2022年10月12日 9月定例県議会本会議
議案に対する質疑
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第1号、2022年度岩手県一般会計補正予算(第4号)、議案第22号公共施設等適正管理推進基金条例について質問します。

・県庁舎管理費について

 第一に、補正予算(第4号)には、県庁舎管理費8758万円余計上されています。その内容は、県庁舎の耐震診断を実施する経費5280万円と光熱費補正3478万円余であります。
@県庁舎の耐震診断の内容はどうなっているでしょうか。耐震診断はいつまでに実施され、その結果はいつ示される予定でしょうか。
A耐震診断結果を踏まえて、県庁舎を改築するか、大規模改修とするのかを検討することになるのでしょうか。
Bこれまでの耐震診断の結果、劣化診断等の結果はどうなっていたでしょうか。県庁舎の老朽化の現状と課題について示していただきたい。
 
【総務部長】
 まず、県庁舎の耐震診断についてでありますが、現在の県庁舎は、前回平成9年の耐震診断から25年が経過し、その間東日本大震災津波を含め大きな地震に複数回見舞われており、庁舎の耐震性能に一定の影響がある可能性があることから、改めて診断を行うものであります。診断の内容が、現地調査により躯体の強度やコンクリート・鉄骨等の成分変容、腐食度を測定し、その結果に基づいた構造計算と、国の総合耐震診断基準等に基づく診断を行い、庁舎の耐震性能を明らかにするとともに、現在の耐震基準を満たした耐震改修工事の提案もいただくこととしております。診断期間は、契約から7ヶ月程度を要すると見込まれ、議決後に契約手続きを進めても、診断結果が出てくるのは令和5年度の夏頃となる予定であり、2年度にわたる契約となることから、1400万円を上限として、債務負担行為を設定しているところであります。
 次に、耐震診断後の対応についてでありますが、耐震診断により、現庁舎の強度、補強の程度、改修費用、補強後の残存期間などが判明する見込みであり、改修と建て替えをした場合の比較検討ができるものと考えております。その結果が、契約からおおむね7ヶ月後に判明することから、それを踏まえて、改修した場合と建て替えした場合の時期や規模、機能、整備費用、将来的な経費負担見通しなどを比較のうえ、専門家の知見も得ながら案をつくり検討を行う予定としてございます。
 次に、県庁舎の現状と課題についてでありますが、平成9年度に耐震診断、平成27年度に劣化診断、令和2年度に執務環境等調査を実施しておりますが、耐震診断では震度6強程度の地震で中はい以上の被害が生じるが、崩壊する危険性は低く、一方で、防災拠点としての耐震基準を満たしていないとされ、劣化診断では、躯体はおおむね50年以上は使用可能であるが、設備の劣化が進行し、総合的な改修が必要であり、設備機器のエネルギー消費量が基準値の1.8倍、建築基準法や消防法等、現在の基準を満たしていない設備が多数であり、執務環境等調査では、執務室内の面積不足で狭隘な状態であるとの結果となっております。
 県庁舎は建築から57年が経過していること、また、防災拠点としての耐震性能を有しておらず、その対応が急務であることから、県庁舎の改修や建て替えの検討が必要となっているものでございます。

・公共施設等適正管理推進基金条例について

【斉藤議員】
 第二に、公共施設等適正管理推進基金条例とそのための積立金120億円が新規で提起・計上されています。
@基金条例は、県の公共施設その他の施設の適正管理に要する経費の財源に充てるものです。基金の目標額とその期間はどうなっているのでしょうか。
A今回の積み立て金120億円は、決算剰余金から60億円、岩手競馬再生推進基金から60億円を基金に積み立てるものですが、今後の見通しはどうなっているでしょうか。
B岩手県公共施設等総合管理計画が今年の7月に改訂されました。令和3年から令和6年までに公共施設に係る県民一人当たりの負担額を12000円以下にコスト縮減・財政負担の平準化を図るとしていますが、これまでの進捗状況と現状、今後の取り組みについて示してください。

【総務部長】
 公共施設等適正管理推進基金の目標額と積み立て期間についてでありますが、将来の人口減少や財政見通しを踏まえ、公共施設の維持管理および行政サービスの提供を持続可能なものとするため、本年7月に公共施設等総合管理計画の改定を行ったところでございます。同計画では、公共施設の建て替えや更新等に必要な経費を試算しておりますが、今後30年間で1500億円程度の追加の財政支出が見込まれております。公共施設の建て替えや更新等の財源として、一定の割合で一般財源による対応が必要になることから、現時点で具体的な目標額や期間について設定しておりませんが、まずは更新需要が本格化する令和10年度までの期間を対象として、今後の財政状況を勘案しつつ、可能な限り基金の積み増しに努めて参りたいと考えております。
 次に、基金の今後の見通しについてでありますが、先ほど申し上げました通り、改定した岩手県公共施設等総合管理計画では、今後30年間で1500億円程度の追加の経費が必要と見込まれており、必要となる財源について安定的に確保していくため、新たに基金を創設しようとするものであります。基金創設にあたっては、今般120億円を積み立てることといたしましたが、令和10年度以降に更新需要が本格化することを見据え、まずは令和10年度までの期間を対象として、財政状況を勘案しつつ、決算剰余金等を活用し、可能な限り基金の増額を行っていきたいと考えております。
 次に、岩手県公共施設等総合管理計画についてでありますが、今年4月の改定は、将来の人口減少や財政見通しを踏まえ、公共施設の維持管理および行政サービスの提供を持続可能なものとするため、公共施設にかかる県民一人あたりの負担額を具体化し、その取り組みを始めたところであります。これまでも公共施設等の管理につきましては、公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設等の老築化の状況の把握、計画的な更新や長寿命化、施設配置の最適化をはじめ、財政負担の軽減・平準化などに努めながら、長期的な視点に立った公共施設等マネージメントの取り組みを推進してまいりました。今後は、コスト縮減、財政負担の平準化に向け、老築でかつ利用度が低調な施設にかかるあり方の検討など、公共施設の規模、総量の適正化を推進するとともに、公共施設の定期的な点検、診断の実施などによる適切な維持管理に全庁で取り組み、施設の長寿命化や中長期的なコストの縮減を図るなど、公共施設等の適切な管理を推進してまいります。

・いわて学び希望基金について

【斉藤議員】
 第三に、いわて学び希望基金積立金が1億559万円余計上されています。
@今年度の寄付金の内容を示してください。
Aこれまでの寄付金の総額とこれまでの活用額と残額、その主な内容を示してください。

【復興防災部長】
 いわて学び希望基金にかかる寄付金の内容についてでございますが、今年度は9月末現在で324件、総額4104万円余となっており、その内訳は、団体や法人等からの寄付として200件・3615万円余、ふるさと納税による寄付として124件・488万円余となっております。
 次に、寄付金の活用状況等についてでありますが、これまでの寄付総額および執行額については、平成23年度から令和3年度末までに104億9231万円余のご寄付をいただき、47億6811万円余を執行してきたところです。また、令和3年度末の基金現在高は、寄付総額と執行額の差に、県拠出金や運用益などを加えた63億8620万円余となっております。これまでの執行額の主な内容でございますが、東日本大震災津波による遺児・孤児に対する奨学金等給付で25億1473万円余、生活の基盤を失った高校生等に対する教科書等購入費や入学一時金等給付で6億4527万円余、被災した生徒が運動部活動や文化活動における大会等に参加するための交通費等補助で2億6004万円余、通学費用軽減のための三陸鉄道やバスの定期券購入補助で3億1775万円余となってございます。

・いわてデジタル化推進費について

【斉藤議員】
 第四に、いわてデジタル化推進費1億4900万円が補正計上されています。マイナンバーカードを普及するために、取得推進キャンペーンを実施するものであります。
@事業内容とその財源を示してください。
A本県のマイナンバーカードの交付率はどうなっているでしょうか。普及が進まない要因をどう把握しているでしょうか。
Bマイナンバーカードの取得は、あくまでも県民の義務ではなく任意が原則です。そのキャンペーンに新型コロナ対応地方創生臨時交付金を活用することは無駄遣いというべきではないでしょうか。もっと県民が求める暮らし、福祉の充実等に活用すべきではないでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 マイナンバーカードの取得促進キャンペーンについてでございますが、本事業はマイナンバーカードの普及促進を図るとともに、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている県内事業者を支援するため、新規カード取得者2万人に対し3000円相当の県産品を提供しようとするものでございます。本事業の財源は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の充当を予定しております。
 次に、本県のマイナンバーカードの交付率についてでございますが、最新の令和4年9月末現在の交付率は、県全体で42.9%となっており、令和4年4月末時点と比較し5.3ポイント増加しています。なお、全国平均は49.0%となっております。また、暫定値ではありますが、マイナンバーカードの申請率は、令和4年4月末時点では43.4%でありますたが、7月末時点で前月と比べ1.2ポイント、同じく8月末時点では3.2ポイント、9月末時点では4.7ポイント各々増加し、県全体で53.5%と見込まれております。マイナンバーカードは、行政手続きや証明書のデジタル化等を通じ、住民の利便性の向上に資するものであり、現在コンビニでの住民票等の交付や確定申告の電子申請の実施、健康保険証やお薬手帳としての利用による医療情報の連携などが進められております。また、新型コロナウイルス感染症関連では、マイナンバーカードを利用したワクチン接種証明などの発行もなされ、旅行割引などの証明にも活用されております。国においては、今後も運転免許証との一体化、子育て・介護や引っ越しなどの際の行政手続きのワンストップ化等、対応可能な電子手続きの拡大により一層の利便性の向上を図っていく方針でございます。一方で住民の交付事務を担当する市町村からは、現状において住民にこうしたカードの取得の必要性やメリットが十分に伝わっていないことや、高齢者の中には交付申請の手続きが煩雑と感じている方もいる等々のお話をうかがってございます。
 次に、新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金の活用についてでございますが、マイナンバーカードの普及促進につきましては、身近な行政サービスの手続きを窓口に出向かずに完結できるなど、withコロナ禍での社会経済活動に必要な環境整備として、交付金の活用が可能なものとされております。また、本事業では、新規マイナンバーカード取得者への県産品の提供を通じて、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている県内事業者を支援しようとするものでございます。国では、令和4年6月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画の中で、マイナンバーカードの普及の推進と利活用の拡大を重要施策と位置づけ、令和4年度中にほぼすべての国民にカードが行き渡ることを目標に、国をあげて取り組んでいるところであり、県としてもデジタルトランスフォーメーションの推進や県民の利便性向上のために必要な取り組みとして、引き続きマイナンバーカードのメリットにかかるPRに努め、普及促進に取り組んでいく考えでございます。

・タクシー事業者運行支援交付金について

【斉藤議員】
 第五に、タクシー事業者運行支援交付金として2653万円余、貸し切りバス・貸し切りタクシー利用促進事業費として4290万円余計上されています。
 それぞれの計上の理由、経営・運行の実態を示してください。

【ふるさと振興部長】
 次に、タクシー事業者運行支援交付金についてでありますが、県内タクシー事業者は、岩手県タクシー協会によりますと、令和3年度の運賃収入はコロナ禍前の令和元年度に比べ31.0%の減少、令和4年4月から8月においては令和元年度同期比28.7%の減少となっております。また、県内のタクシー事業者数は、岩手運輸支局によると、令和4年3月時点で213事業者・2126台となっており、コロナ禍前の令和2年3月時点より3事業者・89台の減となっております。依然として厳しい状況が続いていると認識しております。
 こうした状況を踏まえ、県としてはタクシー利用の需要動向を把握しながら、必要な支援を行うこととし、令和4年度6月補正予算において、上期相当分として車両1台あたり25000円を措置したところであり、引き続きタクシー事業者が事業を継続し、地域の生活の足を維持確保していくことができるよう、下半期相当分として上半期分と同額の車両1台あたり25000円の交付金を補正予算案に計上したところでございます。
【商工労働観光部長】
 貸し切りバス・貸し切りタクシー利用促進事業費についてでありますが、全国旅行支援の利用とも連動し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により減少している観光需要の回復を図るため、1回の運行につき貸し切りバスは75000円、貸し切りタクシーは30000円を上限に、運賃・利用料金の補助を行おうとするものであります。
 バス・タクシー事業者の収入状況については、貸し切りバス・貸し切りタクシーに限定された状況までは把握できませんが、県内の貸し切りバスについては、コロナ禍前の平成31年3月31日比で事業者数は9者減少、稼働台数が63台減少しており、また、貸し切りタクシーにつきましては、盛岡駅構内のタクシー案内所における本年度上半期の観光タクシーの手配件数を見ると106件となっており、令和元年度と比較すると26.6%減少しており、これらの事業者の経営に深刻な影響を及ぼしていると受け止めております。

・全国植樹祭にかかる警察活動運営費について

【斉藤議員】
 第六に、警察活動運営費として1293万円余計上されています。来年6月に本県で開催される第73回全国植樹祭警衛警備に要する経費というものであります。
@警衛警備に必要な経費の内容を示してください。
A今年度の全国植樹祭にかかわる警衛警備の事業と内容はどうなっているでしょうか。
B来年度の開催に向けて、全体の経費、要員の体制はどう計画されているでしょうか。これまでに開催された全国植樹祭の例を踏まえて示してください。

【警察本部長】
 第73回全国植樹祭警衛警備に必要な経費の内容についてでありますが、植樹祭にかかる警備計画書の作成に必要な高速印刷機等を導入する経費です。経費の内訳は、今年度の印刷機2台のリース料および印刷機のインク代・保守料になります。当初、警備計画書の作成は外部発注を想定していましたが、昨今のコロナ禍の影響でご日程の確定に時間を要し、スケジュールが流動的になっているところであり、その結果、業者への発注時期が遅くなり、警備計画書の完成が間に合わなくなるため、印刷機を導入し警備計画の変更にも柔軟に対応するものであります。
 続きまして、今年度の全国植樹祭にかかわる警衛警備の事業と内容についてでございますが、まず事業については、ご対象のご身辺の安全確保、歓送迎者の雑踏等による事故防止、適切な交通諸対策の推進を基本方針としながら、関係機関・団体と連携し、警備諸対策を推進してまいります。その内容につきましては、警衛警備計画書の作成、訓練、視察のほか、各所属に対する教養を行っているところであります。
 3点目、来年度の開催に向けた全体の経費、体制についてでありますけれども、全体の経費につきましては、本年度当初予算3700万円余および9月補正予算で要求する1293万円余を合わせた4900万円余のほか、来年度当初予算で必要額を要求する予定であります。
 全国植樹祭は、昨今のコロナ禍の影響でここ数年は中止あるいはリモート開催となっており、開催が変則的となっていることから、基本的には平成28年に当県で開催された第71回国民体育大会時の警衛警備に要した費用を参考にしながら、現下のコロナ情勢等を踏まえた積算を行っているところであります。これまで他県で開催された全国植樹祭の経費につきましては、植樹祭への出席者数や沿道の歓送迎者数等を含めた行事全体の規模などが開催県によって異なることから、単純に比較できるものではございませんが、本年結果的に両陛下がリモートでご臨席された滋賀県における全国植樹祭で、当初積算された予算額は8600万円余と承知をしており、これら開催県の経費も参考にしながら必要な準備を進めてまいりたいと思っております。
 なお、警備体制につきましては、警備に支障をきたす恐れがあることからお答えできないことをご理解いただきたいと思います。

<再質問>

・マイナンバーカードについて

【斉藤議員】
 1点だけ再質問します。
 マイナンバーカードです。4月1日段階で42.9%と。この間何度も何度も政府もキャンペーンを行い、県もキャンペーンを行って、政府の場合にはマイナンバーカードを申請すれば2万円と。保険証を接続すればとか、銀行と接続すればさらにポイントが上がると。こうやっても進まないんですね。進まない原因はどこにあるのか。1つは、県民・国民が必要性を感じていないと。もう1つは、個人情報を政府に提供することに抵抗を感じているんです。個人情報が本当に守られるのかという保障がない。信頼がない。この問題を打開しなかったら、申請したら2万円あげます、5千円あげます、こういうやり方だったら本末転倒だと思いますよ。ましてや地方創生臨時交付金というのは、いまコロナ・物価高騰で困っている方々に対して優先的に使うべきですよ。私はそういう点で、進まない原因ということも聞いたんだけれども、残念ながらまともな答弁はなかった。本来任意なんですから。任意な申請に対して、これだけおまけ付きのキャンペーンをやる必要があるのか。やっぱりその考え方は見直すべきではないか。
 一方で政府は、免許証とか健康保険証に強制しようとしていますよね。こんなことをやったらまさに強権政治ですよ。私そういう政府に追随するだけでなくて、本来必要な私たちのくらし・福祉にこそ税金を使うべきだと思いますが、改めて部長にお聞きいたします。

【ふるさと振興部長】
 マイナンバーカードの申請率につきまして先ほどご答弁申し上げました。マイナポイントという形で政府の事業がスタートしてから、前月でのマイナンバーカードの申請率が7月で1.2ポイント、8月で3.2ポイント、9月末で4.7ポイント上昇しているところでございます。
 さまざまマイナンバーカードの取得が進まないことにつきまして委員からお話がございましたが、政府が1月2月に行ったアンケートによりますと、未取得の理由として「情報流出が怖い」という回答、それから「申請方法が面倒」「マイナンバーカードのメリットを感じない」という理由が出されております。そういった部分、政府でも対応してございまして、現在取得されていない方に対してQRコード付きの申請書が送付されておりますけれども、カード自体に氏名・住所・生年月日・性別・マイナンバーが記載されているのみで、税や年金などのそういった情報はICチップ部分には入っていないという説明もしたうえで、いわゆるカードの取得促進を政府では働きかけております。
 今後ともマイナンバーカードの取得促進にあたっては、住民からの取得の必要性・メリット、安全性をご理解・実感いただくことが重要だと思っておりますし、さらに国に対してはそういったメリットを十分説明していただけるように私どもも求めていきたいと思ってございます。
 DXの推進としてやはり必要なものと思っておりますので、引き続き県としても取り組んでまいります。