2022年10月19日 決算特別委員会
総務部に対する質疑
(大要)


・県職員の超過勤務の状況について

【斉藤委員】
 それでは私も新型コロナ感染対策について、県職員の超過勤務の状況についてお聞きをいたします。
 昨年度の保健所等への応援体制はどうとられたか。今年度の対応状況はどうだったか示してください。

【人事課総括課長】
 令和3年度の保健所等への応援体制についてでありますが、コロナ対応に当たっては、国の動向や感染状況を踏まえながら、機動的に業務支援体制を構築していくことが重要と認識しておりまして、昨年度は、保健福祉部、保健所の負担軽減を図るために、弾力的に医療政策室等への業務支援を拡充したほか、「いわて健康観察サポートセンター」 への保健福祉部以外からの業務支援体制を増員して、必要に応じた食料品の提供等の業務を担ったところであります。
 また、大規模なクラスターの発生等により、業務がひっ迫した保健所に対しては、本庁の総括課長級職員をリーダーとする「保健所支援チーム」を派遣しまして、初期課題への集中的な対応を行ったところです。
 加えて、各広域振興局単位におきましても、各部の職員が、検体・患者搬送業務のほか、地方支部会議の運営やシステム入力等、全庁が一体となった応援体制を構築してきたところでございます。
 今年度の応援体制についてでありますが、今年度の第7波の感染拡大時においては、本庁に設置している保健所支援本部への業務支援体制を拡充しまして、最大で44名の体制を組み、疫学調査等の業務に対応してきたほか、各広域振興局においても、各公所が一体となって、9保健所の合計で1日当たり最大70名の支援体制を確保してきたところであります。
 保健福祉部においては、外部委託も導入して、適宜業務の見直しが行われているところでありますけれども、バックアップ体制を整えて、迅速に業務支援に当たることができる体制を構築してきてございます。
 今後においても、引き続き、退職した保健師を会計年度任用職員として任用するなど、専門職員をはじめとする必要な職員の確保に取り組むとともに、業務の効率化にも配慮しながら、保健福祉部・保健所職員の負担軽減に資するように、弾力的な職員編成に取り組んで参りたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 言葉は丁寧だったけれども、リアリズムに欠けました。
 昨年度は、例えば広域振興局単位の業務支援で54名、保健所支援派遣チームで86名、バックアップ体制で49名など272人の応援体制だと。今年度の8月の感染爆発の状況では、保健所支援本部で44名、いわて健康フォローアップセンターは、今年度は運営業務委託になりましたからこれはゼロで、逆に保健所支援派遣チームが86名、こういう体制で、全体では226名の応援体制。これは委託があったということでこういう数になっていると。さらにその後、9月26日に全数届け出の見直しがあって、現在は212名の応援体制ということになっていると、こういうことですね。こういう資料をいただいているんですよ。そういうリアリズムでしっかり答えていただきたい。
 それでですね、県職員の超過勤務、80時間、100時間、この実態は昨年度と今年度どうなっているでしょうか。コロナ対応による超過勤務の状況は昨年度と今年度、特に保健所、医療政策室の状況を含めてリアルに示してください。

【人事課総括課長】
 超過勤務の状況についてでありますが、令和4年4月から8月までの今年度の状況は、1人当たりの月平均超過勤務時間数の速報値につきましては、 全庁で16.7時間となっており、前年度同期の14.5時間と比較して2.2時間の増となっております。
 また今年度、4月から8月に、全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は155名、月100時間以上は100名いるところであります。
 昨年度につきましては、1年間の実績でございますが、月80時間以上が325名、月100時間以上が179名となっており、令和3年度・4年度ともに、保健福祉部のほか、農林水産部や県土整備部等で多い状況にあります。
 これは新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、鳥インフルエンザ対応や災害対応に伴う業務量の増加などが要因と考えられるところであります。
 次に、保健所・医療政策室の超過勤務の状況についてでありますが、こちらも令和4年4月から8月までの1人当たりの月平均超過勤務時間の速報値で言いますと、各振興局の保健福祉環境部は37.4時間となっており、前年同期と比較して17.6時間の増となっております。
 これは、新規感染者数が過去最多を更新するなど急激な感染拡大に伴い、積極的疫学調査や相談対応・連絡調整等の業務量が大きく増加したということが挙げられます。
 また、医療政策室においては、今年度8月までの月平均超過勤務時間の速報値では47.5時間となっておりまして、前年同期と比較して22.8時間の減となっているものでありますが、感染動向に応じた県の感染防止策の検討・実施等により、超過勤務時間の多い状況は続いております。
 今後においても、全庁による業務支援体制を構築して、引き続き、業務に応じた弾力的な職員編成に取り組むとともに、不断に業務の見直しを促進し、超過勤務の縮減に取り組んで参りたいと考えています。

【斉藤委員】
 昨年度そして今年度も、特に保健所・医療政策室、100時間を超える状況、80時間を超える超過勤務の状況、大変深刻な状況で、新型コロナ対策は丸3年目なんですね。そしていま専門家は、これを上回る第8波、これも年末年始にかけて、コロナで45万人、インフルで30万人、最大75万人と想定をして、政府はその対応とれと言っているんですよ。だからこれはどうなるか分かりませんけれども、本当にもう疲弊しているので、しっかり業務が継続して、職員の健康が守られるように対応していただきたい。

・行財政改革に関する報告書について

【斉藤委員】
 次に、行財政改革に関する報告書について質問します。
 この研究会に何を委託したのか。なぜ研究会の報告書ではなく、岩手県総務部の報告書となったのか示してください。

【財政課総括課長】
 行財政研究会に何をお願いしたかという点でございますが、まず研究会につきましては、県が定めた要綱に則り、本県のこれまでの行財政運営の状況等における中長期的な課題や特徴の分析、人口減少や少子高齢化といった構造的課題に対応していくための施策の方向性といった議論についてお願いして開催したものでございます。
 また、本報告書に係るクレジットという点でございますけれども、今回ご議論をいただく研究会の構成員の皆さまのご意向等も尊重して、このような形となったものでございますけれども、その取りまとめにあたりましては、座長をはじめ、構成員の皆様から内容の確認をいただいているというところとなっております。

【斉藤委員】
 この研究会は、取りまとめを含めて7回開かれているわけですね。現地視察が1回あります。現地視察と最初の会議以外みんな東京で開かれたと。ちょっと私は現場感覚が欠けたんじゃないかなと思います。
 それで、庶務は財政課なんですよ。この研究会に県からどういうメンバーが参加したんですか。

【財政課総括課長】
 開催状況についての現場感覚、県の関わりというところでございますけれども、今回議論させていただいた先生の方々ですけれども、まず座長である一橋大学教授の辻先生におかれましては、岩手県の県立病院は全国に先駆けた先進的な事例であるという論文を書かれているというような形で関わりがありますし、そのほかの先生方につきましても、フィールドスタディを県内の市町村でされているところで、全く関わりがないというような方々ではないということはまず前提としてご議論いただきたいなと思いますけれども、その上で、どのような部局が参加したかというところですけれども、県立病院であったり県立高等学校であったり、あとは政策、人口減少対策の強化といったところを議論させていただきましたので、それに関連する部局等は、説明であったり意見交換であったりというところをさせていただいたところでございます。

【斉藤委員】
 庶務は財政課と言うから、部長・副部長だとか、財政課から何人参加したのかと。実質な議論は6回なんですよ、取りまとめも含めて。私は簡単な議事録を見ました。詳細な議事録があるのかどうか確認しますが、箇条書きのような議事録を見て、こういう報告書がまとまるとは想像できない。そういう意味で、だいたい構成メンバーじゃないんだから。庶務でしょ財政課は。だからどういう形で関わったのかということを聞いているんですよ。部長・副部長は参加したんですか。何回参加したんですか。示してください。

【財政課総括課長】
 総務部の参加の状況というところでございますけれども、すべての回において副知事以下、総務部長、そして私財政課総括課長といったところ、あとは回に応じてその内容がそれぞれ違いますので、財政課職員も適宜参加させていただいているというようなところとなってございます。

【斉藤委員】
 いずれ会合は6回ですから、副知事が出ている、総務部長が出ている。後からそれぞれの回ごとに明らかにしてください。
 それで報告書、「持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書」、これはどこが出したか分からない。これは、例えば県全体の方針なのか、研究会報告のまとめなのか、性格がはっきりしないんじゃないかと思いますよ。行財政改革のテーマからいくとですね、構造的課題、中長期的な課題を明らかにするということなんですよ。しかし提起されている問題はかなりドラスティックなことが提起されています。これは次に聞きますけれども。
 そういう点で、私はこの行財政研究会というんだったら研究会がきちんと提言を出すなり報告書を出すと。それを受けて県がそれを県の施策としてどうやるかというのが本来の筋ではないか。簡単に部長答えてください。これは総務部という形で出ているから。

【総務部長】
 今回の取りまとめでございますが、先ほど課長から申し上げた通りでございますけれども、いろんな要素がありますけれども、一つこちらでまとめるときに気になったということで申し上げるとですね、諮問答申の形態をとってございません。ですので、研究会という形でやらせていただきましたけれども、そういった形でございませんでしたので、取りまとめということでですね、委員の方々のご了解もいただきながら総務部の方で取りまとめをしたということになってございます。

【斉藤委員】
 だとするなら、この研究会の詳細な議事録を明らかにすべきだと思いますよ。私は本当に簡単な概要のような議事録をいただきましたけれども、いろんな議論がされたということは分かりますが、こういう風なまとめがなされるという風には直接結びつかない。私が読んだ範囲では。
 次に、大事な問題提起もたくさんあるんだと思うけれども、ちょっとこれは問題だというところを指摘をしておきたいと思います。報告書の27ページです。県立病院に関わってですね、どういうことが提起されているか。27ページの最後の段なんですけれども、「病院事業は72年前に『県下にあまねく良質な医療の均てんを』を創業の精神として誕生したものであるが、いま求められているのは、これまでの歴史的経緯を踏まえながら、人口減少や医療の高度・専門化の時代に適合した、『新しい時代の良質な医療の均てんを』のあり方の検討である」と。何が抜けていますか。「県下にあまねく」これが抜けているんですよ。何のために県立病院がつくられたのか。医療過疎の時代に、県下どこでも必要な医療が受けられる、そういう形で県立病院は作られた。ところが今回の報告書では「県下にあまねく」が無くなっている。どういう意味ですかこれは。

【財政課総括課長】
 委員からのご指摘いただきました、創業の精神が変容しているのかどうかというような質問かと受け止めましたけれども、まず、先ほどの答弁と重複しますが、報告書においては、県立病院というところの高い評価をしているというのがスタートとなっており、かつこの内容につきましても、これまでの創業の精神に則り、デジタル化への対応であったり、新しい時代の医療の均てんであったりを実現するための方策が記載されていると承知しております。

【斉藤委員】
 肝心なことを答えていない。なんで「県下にあまねく」が抜けたのかということを聞いているんですよ。部長に聞きましょう。なんで抜けたんですか。私は大変これは変質に近い問題だと思いますよ。

【総務部長】
 考え方としてはですね、「あまねく良質な医療の均てん」というところの趣旨については変わらぬものと考えてございます。

【斉藤委員】
 わざわざ「県下にあまねく」を欠落させているんだから、変わらないというんだったら変わらないように表現すべきですよ。
 それで、次のページに「ハイボリュームな病院の統合」というのが提起されているんですね。これは500床規模だと。いま500床規模というのは中央病院しかないんですよ。大船渡病院は精神科入れてですから。そして現地調査どこに行ったかというと、大船渡病院・高田病院・釜石病院・大槌病院を見ているんですよ。この統合を考えているのではないかと。この気仙地区は、ハイボリュームな病院の対象にはならないと思うんです。なるとすれば磐井と胆沢の統合ですよね。規模的に考えれば。どこを想定してこういう視察になったのか。ハイボリュームな病院というのはどこを想定して議論されたのか。

【総務部長】
 視察先につきましては、やはり被災地ということもありまして、沿岸地域というご希望もございました。それから、その中でやはり医療の資源として、むしろ充実していないところといったようなところもご覧いただくという形でそこの場所を選定したというようなことでございます。
 それからハイボリュームセンターの件でございますけれども、これは中長期的な課題を方向性として出していただいたといったようなことでありますので、いまご指摘いただいたような、ここじゃないか、あそこじゃないかというところについては特にそういうことなく述べられているものと理解してございます。

【斉藤委員】
 部長は、「県下にあまねく」という精神は変わっていないと、そういう答弁をしましたので、これは重要な答弁だと。ただ報告書と一致しないと。
 時間がないので一言だけ聞きます。実は県立高校も評価はしているんだけれども、「学校を見直すべき」だとか、いま地域と結びついた学校というので、1学級規模でも2学級規模でも頑張って維持しているんですよ。地域に支えられた高校、大槌高校が評価されていますが、地域と結びついた高校だから魅力化というのがうまくいっているんですね。ちょっと県教委が進めている方向とこの方向は違うんじゃないかと思うんですけれども、簡単に答えてください。

【財政課総括課長】
 昨日の副知事の答弁と重複いたしますけれども、いま県教委で進めようとしております後期計画につきましては、生徒の視点に立った取り組みをする必要があるだろうというところでの報告書も共通しておりますし、より質の高い学びの場の想像をどうしていくかという点で、人口減少・少子化による生徒数の減少への対応であったり、地域の連携との考え方というところもおおむね共通していると認識してございます。