2022年10月21日 決算特別委員会
保健福祉部に対する質疑(大要)
・新型コロナ対策について
【斉藤委員】
それでは新型コロナ対策について質問したいと思います。
昨年度の第5波、今年度にかけての第6波、そして第7波における感染者数と死者数はどうなっているでしょうか。
【感染症課長】
県内では、第5波である令和3年7月から9月までの3ヶ月間の感染者数は1800人、死者数は6人でございました。第6波である令和4年1月から6月までの6ヶ月間では、患者数は34557人、死者数は43人でございます。第7波である令和4年7月から9月までの3ヶ月間では、患者数が70436人、死者数は97人となっております。死亡率はそれぞれ0.33、0.12、0.14であるところでございます。
【斉藤委員】
いまの答弁のように、第6波・第7波で感染者数が激増して、死者数は第7波で97人というお答えでしたけれども、10月分を含めると103人となります。そういう意味では、本当に第6波・第7波、オミクロン株によってですね、コロナの感染状況は激変をしたと。特に第7波では死者数が激増した。このことについて、高齢者施設でのクラスターというのも急増していますが、高齢者施設のクラスターの急増の状況、死者数の激増の状況、その要因と教訓をどう分析・検証しているか、実態を含めて示してください。
【感染症課長】
議員からご紹介ありました通り、国のアドバイザーボードにおきましても、第7波の感染拡大の要因として、より感染力が強いオミクロン株BA.5系統に置き換わり、ワクチンの3回目の接種と感染による獲得された免疫が徐々に衰退したこと等と分析しており、これまで発症が少なかった若い世代を含む全世代の感染と、これに関係した高齢者施設・学校などでの施設内クラスターによりさらに感染を拡大させたものと考えているところでございます。
死者数の増加につきましては、感染者数の増加にともない、高齢者等の重症化リスクの高い方が、感染による持病の悪化で亡くなられた方が増加したところによるものと分析しております。
高齢者施設のクラスターの要因につきましては、外部と接触のあった職員を介し施設内に持ち込み、業務上入所者との接触頻度が高いというような状況でございますので感染拡大となったものと推測されております。第7波における高齢者施設クラスター数は、10月20日現在で132件、2000人以上の方が施設内で感染が確認されているところでございます。これを教訓に県では、高齢者施設の職員に対する集中検査を実施しておりまして、先ほどご紹介させていただきましたけれども、8月に実施した検査では328施設・28125件の検査を実施し、陽性率0.4%となっており、現在も検査を継続して感染拡大の防止について対応しているところでございます。また、関係機関と連携した医療体制の強化や宿泊施設の拡充、健康フォローアップセンターの設置、ワクチン接種の推進などの感染防止対策を強力に講じてきたところでございまして、感染者数を一定程度抑えてきたと考えてございます。
【斉藤委員】
高齢者施設のクラスターのこの間推移を紹介しますと、8月は131件中60件、9月は55件中28件、10月は2日前(19日)までですけれども28件中16件。いわばクラスター発生の約半数、9月10月は半分以上。感染者数は10代未満・10代が多いんですね。しかしクラスターは圧倒的に高齢者施設が多い。この問題はもっとしっかり分析しないとだめなのではないかと。この点いかがでしょうか。
【感染症課長】
いま委員からご紹介あった通り、高齢者施設のクラスターの状況でございますけれども、9月26日から重症化リスクのない人の把握、感染症の発生届が医療機関から出なくなって、数字だけの報告になってございます。65歳以上の方、基礎疾患をお持ちの方、妊婦の方等の調査に注視するということでございまして、そちらの方の把握はできるんですけれども、それ以外の方のクラスターの把握が難しくなっているというところが一番の原因ではないかと思ってございます。
【斉藤委員】
オミクロン株の第6波では、子どもの教育・保育施設のクラスターが一番多かった。第7波に入ってですね、これがまた高齢者施設と。高齢者施設の場合にはまさに命に関わる、そういう形で犠牲者が急増したと思います。
実際に死亡者を見ますと、ちょうど昨日で200人になっているんですけれども、65歳以上が185例・92.9%。ですから亡くなる人は圧倒的に高齢者なんですね。だから高齢者対策、高齢者施設の対策、先ほど施設で頻回の検査も行っていると。これは1回限りにしないでこれから第8波が確実に来ると専門家は指摘しているので、今しっかり定期的な頻回の調査を継続実施すべきだと思いますけれどもいかがでしょうか。
【感染症課長】
議員ご指摘の通りでございまして、国の方でも今から3ヶ月間ぐらい、感染状況を見ながらになりますけれども、この頻回調査については続けていくということで連絡がきておりますので、そのスキームに基づきまして県としても実施していきたいと考えております。
【斉藤委員】
本当に高齢者施設については特別の手立てをとっていただきたいし、いま多くが施設内療養になっていますから、高齢者施設での療養なんですね。本来高齢者施設というのは療養施設じゃないんですよ。そこで多くの方々が利用しているという点では、私は本当に抜本的な支援の体制といいますか、そのことも考えていく必要があるのではないか。
次に、年末にかけての第8波とインフルエンザのダブルの感染拡大の予想と対策はどうなっているでしょうか。
【感染症課長】
第8波とインフルエンザの感染拡大の予想と対策についてでございますけれども、昨日の国の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも、季節性インフルエンザが例年よりも早期流行と新型コロナウイルス感染症との同時流行が懸念されていることが報告されているところでございます。
この2つの感染症は、発熱や咳などの症状が類似し、その判別が難しいことから、検査・診療体制の整備が重要と考えているところでございます。県ではこれまで、新型コロナウイルス感染症に対する医療体制の構築に努めてきたところでございまして、現在414箇所の新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関を指定し、これらのうち403箇所においては季節性インフルエンザの診療についても対応可能という回答がございます。
新型コロナウイルス感染症の検査キットについては、感染拡大時においても必要な検査が実施できるよう、県において不足する医療機関への配布を行ってきたところでございますし、今後同時流行に備えて季節性インフルエンザの検査キットについても感染拡大時に不足しないよう関係機関と連携し、必要な調整を行っていきたいと考えております。
また、同時流行に備えまして、新型コロナウイルスのワクチンの早期接種に加えまして、季節性インフルエンザの接種も重要であることから、必要な分は早期に予防接種が受けられるよう実施主体である市町村を支援してまいりたいと考えてございます。
【斉藤委員】
昨日の厚労省のアドバイザリーボードに有識者の有志が提起したのは「国外の多くの地域で感染者は増加に転じており、一部のヨーロッパやアジアの国々の状況から考えても、第8波の流行が起こる可能性は非常に高いと考えられる」ということなんですね。そして政府は、最大時45万人のコロナ感染者、そしてインフルの感染者は30万人と想定しています。驚くべき規模です。この基準は何かというと、今年の第7波の夏の沖縄で感染爆発した基準・規模なんです。このように予想しながら、政府は何の対策もとらない。感染拡大を抑止する何の対策もありませんよ。海外からの流入はまったく無規制。いま海外でどうなっているかと言いますと、ドイツは1週間あたり平均で1日11万人、フランスは8万人ですよ。いま日本を超えて世界1位になっているんですね。人口比で考えたら日本の4倍5倍の感染拡大がすでにヨーロッパで、オミクロン株の亜系統と言われていますけれども、こんなときに何の対策もとらなかったら本当に感染爆発どころじゃない“超”爆発になってしまうんじゃないか。そういう点で国はあまりにも無策だと。これに追随していたら必要な対策はとれない。
そこで私は最低こういう対策をとるべきだと。1つは、これだけの感染が予想される中で、国は感染者が増えたら65歳以下は発熱外来に行かないで、自分で抗原検査キットで検査してくださいと。受診抑制ですよ。いま県内には414の発熱外来がありますけれども、最大限これを広げるということが必要なのではないかと。受診抑制ではなく安心して受診できるような体制を確保すると。
第2に、何といってもワクチンです。ワクチンは3ヶ月過ぎたらということで政府は新しい方針を出しました。年内に1億人を目指すと。数を言うわりにはそれだけの体制はとれないと思いますね。年内に1億人のワクチン接種というのは。だいたいこの3回目のワクチンそれ自身が停滞しているんですよ。この停滞を打開する。特に感染が拡大している10歳未満・10代・20代・30代・40代のところでどうワクチン接種を進めるか。
そして3つ目にはですね、検査の徹底です。これは先ほど言いました。高齢者施設では徹底した検査をやっていくと。あとは保育園や学校でも本当に必要な検査を早めにやっていくことが必要だと。
4つ目には、必要な病床の確保です。やはり必要な病床の確保をしなくちゃならないと思うけれども、こういう点で県は具体的にどのように対策を考えているでしょうか。
【感染症課長】
今後の感染拡大の話でございますけれども、たしかに診療・検査医療機関につきましては、今でもどんどん受付をして、あまり急に増える状態ではございませんけれども、先日も2件ほど増えることで調整してございまして増やしていくことにしてございます。検査については、先ほどもご紹介いたしましたけれども、そういった診療・医療機関でも検査できるような形をとってございますし、先ほど言ったような検査の体制もとりながら集中的検査を継続してまいりたいと考えてございます。
ワクチンについては別途回答させていただきます。
【医療政策室長】
ワクチン接種についてお答え申し上げます。
現在3回目のワクチン接種につきましては、全体で73.8%接種が進んでいるということで、全国と比較すると全国が65.8%ということでございます。
4回目、特に高齢者等になりますけれども、60歳以上の方については76.7%ということで、比較的委員ご指摘の通り年齢の高い方については接種が進んでいるということで、その一方でご指摘の通り若い世代の接種率が低いというところがございます。副反応とかさまざまこれまでも打ってきた中での副反応の経験とか、そういうところもあって控えている部分もあるかなとは思いますけれども、引き続き若い世代の方にもそういう方法等を強めていきたいと思っておりますし、県の接種の中でもグループとか団体とか、そういう形での接種というところの工夫も入れて、取り組みを進めていきたいと考えております。
・高すぎる国保税について
【斉藤委員】
次に、高すぎる国保税の引き下げの問題についてお聞きいたします。
国保税の最大の問題は、協会けんぽとの格差が大きく、高すぎる国保税となっていることだと考えます。実態と改善の方針はどうなっているか示してください。
【健康国保課総括課長】
モデルケースとしまして、夫婦とも39歳以下、就労者1人、就学児2人の4人世帯で、年収400万円の場合、盛岡市の国民健康保険税と協会けんぽの保険料を試算しますと、令和4年度で盛岡市の国保税が40万円、協会けんぽの保険料が20万2164円であり、国保税が19万7836円高くなっています。これは、国保の加入者が年齢が高い、医療費水準が高い、年金所得者の割合が高い、所得水準が低いといった構造的な問題が原因と考えています。
現在の国保制度におきましては、国の財政支援の拡充によりまして、財政基盤の強化が図られてきましたが、保険税負担の伸びの抑制は図られているものの、こうした構造的な課題の解決に対応したものになっているとは言えないと考えています。
このため、全国知事会を通じて国に対し、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政措置の方策を講じ、構造的な課題を解決し、医療保険制度間の公平性を確保するとともに、今後の医療費の増加に耐えうる財政基盤の安定化を図るよう要望してきたところであり、今後も財政措置の拡充についてさまざまな機会を通じて国に働きかけを行ってまいります。
【斉藤委員】
今あったように、中小企業の労働者が加入する協会けんぽと国保はほぼ2倍の格差があるんですよ。この2倍の格差の是正なしに、本当に国保が国民・県民の命とくらしを守る制度にならない。ここを最優先に、全国知事会が前に1兆円の公費の投入と、このことを堅持して取り組んでいただきたい。
そこで、国保税が高い仕組みの問題としては、均等割の問題があります。所得があってもなくても、世帯加入者1人1人に同じように2万5千円ぐらいかかる。この均等割は人頭税なんですよ。これは私は改革されるべきだと。特に緊急に改善すべきは、子どもの均等割の免除・減免です。政府もこの矛盾にやっと気がついて、就学前の均等割については2分の1減免すると。ケチくさい話ですね、なんで子ども全部やらないのか。就学前に限定して、それも全額ではない2分の1減免と。本当に矛盾を感じながら、打開できないところに大きな問題があると思います。その点で、宮古市・陸前高田市が18歳の子どもまで均等割の減免をやっていますけれども、これを県内市町村に広げるべきではないのか。そのために必要な財源分かりますか。
【健康国保課総括課長】
この均等割の軽減につきましては、やはり自治体の財政力の差などによらずに、全国どこの地域においても同等な水準で子育て世代の負担解消が行われるべきものと考えます。
また、国保制度は国民皆保険を支える重要な制度でありますので、国の責任において措置していただきたいと考えております。
したがいまして県としましては、県単独の政府予算提言要望や全国知事会等を通じまして、子どもの均等割軽減措置につきましても、対象年齢および軽減額の拡大を国に要望しているところであり、今後も粘り強く働きかけてまいります。
【斉藤委員】
宮古市は18歳の子どもの均等割の免除1200万円、これはふるさと納税の寄付金を使ってやっているんですよ。こういう手法なら、国がやらないまでも今すぐ市町村はできるのではないか。知恵を出しておきます。
時間がないので2つまとめてお聞きます。高すぎる国保税を引き上げないために、一般会計から繰り入れることは、住民の命と健康を守る地方自治体としては当然の措置ではないか。
いま市町村内に、一人あたりの医療費に大きな格差があります。釜石市と九戸村は1.5倍違います。そういう中で統一保険料を進めることは実態に合わないのではないか。この点について県の対応、見解を示していただきたい。
【健康国保課総括課長】
一般会計からの繰り入れにつきましては、法律で認められているもの、例えば低所得世帯への減免、それから出産一時金については一般会計から繰り入れてその分地方交付税措置されるのですが、いわゆる赤字補填となる法定外繰り入れにつきましては、これは国民皆保険に加入していない住民にも負担を求めることになりますので、ここは慎重な対応が必要であり、このような法定外繰り入れにつきましては解消に努めるよう国からも指導されております。このため県としましては、岩手県国保運営方針におきまして、決算補填を目的とした法定外繰り入れは解消に努めることとしており、市町村とともに取り組んでおります。
次に、保険税水準統一についてでありますが、いま委員からもご紹介があった通り、市町村によって医療費水準に1.5倍程度の差がございます。この差を考えますと、保険料水準を統一した場合、過渡的には医療費水準が低い市町村の納付金が増えるなどの課題があります。また、保険税水準統一のやり方、時期についても、市町村間で考えに隔たりがある状況にあります。そのため県としましては、時間をかけまして市町村との間で慎重に検討を行うこととしており、その検討状況を踏まえながら、例えば国保運営協議会などで協議を進めているところでございます。
【斉藤委員】
だから冒頭に協会けんぽの2倍の格差があるんだと。高いんだと。その高い国保税を引き下げるために、地方自治体が一般会計からの繰り入れをすることは当然の責務じゃないかと言ったんですよ。時間がないから答弁求めませんが、そこを最大の問題として解決しなければ、繰り入れだめなんていう話ではだめだと指摘して終わります。