2022年5月27日 臨時県議会
一般会計補正予算(第2号)に対する質疑
(大要)


・コロナ禍における物価高騰に対する認識について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、2022年度岩手県一般会計補正予算(第2号)について質問いたします。
 今回の補正予算は、政府の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の創設を受けて、生活困窮者及び子育て世帯への支援をはじめ、運輸・交通事業者への支援、ウクライナ避難民の支援等、緊急に対応が必要となる対策・事業について、総額33億円余の補正予算を計上するものであります。
 知事に質問します。コロナ禍で経済と家計が落ち込んでいる中での原油価格と物価の高騰は、地域の経済と家計に大きな打撃を与えています。県内経済と事業者、家計に対する影響を具体的にどう把握されているでしょうか。原油価格と物価高騰の原因は、「コロナ禍からの経済回復」「ロシアによるウクライナ侵略」とともに、異次元の金融緩和による円安、いわゆるアベノミクスの破綻によるものと考えますが、知事はこの原因をどう認識されているでしょうか。

【達増知事】
 まず、県内経済と事業者、 家計に対する影響についてでありますが、日本銀行盛岡事務所が4月末に公表した岩手県金融経済概況によりますと、県内経済については、「持ち直しの動きが一服している」、 個人消費については、「新型コロナウイルス感染症の影響などから減少傾向にある」とされています。また、商工指導団体と連携し実施している影響調査の直近4月末の結果では、売上が41%以上減少している事業者が22%と前月比で2ポイント低下しているものの、 原油高や原材料価格の高騰が経営に影響を及ぼしているといった声が増えており、こうした状況に対する支援のニーズも高くなっています。家計については、総務省統計局で公表した盛岡市の消費者物価指数によると、4月の総合指数が前年同月と比べて2.3%の上昇となるなど、このところ「光熱・水道」「食料」などを中心に上昇傾向にあります。
 次に、原油価格と物価高騰についてでありますが、世界経済が新型コロナウイルス感染症の影響から徐々に回復に向かう中、 本年2月のロシアによるウクライナ侵略などの影響により、世界規模で不確実性が高まり、 原油や穀物等の国際価格は変動を伴いつつ、高い水準で推移しているものと認識しております。また、経済が回復途上にある我が国では金融緩和が維持される中、 内外の長期金利差の拡大等を背景に、円安が進んだことも影響しているものと考えております。こうした原油価格等の上昇は、生活者や中小事業者などに大きな影響を与えることから、国に対して全国知事会等を通じて強力な経済対策を講じるよう要請してきたところであり、引き続き必要な提言を行ってまいります。

・今後の支援策について

【斉藤議員】
 政府の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対策」については、生活支援と産業支援の取り組み例が示されています。学校給食費等の負担軽減、農林水産業や中小企業者等への支援も明記されています。岩手県農業協同組合中央会からも、知事と県議会議長あてに「資材高騰支援策の追加措置、食料安全保障の強化、ウクライナへの食料支援等の緊急要請書」(4月14日)が提出されています。これらの支援もできるだけ早く対応すべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 次に、今後の支援策についてでありますが、今回御提案した補正予算案は、原油価格や物価高騰の影響を顕著に受ける子育て世帯や生活困窮者、運輸・交通分野の事業者等、特に緊急の対応が必要と考えられる方々に対する支援をいち早く講じようとするものです。議員から御指摘のあった様々な分野への支援も含め、引き続き、きめ細かに対応していく必要があると考えており、現在、その内容について検討を進めているところであります。
 今後とも、関係団体等からの意見も広く伺いながら、必要な対策については、適時適切に補正予算を編成するなど、臨機応変に対応してまいります。

・いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業について

【斉藤議員】
 補正予算(第2号)の具体的な内容について質問します。
 第一に、いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業費補助21億8900万円余について、「市町村の上乗せ補助も可能」としています。市町村との連携はどうなっているでしょうか。6月の児童手当支給に間に合うように給付されるのでしょうか。

【保健福祉部長】
 いわて子育て世帯臨時特別支援金給付事業費補助についてでありますが、本事業の創設に当たっては、現下の原油価格・物価高騰の影響を受ける子育て世帯への早急な支援を行う必要がありますことから、市町村の児童手当の支給スキームを活用することとし、児童手当への上乗せ支給について、各市町村の意向や事務的な課題を伺うなど、連携を図りながら検討を進めてきたところであります。支給の時期については、具体的には、今後、各市町村において検討が進められることとなりますが、一部の市町村においては、児童手当の直近の支給月である6月の支給を検討していると聞いております。
 県としては、市町村ごとに体制や事情等が異なりますものの、随時支給も含めて、できるだけ早期に支給されるよう、市町村への働きかけを進めていく考えであります。

・バス事業者運行支援緊急対策交付金について

【斉藤議員】
 第二に、バス事業者運行支援緊急対策交付金として乗り合いバス1台当たり4万円、総額2432万円、タクシー事業者運行支援緊急交付金として車両1台当たり1万円、総額2126万円交付するとしています。バス事業者、タクシー事業者の原油高騰の影響と経営実態と今回の補助の基準、期間、考え方を示してください。

【ふるさと振興部長】
 バス事業者及びタクシー事業者への支援についてでございますが、原油高に伴って軽油価格の上昇・高止まりが続く中、県が行う事業者影響調査の直近4月末の結果におきまして、経営への影響や売上の変化について、運輸業が他の業種に比べて厳しい状況であることが顕著となってございます。
 乗合バスについては、燃料である軽油の令和4年3月の単価が令和3年4月と比較しまして1リットル当たり17.5%上昇しております。また、タクシーにつきましても、主な燃料であるオートガスの令和4年3月の単価は、前年同時期と比較しまして1リットル当たり7.6%上昇してございます。いずれも経営上、 大きな影響を受けているものと認識しているところでございます。こうした状況を踏まえまして、今般、乗合バス事業者やタクシー事業者に対する車両1台当たりの支援金額を算出し、 各事業者の所有台数に応じて支援しようとするものでございます。具体的には、燃料費の上昇分に係る影響額、バス・タクシーの1台当たりの標準的な燃料使用量のほか、変動要素の強い原油価格の今後の動向等を考慮しました一定の期間などを算定の基礎といたしまして、乗合バスにつきましては1台当たり4万円、 タクシー事業者については1台当たり1万円を交付しようとするものでございます。

・運輸事業者運行支援緊急対策費について

【斉藤議員】
 第三に、運輸事業者運行支援緊急対策費として、トラック事業者に対して、車両1台当たり2万3千円を交付、総額3億2881万円余、貸し切りバス事業者運行支援緊急対策交付金として、車両1台当たり4万円を交付、総額2604万円の事業費となっています。トラック事業者、貸し切りバス事業者の原油高騰の影響と経営実態、今回の補助の基準、期間、考え方を示してください。

【商工労働観光部長】
 トラック貸切バス事業者の経営実態等についてでございますけれども、全日本トラック協会の調べにおきまして、景況感が悪化しているとする事業者が50%を超えていますほか、貸切バス事業者につきましては、コロナ禍前の平成31年3月末比で9社減少、保有台数も150台程度減少しているなど、 燃料費の上昇やコロナ禍による移動自粛が、これらの事業者の経営に深刻な影響を及ぼしていると受け止めております。
 こうした状況を踏まえまして、今般、トラック・貸切バス事業者に対して、車両1台当たりの支援金額を算出して、各事業者の所有台数に応じて支援しようとするものでありまして、その算出につきましては、今し方のふるさと振興部長の答弁のとおりでございまして、トラックにつきまして1台当たり2万3千円、貸切バスについて同じく4万円を交付しようとするものでございます。

・ウクライナ避難民支援費について

【斉藤議員】
 第四に、ウクライナ避難民支援費として706万円余が計上されています。生活支援、医療支援、教育支援など具体的な支援の内容を示してください。また、国の支援、洋野町の支援がどうなされているか、その連携を含めて答えてください。

【ふるさと振興部長】
 ウクライナ避難民への支援についてでございますが、現在、国においては、日本に親族・知人がいない場合、入国後の一定期間、国が用意する一時滞在施設で、受入先とのマッチングなど各種の支援を行うほか、退所後も生活費として、12歳以上で日額2,400円の支給などを行うこととしております。一方、日本に親族・知人がいる場合には、日本財団による生活費等の支援を活用することとされております。今回の補正におきましては、日本財団から支給されるまでの当面の生活費を国の基準に準じ、 洋野町と協調して支給いたしますほか、翻訳機提供、通訳の手配、各種相談対応等を、岩手県国際交流協会を通じ実施するものでございます。また、避難民が中長期に滞在する場合には、一般の在留外国人と同様に国民健康保険への加入が可能であるほか、義務教育を受けることも可能となっており、洋野町におきましては、国保税の減免を検討するほか、お子さんの教育に関しましては、大野小学校への受入れや支援員の配置などを検討していると伺っているところでございます。
 県では、定期的に避難民を訪問のうえ、ニーズ等の聞き取りを行っているところであり、今後とも、国や市町村などと連携しながら、安心して避難生活が送れるよう、適切に対応してまいります。

<再質問>

【斉藤議員】
 それではちょっと再質問させていただきます。
 ウクライナからの避難民の支援についてです。すでに洋野町ではですね、さまざまな支援策を講じていると聞いております。通訳も配置をするということでですね、よく聞きましたらロシア語だと、ロシア語の通訳だという風にお聞きをしておりますが、6月から双子の子どもさんが小学校に通われると。ここの教育の保障ですね。洋野町の取り組みとどう連携して行われるのかと。これは多文化共生という点では大変重要な意義を持つものではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
 教育長にお聞きしますが、県内34人の日本語の教育が必要な外国人児童生徒、すでに県内おられると。県教育委員会の方針、取り組み、洋野町との連携、このことを示してください。

【教育長】
 ウクライナから避難した児童生徒の受け入れについてでございますが、文部科学省から、積極的な受け入れを進めるよう通知があったところでありまして、県教育委員会としても関係市町村教育委員会と連携・協力しながら、学校における児童生徒の受け入れ体制が充実するよう支援していく考えです。
 具体的な対応についてでございますが、洋野町教育委員会では、保護者の意向を丁寧に聞き取り、2人のお子さんに対するきめ細かな支援が行われるよう、通訳者の確保とともに、これはロシア語ということでございましたが、これまでの日常の生活でもロシア語でやられてきたということをうかがっておりますので、ロシア語の通訳者の確保とともに、日本語指導の計画をはじめ、きめ細かな支援が行われるよう支援体制を検討するなどしてございます。受け入れに向けた準備を洋野町教育委員会と連携を図りながら進めているところでありまして、また支援計画の作成にあたりましては、学習面・生活面の両方からの視点で、支援のあり方を常に見直していく必要がございますので、関係者間で十分な連携が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。
 それから、県教育委員会としての支援のあり方、方針等でございますが、この3月に岩手県における日本語教育の推進に関する基本的な方針と、県全体の方針を策定してございます。この方針を踏まえまして、県教育委員会といたしましても外国人児童生徒等の教育の基本的な方針について、検討を加えて策定に向けて取り組んでいきたいと考えております。

<再々質問>

【斉藤議員】
 先ほどの答弁でですね、医療支援について、国保の加入が可能だと。洋野町は減免を考えているということでした。新聞報道でも、目の治療をしたいというような、そういう避難民の声もありました。この点については、ただちに国保に加入されて必要な医療が受けられると、こういう風に受け止めてよろしいでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 先ほども答弁した通り、一般在留外国人と同様に、国保への加入が可能ということで、洋野町でいま鋭意加入に向けて手続きを進めているところではないかと認識してございます。
 いずれ、県も洋野町と一体となりまして、避難民の方の医療も含めた支援ニーズを聞き取りしながら、それを具体的に反映できるよう個々のケースに応じて対応してまいりたいと考えてございます。