2022年10月12日 9月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問
(大要)


1.新型コロナウイルスから県民の命と暮らしを守る課題について

【質問】高田一郎県議
 日本共産党の高田一郎でございます。県政の緊急・重要課題について達増知事に質問します。
 第一に、新型コロナウイルスから県民の命と暮らしを守る課題です。
 新型コロナウイルスはオミクロン株BA,5系統に置き換わり第7波はこれまでにない感染拡大となり、デルタ株が主流だった第5波と比べ感染者数は全国では10倍、死者数は4倍にもなりました。県内では第7波のピークとなった8月の感染者は36,524人、死者54人と過去最高となり、クラスターの発生は131件、うち高齢者施設60件、医療施設は16件となりました。高齢者施設では感染しても施設内療養が基本となり、医療機関では確保病床以上に患者を受け入れ深刻な医療ひっ迫も起きました。政府が昨年11月に策定した取り組みの全体像を見直さずオミクロン株への対策を講じなかった対応にも問題がありました。第7波で感染爆発となったその要因と特徴を知事はどう受け止めているのでしょうか。 
 「第8波は必ず起こる可能性が高く」「これまで以上の感染拡大の可能性が高いと想定した対策が必要」と専門家は指摘しています。これまでの取り組みをしっかり検証し今後に生かす必要があると考えますが知事の見解を伺います。

【答弁】達増拓也知事
 第7波の感染拡大の要因と取り組みの検証についてでありますが、国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーフォードによりますと、第7波の流行の要因は、より感染力の強いオミクロン株BA.5系統に置き換わったこと、ワクチンの3回目接種と感染により獲得された免疫が徐々に減衰したことなどと分析しており、これまで発症が少なかった若い世代を含む全世代への感染とこれに関連した学校、高齢者施設など施設クラスターにより、さらに感染を拡大させたものと考えております。
 県では関係機関と連携した、医療提供体制の強化や介護が必要な高齢者へ対応する宿泊療養施設の拡充、自宅療養者を支援する健康フォローアップセンターの設置、全国を上回るペースでのワクチン接種の推進など、感染拡大防止対策を強力に講じてきたところであり、全国的に感染者が増加する中で県民の協力のもと、感染者数を一定程度に抑えてきたところであります。
 今後の感染拡大に備え、これまでの対策を検証し対応する必要があることから、県ではBA.5系統の特性等を踏まえた具体的な対応方針を提示するよう、全国知事会を通じて国に対し提言を行なっているところであります。
 今年の冬に向けて新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行が懸念されることから、発熱等の症状を有する患者が適切な医療を受けられるよう関係機関と連携し、引き続き診療・検査医療機関や検査体制の充実、ワクチン接種の推進に努めて参ります。

【質問】高田一郎県議
 次に、高齢者施設での感染対策と減収対策についてです。
 クラスターが発生した一関市内のある高齢者施設では、デイサービスやショートステイが休止し、元に戻るには1か月もかかりました。これによる減収は3000万円にもなり、利用者もまだ戻らず、介護職員は厳しい業務の中で離職し、職員不足の中で事業を継続している現状にあります。クラスターが発生した高齢者施設の減収と経営への影響及び人材不足の実態を県はどう把握されているのでしょうか。
 休業による介護報酬減収分を直接補う制度はなく、事業所の自己負担となります。介護事業に取り組む献身的努力に応えるうえでも、今後の介護基盤を守るうえでも、財政的な支援が必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 高齢者施設での感染対策と減収対策についてでありますが、高齢者施設等でクラスターが多発した、令和4年8月に臨時休業を行なった事業所は85ヶ所となっており、対前年比8.5倍となっております。
 休止期間中は介護報酬が得られず、再開後も利用者が平時の状態に戻るまでの減収が続くことから、長期化した場合経営に大きな影響を及ぼしているものと認識をしております。
 また人材不足の状況については、クラスターによる離職者の全体数の把握は難しいところでありますが、感染した職員がクラスター収束後に離職する事例等があると聞いており、人材不足の一因となっているものと考えております。
 クラスターが発生した施設等に限らず、利用控え等による減収等への支援は全国的な課題となっていることから、国の責任において支援を行なうよう全国知事会から要望を行なっているところであり、引き続き全国知事会と連携し必要な対応を行なってまいります。

【質問】高田一郎県議
 次に「全数把握」の簡略化について伺います。 
 全数把握の見直しが先月の26日から行われ、発生届の対象を高齢者及び重症化リスクの高い患者等に限定することになりました。医療機関及び保健所の業務の負担が軽減されますが、届け出の対象外となる低リスク患者への体調急変時への対応が課題と考えます。また、全数把握見直しにより感染状況の把握評価が困難になり、クラスターの発生が把握しづらくなるのではないでしょうか。本県では希望する低リスク患者への日々の健康観察や食糧支援を実施するとしていますが、具体的対応はどうなるのでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 全数届出の見直しについてでありますが、9月26日からの全国一律の見直しにより、65歳以上などの重症化リスクの高い以外の患者の方は、医療機関による発生届の対象外となったことから、これらの方に対し医療機関において健康サポートの案内チラシを配布し、自ら岩手陽性者登録センターに登録していただいております。
 また、県で設置した抗原検査キッド配布センターに申し込まれた方については、キッド送付時に陽性者登録センターの案内を同封しているほか、県ホームページなどでも陽性になった方への登録について周知を行なっております。
 これにより登録された方については、看護師や医師を配置している岩手健康フォローアップセンターが、24時間体制で対応し電話等での健康サポートを一日平均280件程度、食糧配布については一日平均50件程度行なうなど、自宅療養者の支援体制を構築しております。
 また高齢者施設などへの集団感染の把握についても、これまでの感染性胃腸炎の集団発生などと同様に、所管の保健所への連絡体制を構築しており見直し後も25件確認し、施設等への感染対策の助言などを実施しているところでございます。

【質問】高田一郎県議
 次に、ワクチン接種と検査体制の強化についてです。
 今季はインフルエンザと新型コロナウイルスが同時流行になるとも指摘されおり、ワクチン接種率向上が極めて重要です。一関市は若い世代を含め全世代での接種率が高く、その要因は学校を通じて保護者に重要性を知らせるなど世代別対策、若者への情報発信、金曜日夜や大学職場などの集団接種などにも取り組んでいることです。さらに53の医療機関で発熱外来でもワクチン接種でも取り組まれています。一関市の経験に学び、県全体の接種率向上にしっかりと取り組むべきです。特に若い世代への接種率向上に県はどう取り組まれるのでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 ワクチンの接種率向上についてでありますが、現在流行のオミクロン株に対応したワクチン接種が1、2回目接種を終了した12歳以上の全ての方を接種対象とされたことを踏まえ、県内でも9月24日の県の集団接種を皮切りに早期の段階から接種を実施しており、市町村でも順次接種を開始しているところであります。
 県ではワクチン接種の促進に向け市町村と定期的に連絡会議を開催し、学校等の単位での接種など県内の先進事例の横展開を図っているほか、県の集団接種会場では土曜日午前の時間帯での接種や事前予約なしの当日受付、さらに11月からは企業や団体等を対象とした団体接種を、大学のサークルなどのグループや家族単位でも申し込みができるよう、対象範囲を拡大の上実施することとしております。
 今後ワクチン接種を希望する方が速やかに接種を終えることができるよう、引き続き市町村や関係機関と連携し医療従事者の確保や県集団接種、職域接種の支援、ワクチン接種の正確な情報の発信などにより、接種の加速に取り組んで参ります。

【質問】高田一郎県議
 県が実施する無料PCR検査は県民から大変歓迎されています。 これまでの実績を示してください。第8波も予想される中、市町村からは一か月ごとの延長ではなくせめて来春の3月まで、高齢者施設・障がい者施設などからは十分な検査キットの配布の要望が出ています。今後の検査の強化にどう取り組まれるのかについても併せて示してください。

【答弁】野原保健福祉部長
 検査体制の強化についてでありますが、薬局等での無料検査の実績については、令和3年12月から令和4年9月25日までで、PCR検査は37,927件中陽性が538件、抗原検査は55,033件中864件で、陽性率はそれぞれ1.4%、1.6%となっております。
 薬局等の無料検査は国の交付金を活用した補助事業であり、感染状況を踏まえ国との協議において全国的に1ヶ月ごとに期間の延長が認められる取扱いとなっております
 高齢者施設等への抗原検査キッドについては、濃厚接触者となった職員の早期復帰のための検査等に活用するため希望する施設に配布しているほか、今後国から配布される抗原検査キッドを活用し、入所系のほか通所系や訪問系の高齢者施設等の従事者等を検査対象とした、集中的検査の実施について検討しているところであります。
 引き続き各市町村とも連携し、重症化リスクの高い高齢者などのクラスターを未然に防止するため、感染状況に応じて有効な検査の実施に努めて参ります。

【質問】高田一郎県議
 次に、後遺症対策についてです。
 新規感染者が減る一方で後遺症に苦しむ方が増加しています。特にオミクロン株による第6波以降急増しており軽症、無症状でも発症し、発症率はデルタ株に比べ多く、20〜50代の働き世代が多いというデータもあります。感染に気付かず後遺症に悩む事例も少なくありません。ある50代男性(自営業)は強い脱力感と倦怠感もあり複数科受診したものの「原因不明」と診断され「無理をして働いた」と話しており、医療につなぐための丁寧な周知が必要です。山形県では後遺症診療可能な85診療所を周知し、より高度な医療や診療が必要な場合は県指定の病院に紹介、また「コロナ後遺症コールセンター」も設置しています。後遺症専門外来に「後遺症コールセンター」を設置すべきですが本県の対応はどうなっているのでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 新型コロナウイルス感染症の後遺症への対応についてでありますが、県では令和3年度の調査結果を踏まえ、県医師会と調整を行ない、各医療機関に対し罹患後の症状が疑われる方が受診した際には、国の診療の手引きに基づき対応すること、また症状を有する方については、かかりつけ医または最寄りの内科で対応し、必要に応じて専門医を紹介することとし、県ホームページにおいて県民向けに周知をしているところであります。
 罹患後の症状についてはいまだ治療法が確立しておらず、現状では対症療法とならざるを得ないことなどから、県内の医療機関に専門の外来等は設置されていない状況にありますが、その相談については保健所や一般相談窓口であるコールセンターにより、症状に応じて医療機関の受診を案内するなどの対応をしているところであります。
 今後においても最新の国内研究の結果や科学的知見に基づき、国において随時更新していく診療の手引きを医療機関へ周知するとともに、罹患後の症状に対応している医療機関の状況も把握しながら、県医師会及び医療機関と連携して罹患後の症状に悩む方々が適切な治療が受けられるよう取り組んで参ります。

2.物価高騰から県民の暮らしと生業を守る課題について

【質問】高田一郎県議
 第2に、物価高騰から県民の暮らしと生業を守る課題です。
 コロナ危機に加えてガソリン、食料品、電気料金をはじめ物価高騰が襲いかかり、暮らしと営業は深刻な打撃を受けています。10月からの食料品の値上げは6700品目となり後期高齢者医療費の負担増ものしかかります。県民生活はもはや一刻も猶予できない状況にあると考えますが、知事は物価高騰による県民と事業者への深刻な影響をどう把握されているでしょうか。

【答弁】達増知事
 物価高騰による県民と事業者への影響についてでありますが、県が今月公表した「岩手県の景況」では、県内の景気は持ち直しに向けた動きがみられるとしているものの、盛岡市の消費者物価指数は昨年の6月以降、前年を上回って推移しており、特に今年度に入ってからは、食料品や光熱水費等の上昇の影響を受け、前年同月比+2.0%を超える高い水準となっているところです。
 また県は商工指導団体と連携して実施している事業者調査でも「食材、水道光熱費、資材の高騰が大きく経営上の負担となっている」、「値上げが追い付かない」といった声が多く寄せられるなど、県民や事業者の影響は非常に大きいものと認識しております。

【質問】高田一郎県議
 「物価高騰対策支援金」の申請が8月8日から始まりました。「物価高騰対策支援金」は、コロナ感染症の拡大や物価高騰により厳しい状況にある中小事業者の事業継続のために支援するもので「原材料等支援金」は最大20万円、「家賃等支援金」は15万円を支給するものです。しかし、9月20日現在の「原材料等支援金」の支給件数はわずか5件、「家賃等支援金」も13件のみとなっています。13億円の事業費にもかかわらず、わずかな支給となっている要因を示してください。
 県内事業者からは「単価の比較が面倒だ」「物価が上がって売り上げが上がっても利益は下がり対象にならない」という声も出ており事業者には全く不評です。面倒な申請とせず困っている事業者へ確実な支援となるような抜本的な見直しが必要と考えますが知事の見解を伺います。

【答弁】達増知事
 「物価高騰対策支援金」についてでありますが、事業者に対する支給実績が低調な要因については、これまでの地域企業経営支援金や家賃補助に比べて、支給額が少額であることや確認書類が多くなったこと等により、事業者の負担が増え事務局における審査にも時間を要していること等によるものと認識しております。
 一方で県は商工指導団体と連携して実施している影響調査においては、多くの事業者がいまだコロナ禍前の売上回復には至っておらず、今年度に入り原油高や原材料価格の高騰による影響を指摘する声が増えており、こうした支援金に対するニーズは高いものと考えております。
 このため商工指導団体等を通じて、事業者に対して支援金の活用についての情報提供を改めて徹底するとともに、多くの事業者に活用されるよう確認書類の見直し等を含めた検討を早急に進めて参ります。

【質問】高田一郎県議
 物価高騰は子どものいる世帯の生活を直撃しています。9月補正には子育て世帯への県独自支援として児童一人当たり15,000円の追加給付が提案されています。評価したいと思いますが、「子育て支援」というのであれば、子育てで一番お金のかかる高校生18歳まで拡大すべきです。県内の15市町村が18歳まで広げて実施しています。新たな「地方創生臨時交付金」を活用して拡充すべきと考えますが、必要な財源を含め示してください。

【答弁】野原保健福祉部長
 子育て世帯への支援の拡充についてでありますが、今定例会に提案している岩手子育て世帯臨時特別支援金給付事業費補助は、物価高騰が継続している状況に鑑みその影響に直面している子育て世帯に支援金を給付する市町村に対して、対象児童一人あたり1万5千円を補助するものであり、本年5月臨時議会で決議いただいた支援金給付に続いて2回目の給付を行なおうとするものであります。
 コロナ禍において依然として若年者の感染が高い水準にある中、中学校終了前の児童を養育する家庭は保育所や学校の一部閉鎖等により、保護者も仕事を休まざるを得ないことで収入が減少するなど、物価高騰の影響を特に受けていると判断したこと、
 また迅速に支援を行なう必要があることから、中学校終了前の児童を対象とするプッシュ型の児童手当のスキンを基本として実施することとしたところであります。
 支給対象を高校生等の18歳まで拡大した場合は対象者数が約2万9千人の増となり、給付費用約4億6千万円の増額が必要と見込まれるところであります。
 議員ご指摘の通り物価高騰は高校生を養育する家庭等を広く県民に影響を及ぼしており、長期化することも予想されるところでありますが、支援の拡充については今後の物価の動向やその影響、施策の効果などを踏まえて検討すべき課題だと認識をしております。

【質問】高田一郎県議
 介護事業所などからも支援を求める声が上がっています。一関市内の高齢者施設では光熱水費で年400万円の負担増となり、施設長は「食事に1円でも安い代替品を探し栄養バランスを保った食事に努力しているが限界だ」と訴え、盛岡市内の医療機関では、「3千万円規模の負担増となり赤字決算見込みだ」と訴えられました。
 介護・高齢者施設などでは公定価格で運営されており物価高騰で大きな影響を受けても利用料への転嫁が難しく、サービスの質を確保するための経営努力も限界となっています。県施設や学校給食に補正予算を組んで支援したように医療、介護、福祉等の事業所へも光熱水費と食事代の高騰分に対する支援に取り組むべきですがいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 医療・福祉事業者への支援についてでありますが、議員ご指摘の通り多くの医療・福祉事業者において、燃料代、電気代、食材費等の物価高騰による影響が生じているものと承知をしております。
 県内の医療・福祉関係団体からは診療報酬や介護報酬等の公定価格により運営されている医療・福祉事業者は、物価高騰による影響を価格に転嫁することができず経営努力のみでは対応が困難な状況となっており、物価高騰への支援が必要である旨要望をいただいているところであります。
 政府における物価高騰対策は全国的な課題となっていることから、国において支援を行なうよう県としても国への要望等必要な対応を行なって参ります。

【質問】高田一郎県議
「地方創生臨時交付金」は、本県には53億円交付されます。エネルギー・電力・ガス・食品価格など物価高騰を受けた生活者・事業者に対し幅広く活用できるものであります。県民のくらしや中小事業者などへの支援が緊急に求められており、今議会中に補正予算が提案できるような対応が必要と考えますが知事の考えを伺います。

【答弁】達増知事
 更なる物価高騰対策についてでありますが、ロシアによるウクライナ侵略、世界的な物価高騰など、世界規模で不確実性が高まる中、エネルギー、食糧品価格等の物価高騰は本県においても原価の危機として県民や中小事業者等に影響を及ぼしていると認識しております。
 そのような認識にたって県民一人ひとりに寄り添った支援を実施するため、県ではこれまで国から示された40億円余の地方創生臨時交付金に対して、全国に先駆けて総額93億余にのぼる対策を講じて参りました。
 今議会においても影響の長期化を踏まえた追加対策として、子育て世代に対する県独自の支援金、鉄道事業者に対する燃料費等高騰支援、農家等に対する肥料価格高騰に係る負担軽減策などを盛り込んだ補正予算案を提案しております。
 まずはこれらの支援策を必要な方に迅速かつ確実に届けていくとともに、今後物価高騰等が実体経済や県民生活へ与える影響や国の総合経済対策の内容を注視しながら、議員ご指摘の交付金重点支援分も活用して、必要に応じて追加の支援策の検討を進めて参ります。

【質問】高田一郎県議
 日本世論調査会が行った調査で「物価高騰で必要な政策」は、1位が消費税減税、2位が賃上げです。実質賃金は年収で61万円も減少し、25年間名目賃金が伸びません。政府の賃上げ促進税は賃上げをした企業への減税であり、企業の7割を占める赤字企業には何の恩恵もありません。日本共産党は、法人税減税や大企業優遇税制で12年以降の増えた内部留保に年2%、5年間で10%の時限的課税を行い、総額10兆円の税収で中小企業への直接支援を行い大幅な賃上げを提案しています。今年の岩手地方最低賃金審議会では初めて中小事業者への直接支援を求める付帯決議も上がりました。物価が上がり続けても30年間も実質賃金が上がらない、この構造を脱却することが必要です。消費税減税はコロナ禍中でも98カ国が実施しています。消費税の緊急減税とともに中小企業への支援を行い国の責任で賃上げが今こそ必要と考えますが知事の見解を伺います。

【答弁】達増知事
 物価高騰対策としての消費税減税についてでありますが、コロナ禍において様々な国で落ち込んだ需要を喚起するため、消費税の減税などの経済対策が取られているものと承知しており、経済回復の途上にあって物価高にみまわれている我が国においても、地域で生活する人々の消費する力が維持され、活力が損なわれることなく経済が動いていくことが重要と考えております。
 消費税については、地方においても子育て支援や介護人材確保などの社会保障財源となっているものでありますが、一方、原油をはじめとするエネルギー価格や半導体、農林水産物等の様々な原材料・資材価格の高騰が、国民生活や事業者の活動に広く影響を及ぼしている現在の状況を踏まえ、減税が有効であるとする意見もあります。
 県としてはこれまで全国知事会等を通じて、物価高騰対策の拡充や様々な産業分野の事業者、生活困窮者への支援等について要請してきたところであり、今後も引き続き県民の暮らしと生業を守るため、国に対し大胆かつ強力な財政出動と地方重視の経済財政政策の必要性について、様々な機会を通じて提言等を行なってまいります。
 次に中小企業の賃上げについてでありますが、県内経済は改善傾向が見られるものの、多くの事業者はいまだコロナ禍前の売上回復までには至っておらず、加えて最近は原油高や原材料価格の高騰、円安の影響を指摘する声が増えており、引き続き厳しい経営環境を強いられる中で、物価上昇等に伴う賃上げの原資を確保することは、容易ではない状況と認識しております。
 このため全国知事会を通じて、生産性向上への支援や価格転嫁の円滑化による取引適正化等を進め、地域の企業の賃上げを可能とする環境整備の推進や大胆な経済対策の実施について国に要請しているところです。
 県としても引き続き地域の中小企業の生産性向上など、賃上げにつながる取り組みに対する支援を進めて参りたいと思います。

3.ケア労働者の賃上げ・処遇改善事業について

【質問】高田一郎県議
 第3に、ケア労働者の賃上げ・処遇改善事業についてです。
 介護、保育、医療など高い専門性と責任が求められるケア労働者が社会に必要なエッセンシャルワーカーとされる一方で、その役割に見合った処遇でないことが大きな社会問題になっています。コロナ感染拡大などで厳しい仕事を強いられる中で、職員の使命感が薄れ離職する職員も少なくありません。これは他産業と比べ保育・介護職では月額6万円を超える格差があり、これが離職につながる大きな要因になっています。こうした中で政府は、ケア労働者の処遇改善を図ることを表明し、2月〜9月まで介護、保育などで月額9000円、看護は月額4000円の処遇改善事業を実施しました。しかし、申請期間が短く看護職では対象が限定的、10月以降の制度が不透明なこともあり、十分な取り組みにならなかったと課題も指摘されています。県内の処遇改善事業の状況・実績はどうなっているのでしょうか。 

【答弁】野原保健福祉部長
 介護職員等の処遇改善の状況についてでありますが、今回の処遇改善事業は看護、介護、保育など新型コロナウイルス感染症の対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において、働く方々の収入の引き上げを行なうため今年2月から9月まで全額国費により実施したものであります。
 その引き上げ額は看護職員等が賃金の1%程度の月額4,000円、介護職員や保育士等が賃金の3%程度の月額9,000円となっており、対象となる施設等に対して補助しているところであります。
 本県における実施状況は今後支給が予定される分も含め、9月末時点で看護職員は救急医療を担う27病院2億1千万余、介護職員、保育士等は4,106施設20億3千万円余の計4,133ヶ所、22億5千万円余となっております。

【質問】高田一郎県議
 次に、10月以降の処遇改善についての県の対応です。
 今月からの処遇改善事業は、これまでの補助金から保育は公定価格による措置、介護と医療は介護報酬・診療報酬に移行となりました。介護事業所では利用者と被保険者に、医療機関では保険者や患者の負担になります。「処遇改善事業」の見直しによる利用者、患者、県民への影響と負担はどう試算されているのでしょうか。患者などに負担を求める処遇改善となる制度は見直しを国に求めるべきですがいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 次に介護職員等の処遇改善についてでありますが、議員ご紹介の通り国では介護職員等の処遇改善について、10月以降は介護報酬や診療報酬等の改定により実施することとし、介護職員等の賃金は9月までと同じ月額9,000円、看護職員の賃金は9月までの月額4,000円から1万2千円に引き上げることとしております。
 これらに伴う介護施設等の利用者や病院の患者の負担については、各施設の職員数や提供するサービス内容などにより異なることから、その影響額を正確に算出することは困難でありますが、例えば9月までの処遇改善事業の実支給額を基に介護施設等における利用者負担を1割、病院における患者負担を3割と仮定すると、荒い試算ではありますが介護施設等では利用者1人当たり月額170円から200円程度、病院では入院患者1人当たり1日160円程度の負担増となるところであります。
 また介護保険については国によると65歳以上の1号保険料の改定は行なわれず、40歳から64歳までの2号保険料は、1人当たり月額70円程度の負担増が見込まれるとされております。
 県では全国知事会とも連携しながら看護職員、介護職員等の処遇改善にあたり、利用者の負担が伴わない制度設計などについて国に対して要望しているところであり、引き続き必要に応じて要望を行なって参ります。

【質問】高田一郎県議
 県立病院では、20病院中15の病院だけが月額12000円の「処遇改善事業」を計画しています。職場での分断と格差、病院間での患者負担にも格差が出るような「処遇改善事業」は見直し、昨年度の43億円余の利益を活用しすべての看護職員が平等な処遇改善となるように改善すべきですがいかがでしょうか。今回の処遇改善対象とならない人員数、処遇改善の対象とした場合の財源を含め示してください。

【答弁】小原医療局長
 県立病院の看護職員の処遇改善についてでありますが、国の看護職員等処遇改善事業については、令和4年度診療報酬改定において救急搬送件数が年間200件以上で、診療報酬の救急医療管理加算の算定を届出している病院、または三次救急を担う救命救急センターを有する病院に勤務する看護師、准看護士及び助産師が対象とされており、医療局においては10月以降財源が補助金から恒久的な診療報酬に移行したことを踏まえ、この施設基準を満たす15病院の看護師、准看護士及び助産師約3,150人を対象に、月額12,000円の特殊任務手当を支給する予定であります。
 これに掛かる年間所要額は特殊勤務手当が5億2,700万円余、超過勤務手当等基礎額増加による増加分が7,300万円余、合計で6億100万円余となり、うち医療局の負担は7,300万円余となるのに対し、全病院を対象とした場合は対象が約300人増加することに伴い更に5,400万円を要し、医療局の負担は年間1億2,800万円余となる見込みです。
 今回の処遇改善については、他の都道府県病院との均衡のほか先ほども述べた財源が恒久的な診療報酬に移行されたことを踏まえ、今後の県営との影響を考慮して決定したものであります。

4.子どもの医療費助成事業の拡充について

【質問】高田一郎県議
 第4に、子どもの医療費助成事業の拡充についてです。
 子どもの医療費助成は、盛岡市、久慈市、滝沢市が来年度から高校生まで助成することになり、県内すべての市町村で高校生まで広がることとなります。これまでは中学生までが「現物給付」となっていますが、高校生は、後日還付を受ける「償還払い」となります。来年度からは高校生まで「現物給付」を広げるべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 現物給付の拡大についてでありますが、県では人口減少対策としての総合的な子育て支援政策の一環として市町村等と協議のうえ、令和2年8月に全県一律で現物給付の対象を中学生まで拡大してきたところであります。
 これにより子育て家庭の経済的な負担が軽減され、そのおかれた環境に左右されることなく、子どもの適正な医療の確保が図られてきたと考えております。
 一方現物給付の対象の拡大にあたっては、新たに国民健康保険の国庫負担金等に減額調整措置、いわゆるペナルティが発生することから、国に対し医療助成事業の現物給付化による国庫負担金の減額調整措置の撤廃について要望しているところであります。
 議員ご提案の高校生までの現物給付拡大については、彼らに発生する国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置などの課題について、市町村と十分に協議を重ねながら検討を進めて参ります。

【質問】高田一郎県議
 子どもの医療費に助成する自治体が広がる中で政府は自治体の取り組みを応援するどころか、小学生以上の現物給付化にペナルティを科し、国民健康保険に対する国庫負担の減額措置を続けています。それでも自治体が努力しているのは、お金の心配なく安心して子育てできるようにという保護者や住民の願いがあるからです。全国知事会など地方6団体が、ペナルティの廃止や全国一律の医療費助成制度の創設による少子化対策の抜本強化を繰り返し国に要請しています。国の動向はどうなっているのでしょうか。高校まで「現物給付」を広げた場合の増加額も示してください。

【答弁】野原保健福祉部長
 子ども医療費助成に関する国の動向等についてでありますが、国においては平成30年度から未就学児までを対象とする現物給付について、国民健康保険の国庫負担金等の減額調整措置、いわゆるペナルティを行なわないこととしてきたところでありますが、更なる減額調整措置の廃止については現時点では具体的な検討には至っていないものと承知をしております。
 子どもの医療費助成は本来自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行なわれるべきであり、全国一律の制度の創設と減額調整措置の廃止について、引き続き国に対し要望して参ります。
 また高校生まで現物給付の対象を広げた場合に、新たに発生する減額調整措置額は荒い試算ではありますが、県全体で年間1千万円程度と見込んでおります。

5.東日本大震災津波からの復興の課題について

【質問】高田一郎県議
 第5に、東日本大震災津波からの復興の課題です。
 被災者の医療費・介護保険利用料の免除措置は11年間継続し、11年目は非課税世帯に限定し実施し続けたことは被災者の命綱となり大きな役割を果たしました。しかし、残念なことに昨年12月で終了しました。岩手県保険医協会が免除を打ち切った後に行った「被災者医療費窓口負担実態調査」では、「通院回数が減った」「通院できなくなった」の合計が国保世帯で55.9%、後期高齢者医療では42.2%にもなっています。6月県議会では「被災者が経済的な理由で受診できないことがないよう、より踏み込んだ対策を講じる」という請願が採択になりました。被災者の実態と請願採択を受けた対応について知事の見解をお伺いします。

【答弁】達増知事
 医療費介護保険利用料の一部負担金免除の終了後の被災者への支援についてでありますが、医療を必要とする方が適切な医療を受けられることが重要であり、議員からご紹介いただいた実態調査結果などの被災者の声に耳を傾け、被災者に寄り添った支援を進めていくことが必要と考えております。
 このためこれまでも高額療養費制度の活用や生活福祉資金の貸付、被災者の置かれている状況によっては、生活保護による医療扶助の活用等の各種支援制度や相談窓口の周知と活用に努めてきたところでありますが、今年度新たに生活相談支援等に対する被災者の支援強化の要請、各種支援制度を取りまとめたリーフレットの作成と配布、各市町村の国保所管部署と福祉所管部署の連携による相談体制の強化、市町村広報における周知の強化などに取り組んでいくこととしております。
 今後においても市町村や関係機関との連携を強化し、相談窓口につながっていない被災者にも必要とする支援制度の情報が届くよう周知に努め、被災者一人ひとりの状況に応じて着実な支援につなげていくよう取り組んで参ります。

【質問】高田一郎県議
 次に、災害公営住宅入居者へのコミュニティ支援についてです。
 先月、陸前高田市の県営栃ヶ沢災害公営住宅の入居者と懇談を行いました。入居者からは「電気代の値上が大きく共益費負担が大変」「役員の高齢化しリーダーが必要、生活支援相談員が配置されれば助かる」と訴えられました。
 市営住宅の場合は空住居分や集会所の共益費を支援しており、県営でも同じような対応をすべきですがいかがでしょうか。

【答弁】田中県土整備部長
 災害公営住宅の共益費の支援についてですが、災害公営住宅の共益費については一般の県営住宅との公平性の観点から、県営住宅等条例において入居者の負担としております。なお空き住戸が多いほど世帯当たりの共益費負担は増加することから、県では空き住戸の発生を抑制するため、令和2年7月から被災者以外の入居を認める一般募集を実施するとともに、本年4月から被災者の収入超過者認定の要件緩和などを行なったところです。
 また今年度創設した「いわてお試し居住体験事業」では、災害公営住宅においても県外からの移住希望者を入居の対象とするなど、災害公営住宅の入居促進に努めているところです。

【質問】高田一郎県議
 集会所への相談員配置はこれまで議会のたびに求めてきましたが9月末日現在3市町4か所にとどまっており多くの集会所にカギがかかっています。集会所が比較的活用されている栃ヶ沢県営住宅でも相談員の配置の強い要望がありました。支援員配置を改めて求めるものでありますが配置が難しい理由を含め検討状況について伺います。

【答弁】野原保健福祉部長
 災害公営住宅への生活支援相談員の配置についてでありますが、本県では生活支援相談員を配置して、被災者の見守り等の個別支援やサロン活動等の地域支援を重点的に実施する、地域見守り支援拠点の設置を推進してきたところであり、今年度は1ヶ所新設し5市町に10ヶ所の拠点が設置されています。
 これらの拠点は地域の支援ニーズを踏まえ4カ所の災害公営住宅のほか、複数の災害公営住宅が立地する地区や労災集団移転先団地、被災者が通いやすい商店街などに設置されており、災害公営住宅の入居者の加え、持ち家を再建した被災者等も対象とした支援ができるよう運営されているものであります。
 県としては引き続き、市町村や市町村社会福祉協議会等の意向を伺いながら、こうした地域の実情に応じた拠点の取り組みなどにより、災害公営住宅の入居者相互の交流や近隣住民との交流を促進し、地域で暮らす人々が相互に支えあうことができる福祉コミュニティの構成を推進していく考えであります。

【質問】高田一郎県議
 昨年4月に開設した「いわて被災者支援センター」は、困難を抱える被災者・避難者への相談、弁護士による沿岸4地区での相談会、県外及び県内避難者実態調査に基づく避難者への帰還支援などに取り組み全国からも注目される活動と評価しています。令和3年度の相談対応回数は1288回となっており、今後は相談を待っているのではなくアウトリーチ支援が必要になってきます。現体制では相談に即対応できないなどの課題もうかがっています。4人分の人件費ではなく「こころのケアセンター」並みに8〜9人の人件費とすべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】佐藤復興防災部長
 いわて被災者支援センターについてでありますが、センターでの相談内容は発災からの時間の経過とともに、恒久的住宅への移行後のローン返済や家賃負担など、経済面や生活設計の面などで複雑かつ多様化しており、これらの相談に的確に対応できるよう専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャル・プランナーなどとも連携しながら、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を行なっているところです。
 今後とも弁護士等の専門家と直接相談できるセンターの特徴を十分に生かしていけるよう、引き続き弁護士会などの関係機関との連携を図るとともに、介護や子育て、生活困窮など様々なニーズに対応した包括的な支援に取り組む、市町村や市町村社会福祉協議会などとも一層の連携を図ってまいります。
 こうした関係機関とのより一層の連携を図ることなどにより、センターの機能をさらに充実、強化し被災者一人ひとりに寄り添い支援して参ります。

6.気候危機打開について

【質問】高田一郎県議
 第6に、気候危機打開について質問します。
 県は2030年度の温室効果ガスの排出量について、当初の削減目標から16%引き上げ57%排出削減を進める素案をまとめ、環境審議会に提案しました。57%削減する目標の根拠とともに、どのような取り組みで目標を達成しようとしているのか伺います。

【答弁】福田環境生活部長
 温室効果ガスの削減目標についてでありますが、2030年度の温室効果ガスの実質排出量については、昨年10月に政府が2013年度比の削減目標を26%から46%に見直したところであり、現在検討を進めている本県の新たな削減目標も基本的にこの算定の考え方に準拠しております。
 具体的には家庭部門で57%、産業部門で41%、業務部門で60%、運輸部門で32%にまで削減目標をそれぞれ引き上げることとし、全体では2030年度の削減目標を41%から57%に見直すことになります。
 この削減目標を達成するためには省エネ住宅の普及はもとより、省エネ設備の導入、次世代自動車の普及、さらには再生可能エネルギーの導入などに総合的に取り組むことが不可欠であり、県民会議の充実や市町村との連携などを図りつつ意欲的に取り組みを進めてまいります。

【質問】高田一郎県議
 引き上げる削減目標を達成するためにも、住宅の新築・改修を含め住宅全体の省エネ性能を底上げすることが重要です。WHOは各国に住生活の観点から寒さ対策して冬季室内温度を18度以上となるよう勧告しています。
 国の対応は、2030 年までに省エネ基準を段階的に引き上げ、ZEH基準を新築建築物に義務化するとしています。新築・改修含め国の低い基準を超える高断熱の住宅建築を推進し性能に応じた補助を行うなど思い切った取り組みが必要です。県は「岩手型住宅のガイドラインの見直しの中で検討する」としてきましたが、どう検討されているのでしょうか。

【答弁】田中県土整備部長
 住宅の省エネ制度の底上げについてでありますが、改正建築物省エネ法において新築住宅は、2025年度までに現行基準への適合が義務化され、2030年にはZEH基準に引き上げられることとなっております。
 また今月には地方公共団体が地域の気候・風土の特殊性を踏まえ、独自に設定するZEH基準を上回る住宅性能を評価するための基準が国から示されたところです。
 県といたしましてはZEH基準を超える省エネ住宅の普及は、2050年カーボンニュートラルを実現するうえで重要な視点と考えており、岩手型住宅ガイドラインの見直しに向けては、国の動向や先進自治体の取り組みを参考にしつつ、本県の基準の方向性について「岩手県住宅政策懇話会」で意見を聞いて参ります。

【質問】高田一郎県議
 家庭のエネルギー消費で最も多いのは照明・家電製品等による消費です。県民一人一人に身近な省エネ手法の実践と高効率家電への転換を促し、暮らしの質の向上とエネルギー消費量を削減する必要があります。積極的なPRが必要と考えますが、どう取り組まれているのでしょうか。

【答弁】福田環境生活部長
 省エネのPRについてでありますが、家庭における省エネの意義や効果をわかりやすく伝えることは重要であり、本県でも「いわてわんこ節電所」と銘打ったホームページの中で「家庭のエコチェック」として、こまめな節電や省エネ家電への買い替えなどによる??削減効果の目安を把握できるようにしておりまして、これまでに6万人近くの方に参加いただいております。
 そのうえで昨今の物価上昇の中で省エネに対する関心がより一層高まっているほか、省エネは快適な生活をもたらしえるといった多面的な効用も見込まれますので、今後「家庭のエコチェック」の内容の充実に向けて検討を進めてまいります。
 また民間企業においても、それぞれのサプライチェーンの中で??排出量の可視化を求められる動きが県内でも見られるところであり、地元金融機関と提携した可視化サービスの利用も徐々に広まりつつあることから、今後このような取り組みがさらに広がるよう、温暖化防止いわて県民会議の中で周知を図ることも検討して参ります。

【質問】高田一郎県議
 県は県有施設の再生可能エネルギー導入に向けた調査を行なうとしています。導入に適した施設から積極的に導入すべきですが、これらの調査の概要と今後の方針について伺います。

【答弁】福田環境生活部長
 県有施設への再生可能エネルギー導入についてでありますが、公共施設で再エネの導入を率先して進めることは重要であり、今年7月に県の公共施設等総合管理計画に再エネの導入を含む脱炭素の視点を新たに盛り込んだほか、県有施設の面積や日照時間、積雪の状況などを踏まえた太陽光発電設備の導入可能性調査を今年度中に行なうこととしております。
 その上で県有施設への再エネ導入に当たっては、国の交付金や有利な起債メニューの活用、さらにはPPAによる屋根貸しといった複数の選択肢が存在することから、それぞれの県有施設における最適な導入手法や優先順位などを吟味した上で、来年度には具体的な導入計画を作成し関係部局と連携しながら順次導入を図って参りたいと考えております。

7.農業の諸課題について

【質問】高田一郎県議
 第7に、農業の諸課題について質問します。
 輸入飼料・肥料価格など農業資材高騰が止まりません。生産者への直接支援を抜本的に拡充することが喫緊の課題です。100頭の乳用牛を育てる酪農家は「配合飼料が1.5倍、配合飼料価格安定制度の補填も十分でなく値上分の影響を直に受けている、酪農を続けたいが頑張る気持ちが起きない」、土地改良区役員からは「今年度の電気代は400万円増だが、来年は料金見直しで2千万円増となり賦課金を引き上げざるを得ない」と訴えられました。県内のコメ農業経営体の95%、5?以下の農家は既に採算割れしており、物価高騰は農業の危機に拍車をかけるものです。政府が示した「肥料価格高騰対策事業」はコスト上昇分の7割補填、「飼料価格高騰緊急対策事業」は1回限りで十分ではありません。国の肥料高騰対策に上乗せして独自に支援する自治体が山形県を含め全国で24県となっています。土地改良区への支援を含め県独自の支援策が必要と考えますが、どう検討されているのでしょうか。 

【答弁】藤代農林水産部長
 農業資材高騰対策についてでありますが、県では国際情勢の変化等により、肥料や飼料など生産資材の価格が高騰している状況を踏まえ、国に対し肥料や飼料等の価格高騰への対応や農業水利施設の維持管理に係る電気料金への支援などを要望しているところです。
 また農業経営に及ぼす影響を緩和していくため、配合飼料や肥料のコスト上昇分を補てんする国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に6月補正予算において、配合飼料価格の上昇や園芸施設の省エネルギー化の取り組みに対する支援策を措置するほか、さらに本会議の補正予算案に肥料コスト低減に向けた機械や設備の導入への支援に要する経費を盛り込んでいるところです。
 こうした支援策を迅速かつ確実に実施していくとともに、引き続き農業生産資材等の価格や国の動向を注視しながら、生産者の経営安定が図られるよう、県としてどのような支援が可能か検討して参ります。

【質問】高田一郎県議
 飼料価格の高騰は、ウクライナ危機もあり輸入原料の相場は今後も落ち着きを見通せず、海外から高騰前のように安定的に確保できる保証はありません。国内生産を増やし自給率向上への体制構築が急務です。子実用トウモロコシの作付拡大などにすでに取り組まれていますが、飼料等の自給率向上に計画的に取り組むべきと考えますが、県の対応策を示してください。

【答弁】藤代農林水産部長
 資料自給率の向上についてでありますが、県では本県の強みである自給飼料の生産拡大に向け、牧草地や飼料畑の整備、水田を活用した飼料用米やホールクロップサイレージ、子実用とうもろこし等の生産を推進しております。
 さらに本年度は、牧草地の生産性を高める簡易な整備や飼料用とうもろこしの収穫後にライ麦を作付けする二毛作を推進するほか、来年度の子実用とうもろこし等の作付拡大に向け、現在畜産農家等の需要を調査しており、今後とも本県の飼料自給率が向上していくよう取り組んで参ります。

【質問】高田一郎県議
 水田活用交付金の見直しは自給率向上にも逆行するものです。飼料組合が解散する状況も出ていますが、今年の作付け状況と影響はどう把握しているでしょうか。飼料自給率向上に逆行する水田活用交付金の見直しは、改めて撤回を国に求めるべきですがいかがでしょうか。

【答弁】藤代農林水産部長
 水田活用交付金についてでありますが、令和4年産の水田の作付状況は現時点で公表されておらず、交付金見直しによる影響をお示しすることは難しいところですが、地域において粗飼料の安定供給を懸念する声があると承知しております。
 県では国に対し水田を有効に活用した、多年性牧草等の生産への支援を拡充すること等を要望しており、国では現在粗飼料の安定供給への支援などを検討していると聞いております。
 県としては国の検討状況を注視するとともに、引き続き全国知事会とも連携しながら国に対応を求めて参ります。

8.県立高校再編計画について

【質問】高田一郎県議
 第8に、県立高校再編計画について質問します。
 「高校再編後期計画」では「盛岡一極集中を緩和し」「人材育成など地方創生を担う1学級校や1学年2学級の学校はできる限り維持する」と明記しました。不来方高校と盛岡南高校の統合の効果が出る前に周辺高の沼宮内高校の学級減を強行することは後期計画の基本方向にも反するものです。地元岩手町では今年度予算で1,559万円の予算を組み、公営塾の開設、通学費補助や給食支援、沼宮内高校では「沼高通信」を中学生に配布するなど地元入学率を高める努力が始まっています。岩手町と町議会、同窓会などからも再考を求める要望が出ており、学級減計画は見直すべきです。
 福岡工業高校と一戸高校の統合は令和6年度を目指し学級数は維持した計画です。
 これまで総合学科については「原則3学級以上を確保し」「なお生徒数の減少により学校規模の維持が困難な場合は、学科見直しも視野にその方向性を検討する」としてきました。すでに学級減の対象検討だった一戸高校の検討はされず「後期計画」で2学級規模が維持できている福岡工業高校と統合することは合理的ではありません。統合しても総合学科が成り立つかどうかわからない統合で、どんな新しい高校ができるのか疑問です。県北唯一の工業高校は存続し、総合学科の在り方を検討することが必要と考えますが教育長の見解を求めます。

【答弁】佐藤教育長
 県立高校再編計画についてでありますが、沼宮高校においては2学級80人の募集定員に対し、平成27年度には入学者42人で充足率53%、28年度には29人36.3%となり、その後50%前後で推移してきたところであり、入学者の状況等について岩手町に説明するとともに、高校魅力化の取り組みを推進しながら同校の入学者確保に努めてきたところです。
 しかしながら令和3年度は募集定員80人に対し入学者31人で充足率39%、本年度は25人で31%になったこと等から、「岩手県立高等学校の管理運営に関する規則」により、募集学級数を来年度から1学級減としようとしているものであります。
 なお同校が行なっている県外からの志願者受け入れに係る、募集定員80人の1割相当としている8名については1学級減となっても維持することとし、入学者確保に向け配慮することとしています。
 また福岡工業と一戸の統合については、本年5月に二戸市長及び二戸市教育長連盟による要望書の提出があったことから、その趣旨を踏まえ工業学科2学級と総合学科3学級により統合を進めることを7月の文教委員会において説明したところであります。
 その後二戸市及び一戸町において統合に向けた理解と賛同が得られたことから、両校の関係者や両市町の代表者、地元産業界代表者等によって構成される統合検討委員会を設置し、これまでに2回の委員会が開催されているところです。
 県教育委員会としては二戸地域の産業等人材を育成する新たな学校の設置に向け取り組みを進めてまいります。

9.統一協会と自民党との癒着問題について

【質問】高田一郎県議
 自民党の国会議員の約半数が関係を持ってきた、反社会的集団である統一協会・国際勝共連合について知事に質問します。
 統一協会の重大な問題点は自らの正体を隠し信者に取り込み霊感商法や高額献金、集団結婚式などを強いてきたことです。そうした反社会的行動を覆い隠すため政治家に取り入り政治家の側は選挙の手足となって活動するという癒着が作られました。政治家が祝電・挨拶をし、自治体が後援したことが多くの被害者を生み出す結果となっています。岩手県議会でも6人がかかわていたと報道されています。県行政はどうだったのですか。
 解散命令について「信教の自由」を理由に政府は慎重な姿勢です。宗教法人格がなくなれば税制上の優遇などがなくなりますが宗教団体としては活動できます。今後も宗教法人格として特権を付与して優遇することが県民の理解を得られるものではありません。いま大きな政治問題になっている統一教会問題についての知事の認識を伺います。

【答弁】達増知事
 旧統一協会に対しては刑事事件や民事事件の裁判例もありますし、また参議院選挙の後さまざまな報道がされたり、マスコミで紹介されたりしているような例は、先ほども述べましたけれども、健康で文化的な最低限度の生活を奪うようなことであったり、また議員ご指摘のように基本的人権の侵害と言えるような看過し得ない被害をきわめて多くの人々に与えていて、そして日本経済、日本社会に対する影響という観点からしても極めて大きいものがあるのだと思います。
 したがってまずは被害者の救済そして被害の防止ということが重要でありますし、国会議員や地方議員などが統一協会の過去の活動でありますとか、現在の勧誘活動に対していわゆるお墨付きを与えるような形で、こういう人たちが我々のところに来て下さっています、挨拶に来て下さっています。―そういったいわゆる広告塔的な材料として団体に利用されるようなことは基本的にあってはならないし、またすでにそういうことをしてしまった場合には、それがいかにして広告塔として利用されないようにするかということで、さまざまなやり方があるんだとは思うんですけれども、絶縁する、関係をもたないということだけでは教団側の様々な記者会見では、時間が経てばまた話ができるようになるとか、一時的に今、現在だけ関係をもたないということだけでは足りなくてですね、やはり広告塔的な利用をされかねないことをした側から、今答弁で述べたような教団の問題点をはっきり述べて、そうしたことに対する反省点をはっきり述べて、そうしたことに対する反省、謝罪、そして今後そういうことがあってはいけないという、何らかのけじめをつけることが求められているのだと思います。

<再質問>

・高齢者施設におけるクラスター対策について

【再質問】高田一郎県議
 高齢者施設のクラスターの発生状況についてですが、8月以降高齢者施設でのクラスターは108件で半数以上となっています。実は今日も2ヶ所で高齢者施設のクラスターが発生して、本当に大変な発生状況になっています。なぜこんなに高齢者施設でクラスターが発生し続けているのかその要因は何か、今第7波の7月以降の死者数が100人以上と、これまでコロナが始まってから3年間(の死者数)の半分以上が第7波になっています。充分な対応ができたのかということを真剣に検証していく必要があると思いますが、それを深刻に受け止めて対応していく必要があると思いますが、その辺について野原部長の考えをお聞きしたいと思います。
 今クラスターの発生した施設では前段もご紹介したように、終息まで1ヶ月以上かかって大変な影響を受けています。そうした経験をした施設長さんからは、毎日が今日も何もなくてよかったと、本当に緊張しながら仕事に取り組んでいることを伺いました。施設の方々からは週1回、2回検査できるような検査体制を強化するために、検査キッドを配布して欲しいという要望がどこの施設に行っても共通してよせられています。クラスターがこれだけ広がっている状況ですから、引き続き頻回検査をやるとか大量に検査キッドを施設に配布するとか、そういうことをするべきだと私は思います。実は10月5日のアドバイザリーボードでは、高齢者に感染拡大が懸念されるということを指摘し、高齢者施設などについては従事者への頻回検査、週2回から3回実施すると、アドバイザリーボードにこう指摘されております。
 私は今の感染状況を踏まえて施設の高齢者クラスターが発生し続けているという現状を踏まえて、そういう対応をするべきだと思いますがこの件についても伺います。
 高齢者施設での施設内療養には財政支援があるのですが、1人1日当たり基本額が15万円、こういう状況です。施設長からはかかりまし経費の支援も十分ではないし、国や県が施設内療養をお願いするというのであれば、それに見合った対応をしてほしいという声が寄せられています。私も同感だと思います。ところが施設内療養に対する国の支援というのは実は今月から基本額が1人当たり1日15万円から1万円になったという状況です。これではまた新たにクラスターが発生してしまえば、長期化してしまえば施設の経営が危ぶまれるという状況です。こういった見直しは絶対改めていくべきだと、これをしっかり求めていくべきだと思いますがこの点についてもお伺いします。

【答弁】野原保健福祉部長
 高齢者施設でのクラスターが非常に多かったという要因でございます。さまざま絡み合っていますので、これだということは申し上げられないところではありますが、一つ申し上げたいのはやはり第7波、非常に感染力が強いオミクロンBA5に置き換わったということ、これはこれまでの風邪の中でも実感として感染力が強いと我々も感じています。またワクチン接種、高齢者施設で県内市町村の協力もあってかなり進んだのですが、3回目接種を受けて相当程度経って、ワクチン接種により獲得した免疫がちょうど落ちてきた時期に第7波のタイミングとあってしまった、4回目接種をこれからやろうというタイミングで第7波が始まった、こういったことが大きな要因として考えられると認識しております。
 また集中検査でございますが、これまで県では高齢者施設の集中的検査について、オミクロン株感染拡大を踏まえましてPCR検査により入所系の施設の従事者を対象として、主に週1回の頻度で検査を実施して参りました。今後は国からの抗原検査キッドの配布見込みが判明後、感染状況が高止まりしている期間におきましては、抗原検査キッドにより入所系のほか通所系や訪問系の施設の従事者に加え、新規入所者等も対象として週2回の頻度で検査を実施することを検討しております。
 続きまして高齢者施設でクラスターが発生いたしますと、やはり施設は休業ということになります。その間報酬は得られませんので大きく減収となり経営に大きく影響を及ぼしているものと認識をしております。その後にも利用控え等による減収等の問題もあり先ほども答弁申し上げましたが、やはりこれは全国的な問題でございますので、国の責任において支援を行なうよう全国知事会から要望を行なっているところであり、引き続きこの点については知事会と連携をして国に対して要望をして参りたいと思います。
 いずれにいたしましても重症化リスクの高い高齢者などのクラスターを未然に防止していくという観点から、これまでの取り組みを検証し今後においても高齢者をしっかり守っていくという視点に立って取り組みを進めて参ります。

・物価高騰対策について

【再質問】高田一郎県議
 物価高騰対策については、知事から今の物価高騰対する大変な状況を分なえて追加対策が必要だと、それを検討していくという前向きな答弁をいただきました。今後の補正予算の内容に期待したいと思います。国の対応も非常に後手後手で国会もやっと召集して、おそらく予算が通るのは12月以降だと思ういます、そうなれば地方の困っている人に届くのは12月末とか来年とかこうなってきます。したがって補正予算の対応が本当に求められておりますので、今議会中に提案できるような努力をしていただきたいと思います。
 ここで取り上げたいのは物価高騰対策支援金の問題です。先ほども佐々木朋和議員から質問がありました私も同様の問題意識です。知事からいろいろ答弁がありましたけれども、件数が少ない要因は申請するときの事務(手続き)が煩雑なので、関係団体に情報を提供してしっかり取り組むという話がありましたけれども、私もいろんな方に聞くと確かに事務が大変だという話を聞きます。しかしそれだけではないんです、売り上げが上がってもそもそも利益率が少ない、そして飲食関係ではお客様が少なくなっているので仕入そのものを減らしているということで、事務の煩雑とかそういう問題ではなく、それもありますけど、大体ハードルが高いんです。申請してもみんな切られてしまう、みんながっかりしています。事業者が利用できない支援策は大失敗だったのではないかと思います。
 6月議会で可決されて今日まで努力してきた結果(申請が)結局18件、先ほども述べましたが国の対応がどんどん後手後手なっている状況なので、ここでしっかり多くの事業者が活用してもらわないと、物価高騰対策にならないと思います。私はこの支援策のスキームを今こそ見直しして、早く支援金が受けられるような対応を取っていくべきだと思います。改めて知事に答弁していただきたいと思います。

【答弁】達増知事
 物価高騰支援金については、先ほど確認庶務の見直し等を含めた検討を早急に進めて、多くの事業者に活用されるようにしていきたいと述べたところでありますが、具体的には担当部長から答弁させたいと思います。
【答弁】岩渕商工労働観光部長
 物価高騰対策支援金につきましては、先ほど佐々木朋和議員の質問の際に答弁しておりますけれども、限られた財源を使って幅広く対象業種をひろげて支援していく中で、大きな財源を使って国の方で経済対策として実施していただきたいという観点から、持続化給付金の再給付などを要望してきたところで、その中で県としてできる範囲でやはり一定の要件が必要であったということでございます。
 今一番感じておりますのは要件がより難しく事務所の方々に伝わっていて、原材料価格も単純に価格が高騰していればそれで要件がクリアするという形をとっています。
 売り上げ減少についても地域系信金でずっとやっておりますので、事業者の方も承知していると思います。その中でたとえば光熱水費とかは一定の金額で上がっていますので、そういう確認書類の提出を省略できる部分があるのではないか、あるいは一般的に上がっているものについても再度見直していくことは可能ということで、確認書類の見直しを含めてもう一度商工団体等を通じて、活用していただきたいので周知徹底していきたいと思っております。
 そのうえでどういう形で事業者の方々に支援していけばより利用できるのかという観点も踏まえながら、どういった形で対策を打っていけばいいのかということを含めて検討を進めていきたいと考えております。

・子どもの医療費について

【再質問】高田一郎県議
 子どもの医療費についてお伺いしたいと思います。先週も議論がありましたけれども、ペナルティの問題があって市町村の意向を踏まえて対応する、これは大事なことだと思います。県だけでは取り組むことはできませんからそれは当然だと思います。ただそのペナルティは1千万ということですからこれはこれで問題ですが、でもそんなに難しいことではないと思います。私は市町村と協議することも大事ですけれども県がやりたいと、ぜひやりたいとそういう立場で市町村と協議していく、こういうことで来年からぜひ実施になるように県の積極的なイニシアチブをお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 子どもの医療費助成につきましては、これまで令和2年8月に県と市町村が様々お互い協議を重ねまして、中学生までの現物給付を全県一律で拡大してきた経緯がございます。
 本年度も一部の市町村からは現物給付についてご要望をいただいているところでございます。
 県ではこれまで小・中学生まで全県一律で県と市町村が足並みをそろえて導入を図ってきた経緯を踏まえまして、市町村と十分協議を重ねながら検討を進めて参りたいと考えております。

<再々質問>

・物価高騰対策について

【再々質問】高田一郎県議
 物価高騰対策支援金について岩渕部長から説明をいただきました。いずれ制度をつくっても13億円で始まった事業がわずか18件、金額は3ヶ月4ヶ月経ちましたけれどもわずか188万円の支給状況です。部長からいろいろ書類の省略とか事務の改善とか言われましたけれども、それだけで本当に多くの事業者が利用できるのか、私はそうではないと思います。やはり制度そのもののハードルが高いとみんな言っています。利用されない制度は見直すべきだと、事務の改善とか資料の煩雑とかという次元の問題ではないのではないかと思いますがその点についても改めてお聞きしたいと思います。

【答弁】岩渕商工労働環境部長
 物価高騰対策支援金につきましては、物価高騰の影響を受けている事業者に対して、きちんとした支援をしていきたいという考えは共通だと認識しております。そういう中で物価高騰の影響を受けている事業者さんを支援していくための今回のこの事業でございますので、例えば要件を緩和して撤廃して一律に広くもらえるようにするというようなやり方は、適切ではないと考えておりますので、きちんとした要件のもとで繰り返しになりますが周知徹底を図って使っていただいた上で、さらに別の形で何か方法があればこの財源を使いながら出来るような方法について、別途検討していくような考え方があるのではないかことを考えているところであります。

・看護職員の処遇改善について

【再々質問】高田一郎県議
 医療局の職員の今度の診療報酬改定で全看護職員が対象にならないで、1割300人程度が対象にならないで、これは制度上の問題ですから国に対して診療報酬改定を見直していくべきだと思いますが、2月〜9月のこの間についてはそういう国の基準にみちた補助金でしたが、しかし県立病院として努力をしてみんな同じ職員として、チームで新型コロナを頑張ったということで全看護職員に処遇改善の事業をしました。
 今回は財源がある限りわずか1割の職員ですから、昨年43億円という利益を上げたわけですから、その財源を活用して分断と格差が広がるような処遇改善事業ではなくて、財源があるわけですから財源がある限りこの43億円を活用して残りの1割の職員にも、みんなチームで頑張ってきたわけですから、残りの5つの病院でもいろんな病院に行って応援診療してきたわけですから、そういう人たちの努力に今応えるためにも今回財源がある限りやっていく必要があるのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。

【答弁】小原医療局長
 県立病院の看護職員の処遇改善についてでありますけれども、9月まで補助事業としてやってきたのはご案内の通りであります。
 今回10月から大きく変わりましたのが、診療報酬が恒久的な措置ということで期限が切られてないということと、4,000円の支給であったものが12,000円の支給になった、これは支給額を3倍にしましょうという制度になったということが大きな違いであります。
 先ほど43億円の利益とございましたけれども、キャッシュでそのまま残っている、あるわけではないということをご理解いただきたいと思いますし、今年度入院患者現象もございます。
 それからコロナ関係の補助金に関しましても用意する病床をどうしていくか、それから補助金制度そのものの見直しも予定されているところでありまして、今年度の本業部分はかなり厳しい状況とみております。
 それから中・長期的にもこれまでの受診控えなどもありまして、今後の受療動向が見通せないことなどがあります。
 決して楽観できる状況にないことこうしたことを考慮致しまして、持続的な医療提供のために国が示す事業スキームの通り実施することとしたものでございます。
 連携で成り立っている県立病院でありますので、今後も円滑な応援がなされるように職員には業務応援や兼務発令で、支給対象の病院に業務として従事するか、あるいは行った先の勤務実績に応じて手当を日額で支給するという措置を、医療局独自で講じているところでございます。
 看護師の処遇等については今、国において看護師の俸給表や給与水準について研究を行なうものと報道されています。
 引き続き国や他県の動向を注視して参りたいと思います。

・被災者の無料・低額診療について

【再々質問】高田一郎県議
 東日本大震災についてもお聞きしたいことがありますが、時間がないので1つだけ申し上げたいと思います。
 被災者の医療費の免除措置がなくなってから、通院をためらう方々が増えているという実態です。さまざまな努力をしている答弁がありました。そこには感謝申し上げたいと思いますが、私たちがこの間訴えてきた無料・低額診療所の問題です。被災地に行って被災者と懇談するとこの制度が分からないと、制度を知らせることがまず大事だと私は思います。今でも分からないそういう状況です。それと無料・低額診療所の拡大、これは社会福祉法に基づいて医療機関が県に申請して、県が地域の状況を勘案して判断することになっています。税の優遇措置などを行ないながら県が主体になって、この無料・低額診療所を拡大していく取り組みを県として必要ではないかと思いますがこの点についてはいかがでしょうか。

【答弁】野原保健福祉部長
 医療費自己負担免除終了後の支援についてでございますが、議員ご指摘の通りさまざまな緒制度の減免措置でありますとか生活資金等のコロナ禍における経済対策、そのほかにも生活困窮者自立支援制度などのさまざま福祉制度について、やはり制度が複雑であることはその通りでございます。
 こうした仕組みについてきちんと被災者の方々へお伝えしていくことが重要だと考えておりまして、先ほど知事からもご答弁申し上げました通り、県では今年度新たにこういった制度をわかりやすく説明したリーフレットを作成し、例えば被災者を支援する生活支援相談員の方々などやまた市町村の窓口などを通じて、被災者の方々にお渡しできるように取り組みを進めていきたいと考えております。
 また議員からご指摘がありました無料・低額診療事業につきましては、社会福祉法に基づく社会福祉事業で、県内では6つの医療機関、沿岸では2つの医療機関が実施をしているところでございます。
 県としましてはこの法に基づきまして事業実施について、医療機関から届け出るということにされておりますので、県としましては申請に基づきまして適切に手続きを行なうとともに、医療機関に対しましてもこうした制度について周知に努めて参りたいと思っております。

<再々々質問>

【再々質問】高田一郎県議
 物価高騰対策については13億円の予算措置をしたのですが、188万円しか予算を執行していないのは事実です。そして事業者には不評です。今困っているのですから(多くの事業者に)活用されるような抜本的な取り組みをお願いしたいと思います。

・統一協会問題について

【再々質問】高田一郎県議
 最後に知事に統一協会問題について質問したいと思います。岸田首相は統一協会について社会的に問題が指摘されている団体と、霊感商法や当事者の意思を無視した集団結婚式とか数々の反社会的行為を行なって、そのいずれもが違法と判決が確定している団体です。こういう統一協会に対して知事はどのように認識されているのでしょうか。
 8日付の朝日新聞は県内の国会議員2人、県議6人がイベントなどの出席を認め、また広瀬氏が参議院選挙前の5、6月ごろ盛岡の協会を訪れ挨拶をしたと報道されています。
 被害の救済と根絶のために35年間活動してきた霊感商法対策弁護士連絡会は、統一協会と連携することが社会的弊害をもたらすことを考えて対応されるようにと、ずっと前から政治家などに対して要望し続けてきました。
 国会議員だけでなく全ての地方議員、政治家が統一協会との関係を全て明らかにして関係を断つべきだと考えますが、知事の考えを伺って私の質問を終わります。

【答弁】達増知事
 旧統一協会に関しては刑事事件や民事事件の裁判例もありますし、また参議院議員選挙のあと様々報道されたりマスコミで紹介されたりしている例は、先ほども述べましたけれども、健康で文化的な最低限度の生活を奪うようなことであったり、また議員ご指摘のように基本的人権の侵害と言えるような看過し得ない被害を、極めて多くの人々にそういう被害を与えていて、日本経済、日本社会に対する影響という観点からしても、極めて大きいものがあるのだと思います。
 したがってまずはそうした被害者の救済、被害の防止ということが重要でありますし、国会議員や地方議員が統一協会の過去の活動でありますとか、また現在の勧誘活動に対していわゆるお墨付きを与えるような形で、こういう人たちが我々のところに来て下さってます、挨拶に来て下さってます、そういったいわゆる広告塔的な材料として、この団体に利用されるようなことは基本的にあってはならないし、またすでにそういうことをしてしまった場合には、それが如何に広告塔として利用されないようにするかということで、様々なやり方はあると思いますが絶縁する、関係をもたないということだけでは、協団側の様々な記者会見では時間が経てばまた話ができるようになるとか、一時的というか今現在関係を持たないというだけでは足りなくて、広告塔的な利用をされかねないことをした側から、今答弁で述べたような協団の問題点をはっきり述べて、そうしたことに対する反省・謝罪、そして今後そういうことがあってはいけないといった、何らかのけじめをつけることが求められているのだと思います。