2022年8月2日 文教委員会
令和5年度県立学校の編制等に関する質疑(大要)
【斉藤委員】
今度の学級編制、一番の問題は沼宮内高校だと思っております。
先ほど千葉伝委員も、地元の岩手町の支援の取り組みも紹介してやっていましたけれども、この県立高校の管理運営に関する規則というのは、「不足する学級数が1学級の収容定員以上であるときは・・・学級を減ずることがある」と。この減ずる基準というのはどうなっているんですか。
【高校改革課長】
管理運営規則では、委員ご指摘の通り、志願者数が1学級の収容定員以上不足する場合学級数を減ずることがあるということにしておりまして、この規定上、単年度の入試状況においても検討の対象とすることになります。ただですね、この適用については、後期計画の趣旨を踏まえまして、さまざまな入学者の状況、地域の取り組み、今後の見込み等を踏まえてですね、慎重に対応しているところでございまして、現計画の期間中ですね、単年度で40人以上の欠員があっても、学級減という取り扱いはしていないところでございます。
【斉藤委員】
単年度で学級減なんていうのはとんでもない話で、当たり前のことですよ。
特に2学級から1学級というのは、これは教員の数も減らされる。生徒にとってみれば部活動、さまざまな諸活動についても大変な制約を受けるんですよ。だから学校の存続にとって2学級維持というのが本当に重要な課題で、それぞれの学校がそういう点で努力しているし、岩手町も最近かなり思い切った支援策、通学費の補助だとか給食費だとか公営塾だとか、さらには県外からの入学の制度で今年3人入ったと。だから成果があがり始めている。やはり自治体の支援というのは翌年からすぐ成果が見えるということではないんだと思うんです。そういう努力が始まって、一部成果があがり始めている。ネックは、やはり町内から4割5割入ってほしい。葛巻高校のように。そこが一番大事なので、そういう努力はもっと強めなくちゃならない。
あと今度の後期計画で重要なのは、盛岡に集中しないように、いわば入学者が多い不来方と盛岡南の学級減をやるわけですよ、そのために。その効果というのは見なくちゃならない。いわば周辺の高校を守るためにやっているんですよ今。そのときに、守らなくちゃならない周辺の高校を2年間で1学級減だから学級減だと。あなた方の考え方、全然一貫していないと思いますよ。2年間1学級以上の学級減だったら学級減をやると何かあるんですか、ないんですか。
【高校改革課長】
2年間で学級減を行うとか1年で学級減を行うとか、そういった基準はございません。管理運営規則の条項にある通り、入学志願者の数が1学級収容定数以上減になったときに学級数の減ということがあるという規定のみです。
沼宮内高校においてはですね、過去平成28年に40人を割った時代がございまして、それ以降ですね40人ぐらいの入学者が続いてございました。さまざまその当時から学校でも地域からも支援をいただいているところでございますが、なかなか入学者が伸びず、今回さらに減少傾向が続いているというところでございまして、そういったことも総合的に勘案して今回学級減という判断をしたものでございます。
【斉藤委員】
私指摘したいのは、2年学級減が続いたら即学級減ではないと言いました。これはすごく大事なことで、以前に雫石高校が2年学級減で、突然学級減されたと、私は苦い思い出があるので。地元の自治体の取り組みを進めようというときに学級減を決められてしまったのですよ。
いま沼宮内高校は、岩手町が真剣に県外入学者の確保も含めて、そのための支援で学校を維持をしようと、2学級維持しようとやっている矢先ですよ。そして高校再編計画の後期計画は、盛岡集中を是正するという発想で不来方と盛岡南、ここは基本的に定員を維持しているところですよ。来年度は2学級減らすわけでしょう。そう言うんだったら、周辺の高校をどうやって守るのかという、そういう発想で考えるべきじゃないですか。
一方で、今回久慈東と久慈工業の統合をやると。これは令和7年度からでしょう。やると言ったって令和7年度ですよ。何年学級減が続いているんですか。ダブルスタンダードでしょう。久慈工業の学級減、今だって2学級規模で、5年間も少ない数で維持してきたんですよ。久慈工業は特例で、統合すると言ったって令和7年度だと。沼宮内高校は2年間1学級減だから来年は1学級減にしますなんて、こんな整合性のとれないやり方は違うと思いますよ。
教育長、後期計画の高校再編計画、なんで不来方と南高校を統合するんですか。盛岡集中を是正するためでしょう。周辺高校を守るためでしょう。その精神を貫くべきではないですか。
【教育長】
後期計画の考え方については、まさにその通りでありまして、また盛岡ブロックでの集中の緩和といいますか、その対応についても、今回盛岡南高校と不来方高校の統合ということで、来年度から1学級減を進めていくと。この計画を作る際にもいろいろと参考にしたのは、周辺地区からの入学者の動向ですね。これについては、いろいろと精査をしました。盛岡南と不来方の場合は、盛岡以南の地域からの入学者が多いということも考慮したところであります。盛岡の北の方のエリア、さらにそちらの方というところについては、現状という形を維持をしていくという考え方に立ちましたけれど、また、沼宮内高校の同校についても、やはりここ数年、平成28年のあたりから1学級規模の生徒数で推移してきて、地元からの生徒の入学者も減ってきていると。またさらに今後も中学校卒業予定者数も減っていくという見通しの中でやむを得ない選択ということ、これは県外からの受け入れの取り組み等もされているということも考慮しながら、一定の配慮をしつつ、今回進めていこうということを判断したところでございます。
【斉藤委員】
残念ながら、本当に後期計画のポリシーというのが全然生かされていないと思いますよ。残念でならない。千葉伝委員も紹介したけれども、ホッケー部は全国レベルで活躍しているクラブですよね。町も「ホッケーの町」ということでまちづくりにも取り組んでいる。オリンピアンも出た。素晴らしいことじゃないですか。それにさらに頑張ってやろうと言っているわけでしょう。
それでお聞きしたいけれども、2年間1学級以上の学級減になったところは、沼宮内高校、紫波総合高校、遠野高校、久慈東高校、一戸高校なんですよ。全部学級減になっていないでしょう。なんで全部学級減やらないんですか。そういう恣意的な、さじ加減で学級減をやったりやらなかったりするというのはおかしいと思いますよ。紫波総合高校は2学級減になるじゃないですか。なんでやらないんですか。やはり県民に分かりやすく、みんなが納得するような基準でやらないとダメですよ。ここはやるけど、ここはやらないと。その典型が久慈工業ですよ。久慈工業を残すということは評価します。しかし、そのさじ加減で、ここは5年も生徒減が続きながら残すけれども、沼宮内は2年学級減になったらすぐ1学級だと。こういうやり方、一戸についても2年間学級減が続いているのに手をつけないと。なぜなんですか。
【高校改革課長】
今回2学級、2年連続ですね2学級の減となる学校でございますが、今回お示しした3つの学校のほかに、久慈東高校と一戸高校というところが2年連続40人以上の欠員が生じているところでございます。この2校につきましては、現在統合の方を進めてございますので、今回管理運営規則の適用を行わないこととしたものでございます。
【斉藤委員】
統合だから学級減は行わないというのはおかしい話ですよ。統合しようがしまいが生徒減少は同じなんだから。どちらも総合学科ですよ。そして紫波総合、本来なら2学級減、ここは1学級減でした。これも総合学科制です。総合学科制で定員割れしているというのは一つの特徴だと思う。
それで、総合学科制について、これは10年計画、平成28年の10年の学校再編計画を立てたときに、総合学科制については、原則3学級以上の学校規模を確保するとともに、「なお、生徒数の減少により学校規模の維持が困難となった場合には、学科の見直しも視野にその方向性を検討する」と。一戸高校は今3学級なんです。これ2学級になると思うんですよ。そうすると総合学科が維持できなくなる。こういう中途半端な総合学科を、福岡工業高校と統合して、どんな展望のある新しい高校ができるのですか。片や福岡工業高校は、昨日も校長先生に会って聞いてきましたけれども、国家資格で本当に素晴らしい実績を全国レベルであげている学校ですよ。いま生徒たちが市内の中学校で出前授業をやって、中学校時代には「ああこの生徒か」と思われるような生徒が、地元の中学校に行って素晴らしい出前授業をやって、その成長に中学校の先生が驚くと。そういう素晴らしい実績をあげている福岡工業高校を、先行き見通しのない一戸の総合学科と統合して、どうして新しい魅力のある学校になるんですか。この統合こそ見直すべきではないですか。
【高校改革課長】
まず総合学科の取り扱いについてでございますけれども、新たな県立高等学校再編計画におきまして、総合学科高校の特色を生かした教育活動の実施を図るため、原則3学級以上の学校規模を確保するという風にしてございます。これは、計画策定の際にさまざまなアンケート等を行い、評価が高いといったところもございまして、またそれぞれの進路指導とかそういったことにも成果があるというところがあった上で、規定してございます。総合学科は、生徒の多様な進路実現を可能にするため、さまざまな系列を用意しているという特徴もございますので、3学級以上の学校規模必要だということでございます。
一方それを踏まえてですね、後期計画では、生徒の希望する進路の実現、地域や地域産業に合う人づくりを視点としてですね、各地域の学校をできる限り維持していく。多様な学びの確保を行うということで考えております。総合学科についてはですね、通っている生徒等も非常に評価が高いということもございますので、後期計画中については、総合学科については維持していくという方向でございます。
【斉藤委員】
計画をあなた方が案を作る段階ではそうだったかもしれないが、残念ながら現状は、あなた方の計画段階のデータがまったく間違っていたということになったんですよ。それが福岡工業高校の2学級維持、そして一戸高校が学級減という状況になったと。だから、計画を作る段階のあなた方の根拠が崩れているのですよ。一戸高校の総合学科は、実態が今2学級規模ですよ、入学者の数で見たら。だったら総合学科は成り立たないんじゃないですか、あなた方の高校再編の方針からいっても。そういうところが、どういう形で統合するんですか。総合学科と専門高校、中途半端な統合はすべきでないと思いますよ。
教育長に聞きますけれども、一戸高校、残念ながら、私批判するつもりはなない。ただ結果として、2年続けて1学級以上の定員割れになった。実質2学級規模です。総合学科制成り立たないんじゃないですか。これから増える要素はあまりないと思いますよ。そういう総合学科と実績をあげている福岡工業高校の専門高校と統合して、どんな新しい高校ができるのですか。総合学科制は早晩これは行き詰まってしまう。減ってもここは来年3学級やるんですか。
【教育長】
まず、久慈東と一戸高校、今回の40人超の減の部分との関係ですね、これまでも遠野高校等で統合等が計画された場合は除外する形で対応してきましたので、今回は久慈東・一戸についてはそれぞれ統合に向けた対応を検討していくという中で対応していくと。
そしていま総合学科高校のあり方についてもお話がありました。これについても、私ども課題意識は十分持っております。そういった意味で、二戸地区の統合もですね、ある意味では統合の子どもたちにとっての、地域や地域産業を担っていく人材として、どういった形で学びを維持していくか、どういった分野の学びをしていくか、これはまさに統合検討委員会の中でですね、地元の企業の代表者も入ったりして、そして今体力のあるうち、一定の規模のあるうちにですね、先を見据えたあり方を検討していただくという形で進めていっていただければと思います。
また、総合学科高校は今後の計画策定に向けた長期的な検討課題という風にとらえております。
【斉藤委員】
私が提起したきわめて重大な問題に教育長は答えていない。
例えば、一戸高校が来年度また入学者が1学級減になったとすると。統合は令和6年ですからね。そうなったら総合学科は維持するんですか、それでも。学級減しないんですか。あなた方が総合学科と専門高校の統合というのだったら、それこそ見通しないんじゃないんですか、この統合は。
久慈東高校と久慈工業の統合は令和7年ですよ。前期計画で決めた計画が。これはなぜ一戸と福岡工業は令和6年にしなくちゃならないのかということもありますが、私は総合学科制そのものが見直し迫られるんじゃないか。そういうことを言っているんですよ。統合先にありきじゃなくて、本当に地域の要望に答えた新しい学校がどうあるべきか。そこの議論こそいま必要で、そういうことも議論しないで、校名を募集するとか統合を考えるとか、前論が全然違っている。根本の学校のあり方が問われているんですよ今。そういうところをあなた方は慎重にやらなきゃだめだと思いますよ。
だから一戸高校の総合学科の見通し、教育長はどう考えていますか。統合まで維持できる、統合したらなくなる、統合前にだめになってしまう、そういうことだって考えられるんじゃないですか。それで新しい希望のある高校できますか。私は見直すべきだと最後に教育長に聞きます。
そして沼宮内高校については、やはり高校再編後期計画の理念に基づいて、周辺高校を守っていくと。私は今後の努力としては、先ほど町内から2割だと言うのなら、これを3割4割に伸ばすという努力も一層強化すれば、私は見通しが出てくるんだと思います。そういう支援こそ必要ではないかと。最後に教育長に聞いて終わります。
【教育長】
今後の見通しについてということで、現段階で明確にお答えすることは難しいと思います。
一方で、地域の子どもたちのさまざまな学びをいかに確保していくかという視点でもって、私たちも考えてきてございまして、また、地元の市町村のさまざまなご支援、これは本当にありがたいものでありますし、地域にとっての高校というのは非常に大事な学校でありまして、学校がなくなることは地域の衰退につながることにもなりかねないということも非常に危惧するところであります。地方創生で、高校のあり方というのも非常に重要視されてきている中で、それが後期計画の中でも1学年1学級校の存続にも反映しているところでありますし、久慈地区についてもですね、校舎制をとる形で野田村さんの方にも配慮しておりますし、むしろ生徒が交流することによって、より活性化する可能性もあると思います。
また、一戸高校についてもですね、今後の取り組み次第でどのような形になっていくか、それは統合までの間の取り組みと成果等も見据えながら、また総合学科高校のあり方については、先ほど私は課題意識を持っているとお話をしました。後期計画のその先にはですね、人口減少と児童生徒の減少というものが待ったなしに来るわけですから、それに対応した県立高校のあり方というのも大きな課題になってくるんだと思います。そこはさまざまご意見等をうかがいながら、市町村等の意見等もうかがいながらですね、検討を深めていくことが重要だと認識してございます。