2022年7月1日 文教委員会
福岡工業高校と一戸高校の統合問題に関する質疑
(大要)


【斉藤委員】
 今きわめて重要な議論がありました。
 高校の魅力化に関わって、福岡工業高校と一戸高校の統合問題について、5月13日に二戸市長・教育長の連名の要望書が出されたと。それに応えて、工業学科を2学科確保するという形で計画を見直したいと、そういう決断をしたと、こういうことですね。いつ決断をしたのか。それは二戸市にいつ伝えているのか、伝えていないのか。これを示してください。

【高校改革課長】
 ただいま、本日のこの委員会でこの方向性について、今ご説明差し上げたところでございまして、この後、本日以降に両市町に県の方針をお伝えすることにしております。

【斉藤委員】
 この高校再編計画というのは、教育委員会議で決定されたものなんですよ。その中身は、一戸高校3学級、工業学科1学科なんですよ。今の方針は、その計画と違うわけですよ。教育委員会議で決めた計画と違うという。これはいつどのレベルで決めたのですか。これは事実上計画の見直しですね。そこを正確に答えてくれませんか。

【高校改革課長】
 二戸市からの要望を5月13日に受けまして、翌月曜日、5月16日ですね、教育委員と方向性について協議したうえで、方向性について決めまして、内部で検討を重ねたところでありました。
 それで本日、そうして方向性を決めたということをこの委員会で報告させていただいたところです。

【斉藤委員】
 教育長、責任ある答弁をしてくださいね。いずれ5月13日に二戸市長・教育長から要望を受けて、5月16日月曜日、教育委員と協議して方向性を確認したと。この「方向性」というのは、市長と教育長の要望に応える方向で計画を見直すと、こういうことで確認されたということでいいですか。

【教育長】
 13日に要望書をいただいて、そしてその内容について5月16日の定例会がありましたので、その後の協議の場でもって、今般、二戸市からこのような要望が出てまいりましたということで報告をしました。そのうえで、今後の方向性について、これまでの計画、昨年5月24日に計画決定しているわけでございますけれども、今後の対応等についてですね、今後検討委員会の設置であるとか、そういったところをどのような形で進めていくか、それを教育委員と協議をさせていただき、その中で、今後二戸地域の子どもたちの将来、生徒数が減っていくという中で、どのような形で地域や地域の産業人材を育んでいくかということを助言しながら、この場合は、要望に沿った形で、福岡工業高校の2学科2学級の維持というのを優先した方がむしろよろしいのではないかと。実際の入学者数も考慮しますとですね、その方が望ましいのではないかという協議の結果に至りました。
 そのうえで、今後この検討委員会の委員の推薦等もそれではお願いしてまいりましょうというような形でですね、教育委員会としての方向性を掲げたというところでございます。

【斉藤委員】
 5月16日の教育委員との協議で、二戸市長・教育長の要望を踏まえて、いわば2学科2学級規模の中身で方向性を確認したと、こういうことですね。公表は今日が初めてだと。
 2学科の維持ということで、県教委が方向性を確認したことは一歩前進だと思います。
だとすれば、もう少し立ち入って聞きますが、工業学科は2学科、そして一戸の総合学科は2学級という、こういう計画に見直されるんですか。

【高校改革課長】
 統合の形でございますけれども、工業学科2学科2学級、総合学科の3学級、計5学級になるところでございます。

【斉藤委員】
 そうすると、再編計画は4学級規模なんですよ、目指している統合の中身は。4学級規模ではなくて5学級規模に見直すということですか。
 生徒減少生徒減少と、うんとあなた方は、私が工業高校の存続を訴えればその答えしか返ってこなかった。そうすると、生徒減少のもとでも1学級増やす規模で、この統合計画は見直すということですね。

【高校改革課長】
 これまでの計画におきましても、計画の策定段階から実施段階に向けて、事態等を勘案し、その実態に合わせたですね実施をしてきたところでございます。
 今回につきましても、計画策定時よりも、福岡工業の入学者が増えてきている傾向がございます。その中で、今回の要望を受け、また入学者の取り組み等も勘案して、工業2学科と総合3学級の5学級で統合を進めようというものです。

【斉藤委員】
 そういう中身になると、統合する意味がなくなるんじゃないですか。福岡工業高校は2学科で今まで通り存続して、一戸高校は3学級の総合学科で進めると。これが一番合理的じゃないですか。なんで無理して統合の形つくらなくちゃだめなんですか。一戸3学級、福岡工業高校2学科2学級。だったらそれぞれ存続させると。無理して統合する理由がどこにあるんですか。

【高校改革課長】
 二戸ブロックの中学校の卒業予定者数が、今年度415人でございましたが、令和6年につきましては350人を下回ると。そして令和12年には300人を切って、今こういった見通しでございます。
 こういう状況を踏まえましてですね、将来を見据えて、二戸ブロックの専門教育の拠点となる学校、こういったものを整備していくことというのは必要だと考えておりまして、その考えは後期計画策定と変更はございません。

【斉藤委員】
 あのね答弁かみ合ってないんですよ。
 あなた方は、この統合を進めるにあたって「生徒減少生徒減少」と、今のようなことを言ってきた。しかし、工業高校は2学科をこの2年間維持した。そして国家資格の取得も全国に誇るような素晴らしい実績をあげてきた。だから地元は福岡工業高校の存続と2学科の維持を求めてきたんですよ。あなた方はそれに応えるというんだったら、これ存続させたらいいじゃないですか。生徒減少が起きたときに統合の形を考えたらいいんじゃないですか。一戸は3学級で維持するというんだから。なにも今無理して統合の形だけをつくるということは時期尚早だと思いますよ。
 特に福岡工業高校は県北で唯一の専門高校です。これは福岡工業高校を専門高校として、県北で地域振興にとっても、生徒たちの希望にとっても、しっかりとそれに応えている学校ですよ。今の計画の見直しだったら、慌てて統合という形をつくらなくてもいいのではないかと。
 教育長、そう思いませんか。生徒減少だと言うけど、学級1学級増やして統合するんですか。あなた方の言い分と矛盾するんじゃないですか。

【教育長】
 二戸地域の生徒の減少というのは、数字の上でも予測がかなりの精度でもって見込まれるという中にあって、その県北地域の産業等を支える人材をいかに育てていくかと。今回は、一戸高校と福岡工業高校の統合によりまして、農業、工業、商業、福祉、そういった専門的な学びを実現できると。しかも今生徒の男女のバランス等をそれぞれ偏りがあり、統合によってバランスのよい学校にもなっていくと。これは今お互いが統合してそういった教育環境と、学校の一体となったこと、体力といいますか、統合できるという時にやって、将来の子どもたちのためにですね、よりよい教育環境を残していくということで、両市町でもその方向性の方が、より今後のためになるという判断に至ったものだと理解しています。それに応えてこのような形で進めていきたいと考えているものです。

【斉藤委員】
 私も二戸市のこの要望についてその真意を聞きました。「これは基本的には昨年要望したことと変わりません」と。こういう答えでしたよ。表現は違っていました。「統合にあたっては、福岡工業高校の2学級規模維持」と。しかし中身は基本的には変わっていないと。私に対してはそういう答えでありました。
 そこで、生徒数が減っているというんだったら、私は実態に合わせて見直すべきだと。今年度、40人以上定員から減っている学校というのは、軽米高校、福岡高校、一戸高校なんですよ。40人以上定員を割っている学校をどうするかということを考えるべきじゃないですか。減っていない福岡工業を無理して統合しなくちゃならない理由はどこにあるのかと。福岡工業高校は、何度も言いますけれども工業の専門校です。この工業の専門校と、総合学科を統合するという、これもあまり理念がない。いま総合学科制は存在意義問われているんですよ。「専門的教育」をやっているんです。「専門教育」じゃないんです。普通科でもない、きわめて位置づけが曖昧になって、それは5学級もあったときは、まだいろんなことが学べた。しかし生徒減少で3学級になると、学ぶ中身も減ってきて、総合学科そのものの存在意義が実はいま問われているんですよ。私はこの総合学科制こそ、いま本当にどうあるべきかを考えるべきであって、そういう総合学科制と専門高校をただ一緒にするという、理念なき統合というのは正しくないと思いますよ。実際に欠員の多いところ、これをどうするかということは、実態に、事実に合わせて考えるべきじゃないんですか。軽米高校や福岡高校や一戸高校の欠員の状況、どうするんですか。

【高校改革課長】
 再編計画にかかる統合に加えて、管理運営規則による1学級以上の定員割れの場合については、学級減の検討を行うということにしてございます。それと、再編計画に載っていなくてもですね、そういったものについては検討することとしておりまして、地域の取り組みや今後の推移等を勘案して、別途検討を行うものです。

【斉藤委員】
 だから私は事実に基づいて、軽米・福岡・一戸は40人以上の欠員になってますよと。あなた方はそれを知って、福岡工業高校と一戸高校をなんとしても統合させたいというので、欠員はあるんだけれども学級を増やして統合させると。これ統合先にありきで、統合すればあとは何とでもなるという風に思っているんじゃないですか。
 本当に福岡工業高校というのは専門高校として、県北唯一の専門高校として、これは本当に維持すると。そういう考え方は県教委にないんですか。高校再編計画の目的は、「生徒の希望に応える」「地域振興の担い手を養成する」ということですよ。この2つの希望に応えているのが福岡工業高校なんですよ、県北地域では。これを無理無理統合しなくちゃならない理由はどこにあるのかと。

【教育長】
 まず、後期計画というのは、考え方は委員ご指摘の通りで、それに沿って、後期計画に福岡工業高校と一戸高校の統合というものを、まずは計画に載せました。そしてその後、地元の要望等ありまして、そしてまた地元市のさまざまな支援策が新たに出てまいりまして、そしてそれによる一定の成果、評価できるような形になってきたと。そしてまたこの工業高校の2学科2学級ですね、これは非常に大事だということも、元々私たちも、資格取得の実績だとか福岡工業高校の実績というものを評価してまいりました。
 今般、後期計画にある計画案の中で、福岡工業高校の2学級維持を前提とするならば、統合についても後期計画にある中で、むしろ早く進めていくこともあるのではないかというのが地元のご意向だと理解しております。
 ですから私どもは、この機運が出てきた中でですね、進めていきたいと考えてございますし、委員ご指摘の他の二戸地域の学校の定員、これは今年度の数字でありまして、これが複数年続くかどうか、これもある程度見極めも必要になってまいります。それまでの間ですね、こちらの統合を止めておくわけにもまいりません。さまざまな県北地域の学校の教育環境についてもですね、老朽化した校舎等もあるなどですね、それから特別支援学校の校舎整備といったものも控えております。そういった中で私どもは、県北地域の、特に二戸地域の子どもたちのためにより良い教育環境をどのような形でつくっていくか。これがやはり大事な視点でありまして、それを最優先ということで進めたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 私は、福岡工業高校の2学科を維持する方向を示したことは評価します。しかし、逆に2学科を維持するんだったら単独で維持すべきだと。それが専門高校ですよ。総合学科制と専門高校の統合する理念がはっきりしない。数合わせです。その数も合わないんです実際には。そういう意味でいけば、やはり当初決定した福岡工業高校と一戸高校の統合計画というのは無理があったと。
 いま複数年見なきゃだめだと言いましたけど、去年今年と複数年で福岡工業高校は2学科を維持しているんです。だから、私はこれからも維持すると思いますよ。そういう希望もありますからね。役割も果たしていますからね。
 そういう点では、今の段階で明らかになった矛盾をしっかり見て、見直すべきは見直す。統合先にありきで進めるというのはいかがなものかと。
 時間になりましたので、これは指摘だけにとどめて終わります。