2022年10月24日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・地球温暖化防止実行計画の策定について
【斉藤委員】
それでは地球温暖化防止実行計画の策定についてお聞きをいたします。
最初に、岩手県内における温室効果ガス排出量の実態、各部門ごと、岩手の特徴について示してください。
【グリーン社会推進課長】
各部門の温室効果ガス排出量の実態についてですが、本県の2019年度の主な部門の温室効果ガス排出量ですが、家庭部門が基準年である2013年度と比べて18.4%の減少、産業部門が同じく15.8%の減少、業務部門が13.2%の減少、運輪部門が6.5%の減少となっております。
本県の特徴ということでございますけれども、全国の数字と比較いたしますと、二酸化炭素の排出量換算では、家庭部門が全国平均よりも割合が高くなっております。
【斉藤委員】
次に、第2期の地球温暖化防止実行計画、排出量削減目標が57%と提起をされています。部門ごとの排出量削減目標と、その主な実行計画の中身、示せる分で示してください。
【グリーン社会推進課長】
部門ごとの温室効果ガス削減目標についてでございます。基準年である2013年度と比較しました主な部門の削減割合でございますが、家庭部門が57%の削減、産業部門が41%の削減、業務部門が60%の削減、運輸部門が32%の削減としております。削減対策等による削減割合は合わせて40%としております。
この他に、再生可能エネルギー導入による削減効果を7%、森林吸収による削減効果を10%といたしまして、合わせて57% 削減としておるところでございます。
削減目標に向けた取組という点でございますが、 家庭部門においては住宅の省エネ性能の向上などが必要と考えております。以下、主な内容についてご紹介しますが、産業・業務部門については省エネ性能の高い設備や機器の導入、運輸部門においてはハイブリッド車や電気自動車など次世代自動車の普及などに取り組む必要があると考えております。
【斉藤委員】
この策定のスケジュールを示してください。
【グリーン社会推進課長】
策定スケジュールでございます。第2次岩手県地球温暖化対策実行計画は、県の条例に基づく基本的な計画に位置づけられておりまして、「県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例」に基づき、県議会12月定例会において素案を報告することとしております。
また、素案につきましては、パブリック・コメントを行うほか、市町村や「温暖化防止いわて県民会議」の構成団体をはじめ、県民や県内各業界などから御意見を頂く予定としていります。
来年度予算案の作成の過程を踏まえて最終の改訂案を作成いたしまして、県議会2月定例会においてご審議いただき、今年度末の改訂を予定しております。
【斉藤委員】
12月議会には素案が出されるということですから、改めて12月議会で取り上げたいと思います。
そこで、私は2月議会で県有施設への太陽光発電施設の整備について取り上げ、今年度200箇所の公共施設について調査を行うと。これはどのように取り組まれているでしょうか。
【グリーン社会推進課長】
県有施設への太陽光発電設備の整備についてでございます。県として温室効果ガスの排出削減に率先して取り組むために、県有施設への太陽光発電の導入に向けまして、施設面積や日照時間、積雪の状況などを踏まえた導入可能性の調査を行うものでございますが、今月中に調査を開始いたしまして、年度内に結果をとりまとめることとしております。
【斉藤委員】
2月議会の答弁では、県有施設200箇所調査を行うと。予算も配分されていたと。ところが今月中に調査を始めると。なんでこんな半年も遅れたんでしょうか。
【グリーン社会推進課長】
当初の計画で予定しておりましたのが、国の補助金を活用して事業を実施する予定でおりました。国の補助金には申請をいたしましたが、採択されなかったという実情もございまして、限られた予算ではございますが、他にきちんと確保している予算もございましたので、その範囲内で施設を重点的に絞りまして調査を行うことになったものでございます。
【斉藤委員】
そうするとですね、県有施設200箇所調査というのが、私が事前に聞いたら40箇所重点的に調査と。大幅に5分の1に調査の規模が狭まったという感じなんですが、それも半年遅れましたから、これから調査して年度内に状況出たら来年度からの太陽光設備等の整備というのが進まないんじゃないかと思いますが、それはいかがですか。
【グリーン社会推進課長】
調査に関しましてでございます。まず200箇所ということで当初ご説明していたのはそのとおりでございます。予算の都合等もございまして、それを重点化して実施する方針でございますけれども、 施設数については40箇所程度に絞って今回調査を行います。
40箇所に関しては、実際に設置できる発電設備の量、規模やそれを基にした発電電力量についてしっかり調査をして結果をまとめる予定にしております。
その結果を受けまして、来年度になりますけれども、実際に導入することとなりますと、施設が実際に耐荷重に耐えられるかどうかですとか、関係部局とのしっかりとした連携も必要といったこともございますので、来年度についてはしっかりとした導入の計画をたてまして、早期の導入が実現できるように取り組んでまいりたいと思っております。
【斉藤委員】
第2期の地球温暖化防止実行計画はかなり意欲的な、57%の削減目標、長野県が60%ですから、それに次ぐ規模になるのではないかと思いますけれども、しかし200施設調査というのが40箇所になって、来年度その具体的な可能性をしながらということになると、なんか意欲的な目標を掲げながら、具体的取り組みは縮小・出遅れと。これはちょっと残念な感じです。
2月にも紹介したんですが、東京都はすべての公共施設に整備するんだと。そういう規模でやっているんですよ。だから予算の制約ということは、来年度は重点課題に入っていると思いますので、GXなんか私言いたくないんだけれども、県政の重要課題に位置づけておられるので、不足な分は来年も調査しながらと。
やはり岩手県が率先して再生可能エネルギーの導入に取り組んでいると。この姿勢を示すことが第2期の地球温暖化防止実行計画の目標と構えと具体的な方針、これ一致しないと県民の信頼は得られないと思いますので、よろしくお願いします。
・県央ブロックごみ処理広域化計画について
【斉藤委員】
第2に、県央ブロックごみ処理広域化計画についてお聞きをします。
21年6月に制定された「プラスチック資源循環促進法」の内容と、それに基づく取り組みはどうなっているか示してください。
【資源循環推進課総括課長】
プラスチック資源循環促進法の内容と取組についてでありますが、この法律では、プラスチック製品の設計から廃棄物の処理に至るまでの各段階において、あらゆる主体におけるプラスチックの資源循環の取組を促進することを目指しております。
この中で、プラスチック資源の分別収集を促進するため、市町村の分別収集・再商品化の基準、手続等について規定されたところでございます。
これを受け、現在、多くの市町村では、これまでの容器包装プラスチックに加え、ポリバケツやおもちゃなどすべてのプラスチック製品の廃棄物の回収に向け、分別収集の方法や処理費用の負担等について検討しているところであります。
【斉藤委員】
プラスチック資源循環促進法というのは、ごみ処理の政策の大きな転換だと言われています。国会の議論でもこういう議論がありました。「2050年カーボンニュートラルということを考えると、自治体の焼却炉で石油から作ったプラスチックを今と同じように燃やし続けることはできない」と。「今後は、プラスチック資源の分別回収を実施していることを、循環型社会形成推進交付金の用件とする」と。こういうことまで政府から回答がある。だから、焼却中心主義から、焼却を大幅に減らしてごみを減量する方向への大きな転換点に今直面しているんだと思います。
そこで、県央ブロックごみ処理広域化計画なんですけれども、焼却炉の整備事業費が変更されたようです。その中身はどうなっているか示してください。
【資源循環推進課総括課長】
県央ブロックのごみ処理計画については、現在、構成8市町において、協議検討されているところであり、その途中経過における事業費の変更などについては、県では承知していないところでございます。
【斉藤委員】
そんな話ではだめだと思いますよ。県の広域化処理計画に基づいて、焼却中心の大規模焼却施設整備を進めている。私いまプラスチック資源循環促進法を指摘をしましたけれども、そういう新しい国の方針に基づいて転換が求められているんですよ。すでにこれは市議会でも明らかになっていることですけれども、今まで730億円の事業費総額が、ストーカー炉の場合は825億円、ガス化溶融炉の場合には約903 億円と、これは公表されている話ですから、それを県が知らないなんて、県も協議会に参加しているんだから、知らないことないでしょう。本当に知らないんですか。いま私が言ったこと知らなかったですか。
【資源循環推進課総括課長】
協議会で示された資料によると、先ほど委員申し上げられた数値ではありますが、その詳細については説明がなく、県ではその数値のみしか把握していない状況です。
【斉藤委員】
数値も答えなかったじゃないですか。中身を聞いていないんだから。隠そう隠そうじゃなく、明らかなことはちゃんと答弁すると。真摯・誠実に答えていただきたい。
実はこの事業費は日量500tという従来の計画のそのものなんですよ。ごみの減量・資源化、この中身がまったく入っていない。いわば、ごみを減らせば焼却施設は規模縮小できるというのがこのプラスチック資源循環促進法の狙いですよ。ごみ焼却による二酸化炭素排出量を減らす―これは第2期地球温暖化防止計画に関わる中身ですよ。日量500tの従来型の計画のまま、こんな大型焼却炉の計画通ると思いますか。
盛岡市のごみは、プラスチック類・容器包装類が全体の25%、生ごみは50%を占めるんですよ。こいうのを資源化したら大幅にごみ焼却量を減らすことできるんじゃないでしょうか。そういうことを岩手県は指導しなきゃだめなんじゃないですか。そういう実態をどう把握して、県は今度の新しい法律、カーボンニュートラル、こういう新しい方向に向かってどう取組む予定ですか。
【資源循環推進課総括課長】
焼却施設の形式や規模、分別方法などについては、今後8市町で協議・検討していくとされております。
今回、盛岡市のごみ処理計画の中には、生ごみの削減や食品ロス削減についても記載されておりますので、県としては技術的助言をしていきたいと思っております。
【斉藤委員】
日量500tには、プラスチックを減らす計画がない、生ごみを減らす中身も入っていないんですよ。だから日量500tなんですよ。このことを見直しを指導すべきだと。新しい法律に基づいて。
・風力発電と環境問題について
【斉藤委員】
時間がないので最後に一言だけお聞きします。
風力発電の問題で、イヌワシの生息地に風力発電の計画ということで、これは10月17日の新聞にも報道されました。
風力発電は一般的にはいいんだけれども、自然豊かなこの岩手において、イヌワシの生息を脅かすような計画というのは、環境と共存できないと。どのぐらいの風力発電でイヌワシ等に関わるような計画があるのか。それに県はどう対応しているのか。そのことを最後にお聞きして終わります。
【環境保全課総括課長】
現在、環境アセスメントの手続中であります案件は28件ございますけれども、岩手県環境影響評価技術審査会からイヌワシの生息への影響に関して特に厳しい意見が出たものとしては、県南・沿岸・県北地域を計画区域とする複数の事案がございます。
これらの事業については、審査会から、「事業区域の大部分が希少猛禽類の主要な行動圏になっている」、「希少猛禽類の営巣地に隣接していることが明らかで事業を実施した場合消失する可能性が高い」、「希少猛禽類の生息に十分に配慮して事業区域が設定されているとは言い難い」などの厳しい意見をいただいているところでございます。
県といたしましては、こうした意見を踏まえ、事業者に対する知事意見において、風力発電施設の再検討や基数の削減など事業計画の見直しを求めているところでございます。