2022年10月19日 決算特別委員会
千田美津子県議の復興防災部に対する質疑
(大要)


・要支援者の避難場所の確保と避難訓練について

(千田委員)
 私は地震・津波、豪雨災害への対応についてお聞きいたします。
 一つは要支援者の避難場所の確保と避難訓練についてお聞きします。
 県が発表した最大クラスの地震・津波想定は、日本海溝モデルで東日本大震災を上回る大変厳しい結果となりました。さらに、多発する豪雨災害等への対応が求められており、重要となってくるのは、避難場所の確保と避難意識の向上、さらには高齢者や障がい者などの要支援者を安全な場所に導くための個別避難計画を早急に策定していくことではないかと考えます。
 そこで、津波対策でも豪雨災害でも早期の適切な避難が最大の課題でありますが、要支援者の避難場所の確保と避難訓練については、どのような状況でしょうか。

(和田被災者生活再建課長)
 要支援者の避難場所の確保と避難訓練の状況についてでありますが、高齢者福祉施設、 障がい者福祉施設、児童福祉施設など、避難行動要支援者が避難生活を送るために特別な 配慮がなされた福祉避難所については、市町村がこれらの施設と協定の締結等を進めており、本年5月1日現在、 県内全市町村で合計 391カ所が確保されています。
 また、個別避難計画に基づき、要支援者と避難を支援する方が、実際に一緒に避難する訓練を実施しているのは、一部作成を含め計画のある22市町村のうち、4市村となっているところです。

(千田委員)
 市町村が確保しているところが391箇所だという答弁がありました。それで実はこの場所は洪水浸水想定区域内ではないと思いますが、もしそうであれば指定避難場所がそういう状況であればそれを別のところに移転するとか、それらが必要となってくるわけですがそれはどう把握されているでしょうか。

(大畑副部長県復興危機管理室長)
 福祉避難所を含む指定避難所については、災害の種別ごとに法律、施行令等の基準に従いまして設置することとされています。
 市町村においては、大雨、地震、津波等、災害の種別ごとに避難所を指定しており、津波の場合には一時避難場所を指定するなどしているところもございます。
 福祉避難所も同様に指定されているものと認識しており、そのようなことも含め、今後市町村との情報共有を進めてまいります。

(千田委員)
 是非、実態把握も含めて調査をお願いしたいと思います。
 それから訓練についてでありますけども、計画を持っている市町村は22、そのうち訓練を実施しているというのが4箇所(3市1村)ということで、これは少なすぎるなと思います。いつ災害が起きるか分からない、津波はもちろんですが、そういった意味で実践的な訓練が特に要支援者となれば重要となってくると思います。努力はされているとは思いますがどのように取り組まれているかお尋ねいたします。

(和田被災者生活再建課長)
 避難訓練を実施している市町村が少ない要因としては、令和3年度に個別避難計画の作成が努力義務化されたところであり、作成途上の市町村が多いことから、訓練の実施によ る避難支援の実効性の確保まで取組が至っていない面があるものと考えております。
 今年度は、県の総合防災訓練において、新たに住田町が個別避難計画に基づいた訓練の 実施を予定しているところであり、今後においても、こうした訓練の実績等を紹介しなが ら計画作成に併せて訓練の実施を市町村に働きかけたいと考えています。

・要支援者名簿に基づく個別避難計画の状況について

(千田委員)
 要支援者名簿に基づく個別避難計画の状況についてお聞きをいたします。
 高齢者、障がい者などの要支援者名簿に基づく個別避難計画の策定でありますが、頂いた資料によれば、県内の現状は要支援者名簿人数が93,432人に対して、策定率が20.9%に止まっております。これは努力義務になったのもありますけども、いざという時にこの計画がないというのは、置き去りになる危険性があって、やはりこれはできるだけ早く改善すべき事項ではないかなと思いますが、それについてお聞きをいたします。

(和田被災者生活再建課長)
 避難行動要支援者の個別避難計画についてでございますが、災害時に自力で避難することが難しい高齢者や、障がい者等が安全に避難できるようにするためには、個別避難計画が作成された、要支援者の割合を高めていくことが重要であると考えております。
 県としましても、市町村における取組をより一層促進していく必要があると認識しているところでございます。
 市町村におきましては、高齢化等により避難を支援できる方が不足しているといったものや、避難を支援する側に心理的な負担があるというような理由から、地域における避難支援者の確保が難しいという課題もあって、個別避難計画の作成が進んでいないのが現状でございます。
 このため県では、平成22年度から市町村職員を対象とした計画作成に係る研修会を開催するとともに、令和元年度からは、取組が進んでいない市町村を個別に訪問して、それぞれの実情に応じた助言を行うなど、早期の作成を促してきたところでございます。
 今後においても、取組が先行している全国の事例を参考とするなど、市町村とともに課題の把握と解決を図りながら、個別避難計画の作成を進め、要支援者の安全な避難の確保に取り組んで参りたいと考えております。

(千田委員)
 この計画の策定率を高めていくのは大変重要だ、と行政の方はそう思っても、現場で支援する方が不足している、特に沿岸被災地とかはそういうことがあったと思います。
 それから津波が来れば、現実、自分も避難しなければならないということで、心理的な面でなかなか進まないということはあると思います。ただ先ほども言いましたように、本当にいざとなった時に、自分一人で逃げられない、そういう方々を置き去りにすることになってしまいかねないので、これまで市町村職員を対象にそういうことをしてきたり、個別に訪問して指導をなさっているということでございますが、是非そういったことでもっともっとこれを進めていただきたいなと。
 それで訓練の状況、個別避難訓練を活用した訓練の状況表を頂いたわけですが、実施中は4市村、それで検討中が7市町村、ここまではまだいいんですが、未検討が11市町村あります。未策定とは検討しているが確定には至っていないということなのかなと思いますが、盛岡を始め未検討というということでびっくりしたんですが、今言ったような解釈で良いのでしょうか。

(和田被災者生活再建課長)
 委員からお話のありましたとおり、その理解で正しいものでございます。
 未検討というところもありますし、個別難計画さえもできていないというところがそれぞれあり、それらを合わせると(表のとおりになると)いった趣旨のものでございます。

(千田委員)
 ぜひ、これらを高めるために引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
 今年、みんなで取り組む防災促進条例に基づいて、毎年これがどうなっているかというのが公表されて9月20日付けでいただきました。
 これは部局を横断した条例であり、県民を守るという観点で、さまざま部局で取り組んでいることがきちんと書かれております。確かな事業実施計画がまとめておりますけども、頑張っているなと思う反面、やはり先ほどのような状況に止まっているということで、心配は尽きません。
 何度も繰り返してしまいますが、いつやってくるかわからない災害や地震に対応するために、庁内担当部だけではなくて、横の連携をもっともっと深めながら、例えば保健福祉部の協力も得ながら福祉的なサイドの協力とかもっと強めて、この策定率を引き上げ、そして実践的な訓練がやられてやられるようになって欲しいなと思うのでその点、最後に部長にお聞きします。

(佐藤復興防災部長)
 個別避難計画の策定率が遅れている状況について、市町村とすれば体制的なところが追い付いていないのかと思っております。
 県といたしましては、引き続き市町村へ働きかけをいたしますし、今回、新聞報道等で 大々的に未策定の状況を取り上げられたことから、改めて市町村もその重要性への理解が深まるのではないかと思っております。
 いずれ、人の命を守るといった自助、公助、共助による防災の体制づくりが非常に重要と考えておりますので、紙に書いた計画だけで終わらないよう、実践的な訓練をきちんと して、一人でも多くの命を教えるような形にして参りたいと思います。