2022年10月20日 決算特別委員会
千田美津子県議の警察本部に対する質疑
(大要)


・横断中の事故を無くす取り組みについて

(千田委員)
 三点についてお聞きいたします。一つは横断中の事故をなくす取り組み、交通安全対策であります。県内でも横断歩道を歩行中の小学生などが巻き込まれる交通事故が、先月も今月も 発生しております。そこで交通事故及び横断中の事故の発生状況はどのようになっているかを聞きをいたします。

(阿部交通部長)
 交通事故の発生状況の推移につきましては、令和元年から発生件数、傷者数は減少して おり、死者数については、令和2年に増加しましたが、昨年は35人と、昭和23年以降で最も少なくなっております。
 信号機のない横断歩道での事故ですが、令和元年は発生件数が34件、死者2人、傷者32人、令和2年は発生件数33件、死者1人、傷者32人、令和3年は発生件数22件、死者ゼロ、傷者24人 と減少傾向です。
 本年9月末では発生件数 15件、死者1人、傷者14人となっております。

(千田委員)
 答弁いただきましたように、事故発生件数もどんどん減っていると。冒頭に本部長から説明をいただいた時には、18年連続で事故件数が減っているという話で、この間の取り組みが功を奏しているのかなと思いますが、ただ死亡者数が全国平均を上回っているという話がありました。表にしてみると少なくはなっているんですが、やはりもっともっと死者をなくしていく、悲惨な状況をなくす、これはもっと力を入れていかなければならないのかなというふうに思います。
 それで、横断歩道を横断中の事故も少なくなっているとはいっても、まだまだ多いわけですね。それで横断歩道というのは本来、歩行者優先というのが当たり前なんですけども、そこが事故が多いということで、この点については何が足りないと感じますか、お聞きします。

(阿部交通部長)
 委員がおっしゃるとおり、横断歩道は歩行者が安全に渡れる安全施設でございます。そこで申し上げたような事故が起きているというようなことは非常に残念なことで、対策をとっていかなければならないと感じております。
 やはり大切なのは、車を運転する方も、横断歩道を歩行する方もその意思疎通って言いますか、共通認識を持って安全に対する取り組みを進めていくことが大切だと考えております。

(千田委員)
 お互いの意思疎通が大切だというお話でございました。私もそうなんだろうなと思いますけども、具体的には運転手についてはこういうところ注意すべきだ、歩行者はこうあるべきだと、どういう指導をなさっているか、この交通事故防止対策について改めてお聞きをいたします。

(阿部交通部長)
 横断歩道の安全対策ですが、歩行者とドライバーとに分けてご説明いたします。
 まずは歩行者の方ですが、信号機のない横断歩道における交通安全対策につきましては、令和元年から毎年通学路や横断需要の高い横断歩道を「安全モデル横断歩道」に指定しており、本年は県内102箇所を指定して関係機関・団体と連携した目立つ街頭活動家横断歩行者妨害等の交通取り締まりを強化しています。
 また、本年から毎月第2水曜日を「横断歩道の日」に指定し、信号機のない横断歩道で歩行者の保護・誘導活動を実施するなど、歩行者の安全確保と遵法意識を高める活動を強化しております。
 一方、ドライバーの対策としましては、「横断歩道・チェック・ストップ」 運動を推進しております。ドライバーの方は、
○横断歩道を通る際は、手前で減速し、横断歩行者がいないか確認すること
○横断歩行者がいる場合は、必ず停止すること
により、運転者に対する歩行者優先意識の徹底を図っております。
 また、警察による街頭活動や交通指導取締りのほか、県内のテレビ放送局やラジオ放送 局のアナウンサー等を「交通安全アドバイザー」に委嘱して、広報啓発活動を行っていた だくなど、運転者をはじめ県民に広く呼び掛けているところであります。

(千田委員)
 毎月第2水曜日が横断歩道の日ということで、取り組まれていることが分からなかったわけですが、また安全モデル横断歩道ということで、県内で102カ所指定されているということですが、選定数を見ますと、千厩警察署管内だと11カ所、遠野が10カ所、宮古が10カ所、警察署管内でこの差があるわけですが、これはどういう選定でやられているのか。人的の体制とかもあるかと思いますが、どういう基準で選定されているのか教えていただきたいと思います。
 それから交通安全アドバイザー制度というものをお聞きしました。実は今朝ラジオで「ドライバーの皆さん、横断歩道を歩行者優先で行きましょう」とか、そういういうのがアナウンサーの声で呼びかけがあって、それが交通安全アドバイザー制度ということでお聞きをいたしました。紙媒体のチラシもいいのですが、耳から入ってくる広報というのは非常に効果があると思います。これはもっともっと広げていただいて県民の身につくような広報を引き続きお願いをしたいなと思います。
 それからもう一つですが、ハンドコミュニケーションを推進しているというところがあったんですが、これについてもご説明いただきたいと思います。

(阿部交通部長)
 安全モデル横断歩道について、交通安全アドバイザーについて、ハンドコミュニケーションについてお答えを申し上げます。
 まずは、安全モデル横断歩道の選定基準でございますが、これは信号機のない横断歩道のうち、通学路等横断需要の高い横断歩道で、横断歩行者の安全を確保することが特に必要と認められる場所から、警察署の事情に応じて選定しております。
 令和元年が59カ所、令和2年が94カ所、令和3年が98カ所、本年が102カ所と年々増加する増加する傾向にはございます。
 続きまして、交通安全アドバイザーにつきましては、平成22年から開始した取り組みでございまして、県民の安全意識高揚による交通ルール遵守を図るため、警察本部長が県内テレビ放送局、ラジオ放送局等に勤務するアナウンサーの方を委嘱しております。
 アドバイザーの皆さんには、自ら出演する番組や各種イベント等において、適宜、安全に対するワンポイントアドバイスなどを行っていただいております、令和4年度は19局、38名の方を委嘱をしております。
 最後にハンドコミュニケーションについてです。信号機のない横断歩道での交通事故を防止するためには、歩行者と運転者が意思疎通を図り、横断する意思を確認することが重要であると考えており、県警察では、ハンド・コミュニケーション」の実践を呼びかけております。
「ハンドコミュニケーション」とは、信号機のない横断歩道において、
○歩行者は、手を上げるなど運転者に横断する意思表示を行うこと
○運転者は、横断歩道手前で一時停止後、手を差し出す
など歩行者に横断するように意思表示を行うこと、をいいます。
 引き続き、交通安全教育の場などにおいて、ハンド・コミュニケーション」の広報啓発を行い、交通事故防止に努めてまいります。

(千田委員)
 「ハンドコミュニケーション」なるほどと思いました。運転していて横断歩道に行った時に渡るんだろうか、渡らないんだろうか、わからない。むしろ止まってもそっぽ向くような人もいて、手をあげるのがちょっと恥ずかしいというのもありますが、安全対策という点では思いっきり手を上げて、意思表示をするということは大事だなと思いました。そういった点で、県民運動として「特に信号機のない横断歩道では、しっかり意思表示をしましょう」という、これはやる必要があるなと思います。
 それから、よく横断歩道で子供さん達が通る、手を上げて通った時に後から子供さん達が会釈をすることがありますが、そうすると止まったほうもすごく心があったかくなって1日がすごく気持ちがいい、まさに歩行者と運転手の意思疎通が図れると、そういうことだなというふうに思います。
 様々な取り組みをされていますけども、こういう取り組みで暖かな県民性というか、それを交通安全という部分でも発揮するために、是非これまでの取り組みを前に進めていただきたいし、そういう県民性を発揮して、岩手はいいところだなという、みんなが望む交通事故のない岩手に、という地域作りに前進していただきたいわけですが、その点もう一度お伺いいたします。

(阿部交通部長)
 ハンドコミュニケーションにつきましては、令和3年に公安委員会の告示の交通の方法に関する教則、あとは交通安全教育指針が改定されまして、信号機のない横断歩道の横断については横断する時は手を挙げるなどして意思表示をしましょう、というのが追加となったもので、それを岩手県に合わせた形で進めているものでございます。
 横断歩道を渡った時に会釈するというのも非常に良いことで、意思疎通を図るうえではいいことでございますが、これは警察からお願いするものでございませんが、意思疎通がうまくいくような形で安全教育を進めてまいりたいと考ております。

・児童虐待への対応状況と関係機関との連携について

(千田委員)
 人に言われなくてもそういう行為がすんなり出るように、県民運動として取り組めるようにやっていかなければならないなと改めて痛感したところでございます。よろしくお願いいたします。
 二つ目は、児童虐待への対応状況と関係機関との連携についてお聞きをしたいなと思います。児童虐待で警察への通報が年々増えているようであります。県警における児童虐待の通報や取扱い件数はどのような状況にあるでしょうか。また通告状況、児童虐待への警察全体の取り組み対応はどのようになされているのかお聞きをいたします。

(菅野生活安全部長)
 令和3年中の県警察における児童虐待の取扱状況についてでありますが、 取扱件数は前年比48件増加の558件となっています。
 児童虐待通報を受けた際の対応についてでありますが、児童虐待を認知した場合には、 警察官が現場に早期臨場し、直接、児童の安全確認を行い、虐待の事実が確認された場合 や虐待が疑われた場合には、速やかに児童相談所へ通告するほか、暴行や傷害など具体的 な法令違反の疑いがあった場合には、所要の捜査を行っております。

(千田委員)
 答弁いただいたように、虐待件数が年々増えていると。ただこれはどちらかというと潜在化している部分が、警察の皆さんに伝えるという状況が出てきているということで、実態はまだまだ多いと思いますけども、是非そういう中で、早期臨場とか、児童の安全確認とかやっていただいているわけですので、是非そういう部分でお願いしたいと思います。
 児童相談所への通告とか出てくるわけですがその辺についてはどうなっているでしょうか。

(菅野生活安全部長)
 児童相談所含めた関係機関との連携ということで説明をさせていただきます。
 県警察は。虐待を受けている児童の安全確保を最優先とした、迅速的確な対応を図るために県であるとか、児童相談所、市町村をはじめとした関係機関と連携を図っております。
 特に児童相談所との連携につきましては、個別の事案の情報共有を確実に行なっておりますほか、児童相談所による立入調査等を想定した合同訓練を実施しているものでございます。
 また、平成30年9月に県保健福祉部との間で締結いたしました、児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携に係る協定に基づきまして、児童相談所が取り扱う事案情報の提供を受けるなど、事案対応における連携や情報共有を強化しているところでございます。

(千田委員)
 児童相談所との合同研修や、それぞれの援助の要請等があった場合にあった時にもそういう部分でしっかりなされていると。それで他の児童相談所とかを見ますと警察OBの配置などもあるようなんですが、岩手県警ではいかがでしょうか。
 さらに、児童虐待対策官を配置しているところがあるようですが、岩手においてはどのようになっているのでしょうか。

(菅野生活安全部長)
 警察OBの児童相談所への配置につきましては、現在1人中央相談所の方で勤務されています。生活安全部の人身安全少年課の中に少年安全課という部署がありまして、その中に安全対策室というものを設けまして、そこに警視の室長を配置しております。ですから安全対策菅という名称ではございませんが、そういうふうな室を設けてストーカーであるとか、配偶者暴力とかしっかりと対応しているところでございます。
 先ほど委員から通告人員について話がありましたが、失念していました。令和3年中の児童相談所に対する通告人員については前年比14人減の769人となっております。

・配偶者からの暴力の根絶について

(千田委員)
 引き続き関係機関との連携のもとで、子供たちの安全が守られるように取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは3点目、配偶者からの暴力の根絶についてお聞きいたします。内閣府が2021年3月に公表した、男女間における暴力の調査報告書によれば、暴力被害があった方は女性が25.9%、男性も18.4%となっています。ただ女性の約4人に1人が被害経験があると答え、女性の方が被害経験者の割合が高くなっております。さらに深刻なのは女性の約10人に1人は何度も配偶者からの暴力の被害を受けているという結果もありました。しかもこの中にあって、配偶者等からの暴力が潜在化している可能性があり、暴力の背景も複雑化・多様化しているとの指摘もありますがどのような状況にあるでしょうか。
 また配偶者暴力相談支援センターとの連携が行われていると思いますが、どのような状況になっているかを聞きをいたします。

(菅野生活安全部長)
 最初に、令和3年中の県警察における配偶者からの暴力事案の取扱状況については、取 扱件数は前年比12件増加の417件であり、検挙人員は前年比7人増加の38人となってお ります。
 配偶者暴力事案の状況についてでありますが、委員ご指摘のとおり、外部からその発見 が困難な家庭内において行われるため、潜在化しやすいとされているほか、配偶者からの 暴力の背景については、暴力に至った原因、動機は様々であることから、個別に対応して いるところであります。
 次に、配偶者暴力事案への対応についてでありますが、被害者の安全を最優先に事件性の検討を行うほか、配偶者暴力相談支援センターなど関係機関と連携して被害者の保護、一時避難の措置を講じるとともに、被害者の安全が確保されるまでの間、必要に応じて安全確認を行っております。