2022年10月12日 9月定例県議会本会議
高校再編問題での関連質問
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。高田一郎県議の高校再編問題の質問に関連して質問します。
 来年度の学級編成の計画として、県立沼宮内高校の2学級から1学級への学級減の方針が示されました。10月の定例教育委員会議で結論が出されようとしています。
(1)高校再編計画後期計画は、県内各地での反対運動があり、地域説明会をさらに開催して昨年5月末に策定されました。盛岡ブロックについては、進学希望が多い県立盛岡南高校と不来方高校の統合計画が決められました。その大きな理由は、生徒減少の下での盛岡一極集中を是正しようとするものでありました。実際来年度は、盛岡南高校、不来方高校それぞれ1学級減の方針であります。統合計画による盛岡一極集中の是正の効果は来年度以降現れるのではないでしょうか。その前に周辺校である沼宮内高校の学級減を強行したら、何のための統合計画だったのかということになるのではないでしょうか。周辺高校を守るというなら、沼宮内高校の来年度の学級減の計画は見直すべきではないでしょうか。盛岡一極集中を是正する具体的な方針と合わせて答えてください。
(2)高校再編計画後期計画では、「地域を支える人材の育成など、地方創生において重要な役割を担う1学級校及び1学年2学級校の学校については、できる限り維持しつつ、入学者の状況や地域の実情等を踏まえながら、その在り方を検討します」と明記しています。高校再編計画後期計画のこの方針を貫いて、「できる限り1学年2学級校の維持に取り組むべきではないでしょうか。
(3)岩手町では、県立沼宮内高校の魅力化をまちづくりの重要な課題として、今年度1559万円の予算を組み、国公立大学等への進学をめざす「町営の公営塾」を開催しています。現在7人の生徒が参加しています。県外からの留学生の受け入れを始め、今年度3人の入学者がありました。通学費への補助、給食費への補助、下宿代への補助も実施しています。遅まきながら、岩手町が本気になって、地元の沼宮内高校の魅力化に取り組んでいる矢先に、県教委が学級減を強行することは、まさに岩手町の取り組み、地方創生の取り組みに水をかけるものとなるのではないでしょうか。岩手町の今年度から始まった取り組みをどう評価しているのでしょうか。
 沼宮内高校でも、校長先生が先頭になって、「沼高通信」を毎月2回作成し、沼宮内高校の取り組みと成果について町内の中学生に届ける取り組みを行っています。私は、こうした岩手町と高校の取り組みは、来年度以降に必ず成果となって現れると感じています。教育長はそういう見通しが持てないのでしょうか。
(4)沼宮内高校の男子ホッケー部は、高体連で12連覇し、今年のインターハイでもベスト8に入る成績を上げています。中学校でもホッケーの取り組みが盛んで、「ホッケーのまちづくり」を進めています。昨年の東京オリンピックでは、岩手町出身の3人のオリンピアンが活躍しました。県外の留学生も2人はホッケーの魅力で入学しています。この素晴らしい成果を応援すべきではないでしょうか。

【教育長】
 まず、盛岡一極集中の緩和と沼宮内高校の学級減についてでありますが、盛岡ブロックの再編は、ブロック内の中学校卒業者数が後期計画案を取りまとめた令和2年に比較しまして、令和7年には190人減少し、さらにその先も大幅な減少が見込まれることから、それに合わせた高校のあり方への対応が必要であることを踏まえたものであります。また、生徒の多様な進路希望等に応えるため、盛岡市内の高校への生徒の集中の緩和や学校配置のバランスを考慮のうえ、盛岡南高校と不来方高校について、体育・芸術・外国語等の特色ある教育を実践する学校規模の大きさを生かした発展的な統合を行い、先導的な実践に取り組むことができる教育環境を整備しようとするものであります。
 一方、沼宮内高校については、先ほどの答弁の通り、平成28年から1学級規模の欠員が続いてきたところであり、直近2年間ではさらに入学者が減少していることから、管理運営規則に基づく学級減の検討対象となったものであり、しかも町内からの入学者が2割程度まで減ってきていること、今後も町内の中学校卒業予定者数が減少する見通しであり入学者の大幅な増加は見込めないこと等から、学級減はやむを得ないものと考えているものです。
 次に、1学年2学級校の取り扱いについてでありますが、後期計画では、「1学級校や1学年2学級の学校については、できる限り維持しつつ、入学者の状況や地域の実情等を踏まえながら、そのあり方を検討します」としたうえで、「なお、生徒数の減少数等に対応し、学級数調整を行う場合があります」と明記しており、生徒数の状況により統合や学級減を行う場合があることを示していたところです。
 次に、岩手町による沼宮内高校への支援についてでありますが、これまで岩手町からは、通学費や給食費の補助や部活動等への支援など、入学者の確保や学校の活性化に向けてさまざまな支援をいただいてきたところです。また、県教育委員会におきましても、令和2年度から高校の魅力化促進事業を実施し、高校が行う地域と連携した探求的な学習の充実や、高校の魅力化、魅力発信に取り組んできたところであります。しかし同校におきましては、志願者の減に歯止めがかからず、これは先ほども答弁した数字となってございます。岩手町とは早い時期から入学者が低迷している状況等について情報共有しており、40人以上欠員が生じた1年目である昨年度には学級減に検討対象となることについても、訪問のうえ説明をしてきたところでございます。
 次に、沼宮内高校ホッケー部の成果についてでありますけれども、同校のホッケー部やその卒業生が国内外の大会で素晴らしい成績をあげ活躍していることは本県の誇りであり、ホッケーのまちづくりを目指している岩手町の活性化にも寄与しているものととらえてございます。沼宮内高校には、今年度ホッケーを含め、3人の県外からの入学者があったことも考慮し、今後の県外からの入学者の確保のため、沼宮内高校が令和4年度入試から実施している県外からの志願者受け入れについて、現在の8人を維持することとしております。なお、県教育委員会におきましては、令和2年度から実施している高校魅力化の取り組みを拡充しまして、これは全県展開をしてございます。また、県外生を受け入れている学校の広報活動を支援するとともに、ウェブサイトNOTEを活用した情報発信など積極的に展開し、県外からの入学者の確保にも努めているところでございます。

<再質問>

【斉藤議員】
 私が取り上げました。昨年決まったばかりの高校再編計画、「できる限り維持しつつ」となっています。できる限り努力しているのかと、このことを私は聞きたい。昨年方針を決めたばかりですよ。盛岡一極集中是正が目的だったんじゃないですか。そう説明したじゃないですか、説明会で。その効果がこれから出るのに、なんでそれを強行するのか。
 遅まきながら岩手町は今年度から本気になって取り組んでいるんですよ。私はその具体的な内容もお知らせしました。校長も必死で頑張っています。だからこの成果は必ず来年以降現れると私は確信を持っています。そういう岩手町や高校の新たな取り組みに水を差していいのかと。やはりそういうところを励ますのが教育委員会の仕事ではないのかと。遅まきながらですよ。しかし本気になって今やろうとしている。
 この方針はまだ計画で示されただけで、最終的には教育委員会議で決まるものです。岩手町からの要望、PTAや同窓会や教育振興会も要望を出しました。私たちも要望を出しました。この要望をしっかり受け止めて、間違いのないような対応をしっかりしていただきたい。
 学校を縮小する、それが県教委の仕事じゃないと思いますよ。どうやってこの新たな取り組みを受け止め、応援するか。ここに教育委員会の使命があるんじゃないですか。このことについてしっかり答えていただきたい。

【教育長】
 ただ今いろいろ質問等いただきました。生徒数に応じた学級編制のあり方につきましては、これはいろいろとこれまでも配慮しながらも取り組んできたところでありますし、また、この教員の配置ですね、これにつきましても、全県的な視野でもこの指導体制を考えていかなければならない部分もございます。
 いろいろとこういった検討を進めていくうえでの中心となるものは、生徒だと思います。生徒中心でいろいろと考えていかなければなりません。高校生の学びであるとか部活動、地域との連携、あるいは探求活動に取り組んで、そして成長し、自分の目標が達成できるように取り組んでいるわけであります。1学級校になったとしても、そのような学びがしっかり確保できるよう県教委として設置者として努めていくことが大事だと思います。
 沼宮内高校のこの学級減の取り扱いについて、ただいま議員からもお話がありましたように、岩手町や同窓会等からの要望書等もいただいておりまして、これはすでに教育委員の皆さんにも説明しております。さらに今議会における質疑等についても報告をさせていただいたうえで、協議をさせていただきたいと思います。