2022年12月6日 文教委員会
令和7年度以降の高校入試改革に関する質疑(大要)
・令和7年度以降の岩手県立高等学校入学者選抜について(素案)
【斉藤委員】
一言で言って、いま入試の倍率が1倍前後ですよね。基本的には、客観的にはすべての希望者が入れるそういう高校の実態になっているときに、なんでこんな複雑な入試制度にするのかと。もっとシンプルにすべきじゃないのかと。希望する受験生が基本的に入れるように、そういう制度を考えることが必要なのではないかというのが私の根本的提案です。そういう観点が1つもないんじゃないか。入試倍率が1倍前後になっているときに、なんで複雑な入試制度にしなくちゃならないのかと。そういう議論はあったんでしょうか。
【高校教育課長】
この制度を考える際に、提言をいただいて具体的な案を考えているところですが、現状、入試制度の課題として、分かりやすさといったことについて、特に一般入試の選抜方法については複雑で分かりづらいといったご指摘もあるといったようなことがあり、シンプルな制度にしたいという観点も含めて検討したところでございます。
【斉藤委員】
もう1つ、今のやりとりを聞いていて、スクールポリシー=学校が求める生徒像を示して、そういう生徒を求めると。私は反対なんだと思いますよ。生徒が求める学校をつくるということなんじゃないでしょうか。いま地域の学校というのは存立が危ぶまれているんですよ。私は昨日の一般質問でも取り上げたんだけれども、進学にも就職にも生徒の希望が叶えられるような学校というのが地域に必要だと。そういう学校を地域で守っていかなくちゃならないと思うんですよ。そういうときに、スクールポリシーなんてカタカナは止めた方がいい。もっと美しい日本語を使ってほしい。スクールポリシーとかアドミッションポリシーとか、カタカナ使うときはごまかしなんですね、だいたいは。そうではなくて、やはり説得力ある日本語を使って、みんなに分かるような提起をしてほしいんですよ。だから、スクールポリシーを示してそれに応えるような生徒を集めるというのは主客転倒だと。生徒が求める学校でつくっていくということが本筋ではないかと。単純に言うと、進学の希望も就職の希望にも応えられるということなんですよ。高校間格差を是正するということが、そういう意味では本当に重要な課題。
生徒が増えたときに、高校をたくさんつくりました。そのときのやり方が「高校の多様化」だったんです。そういう形で高校間格差というのが拡大されて固定化されてきた。しかし今生徒が減っているときに、そういう高校間格差を是正して、地域でも進学も就職も希望に応えられるような学校、例えば、地域で進学する生徒が少なければ普通科も専門学科もあるような学校になってくるでしょう。一定あれば、普通科と専門高校ということで独立して存立することはあっていいと思うけれども、地域でそういう要求に応えられる学校をどうつくっていくかということが、生徒減少の中では本当に一番考えなくちゃならない学校で、学校ありきで生徒を集めるという発想は主客転倒だということは指摘をしておきたい。残念ながらそういう根本的な観点が、今の時代に合わない形で今回の入試制度が考えられているんじゃないか。
推薦入試が特色入試ということになりました。いま佐々木委員が指摘されたように、ここがきわめて微妙だと思うんですね。「生徒が日常的な学習や活動で身に付けた多様な資質・能力、検査を実施して評価する」と。これは難しいですよ。日常的な学習や活動で身に付けた多様な資質・能力をどうやって評価するんですか。そんな難しいことをどうするんでしょうか。これはちょっと具体的に聞きましょう。この手法はどうなんですか。
【高校教育課長】
多様な資質・能力をどのように評価するかといったご質問かと考えておりますが、例えば、各学校の中で各種の学校活動でリーダーシップを発揮する人物といったような求める生徒像を掲げて、その中で特色入試で主体的に未知の事柄にも前向きに取り組む生徒といったような求める生徒像を設定した場合に、例えば、中学校時代の新しい取り組みで主体的に取り組んできた内容と成果についてプレゼンテーションしてもらうとか、そういったことも考えられるかと思います。あるいは、他者と共同して取り組む生徒といったときには、グループ討論等でその場の課題について協調しながら、その課題の解決に向けてグループ討議を行うとか、そういった形での評価を考えているところでございます。
【斉藤委員】
生徒が多様化していると言っていますよね。いろんな生徒、多様な生徒があって、いろんな役割があるんですよ。だからその1つだけを評価するということは偏った評価になるんだと思いますよ。リーダーシップをとっている生徒だけが評価高いというのはおかしいと思うんです。サッカーだってそうじゃないですか。フォワードがあれば守備陣もあるんですよ。それぞれの役割があるんですよ。点数取れる生徒だけ評価されるということではないんだと思うんです。そういう生徒の多様性を評価できる検査・評価なのか。リーダーだけじゃ組織まとまらないんですよ。そういう生徒の多様性を評価することが、やるんであれば重要なことではないのかと。
それで問題は、この特色入試というのは、学校ごとに比率をどのように決めるんですか。
【高校教育課長】
特色入試の募集定員ということについてでございますが、現在、推薦入試では10%あるいは15%、20%程度で募集しているところでございますので、現行制度を参考にしながら具体的な定員の比率については検討してまいりたいと思います。
【斉藤委員】
そうすると比率は現行の比率を参考にしながら、各学校が10%とか20%とか決めるわけですね。
それで特色入試も、結局一般入試も受けて特色入試の検査も二重に受けるということになるんですね、この中身を見ると。
【高校教育課長】
そのように検討しております。
【斉藤委員】
だから二重に受けなくちゃならないというのも、生徒にとっては負担の大きい制度だなと。何のために特色入試やるのか。その点でいくと意味不明になってきたんじゃないでしょうか。
それと一般入試についてお聞きしますが、一番生徒が悩んでいるのは調査書なんです。この調査書は、1学年から3学年の各教科の評定、いわゆる内申書ですねこれは。この学科の試験はかなり性格に数値化されるんですが、それ以外の音楽とか体育とか、これは教師によって主観的な評価がかなり強くて、教師のパワハラを受けた生徒が評価が低くて、実はこの生徒はスーパーキッズの生徒だった。本当なら体育5でいいんだけれども、体育の教師の目にかなわなかったから低く評価されて、公立高校の受験をあきらめたということがありました。調査書というのが、1年生から3年生の学力、これがんじがらめなんですね。1年生から管理されて成績をあげないと進学ができないという。そして科目によっては主観的な評価にされると。これは実際あった話ですからね。私はこの調査書というのが本当に必要なのか。佐々木委員が先ほど実力で入試の学力検査、昔はこれしかなかったんですから、1年2年だめでも3年で頑張って、そして進学したという生徒も結構いましたよ。私はもっとこれはシンプルにして、3年間の中学校生活をがんじがらめにするような内申書でいいのかと。この内申書のあり方を根本的に考える必要があるんじゃないでしょうか。
先ほど高校教育課長は5:5が70%だと言いましたが、やっても30%ぐらい、評価するにしても。そうしないと本当に、いろんなことがあっても先生に物言えない。先生の顔色をうかがっているというのが今の中学校の実態ですよ。そういう意味で、この調査書の害悪ということはこの間入試制度で議論になりませんでしたか。中学生父母の一番の悩みはこれですよ。調査書のあり方そのものを根本的に見直す必要があるんじゃないかと思いますが、そういう議論があったのか、なかったのか。調査書の害悪、メリット・デメリットをどう評価しているか示してください。
【高校教育課長】
入試で調査書の活用といったことにつきましては、いま委員ご指摘の点のデメリット等についても考えられるかと思いますが、メリットといたしましては、学力検査を実施しない教科等の学力を把握できること、それから中学校の一定期間における学級評価を踏まえることで生徒の学力をより正確・公平に把握できること、また学力検査では把握することが難しい観点も含めて、いわゆる学力の三要項であります知識・技能、思考判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の各観点をバランス良く把握できるものと考えております。
議論の中で、調査書についてやはりある程度バランスをもって評価すること、比重を置いて調査書についても活用していくことは大切ではないかと。9:1のような極端な割合については避けるべきではないかといった議論はございました。
【斉藤委員】
9:1なんていうのはここにもないので、先ほど5:5が70%だと言いましたが、実態からいったら7:3ぐらいにしないと、本当に調査書がんじがらめで、例えば、部活動というのも生徒達の1つの目標なんですよ。だから中体連まで頑張って、あと半年勉強に集中して力をつけて受験すると。こういう子どもたちいるんですよ。スポーツの集中力高い子どもは、あとの半年で本当に力つくんです。そういう意味でいくと、やはり3年間がんじがらめで1年生から3年生までの成績で調査書を作られるというのは、私は生徒の成長過程からいってもあまり実態に合わないのではないかと思います。
それと、5ページのところで、一律に実施しない面接、小論文、作品、実技等は、学校独自検査として実施すると。学校独自検査が0〜100点と。こうなったらまさにテストづけじゃないですか。なんで二重三重にこういうことをしなくちゃならないのか。もっとシンプルにすべきではないんでしょうか。
本当にそういう意味でいくと、「改革」とは言っているけれども、子どもたちが本当に悩んでいる根本問題にまったく対応していない観点がずれた中身だし、生徒減少の中で、本当に子どもたちの学びたい、進学したい、就職したいという希望に応える高校を、それぞれの地域でどうつくるか。ここの発想が欠けているんじゃないかと思います。
行財政改革の問題昨日取り上げました。「学区をなくす」ということも提起をされて、私危機感をもっているんだけれども、学区というのはやはり地域の高校を守ろうという発想で岩手は維持してきたんですね。だから本当に地域に必要な高校、地域の生徒が地域で希望が叶えられる高校という観点が必要だったのではないかと。
教育長、昨日も議論しましたが、この入試制度は生徒の今の要求、悩み、地域の現状から見て、悩みや要求に応えられない中身に残念ながらなっているんじゃないかと私は思っているんですが、教育長の見解を聞いて終わります。
【教育長】
いま後期計画を進めているわけですけれど、これはやはりどこの地域であっても生徒の希望する進路の実現ということをやっていこうということでありますので、そして今般の高校入試制度の見直しということにつきましても、1学年時からがんじがらめというご指摘がありましたが、そうではなくて、普段の授業・学習態度等、そこから見ていくということでありますし、テストづけということではなくて、これは中学校の3年間で普段からの生活、そして学習の定着度から、そこからそれぞれの生徒が希望する進路の実現に向けて入試に取り組んでいくということが大事なんだろうと思います。
現在、パブリックコメントも実施してございますし、本日各委員の皆さん方にも説明させていただきました。今月いっぱい意見等が出されてくると思いますので、そういった内容等も拝見しながら、また、検討を加えていきたいと考えております。