2022年10月26日 決算特別委員会
教育委員会に対する関連質疑
(大要)


・県立沼宮内高校の学級減問題について

【斉藤委員】
 今の高校再編、県立沼宮内高校の学級減について、まず私は、先週の10月21日、県議会が議論しているさなかに、教育委員会の決算審議の前にこれを決定したということに強く抗議をしたい。
 それで、今回の学級減は、私は高校再編後期計画の方針に反するものだと思います。その点で端的に聞きますから教育長に。教育委員である教育長に聞きますから、端的に弁解しないで答えてください。
 昨年の5月末に策定された高校再編計画後期計画では、「地域を支える人材の育成など、地方創生において重要な役割を担う1学級校および1学年2学級校の学校については、できる限り維持しつつ、入学者の状況や地域の実情を踏まえながらそのあり方を検討します」と提起しました。「できる限り維持する」この努力がなされていなんじゃないですか。去年の5月に決まった方針ですからね。そのことをまず答えていただきたい。

【教育長】
 これは一般質問の際にも斉藤議員が関連質問されまして、その際にもご答弁申し上げています。私どもの考え方は答弁申し上げた通りでございます。そして先ほど特命惨事の方から21日の教育委員会議で、それらの質疑内容等もすべて説明させていただいた上で、委員に説明をし、その上で全会一致での議決となったところでございます。

【斉藤委員】
 私の質問に何も答えていないじゃないですか。できる限りどう努力したのかと。教育委員会議で何人発言したんですか。この「できる限り努力」したかどうかの議論はあったんですか。そのことを答えてください。

【教育長】
 委員会議では、委員3人から発言がございました。その内容についてお答え申し上げます。
 1つについては先ほど特命惨事から答弁がありました通り、「盛岡南高校・不来方高校がそれぞれ1学級減となり、その結果沼宮内高校への入学者が増えることは起こらないとは言えないが、大きく増えることは考えにくい状況。であれば、今回管理運営規則の基準を当てはめることが良いということになる。1学級校となって、何年か経過する中で、応募者が増えて、仮に1学級をはるかに超えるような応募者数が続くようになったときに、1学級校を見直すか見直さないか、それは今後そうなりそうなときに検討することになるだろう。全国的には1学級校になった後に2学級校に上げていった例もないわけではないので、仮に岩手でそういう事態が生じそうになった場合は検討課題になるだろう。一旦1学級校になったということに固執するわけではなく、状況次第では検討課題になる。全国的にはそういう例もあるというように、今後検討する場合があるのだろうということでよいか」と。これについてはみんなで確認して「その通り」と。
 また、お2人目の方は、「仮に2学級に戻した後、その後状況が変わり、次の年から生徒数が減少したとしても、すぐに学級減をするのではなく、長期的な生徒数の推移を見据えた上で判断することとなるのか」と。これについてもそのように全員で確認をしたところでございます。
 3人目の委員の方は、「生徒数の減少が今後も続く。そのため、5年後10年後、県教育委員会としてそこを見据えて、授業の質の向上、生徒の部活動など、生徒により良い教育環境を第一に考えて、市町村と連携を密にしながら進めていけば良いのではないか」という意見がございました。
 その上で、全会一致で決定をしたところです。

【斉藤委員】
 私が聞いた「できる限り維持しつつ」の努力の姿は見えませんでした。残念ながら。去年の5月に決めたばかりの立派な方針が、しっかり議論されていない。努力もされていない。そのことを私は指摘したいと思います。
 盛岡ブロックの方針は、盛岡一極集中の是正なんです。共産党県議団が申し入れただけの話じゃないんですよ。これは12ページに明記をされています。そして一極集中是正のために、来年度南高校・不来方高校の学級減が実施される。令和7年度までに5学級減になるんですよ。一極集中是正するんだったら、周辺校を守らなくちゃならない。
 「教育の質を確保するためには、1学年2学級以上の学校規模が必要だ」―高校再編計画の方針ですよ。2学級から1学級に減るというのは、学校維持にとって決定的な意味を持つんです。残念ながらそういう議論がされていない。
 葛巻は20人30人の卒業生だけれども、2学級を維持していますよ。そういう努力が実は岩手町で始まったんです。公営塾、通学費の補助、そして沼宮内高校と町との連携協定まで結んで、今年度1559万円の予算も計上した。遅まきながらだけれども、いま本気で沼宮内高校の魅力化を進めようというときに、それを応援するのが教育委員会の仕事じゃないですか。それに水を差すようなことだったら、本当に教育委員会は地方に背を向けるということになるんじゃないか。
 大きな問題は、たしかに町内の沼宮内高校への進学率が2割程度です。逆にいけば4割5割に引き上げる可能性はあるということなんです。一番の問題は、これは沼宮内高校が中学生・保護者のアンケート調査をやりました。やはり「進学校ではないんじゃないか」というイメージ、もっと進学に力を入れてほしいと。実際には国公立にも入っている。本格的に公営塾で国公立に入れる沼宮内高校をつくろうとしている。この魅力が伝わったら、私は岩手町で地域に根ざして、進学も就職もできる、魅力のある高校ができると思いますよ。高校間格差が固定されているから盛岡に行くんです。沼宮内高校で進学もできる、就職もできるとなったら、地元に行く中学生は4割5割に必ず増えると思いますよ。そういう努力が始まったんだから、それに水かけるんではなくて、支援することが教育委員会の仕事じゃないでしょうか。

【教育長】
 教育委員会の努力が見えないというご指摘でございますが、私ども令和2年度から、小規模校の魅力化促進事業ということで、3学級以下の学校に対しての支援をしてまいりました。沼宮内高校についてもそのような形で活動してまいりました。そしてそれを今年度から全県展開をするという形で、いま取り組みを進めているところでございます。
 一極集中の是正についても、これはこれまでも何度も答弁している通りでございますし、私どもは先ほど教育委員会議の中での議論についてもご紹介申し上げました。「2学級に戻ることもあり得る」ということで、それはこれからの取り組みの成果で、あるいは一極集中是正の効果が出てきたときには、そういったことについてもしっかり検討しましょうということを確認しております。

【斉藤委員】
 2学級規模に戻る可能性まで議論されたら、なぜ今急いで学級減するのかと。水を差したら、地元の進学に水を差すようなものなんですよ。そういうことまで教育委員が考えるんだったら、盛岡一極集中是正の効果を見ながら、岩手町の取り組み・沼宮内高校の取り組みを県教育委員会が支援する、それが当たり前でしょう。水をかけておいて、後から2学級規模になったら…という、現実に立脚しない、そういう議論が教育委員会でされたということは大変残念でならない。
 地域に根ざした、進学も就職もできる魅力ある高校をつくる―ここに私は高校再編計画の方向性があると。このことを指摘して、抗議をして終わります。