2022年10月27日 決算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)
・災害公営住宅の課題について
【斉藤委員】
それでは最初に、災害公営住宅の課題についてお聞きをいたします。
まず家賃問題ですけれども、今年度4月から収入基準の引き上げが行われました。これは入居者にとって大変重要な一歩だったと。しかしこの実態をまずお聞きをしたい。対象となった世帯、ならなかった世帯の状況、それによって退去された例はどのように把握されていますか。
【建築住宅課総括課長】
家賃問題についてでありますが、県営災害公営住宅において、本年4月の収入基準の引き上げにより裁量世帯となった世帯は、本年9月30日時点で62世帯となっております。
また、収入基準の引き上げ後も収入超過認定されている世帯は、31 世帯となっております。
なお、収入基準の引き上げ後も収入超過認定されている世帯で、本年4月以降に退去した世帯は3世帯と把握してございます。
【斉藤委員】
約7割方が裁量世帯で対象になったと。所得に応じた家賃になったと。一方で、25万9千円の基準を超える超過世帯もありますので、今の答弁だと3世帯が退去したと。私も聞いているんですが、例えば40代の現役世代で自治会の副会長をやっていて、残念ながら対象世帯にならなくて、7万円の家賃だと。それでも頑張って災害公営住宅に残って頑張っているそうです。もう一方で、これも40代ですけれども、8万円の家賃で退去してしまった、退去せざるを得なかったという事態も生まれております。
災害公営住宅というのは、収入基準なしに入居ができると。しかしこれは3年間ですね。その後、収入基準を超えていれば、今までだったら15万8千円、収入基準が引き上がって25万9千円となりましたけれども、終の棲家として考えて入居したにも関わらず、収入超過世帯となると倍近い家賃になるんですよ。7万円になったら家を買った方がいいとか、建てた方がいいとか、中古住宅を買った方がいいということになるんです。そうすると、共働きしている現役世代は残れない。自治会の担い手もいなくなると。こういう点で、災害公営住宅に入居された被災者の方々、25万9千円を超える方々も引き続き入居できる、先ほども議論になった「目的外使用」ですね。やはりこれを考えるべきではないのかと。すでに陸前高田市では数年前から中堅所得層を対象に、みなし特定公共賃貸住宅を導入しています。先ほど聞いたら、9月末現在で38世帯が入居していると。こういう実績があるわけですから、私は被災者限定でもいいので、本当に入居を続けたいという方々が入居を続けられる、そういう対策を検討すべきだと思いますけれども、いかがですか。
【建築住宅課総括課長】
退去を防ぐ方法として、みなし特定公共賃貸住宅制度の導入ということですけれども、みなし特定公共賃貸住宅制度は、中堅所得者向けということで、被災者や本来対象とする所得階層の方々の入居に影響を与えないことが条件となります。
退去防止やコミュニティの維持ということでは、 委員からご指摘ありましたとおり、目的外使用によりまして、全国的にも高齢者の見守りやコミュニティの活性化という使い方をされているところです。
また、みなし特定公共賃貸住宅というやり方もあります。どちらのやり方がいいかというのは、やはり本来入居者に対して影響がないような形で制度導入していくことが必要になってきますので、この辺は、本年4月に収入基準引き上げの特例措置を講じさせていただきましたので、この辺の特例措置の状況やコミュニティの状況を見ながら、把握に努めて参りたいというふうに考えております。
【斉藤委員】
先ほども議論になったんですけれども、県営災害公営住宅で、これは管理戸数1760戸、入居世帯1473戸、入居率83%です。空き室は287室なんですよ。新しい災害公営住宅ですよ、こんなに空いているときに、そして今入っている方々は高齢者が約4割、高齢世帯が55%、独居世帯が34.3%、3世帯に1世帯は高齢者なんです。5年10年経ったら、亡くなってしまうとか、施設に入るとか、そうなるんですよ。これからもっと空き室増えるんですよ。だから積極的活用を今から考えなくちゃならない。移住・定住で呼び込むのも積極的対策。しかし今入っている人たちを追い出すようなことはあってはならないと。私はこの対策を最優先で考えるべきだし、先ほど紹介したように、陸前高田市ではやっているわけです。38世帯入っているわけです現役世代が。そして私が紹介したように、いま頑張って、7万円の家賃で副会長頑張っていますよ。だからそういう自治会活動を支えるとか、そういう条件をつけても私はいいと思うんです。しかし追い出すようなことがあってはならないと。そういうことで部長さん、私は2月にも聞いたんだけれども、収入基準引き上げは評価するけど、追い出すような状況をつくらない。積極的に空き室を活用する。そういう対策を最優先で早急に考えるべきではないですか。
【県土整備部長】
令和4年4月から収入基準、割り増し家賃が発生する収入超過者認定に係る基準額を15万8000円から、公営住宅法で定める上限額で25万9000円に引き上げております。
この25万9000円というのは、全国の2人以上の世帯の収入を低い順から並べて、その真ん中になっているのが25万9000円となっていまして、これを超える収入の方は、収入が上位にある世帯というふうになっています。
災害公営住宅はもともと収入の低い世帯を対象として入居していただくものであり、公営住宅法では25万9000円以上が上限となっているものです。
そうはいってもやはりなるべく出ていっていただかないということで、25万9000円を超える高額所得者の方でも退去を求めない措置を講じていますが、ストック活用の観点、それからコミュニティ活性化の観点というのは大事なところだと思っておりますので、どういったやり方がいいのか、今のお試し居住体験事業でも、陸前高田市の県営住宅に入居いただいていますので、そういったところも広く周知していくなどして活用していただくことを考えていきたいと思います。
【斉藤委員】
私は目的外利用ということで提起をしたので。陸前高田市の住宅にも移住・定住で入ったと。私自治会と懇談したんですよ。残念ながら自治会の方と連絡とっていないんです。そこは大いに力が発揮されるようにしていただきたいし、最優先の課題で、被災者の方々が追い出されることがないようにということを、私は実例も示したんだから。陸前高田市の実績も示しました。287戸の空き室を積極的に活用し、自治会のコミュニティも確立すると。そういうことで考えていただきたい。
次に、集会所の活用状況についてどうなっているか示してください。
【建築住宅課総括課長】
県営災害公営住宅の集会所の活用状況についてでありますが、県が管理している災害公営住宅29団地の集会所の活用状況につきましては、令和4年度第2四半期の1月当たりにおいて、4回以下が24団地、15〜20回が5団地となっているところです。
【斉藤委員】
29団地のうち4回以下が24と。実は0〜2回というのが19団地なんですよ。4回というのは週1回ですね。これは2団地です。月1回ということは圧倒的に開いていない。開かずの間になっているということですよね。集会所というのは、立派な集会所がどこでも作られています。阪神淡路大震災で孤独死を出してしまった。そういう教訓から、県営・市営の災害公営住宅に立派な集会所がつくられて、支援員の部屋まで準備された。しかしそれが今こういう形で使われていないと。これは何が原因なのか。実際に使われているところ、大沢、上町、みどり町、栃ヶ沢、南青山、支援員が入って支援しているところなんですよ。生活支援相談員が入ってやっているところは15〜20回活用されていると。こんなに違いがはっきりしているんだったら、しっかり支援員を配置して、災害公営住宅の一人暮らしが3世帯に1世帯、孤立化・孤独化が本当に大変な状況の中で、人を配置するところは保健福祉部地域福祉課だと思うけれども、災害公営住宅の集会所を活用するのはあなた方の仕事ですから、本当に連携をとってしっかり改善すべきじゃないかと思いますがいかがですか。
【建築住宅課総括課長】
集会所の活用の推進というところになるかと思いますけども、委員ご指摘のとおり、保健福祉部や復興防災部と定期的に意見交換をして、そのコミュニティ活動の状況などの情報共有に務めさせていただいているところでございます。
その中で、支援員や生活支援相談員の配置につきましては、集会所を積極的に活用していただいて構わないというところを繰り返し申し上げておりますので、もし、そのような配置をしたいというようなところがありましたら、連携して活用の促進について努めて参りたいというふうに考えております。
【斉藤委員】
本当に阪神淡路大震災の教訓を岩手が生かすと。阪神淡路大震災のときには集会所はなかったんですよ。しかし東日本大震災ではそういうスペースは確保されたんです。確保されたけれども活用されなかったという教訓をつくっては絶対にだめだと思うんですよ。そして孤独死を出さないと。コミュニティがこれによって自治会でしっかり確立されたと。そういう前向きの方向でこのことを打開すべきじゃないですか。
【建築住宅課総括課長】
阪神淡路大震災や孤独死の問題というところは、私どもの方も認識しておりまして、県土整備部としましては、岩手県立大学の方と共同研究ということで、南青山アパートに「番屋」という支援組織がありますけども、こちらと連携をとりながら、どのようなやり方で公営住宅のコミュニティの維持や見守りといった取り組みを進めていけるか、また、その支援団体について、やはり問題になるのは支援団体の費用であり、今は盛岡市から南青山の「番屋」につきましては費用負担をいただいていますけれども、支援団体が自立できるような組織、制度にしないとなかなか厳しいかなと思いますので、その辺は継続して研究して参りたいと考えています。
【斉藤委員】
この間ずっと災害公営住宅のコミュニティ支援に加わってきた船戸さんは、岩手大学の助教でしたけれども、今はNPOの活動をしていますけれども、いわば被災者が集まって、いろんなところから集まっている、高齢化も高い、そういう災害公営住宅は被災者に任せていたら自治会の確立もコミュニティの形成もできませんよと。行政の支援が大事ですと。いま生活支援のそういう事業費もあるんだから、しっかりこれを積極的に活用すると。支援員が配置されれば、それなりのコミュニティの形成の力になるとはっきりしているわけだから、そういうことでやっていただきたい。
・住宅の断熱化の取り組みについて
【斉藤委員】
住宅の断熱化を進める取り組みはどうなっているか。住宅マスタープランを見ても、どうも岩手県がどういう高いレベルの住宅を目指しているのか見えない。先進県の取り組みはどうなっているか。先進県並の住宅の断熱化の推進と補助制度の実現を図るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
住宅の断熱化を進める取組についてでありますが、委員ご指摘の通り「岩手県住宅マスタープラン」 において、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組むこととしています。
それを踏まえまして、まずは、本県としては、本年度から、省エネ住宅の普及を加速するために、建築士や工務店を対象とした省エネ基準に係る県主催の講習会の実施、既存住宅の省エネ化に係る設計、改修等への補助を実施しております。
先進県の取り組みについてでありますが、鳥取県や長野県について、現在の省エネ基準を超えるZEH基準をさらに超える独自の省エネ基準を設定して取り組んでいるところも承知しているところでございます。
そして、先進県並みの本県の住宅の断熱化の推進と補助制度についてでありますが、国におきましては、ZEH基準による住宅を、既存ストックも含めた形で2050年には平均で確保するという方針を示しているところでございまして、この方針の実現に向けまして、新築住宅については、2025年には省エネ基準の義務化、2030年にはZEH基準の適用という形になっていることは承知しておりますので、県としましては、鳥取県や長野県のように、ZEH基準を上回る省エネ住宅について、2050年カーボンニュートラルを実現する上では非常に重要な視点と考えておりますので、先進県の取組事例を参考にさせていただき、本県の基準の方向性につきまして、今後「岩手県住宅政策懇話会」などで意見を聞きながら検討して参りたいと考えております。
【斉藤委員】
前向きの答弁だったと思います。ぜひ、地球温暖化防止実行計画の見直し、この新しい見直しとセットでそういう方向性が示されるようにお願いいたします。
・住宅リフォーム助成の取り組みについて
【斉藤委員】
最後に、住宅リフォーム助成事業で、宮古市の取り組みだけ紹介してください。どういう取り組み、実績になっているか。
【建築住宅課総括課長】
住宅リフォームに係る市町村の取組の状況ということで、宮古市の取組の状況についてでありますが、宮古市におきましては、県で今把握しているところでございますが、地域木材の利活用の促進というところと、あとは経済対策としてのリフォーム経営補助金というところでございまして、この辺をやっているというところを今現在把握しているところでございます。
内容につきましては、上限額がそれぞれ30万円と70万円、10万円という形になっておりまして、令和3年度の補助実績といたしましては2,010件、1億8,890万円余いう形になっております。