2022年10月25日 決算特別委員会
農林水産部(林業・水産部門)に対する質疑(大要)
・水産業再生の取り組みについて
【斉藤委員】
それでは水産業の再生の取り組みについてお聞きをいたします。
昨年度の主要魚種、サケ・サンマ・スルメイカの生産量、生産額はどうか。震災前との比較を含めて示してください。魚市場ごとの生産量、生産額も示してください。
さらに今年度の状況についてどうなっているかも示してください。
【漁業調整課長】
令和3年度の主要魚種の水揚量、魚市場の水揚量・水揚金額についてでありますが、主要魚種の水揚量は、サケは413トンで震災前の2%、サンマは2,883トンで震災前の6%、スルメイカは1,102トンで震災前の6%となっております。
また、県内魚市場の総水揚量は8万6千トンで震災前の49%でございまして、水揚金額は116億円で震災前の50%となっております。
【斉藤委員】
先ほどの答弁で、サケは61%という話がありましたので、あわせてサンマ・スルメイカの今年の状況を後で教えてください。
それで、今の答弁にあったように、震災前と比べるとサケが2%、サンマは6%、スルメイカが6%と、本当に激減という状況です。そして魚市場全体の生産量は49%ということで半減をしたと。これは生産額も半減ということですね。
そこで、先ほどの答弁にもちょっと関わるんだけれども、定置ではあまり減っていないと。サケがこれだけ減っているときに定置は減っていないというのは、何がいま定置網に主にかかっているのか示してください。
【漁業調整課長】
今年度の状況については、秋サケが81トンで震災前の4%、マイワシにつきましては9694トンでございまして、こちらにつきましては震災前同期の100倍でございます。スルメイカが234トンで震災前同期比の7%、サンマにつきましては現在1,480トンということなんですが、サンマにつきましては震災前同期の数字を押さえてなかったので、こちらにつきましては後ほどお知らせしたいと思います。
いま現在ですね、魚としてはマイワシの水揚げ量が非常に伸びておりまして、これが震災前同期比で1万400台ということになっているところでございます。
【斉藤委員】
マイワシではあまり金にならないということなんだと思いますね。定置にマイワシがかかっても、サケの代わりにはならないということだと思います。
それで本当に大変深刻な状況で、私も漁協の状況を聞こうと思ったんですけど、これは聞かれましたので、24漁協中16漁協が赤字と。私は角度を変えてお聞きします。8漁協の黒字となっているところは、何が黒字の要因なのか。そこを示してください。
【指導検査課長】
先ほど答弁させていただいたんですが、当期剰余金を計上した8漁協のうち、事業利益を計上しているのは3つの漁協でございました。残り5漁協でございますが、不動産資産の売却による特別利益などによって当期剰余金を計上してございます。
【斉藤委員】
事業利益をあげているのは3漁協ということで、全体として厳しい。おそらく中心は定置なんだと思うんですね。今まで漁協の経営を支えていたのはサケを中心とした定置網漁協でしたから、ここが本当に屋台骨というか、それが今揺らいでいるというのが大変重大な問題だと。
そこで、先ほど漁協の改善で販売事業を強化すると。販売事業は何をどう強化するんですか。
【指導検査課長】
各漁協によって取り組みは違うと思いますが、例えばインターネットを使用した販売、実際に取り入れているところもございますが、実は漁協によってそういう取り組みが遅れているところがほとんどでございますので、そういった現在のニーズに合わせた販売事業の強化ということで取り組んでいただけるように、研修・セミナーを行ったところでございます。
【斉藤委員】
いわて水産業リボーン宣言、今年度の成果と来年度強化方向というのはどうなのかと。ちょっと立ち入って聞きますけれども、例えば増加している資源の有効利用と、先ほど私がもらった資料も「ウニ資源の有効利用」しかないんですね。増加している資源はまだあるんだと思うけれども、それはどうなっているのかと。新たな漁業・養殖業でいけば、いわゆるサケ・マス類海面養殖の生産拡大というのを2月にも聞いたんですけれども、これはもう経営的にも見通しが立ってきたという話でしたが、この今の取り組みと来年度の見通しも合わせて示してください。
【水産担当技監心得】
増加している資源の取り組みということでございますが、先ほど答弁がありましたマイワシについては、震災前から相当量増えているということで、これを加工原料に使えないかということで、県の水産技術センターでは、マイワシの落とし身の有効利用、加工原料として使うということに取り組んでおります。
サケ・マス類の養殖については、今年度新たに釜石市で漁場の新設がございまして、いま事業化しているのは県内で4箇所ございます。そのほかに2箇所試験中のところがございますが、これらについては来年度生産収量を増やしてさらに拡大していくという予定にしてございまして、令和4年度の実績で言いますと、県内6地区での生産実績ですが、約1200トンでございましたが、これを来年度は1.5倍の1700トン程度まで拡大するという計画になってございます。
【斉藤委員】
本当に岩手の水産業は、復興、再建という現状なんだと思うんですね。そういう意味でいけば本当に知恵を出して、岩手のまさに基幹産業、とりわけ沿岸の基幹産業ですから、知恵を出してやっていただきたいし、いま燃油高騰もあるので、これは燃油高騰対策、他の県では水産業への支援もやっているので、これはこれでしっかり手だてをとってやっていただきたい。
・気候危機打開と林業分野の課題について
【斉藤委員】
次に、気候危機打開と林業分野の課題についてお聞きをいたします。
岩手県の地球温暖化防止実行計画、今年度は目標を見直して57%に削減量を引き上げると。これは16%引き上げるんですよ。かなり大幅な引き上げで、林業分野ではどういう課題をどのように引き上げようとしているか示してください。
【森林整備課総括課長】
現在見直しを進めている第2次実行計画改訂案での目標は、現計画を6%上回る141万6千トンとしているところでございます。
森林吸収量の目標達成に向けては、利用期を迎えた人工林の伐採跡地での再造林や、間伐など適切な森林整備を促進していくことが重要と考えております。
このため、伐採から再造林までの一貫作業システムの普及や低密度植栽の導入などによる造林コストの低減、さらには森林経営計画の作成などによる森林施業集約化、こういう取組を進め、引き続き林業関係団体等と一体となって再造林等の森林整備を推進してまいります。
【斉藤委員】
森林吸収率を141万6千トンと。これは今までの計画は133万9千トンだったんですよ。これは何を根拠に決めたかというと、この間の平均値なんですね。あまり根拠ないんですよ。だからこれは引き上げるということは良いことなんだけれども、141万6千トンの根拠とうのはなんですか。
【森林整備課総括課長】
森林吸収量の根拠でございますが、委員おっしゃる通り、2015年から2019年度までにおける本県の森林吸収量の平均値を見込んだものでございます。
平均値の設定でございますけれども、森林吸収量は森林の生長量をもとに算定していますが、森林の生長量、通常1年単位で見た場合はどうしても現状はそんなに多くないんですが、一方、国が本県に示している森林生長量、例えば2016年度と2019年度を比較しますと2倍以上開きがあると。年によって変動が見られる傾向にございます。このようなことから、長期にわたり長期的な計画を立てるにあたっての現状値の設定の考え方としては、単年度の数値に基づくものではなく、一定期間の数値の推移を見ながら、その動向を踏まえたうえで算定することが必要かなということで、平均値を採用してきたものでございます。
【斉藤委員】
いずれにしても、再造林を思い切って強化しないといかないんだと思うんですね。森林はいま成長を超えて、高齢化しているというのが皆さん方の評価だから、それを超えるような再造林、これは予算も伴うので、本当に県民の合意を形成しながらしっかり取り組んでいただきたい。
いわて木づかい住宅普及事業、これまでの実績はどうなっているでしょうか。
【林業振興課総括課長】
いわて木づかい住宅普及促進事業のこれまでの実績についてありますが、令和3年度の実績は、新築が116件、リフォームが10件、合わせて126件となっております。
また、今年度は、9月26日をもって受付を終了しましたが、申請受付件数は、新築が129件、リフォームが18件、合わせて147件となっております。令和3年度の実績と比べまして、新築で13件の増、リフォームで8件の増、合計で21件の増となっております。
【斉藤委員】
令和4年度増加しているのはいいんだけれども、予算の枠内で結局9月26日に申請が終了してしまったと。これは本当に残念ですね。おそらく昨年度もそうだったんでしょうね。だからもっと本来なら活用される事業なんだと思うんですよ。だったら補正予算でも計上して、県民のためにもなる、温暖化防止にもつながることだと思うので、そういう取り組み必要なんじゃないかと。予算がきたから、9月26日といったら半年分で終わりですよ。大変残念。
もう1つは、住宅の断熱化、これと結んだ岩手型住宅を統一化して、県産木材も使う、住宅の断熱化もヨーロッパ並のレベルに引き上げると。鳥取とか長野県がそれをやっているんですよ。これは一体的に、2月のときにも言ったんだけれども、県土整備部と農林水産部と、環境生活部も入ると思いますけれども、一体の岩手型住宅の推進を図る必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
【林業振興課総括課長】
木づかい住宅普及促進事業の成果としては、委員お話ありました通り、途中で終わってはいるものの、住宅に県産木材を使う事例が非常に増えてきているということは非常に嬉しいところでございます。これにつきましては、予算のこともありますけれども、市町村においては、県の仕組みを参考にしまして、独自の支援制度を作ったりしている市町村がございますので、予算の足りない分については、市町村にそういうお話をしながら同様の取り組みをしていくのが一つ。
あとは先ほどの断熱性能の話でございますけれども、これは今の県土整備部ともこれから検討しなければならないんですけれども、国の新しい住宅の支援の部分、これも非常に手厚くなっておりますので、県土整備部と一緒になってそういった新しい断熱性能を持った岩手型住宅というものを、どのように支援していけばいいのかというものをこれから検討しながら取り組んでいきたいと思います。
【斉藤委員】
市町村の同じような事業、これは後でお知らせください。願わくば、岩手県の補助に市町村が上乗せすると。そうするともっと大きな効果が出るんだと思うんですね。そういう意味で、やはり岩手県の補助事業が半年で終わるというのでは、これはもっと、県産材も活用される、住宅の断熱化も推進される、そういう意味でいけば来年度のグリーンの予算は3倍まで広げるということでしたよね。だからそういう目玉になってくると思うので、半年で終わるような事業ではなく、基本的には通年で使えるような事業に、そして県土整備部と一体化して、さらに市町村がそれに上乗せするということになれば、この取り組みは本当に全国でもっとも進んだという事業になるのではないかと思います。
【林業振興課総括課長】
予算のお話につきましては、ここではなかなか言えないところもございますけれども、どのような仕組み、あるいはどのような予算を使ってそれが実現できるのかという部分については、関係する部局と一緒になって考えながら取り組んでまいりたいと思います。