2022年10月26日 決算特別委員会
千田美津子県議の教育委員会に対する質疑(大要)
・県内のいじめ・不登校への特徴等について
(千田委員)
いじめ、不登校の過去5年間の資料を頂きましたのでそれに基づいて質問をいたします。
いじめについてその特徴等についてどのように捉えておられますかお伺いいたします。また不登校については、中学生は微増、高校生は横ばいとなっていますが、私が驚いたのは小学生の不登校がこの5年間で173人増加しておりますが、これが5年前の約2倍の356人になっていますね。人数的には中学生より少ないのはそうですけども、5年間で約2倍に小学生の不登校が増えているというのは大変な状況ではないかと思いますので、教育委員会はこの点、どのように見ておられるかお伺いいたします。
それから、不登校の数は30日以上の欠席者を集約しているわけですが、最近言われるのは90日以上の欠席者が増えているということですが、この小中高の90日以上の欠席者についてお分かりであればお伺いいたします。
(千田生徒指導課長)
まずいじめの特徴でございますが、かなり多くの件数で、冷やかしやからかい、悪ロ、脅し文句、嫌なことを言われる、こういった特徴がございます。
そして、いじめはどの学校にも起こりうるとの前提のもと、初期段階のいじめであっても積極的に認知することが重要であり、近年のいじめ認知件数の増加は、いじめ事案が深刻化する前に、学校いじめ対策組織が組織的に対処してきた結果であると捉えてございます。
また、不登校の児童生徒が増えている件でございますが、 県教育委員会といたしましても、この状況を大きな課題であると捉えてございます。何よりも、未然防止という観点から、 魅力ある学校づくりの取り組みについて、これまでの成果を広く県内の学校に周知しながら、取組内容を浸透させ、各学校の実践に繋げて参りたいと考えてございます。
90日以上の欠席状況でございますが、小学校162人、中学校567人、高等学校106人という状況でございます。
・いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの配置といじめ不登校関連の指標について
(千田委員)
不登校が増えているということは本当に大きな課題であり、共通認識に立っているわけですけども、その中で先ほど来の答弁の中で、今年度10月からいじめ対応・不登校支援等アドバイザーが配置をされたということですが、こういう専門家の配置は非常にいいんですが、これまでのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとどのように分担して対応していくのか、その点を伺いいたしますし、アドバイザーは実際何人配置したのかお聞きします。
(千田生徒指導課長)
いじめアドバイザーでございますけども、1名配置したところでございます。県教育委員会ではいじめ対応不登校支援の取り組みとして位置付けたものでございます。特にいじめにつきましても、不登校につきましても初期対応が非常に大事であると認識しております。校長等の相談に対していじめ対応、そして不登校支援等アドバイザーが助言等をすることにより初期段階における適切な対処とともに、児童生徒の健全育成に資してまいりたいと考えてございます。
なお、スクールカンウセラー、スクールソーシャルワーカーも大変重要な役割を担ってございます。チーム学校としてのマネジメントリーダーシップが校長に求められておるところでございますが、その校長を支える意味でも、このいじめ対応・不登校支援等アドバイザーは重要であると認識してございます。
(千田委員)
初期対応が非常に重要だと、そして校長先生の相談等にしっかり初期の段階から乗るという点で、非常に大事な役割で配置されたというのはいいと思いますが、1名でほんとに足りるのか、私はほんとにその効果をあの表すためには、最低でも複数以上必要じゃないかなと思いますので、その点もお聞きいたします。それと合わせて、いじめ不登校関連の指標についてまとめて3つ続けてお聞きをいたします。
いじめはいけないと思う、児童生徒の割合が、小中ともd評価でした。その理由として、児童生徒への周知と理解に課題が見られるとなっていますが、どのような現状にあるのかご説明をお願いしたい。
2つ目は不登校関連の指標で、学校が楽しいと思う割合が小学校、中学校でd評価となっています。その理由で、不登校を未然に防止することを狙いとした、具体的な実践の手立てが学校に浸透していなかったとありますが、何が不足して、何が課題だとお考えでしょうか。
3つ目はいじめ、不登校に関わるもので、自殺対策にもつながる大事な指標と考えるべきなのが、悩み相談ができる学校以外の相談窓口を知っている児童生徒の割合が小中高ともb評価になっています。私は早急に改善して、みんなが相談するかしないかはともかく、知っている状況を作る、これが必要だと思いますが、これについてもお聞きいたします。
(千田生徒指導課長)
1点目のいじめ対応、不登校支援等アドバイザーでございますが、1名でございます。年度途中ではございますが、いじめ、不登校の対応について取り組んでみるということでございます。今後、来年度その成果等も含めまして、検討をしてまいりたいと考えてございます。
2点目は各指標についてでございますが、まずは、いじめはいけないと思う児童生徒の割合でございますが、令和3年度の実績値において、小学校84%、中学校は85%という結果でございました。様々な取り組みを学校では行っているところでございますが、コロナ禍ということの制限等もあり、十分に活動できていないということでございます。今後、引き続き道徳教育や人権教育の充実に粘り強く取り組んでいく必要があると認識してございます。
2つ目の学校が楽しいと思う児童生徒の割合でございますが、令和3年度の実績値において、小学校87%、中学校84%であり、不登校を未然に防止することを狙いとした魅力ある学校づくりの考え方や手立てにつきまして、研修や発表会等で取り上げているところではございましたが、より具体的な周知を図ることが十分ではなかったということで、目標達成の遅れの要因になっているものと考えてございます。県教育委員会といたしましては、魅力ある学校づくりの取組ということで、今後も様々な機会を捉え、学校の方に周知してまいりたいと考えてございます。
悩み相談に関わってでございます。県内の児童生徒に相談窓口を周知するカードを例年5月に配布し、配布と合わせて、各学校で相談窓口の活用方法について指導するとともに、 年間を通じて意図的、計画的にSOSの出し方に関する教育を実践してきたところでございますが、機会を捉えて継続的に周知を図っていくことが足りなかったものと認識してございます。
県教育委員会といたしましては、自殺予防の観点からも重要な取り組みであると認識しており、日常からSOSの出し方に関する教育を推進し、悩みを抱えた時に相談することの大切さを指導するとともに、児童生徒が学校以外の相談窓口を確認することで、いつでも相談ができるよう、取組の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
(千田委員)
いじめはいけないと思う、という評価についてですけれども、これはいじめ防止という点もありますが、コロナ禍という制限があった中という、そういう言い訳する中身ではないと思います。粘り強く取り組むと言われておりますが、やはりこれはしっかりいくらコロナ禍であっても、これをしっかり子供たちに教えていくということは、これからもぜひ力を入れていただきたいと。
それから悩み相談ができる相談窓口について、あのカードは5月にいつもは配布しているということですが、3年度は配布したんですか。その点が1つ。そして実は文科省の調査で不登校児童生徒のうち、学校内外の機関に相談や指導を受けた子どもたちは全体の65.7%にとどまっており、残りの35%の子どもたちはどこにもSOSを出せていないという調査結果がありました。やはりこれではダメだと。どこかにSOSが出せるように、そのためのツールをしっかり子どもたちに届けるということが非常に大事だと思いますので、この点もう1度お聞きいたします。
(千田生徒指導課長)
カードについてでございますが、昨年度も配布したところでございます。さらにSOSを出すということは、本当に重要なこと、大切なことだと認識してございます。
相談窓口のさらなる周知に向けて、今年2月でございますけれども、各学校の教室等に掲示する生命尊重ポスターを新たに配布するとともに、このポスターにはQRコードをつけ、学校以外の相談窓口やSOSの出し方に関するメッセージを閲覧できるよう、工夫したところでございます。
・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の現状について
(千田委員)
引き続きよろしくお願いいたします。
それでは次にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の現状についてお尋ねをいたします。
この間スクールソーシャルワーカーについては、県内6つの教育事務所に18名が配置され、さらにスーパーバイザー1名が配置されたようでありますが、その成果をどう評価しておられるか。
そして、ソーシャルワーカーをもっともっと増員すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
(千田生徒指導課長)
まず、スクールカウンセラーの配置でございますが、令和4年度、定期訪問する学校のスクールカウンセラーの配置率は、小学校では49%、中学校、高等学校では100%となっているところでございます。なお、配置のない小学校につきましても、緊急時には派遣しており、全ての学校に対応できる体制を整えてございます。
スクールソーシャルワーカーの配置につきましては、令和4年度は県内6教育事務所に計24名を配置し、市町村教育委員会の要請を受け、各学校に派遣しているところでございます。
また、今年度盛岡教育事務所にスーパーバイザーを1名配置し、各教育事務所に配置するスクールソーシャルワーカーの要望に応じて、関係機関との連携の在り方や、学校への働き方などについての助言等を行っており、スクールソーシャルワーカーの活動の支援につながっております。
今後でございますが、国や他の都道府県の動向等を注視しつつ、関係部局とも連携しながら国に対し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実や処遇改善など、人材確保に向けた施策の充実に働きかけてまいります。
・普通教育機会均等確保法に伴う子どもたちへの支援の拡充について
(千田委員)
引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、次に教育機会確保法に伴う不登校特例校など、子どもたちへの支援の拡充についてお聞きをいたします。
2017年に制定・施行された普通教育機会均等確保法は、不登校の子どもたちの教育の機会を十分に保障しますよという法律です。
確保法第13条は、不登校、児童生徒が学校以外の場において行う多様で、適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校、児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該児童政徒及び、その保護者に対する必要な措置を講ずるとされております。
私は、県教委としてもこの視点でしっかりと取り組む必要があると考えますが、今後の対応についてお聞きをいたします。
(千田生徒指導課長)
教育機会確保法に伴う子どもたちの支援の拡充でございますが、法律の趣旨を踏まえた、取り組みはまさに大切なことであると認識してございます。
研修会、あるいは会議等におきましても、誰1人取り残さない学校づくりということで、教育機会確保法の学校現場の周知・浸透に向けた取り組みを進めているところでございます。
今後におきましても、引き続きこういった取り組みをしながら、児童生徒1人1人に寄り添って支援してまいりたいと考えてございます。
(千田委員)
ほんとにその立場で進めていただきたいわけですが、先ほど来の質疑の中で岩手県の小中高の不登校児童が1900人に対して、フリースクールとか、教育支援センターに通っておられる子どもたちは、25%位にしかなっておりません。そういった意味で、言葉だけで頑張るとかではなくてね、しっかりそういう子供たちのためになる施策をやるべきだと思います。そういう意味でも、不登校特例校などをきちんと設置をしていくことが大事です。宮城県は富谷市に1校ありますけれども、来年度仙台市に小学生の特例校ができるそうであります。
やはりそれらにしっかり学んで、子供たちの悩みや、苦しみをしっかり支える、そういう岩手県になる、そういう教育、行政を行っていただきたいと思うわけですが、教育長にお尋ねいたします。
(佐藤教育長)
多くの委員の皆さんから、いじめ、不登校等について質疑が交わされてまいりました。特に相談につながりにくい児童生徒へのアウトリーチというのが本当に求められるんだと思います。実際に教育支援センターであるとか、フリースクールに通えない子供たちですね、そういった児童生徒へどうやって繋がりを作っていくか、アウトリーチ、それは本当に大事なことだと思っております。
実は今年6月10日に文部科学省が不登校に関する調査研究協力者会議というものを設置しており、そこから報告書が出されております。個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援を実施すべきだというふうに提言がなされておりまして、そこにはICTを活用した学習や体験活動、あるいはその相談活動を一括して行う新たな組織として提案されているのが、不登校児童生徒支援センター(仮称)で、こういったことがこの会議で提言がなされております。文部科学省の方で、こういった提言を踏まえて、今後の施策として、例えば、スクールカウンセラーであるとか、スクールソーシャルワーカー、これらの配置に努めておりますが、やはりそこにはきちんとした財政支援を伴って、そして、多くの児童生徒がこのような状況に至っているという、本県でも増えているという状況に鑑み、そういった支援のあり方を、これは全国的な課題だと思っております。そういったことに取り組んでいけるよう、国に対して積極的に要望し、私どもも積極的に考えていきたいと思います。