は、2月末で4968店です。せっかく認証を受けながら、この事業に参加している店舗数というのが半分以下にとどまっています。なぜ半分以下にとどまっているのか。この商品券を使うと、最初は40日ぐらい換金されるまでかかった。その後2週間ぐらいに短縮されたとは聞いていますけれども、やはりこういう換金のサイクル、現金商売している方々はもたないという状況があるのではないか。せっかく認証をほぼ5000店舗受けながら、せっかくの支援事業に参加できないという状況を解決する必要があるのではないか。そのことをどのように把握されているか。今後どう対応するのか示してください。
【商工労働観光部長】
いわての食応援プロジェクトの登録店が認証店から大きく下回っている現状でございますけれども、やはり最初チケットを換金するサイクルが長かったこともありましたので、これ今月2回という形で実施いたしておりますし、ただ、さらにということになりますと、全県規模で実施しておりますので、なかなかさらに刻んでという形は難しいかと思っておりますけれども、一方で参加店増えない理由のもう1つの理由に、そういう固定客を主に相手にしているようなお店につきましては、なかなかこういう県の事業に入っていろいろお客さんがいろんなところから来ると感染を心配するという声も聞いております。そういうところはですね、逆に市町村の事業をうまく活用してですね、盛岡市などは先にお金が渡るような仕組みのものをやっておりますので、うまく市町村の事業と連携しながら、県のやつは大規模に実施して、より多くの事業者に登録はいただきたいと思っておりますので、そういうPRとかは進めていきたいと思います。
・中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業について
【斉藤議員】
中小企業事業再生・再チャレンジ支援事業で、具体的には支援センターをつくって人件費補助が中心であります。11ヶ月間ということで550万円という話もありますけれども、商工会や商工団体にお聞きしますと、「せめて通年」「できれば複数年」、そういう形でなければ確かな人材確保できないというんですよ。複数年であれば、例えば退職予定者との関わりで、しっかりした正職員として採用して育てることができると。この間、細切れの人材支援というのがありまして、やはりそういう通年から複数年、こういう支援をしないと、しっかりした人材確保できないし養成できない。これは切実な商工団体の声であります。そういう点の工夫が必要なのではないかと考えます。
それと、商工リサーチの最近の新聞を見ますと、3月24日付ですが、債務の過剰感についての調査で、「コロナ後に過剰となった」というのが20.5%、「コロナ前から過剰感があった」というのが23.2%で、「合わせて43.8%が過剰債務の状況」というのが商工リサーチ県内企業調査の結果として報道されています。大変深刻・切実な実態だと思いますけれども、そういう点では今度の事業は大変的確な対応だと思いますけれども、こうした実態を踏まえて、本気になって支援をすることが必要だということも含めてお聞きをいたします。
【商工労働観光部長】
商工指導団体の複数年の支援ですけれども、我々も人材確保をする上では、複数年やらないとなかなか確保が難しいという状況はよく承知しておりまして、これについてはやはり今回の感染拡大等で商工指導団体等の役割高まっておりますし、さらに長いスパンで支援していかなければならないので、これについては国に対してですね複数年の支援のあり方というのを要望しながらですね対応していきたいと考えております。
それから、過剰債務を抱えている事業者に対する支援につきましては、今回の事業につきましては、信用保証協会を中心に動いていこうというところでございますが、信用保証協会が一番事業者の状況を身近に分かっておりますので、信用保証協会に動いていただくことによってですね、よりプッシュ型の支援ができることはないかと考えておりますので、そこの連携を強めてですね、未然に事業が行き詰まったりするようなことを防げるように支援を強めてまいりたいと考えております。
<再々質問>
【斉藤議員】
事業者が何を一番この間、国・県の支援で活用しているかと言いますと、この2月の実態調査を見ると、第1位が「市町村の補助金・助成金」36.9%、次が「県の地域企業経営支援金」32.6%であります。この地域企業経営支援金が大変大きな役割を果たしたと。この点で来年度切れ目なく、国の財源も確保しながら、ぜひ早期の実施を検討していただきたい。国の事業復活支援金は11月〜3月までなんですよ。新たな年度は対策がないんです。そういう点で、ぜひ切れ目のない支援策を、使われている支援策をぜひ実施していただきたい。
いわて飲食店応援事業費は、認証店というのはさまざまな支援を受けるためにやるんですから、それが半分しか参加していないという、私本当にこの実態と要望をしっかり受け止めて、せっかく認証をとった方々がこういう県が実際にやる支援策を活用できるように、ぜひしっかり現状・要望を聞いて対応していただきたい。
最後は要望にとどめて終わります。