2023年1月13日
新型コロナ対策調査特別委員会での質疑(大要)
・第8波の感染状況について
【斉藤委員】
それでは最初に、新型コロナ第8波の感染状況について質問します。
第8波の感染状況、12月の感染状況はどうなったでしょうか。クラスターの発生状況、高齢者施設のクラスターの状況はどうでしょうか。
【感染症課長】
第8波の感染状況についてでございますけれども、岩手県では10月12日から新規感染者数が増加傾向となり、12月20日には過去最大の2699名の新規感染者を確認したところでございます。
12月の感染状況につきましては、累計患者数として確認している方が46878人と第7波が拡大した8月の36524人を約1万人超える感染者数となっているところでございます。
12月の感染者数の世代別割合でございますけれども、10歳未満が6951人・14.8%、10〜20代が11736人・25%、30〜40代が14057人・30%、50〜60代が8204人・17.5%、70代以上が5930名・12.7%となっており、割合としては10代までの世代とその親世代が高くなっているところでございます。
クラスターの状況についてでございますけれども、9月から全数届け出が見直しとなり、クラスターの確認については、医療機関と高齢者施設などを中心に行っているところでございますけれども、10〜12月までに保健所で確認しているクラスターの件数は、513件となっております。特に12月については、過去最大の245件のクラスターを確認しています。このうち高齢者施設について、10月〜12月までは271件、全体の52.8%、特に12月は142件で全体の58%となっているところでございます。
【斉藤委員】
第8波全体の感染者数というのは分かりますか。第7波との比較は出ますか。
【感染症課長】
7波の集計でございますけれども、7月から9月の第7波におきましては、7万557名の患者を確認しているところでございます。
【斉藤委員】
それで第8波というのは、第7波と比べても感染が急拡大したと。もう1つは、死者が急増した。この第8波における死者の状況はどうなっていますか。
【感染症課長】
死亡者の状況等についてでございますけれども、これまでに489人の方が亡くなっており、第8波が始まった令和4年10月以降、令和5年1月12日までに296人の方が亡くなっております。死亡者数が増加する要因といたしましては、令和4年10月以降の新規感染者数が1月12日までの時点で10万6145人と、これまでの新規感染者数の約半分を占めること、加えて第8波において高齢者で基礎疾患を有する方の感染も増加していることによるものと考えております。
オミクロン株が主流となってから、新型コロナウイルスによる肺炎等の重症化する例がほとんどないところでございますけれども、感染による基礎疾患の悪化や体力の低下などにより亡くなる方が多くなっているところでございます。
【斉藤委員】
感染者が本当に急増したと。いま10万6185人ということでした。そして死者が296人と。今まで489人ですから、6割ぐらいが第8波で亡くなっていると。
・県民への危機感の周知について
【斉藤委員】
それで第8波というのは、かなり厳しい、危機的な状況にあるのではないか。12月30日の岩手日報ですけれども、岩手医大の小笠原院長が「コロナ禍の3年でもっとも厳しい。12月は院内で短期間に6つのクラスターが起き、病棟閉鎖が相次いだ。一般病棟の3分の1の約200床が使えなくなった。陽性の職員は26日までの1週間で約70人。11月以降の延べ人数では約290人。濃厚接触者の欠勤もある」と。1月11日に環境福祉委員会が中央病院を視察しました。中央病院の院長も「今までもっとも厳しい状況にある」という話です。ここはコロナ病床14床ですが、いま入っている人は2人です。ところが一般病床に25人のコロナ患者が入院していると。合わせて27人ですよ。大きな病院、その他の病院も含めて、この3年間でもっとも厳しい状況に、感染者の数でも、クラスターの数でも、死者数の急増という点でも、そして医療の逼迫でも、そういう危機的な状況にあるのではないか。野原部長にお聞きしたい。この危機的状況について、県の受け止めは不十分なのではないか。県民へのアピール・訴えも不十分ではないかと私は考えますが、いかがですか。
【保健福祉部長】
委員ご指摘の通り、私の冒頭説明でも前にも申し上げました通り、病床使用率に表せない院内感染の患者さん、そういった部分でかなり負荷がかかっていること、また、医療従事者の欠勤等が、これは第7波に関しては、比較的波がピークに達してから速やかに低下したにも関わらず、第7波と同じレベルの状況が1ヶ月半にわたって続いていると。医療への負荷の状況が非常に長期にわたって続いていると。加えて、高齢者施設等のクラスターも発生しておりまして、先ほど資料にも示した通り、第7波に比べて7割ぐらい新規感染者が増えているといったこともあって、やはりさまざまなところで医療に負荷がかかっているという風に認識をしているところでございます。
こうしたことについては、本部員会議の場でも私の方からもご報告させていただいておりますし、また、医療現場の状況については、医療局長の方からもご報告をさせていただいているところでありますが、引き続きSNS等でも医療の危機的な状況等我々も発信しているところでございますが、医療現場からの声、院長先生方の声も我々もきちんとお伝えしながら、県民の皆さんにも今の状況について周知を図っていきたいと考えております。
【斉藤委員】
実は政府の対応に一番問題があると思うんですよ。先ほども復興防災部長から基本的対処方針の変更点というのを説明を受けました。「オミクロン株と同程度の感染力・病原性の変異株による感染拡大であれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら、高齢者を守ることに重点を置いて感染防止対策を講じる」と。何もしないということですよ。政府から今の深刻な感染状況とか医療逼迫の状況というのは1つも発信をされていません。これがまず大問題だと。一方で、先ほどアドバイザリーボードの最新の感染状況の説明がありました。4ページに「なお、感染者数が膨大となり、医療の逼迫が生じる場合には、住民や事業者に対する感染拡大防止や医療体制の機能維持に関するさらなる協力の要請・呼びかけや、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止等が考えられ、状況に応じた対応が必要」だと。私はまさに今この指摘を受けた対応が必要なのではないかと考えますがいかがですか。
【復興防災部長】
コロナの感染状況ということで、政府の対応も不十分ではないかというお話でございます。県内の状況、県の病床使用率50%に至っていないということでございまして、先ほども冒頭説明申し上げましたが、総合的な状況を見ながら判断をするということにしてございます。
たしかに医療の状況等非常に逼迫しているということはございますし、大変な状況というのは重々認識してございます。ただ一方で、全国の感染状況と岩手県の10万人あたりの状況を見ると、下から6番目ぐらいという状況になってございまして、そういったところも踏まえまして、いろいろなところ総合的な判断ということになってございますので、現時点ではそういった医療逼迫の宣言を出して対応するというところの判断には至っていないというところでございます。
【斉藤委員】
先ほどのアドバイザリーボードの1面のところで、「全国的に病床使用率は上昇傾向にあり、5割を上回る地域も多い」と。全国的には5割を上回っているんですよ。この資料だと岩手は49.1%なんですよ。これは即応病床で計るとこうなんです。最大確保病床で計ると県の資料のように40%そこそこになるんですけど、厳密にはここで見なくてはならないと。そこはよく踏まえた方がいいと。
・高齢者施設のクラスター対策について
【斉藤委員】
それで、今の最大の焦点は高齢者施設のクラスター対策、そして死者の急増をどう食い止めるかだと思います。この高齢者施設のクラスターがなぜこんなに続発しているのか。そして高齢者施設で感染した方々がなぜ入院できないのか。施設内療養中に亡くなった人の実態を含めて示してください。
【長寿社会課総括課長】
施設内療養者の死亡急増に対する対策等についてでございます。まず施設内で療養中にお亡くなりになられた方、1月10日公表分までで、これまでの累計になりますけれども118名ということで、そのうち8割の方が昨年11月以降に亡くなっているという状況にありまして、非常に重く受け止めているところでございます。
施設内療養につきましては、陽性となった方の症状ですとか、ご本人・ご家族のお考えなども踏まえながら対応している状況にございます。容態が急変したり、医療の提要が必要になった場合は、保健所において調整を行っております。また、協力医療機関等の医師による医療の提供も行われるように働きかけを行っている状況にございます。状況によりまして、そのように臨機応変に対応していると認識しております。
【斉藤委員】
これまでに118人、これは1月10日までの数なんですが、そのときの死亡者合計は476人でした。24.7%、4人に1人は入院できずに亡くなっているんですよ。それもその8割は11月以降です。なぜ入院できずに118人も亡くなるような事態が起きているんですか。施設で療養している方々は入院できないのかと聞いたんですよ。
【感染症課長】
やはり先ほど医療機関等の逼迫状態のお話もございましたけれども、介護が必要な高齢の方を病院に入れるとなると、その分のマンパワーがさらに増えてまいるところでございますし、あとは保健所等とも相談しまして、その中で入院が必要な方についてはもちろん病院に入院させていただいてますので、そういう状況は続いていると認識してございます。
【斉藤委員】
だったらなぜ118人が療養中に亡くなるんですか。入院できずに医療を受けられずに亡くなっているんですよ。それが11月以降8割ですよ。
それで、高齢者施設が今どういう状況になっているかお知らせします。これは特養ホームでクラスターが発生し、27人、職員が10人、入所者17人です。施設が酸素飽和度60から70%になったので、入院できないかと保健所に言ったら、「できない」と。「看取りを考えてください」と。誰も入院できないでいるんですよ。これは盛岡の特養です。
原則入院できないんですか。どういう高齢者・感染者が入院できるんですか。そのことをはっきり示してください。
【感染症課長】
いま委員おっしゃった通りの部分もあると思いますけれども、原則食事ができない方等については、医療行為として点滴等が必要な方については入院させていると私の方では認識してございます。
【斉藤委員】
では私が指摘した対応は間違いだということですね。ましてや「看取りを考えてください」と。施設に聞いたら「看取りを考えるような患者じゃないです」と。こういう状況で118人が亡くなっているんですよ、療養中に。これを深刻に考えなくちゃだめだと思いますよ。
病床使用率は厚労省の資料では49.1%ですが、必要な人を入れていないんじゃないか。そういう病床使用率になっているんじゃないですか。もう49.1%でいっぱいいっぱいで受け入れられないなら、そうあなた方はアピールすべきですよ。
ある特養施設でクラスターが出たときに、最初は「施設で看てください」と言われたと。とてもじゃないけど看れないので、繰り返し保健所にお願いして入院させてもらったと。ここは犠牲者一人も出ていません。高齢者施設に入所している人たちは基礎疾患複数もっているんですよ。感染した段階で命の危険に関わるような人たちが多いんですよ。
部長に聞きますが、118人、今まで死者急増しているけれども、このうちの8割が11月以降で、入院もできず医療も受けられずに亡くなるような事態というのは、ただちに解決すべきじゃないでしょうか。具体的な対策を、実態をしっかり見てやるべきじゃないかと思いますがいかがですか。
【保健福祉部長】
第8波になって、高齢者施設のクラスターが非常に多く発生し、基礎疾患を有するご高齢の方々が多く亡くなっているという事態を非常に重く受け止めております。
私どもやはり方針としては、リスクの高い高齢者、基礎疾患を持っている方を守っていくという方針の下で進めていくという段階にあって、このような結果になっていることを非常に重く受け止めながら、取り組みを進めていくべき課題だと認識しております。
これは本県だけでなく、アドバイザリーボードにあった通り、全国的にも全ての自治体でクラスターが増えている状況にあります。この課題も今日多くの委員の方々からご指摘いただいたように、さまざまな課題があると認識しております。患者さんの状態に応じて、そこで留め置いて早めに医療を受けた方がいい方、速やかに医療機関に転院させて医療ケアを受けた方がいい方、それは医師の判断によってさまざまあろうかと思います。それを速やかに行って、投薬の方も種類がありますので、速やかな投薬をしていただく。そのためにはオンラインもなかなかハードルが高いのも事実なんですけれども、きちんとオンライン診療、あとは医療機関によっては、地域によっては、例えば県立病院のドクターの個人的な行為で施設に入っていただいて、処方していただいたりとか、点滴していただいたような事例もあるんですけれども、そういったような、なるべく我々も参加していくような努力を進めていかなくてはならないと考えております。
いずれ、この高齢者の死亡者が増えているというのは、目の前の課題でございますので、しっかり関係機関とも十分連携をとりながら、さまざまな取り組みをしていかなくてはならないと考えてございます。
【斉藤委員】
だから原則入院で、最初から受け付けませんという対応はとるべきじゃないと。先ほども紹介したけれども、酸素飽和度60から70%、こういう状況になった感染者を入院させないというのは間違いですね。あり得るんですか。
【感染症課長】
酸素飽和度の話でございますが、実際には高齢者施設でも酸素を持ち込んで吸入している事例もあるとうかがっていますけれども、その施設についてはそういったことができなかったということだと思っております。やはり酸素飽和度そこまで下がるとやはり生命の危機にさらされる状態になりますので、あってはならない事案だと認識してございます。
【斉藤委員】
だから今の病床使用率というのは、そういうふうに本来入れるべき高齢者・感染者をうんと抑えた数なんですよ。実態を反映していないと思いますよ。本当に命に関わるような高齢者を入れたら49%どころじゃない、6割7割になるんじゃないでしょうか。そこも危機意識に関わる問題だと思うんですよ。病床使用率をそのように抑えて、50%いっていないから「まだ大丈夫」と、実態はそうなっていないんです。死者も急増しているんです。このことをしっかりとらえてやっていただきたい。
そのうえで、いま高齢者施設はどう対応しているかというと、クラスター発生したところは毎日抗原検査キットで職員の検査をやっています。ところがクラスター発生すると、この抗原検査キットの検査は施設持ちになるんです。やってられないですよ、これ。職員も感染して、施設内で感染者を看ながら、毎日仕事をするために抗原検査をやって、こういう抗原検査キットについては、何か無料で提供するという仕組みはないんでしょうか。
【長寿社会課総括課長】
抗原検査キットにつきましては、当課の事業で、濃厚接触者になった職員の方は職場に復帰するために必要な抗原検査キットについては振興局等を通じて施設にお配りできるような形になっております。
【斉藤委員】
濃厚接触者というよりは、ましてやクラスターが発生しているところですから、こういう施設は全職員やるんですよ。クラスター発生すると毎日2名3名感染者が出るんですよ。だからクラスター発生したところは、全職員対象に毎日抗原検査しなくちゃならない。その分はきちんと提供しますと。そういうことでいいですか。
【長寿社会課総括課長】
先ほども申し上げました通り、当課の事業として実施しておりますのは、濃厚接触者になった職員の職場復帰にあたっての抗原検査キットの提供という形になっております。
また、かかり増し経費の対象にならないのかというお問い合わせもいただくんですけれども、そちらに関しましては、国の方にも確認しまして、対象にならないということを確認をしているところでございます。
【斉藤委員】
部長さん、実際にクラスターが発生している、特に高齢者施設等は、毎日自前で検査しながら、職員が休んでいる中でやっているんです。ここに対してそういう検査キット分はしっかり手当するという施策が県として必要なんじゃないでしょうか。
【保健福祉部長】
施設で感染した場合、また院内感染の場合、さまざまなツールで検査キットを活用することになっていると理解をしております。例えば市町村独自事業で、こういったような支援をしているところもあります。なので、我々もどうしても国の補助事業で記載されているものに関しては機械的な答弁にならざるを得ないんですけれども、さまざまなメニューをどう活用して柔軟にやったらいいかという部分は、それは我々も知恵を出して、そこはやはり感染者を出さないということが目的ですので、そこは我々も知恵を出して対応してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
ぜひさまざまな形で活用できる支援策を県も研究して、こういうものは使えますということでやっていただきたい。
第7波・第8波の特徴はオミクロン株です。同じ株で1年間6波7波8波、8波はまだ継続している。なぜこんなことになっているのか。政府が必要な対策を1つもとらなかったからです。だから同じ株で3回も大きな波の感染が拡大していると。いまの感染者数については、お話あったように9月末に全数把握を止めたので、特に東京あたりは感染者の実態を反映していないと。専門家は「1.5倍はある」と言っていますよ。陽性者登録センタ−、これは自主報告ですから、私は岩手の場合は数だけ見れば8割ぐらいは報告されているのかなという感じを受けています。それでも全体の数ではないんだと思うんですね。だから今報告されているよりも感染者数は多い。多いからそれが高齢者施設に持ち込まれるわけです。医療機関にも持ち込まれるわけです。そのことをよく見て。
・感染症法上の見直しの問題について
【斉藤委員】
いま政府では、二類から五類へ検討するという、もう結論先にありきの検討が進んでいますが、専門家は、オミクロン株というのは感染力が季節性インフルエンザと全然違うと。クラスターも激増している、死者も増えている、後遺症も出る。「同じように見れない」と。慎重に、段階的にこういう問題は対応すべきだと言っています。私は、政府が何もしないで二類から五類に変更しようとしているけれども、全国知事会も、オミクロン株の特性を踏まえた、専門家の意見をしっかり踏まえた対応を国に求めるべきだと思いますがいかがですか。
【感染症課長】
政府の分類の検討についてでございますけれども、一昨日もアドバイザリーボードでその点には触れられてございますけれども、国においては、感染症法上の分類の見直しについて検討されておりますが、国のアドバイザリーボードも「できるだけ慎重に検討してから判断すべき」や「コロナの特性を踏まえた対応に関する議論を」「これに即した類型を見直すべき」といった意見も出ているところでございます。
先ほど委員からご指摘ございましたけれども、全国知事会では国に対して新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけのあり方の検討については、新たな変異株も含め、特性を明らかにすることなどに加え、国内の抗体保有状況や医療提供体制への影響を踏まえて早急に進めることを提言しているところでございます。
県としても引き続き知事会を通じて医療機関や保健所などの対応状況、罹患された方の症状などの状況を踏まえたうえで、専門家などの意見を参考として新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけのあり方の検討について国に提言してまいります。
【斉藤委員】
最後ですが、中国で感染拡大起こって、水際対策でPCR検査やることになりました。
もう1つ、いまアメリカでXBB.1.5が、従来の感染力の2.22倍だと言われているんですね。アメリカから全く自由に入れるようでは、水際対策にならないと思うけれども、この点について最後に聞いて終わります。
【感染症課長】
XBB.1.5については、あまり記憶が定かではないですが、国内でも何例かは確認されているという報告はいただいておりますので、やはり水際対策は国の事務にはなりますけれども、やはりしっかりした対策をしていっていただくよう要望してまいりたいと考えております。