2023年3月1日 2月定例県議会本会議
議案に対する質疑
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第76号、2022年度岩手県一般会計補正予算(第9号)について質問します。
 補正予算(第9号)は、事業費等の確定による財源調整で総額180億円余の減額補正となっていますが、国の経済対策に対応して、@物価高騰・賃上げの取り組みに34.8億円、A地域の稼ぐ力の回復・強化に21.5億円、B防災・減災、国土強靭化に35.9億円など、総額92億円余の事業費が盛り込まれています。
 具体的な内容について質問します。

・中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業費について

 第一に、新規事業として「中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業費」が20億7500万円余計上されています。
@今年度実施した物価高騰対策支援金の取り組みは極めて低調な結果となりました。その教訓をどう受け止め今回の新規事業に生かしたのでしょうか。
A今回の事業の対象者、補助要件はどうなっているでしょうか。
B今回の補助額は低額で、個人事業者は7万5千円、法人は15万円となっています。大きくない額でありますから、できるだけ簡潔な申請にすべきと考えますがどうなっているでしょうか。
C申請はいつから始まり、支給はいつから実施されるのか示してください。
D商工指導団体が補助先となっています。委託費、人件費はどうなっているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 まず、中小企業者等事業継続緊急支援金と物価高騰対策支援金との相違についてでありますが、今般の中小企業者等事業継続緊急支援金につきましては、従前の物価高騰対策支援金に比べまして、売り上げ減少の要件を緩和するとともに、申請書類の簡素化を図るほか、受付窓口は商工指導団体とする方向で調整を進めております。
 次に、対象者は、一次産業を除き広い業種を対象をしており、また、補助要件は令和4年10月から令和5年3月までの期間のうち、いずれか1ヶ月の売り上げがコロナ禍前を含めた過去3年間の同月比で20%以上減少し、かつ売り上げ減少した月に支払った光熱費等の単価が前年同月比で増加していることなどを想定しております。
 このように、可能な限り厳しい環境にある事業者が申請を行いやすくするようにしたところであり、申請時期が事業者の方々の決算時期とも重なることから、より多くの方々に活用していただき、事業継続に資することを期待しているところです。
 次に、申請の受付開始は3月20日を目指しており、受付を行う商工会議所・商工会と調整を進めております。支給時期につきましては、支払いまで最短でおおむね1ヶ月を見込んでおり、最短で4月中の支給が見込まれるところです。
 次に、支援金の支給事業に要する人件費等の事務費につきましては、昨年度の地域企業経営支援金と同様に、商工指導団体に補助することとしており、主なものとして、人件費・役務費・使用料・賃借料などを想定しております。なお、補助金額につきましては、地域企業経営支援金の際の実績を参考に配分する予定としております。

・2023年に行くべき岩手推進事業費について

【斉藤議員】
 第二に、新規事業として「2023年に行くべき岩手推進事業費」として1億円が計上されています。これは、ニューヨ−クタイムズの「2023年に行くべき52カ所」の2番目に盛岡市がリスト入りした反響を生かし、外国人観光客の誘客・周遊推進を図ろうとするものであります。
@ニューヨ−クタイムズ紙報道以後の反響、外国人観光客の動向をどう把握しているでしょうか。
A事業の具体的な内容を示してください。
B国内観光客の誘客にも大きな力になると思いますがその取り組みはどうなっているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 次に、ニューヨークタイムズ紙の報道以降の反響、外国人観光客の動向についてでありますが、盛岡市によりますと、ニューヨークタイムズ紙に掲載されたことを紹介する市のツイッターに41万件ほどのアクセス数があったほか、クレイグ・モド氏は、すでにメディアからのインタビューを20回近く受けていることなど、反響はとても大きいと受け止めております。また、最近の外国人観光客の入り込み状況については、現時点で具体的な数字はお示しできませんが、盛岡市内に外国人が増えているという話を多く耳にするところであり、宿泊事業者からは、ニューヨークタイムズ紙の記事を受け、予約の問い合わせは確実に増えているという声もございます。
 次に、2023年に行くべき岩手推進事業の具体的な内容についてでありますが、国の観光再始動事業を活用し、誘客イベントの開催など、県内におけるインバウンド誘客のコンテンツ造成を図るほか、首都圏を中心とした宣伝広告や、訪日観光客を対象としたウェブサイト等を活用したプロモーションを行う予定としております。
 次に、国内観光客の誘客についてでありますが、2023年に行くべき岩手推進事業の実施は、外国人観光客のみならず、国内の日本人観光客の増加にもつながるものと考えておりますが、すでに令和5年度当初予算案に盛り込んでいる旅行商品の造成や教育旅行の誘致をはじめとした三陸地域への誘客促進の取り組みなどを展開するにあたっても、今回のニューヨークタイムズ紙に掲載されたことをPRしながら、その効果が岩手県全域に波及するように努めてまいります。

・運輸事業者運行支援緊急対策費について

【斉藤議員】
 第三に、運輸事業者運行支援緊急対策費として2億8544万円余計上されています。トラック事業者に対し、燃料費高騰の影響を緩和するために、車両1台当たり2万3千円を追加交付しようとするものであります。
@今回の追加交付によって、年間ベースではどれだけの燃料費の高騰分の補填となるのでしょうか。
Aトラック事業者の経営実態をどう把握されているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 トラック事業者に対する補てん割合についてですが、今般の支援金の支給にあたっては、トラック1台あたりの標準軽油使用料に、軽油価格の上昇額を乗じた額の3分の1に相当する額の3ヶ月分を支給することとして積算したところです。この支援金は、同様の積算方法により、令和4年度一般会計補正予算第2号において、すでに1回目の交付を行っており、今回の交付と合算すれば、上昇額の3分の1に相当する額の6ヶ月分を支給することとなり、その額は1台あたり4万6千円となるものです。
 次に、トラック事業者の経営実態についてでありますが、全日本トラック協会の調べにおいて、業界の景況感が今後も悪化すると見込んでいる事業者が約5割となっており、燃料費の上昇がトラック輸送事業者の経営に深刻な影響を及ぼしていると受け止めております。

・貸し切りバス事業者運行支援緊急対策交付金について

【斉藤議員】
 第四に、貸し切りバス事業者運行支援緊急対策交付金として2464万円計上されています。燃料費高騰の影響を緩和するために、車両1台当たり4万円を追加交付しようとするものであります。
@今回の追加交付によって、どれだけの燃料高騰分の補填となるのでしょうか。
A貸し切りバスの運行状況はどうなっているでしょうか。回復状況を示してください。

【商工労働観光部長】
 貸し切りバスの燃料高騰分の補てんについてでありますが、先ほどのトラックと同様に、バス1台あたりの標準軽油使用料に、軽油価格の上昇額を乗じた額の3分の1に相当する額の6ヶ月分を支給することとして積算したところです。先ほどと同様に、これも1回目の支援をすでに行っておりますので、今回の支援金の額を合算すれば、その額は1台あたり8万円となります。
 次に、貸し切りバスの運行状況についてでありますが、県またバス協会におきましても、貸し切りバスの運行状況に関するデータは持ち合わせておりませんが、貸し切りバス事業者への聞き取りによりますと、昨年の秋以降、一般客やインバウンドの利用が増えているものの、コロナ禍前の状況には至っておらず、また、燃料費の高騰の負担が重くのしかかっている状況であるとのことでございます。

・バス、タクシー事業者への補助について

【斉藤議員】
 第五に、バス運行対策補助費が1億2281万円余計上されています。
@新型コロナの影響による乗車人員が減少したバス路線の維持を図るために運行欠損額に対する補助対象額を拡充するものとのことですが、乗車人員の減少、バス路線の維持の状況はどうなっているでしょうか。
 バス事業者運行支援緊急対策交付金が2244万円、タクシー事業者運行支援緊急対策交付金が4059万円計上されています。燃料費高騰に対する交付金ですが、乗り合いバス1台当たり4万円、タクシー1台当たり2万円追加交付すものです。年間ベースで燃料費高騰分の何割が補填されるのか示してください。

【ふるさと振興部長】
 バス路線の乗車人員の減少と路線維持の状況についてでございますが、バス路線の利用者数は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けており、令和元年度の約1377万人に対し、令和3年度は約720万人と約657万人減少しております。また、バスの系統数においても、令和元年度の609系統に対し、令和3年度は570系統と39系統減少しているところでございます。
 次に、乗り合いバス・タクシーの燃料費高騰分の補てんによる負担軽減についてでございますが、乗り合いバスについては5月補正では1台あたり4万円を措置したところであり、主な燃料である軽油価格が令和4年4月をピークに高止まりしておりますことから、2月補正予算案では同額となる1台あたり4万円を追加で計上したところでございます。また、タクシーについては、5月補正予算では、1台あたり1万円を措置したところであり、主な燃料であるオートガスは価格の上昇が続いておりますことから、2月補正予算案では1台あたり2万円を追加で計上したところでございます。これにより、乗り合いバスおよびタクシーにおいて、それぞれ年間ベースの燃料価格上昇分の3分の1を補助するものでございます。

・退職手当基金積立金について

【斉藤議員】
 第六に、退職手当基金積立金が50億円計上されています。定年延長の措置に基づき積み立てようとするものであります。
 今後の退職者の動向はどうなっているでしょうか。定年前に退職する普通退職者の状況を含めて示してください。

【総務部長】
 まず、退職者の動向についてでありますが、令和5年度から定年年齢が段階的に65歳までに引き上げられることにより、定年年齢が61歳となる令和5年度末には、定年退職者が生じないこととなり、その後、2年に1度定年退職者が生じる形となります。
 今後の退職者数については、これまでの退職者の状況や、高齢層職員への意向調査の結果等から、基金の対象とならない公営企業を除き、定年退職者が隔年で約550人〜650人、勧奨退職を含む定年前の退職者が毎年度約300〜400人程度となるものと試算しております。

・財政調整基金積立金について

【斉藤議員】
 第七に、財政調整基金積立金が49億9999万円余計上されています。後年度の普通交付税の積算減額等に対応するためのとのことですが、その要因は何でしょうか。この間の財政調整基金の推移、県債残高の推移、プライマリーバランスの推移を示してください。

【総務部長】
 次に、財政調整基金積立金についてでありますが、地方交付税は、県税等が当初予算額よりも減収となった場合の減収補てん制度と、増収となった場合の精算制度、これは実質的な返還精度でありますが、この2つがございます。令和4年度においては、企業業績の回復などにより、県税で約10億円、地方譲与税等で40億円、あわせて50億円程度の増収となる見込みであり、令和5年から7年度の3年間で生じる普通交付税の精算等に備えるため、50億円を積み立てることとしております。
これにより、財政調整基金の残高は平成20年度までは100億円以下で推移していましたが、令和4年度末には297億円、令和5年度当初予算編成後には211億円と増加する見込みとなっております。また、県債残高は臨時財政対策債を除くと、ピークである平成14年度の1兆2800億円から、令和5年度当初予算編成後には7400億円と6割程度の水準まで減少しております。プライマリーバランスは、令和5年度当初予算において418億円の黒字となっており、当初予算において平成24年度以降12年連続で黒字を維持しております。

・いわての学び希望基金積立金について

【斉藤議員】
 第八に、いわての学び希望基金積立金が6341万円余計上されています。今年の国内外からの寄付金を積み立てるものとのことですが、その内容を示してください。累積のいわての学び希望基金の総額と今年度末までの執行額の見込み、残額はどうなってるでしょうか。

【復興防災部長】
 まず、いわての学び希望基金についてでありますが、今回補正予算案に計上した積立金6341万円余の内訳は、国内の団体や法人等からの寄付金6316万円余と、国外からの寄付金30万円余の増額、当初予算に計上した繰替運用利息5万円余の減額であります。また、令和4年度末までの積立総額および執行額は、積立総額が113億2351万円余、執行額が53億8472万円余となる見込みであり、基金残高は59億3879万円余となる見込みであります。

・被災者住宅再建支援事業費補助の減額補正について

【斉藤議員】
 被災者住宅再建支援事業費補助が5729万円余減額となっています。当初の見込みを下回ったためとのことですが、被災者の住宅再建が延期されたのか、今後の見通しを含めて示してください。

【復興防災部長】
 被災者住宅再建支援事業費補助についてでありますが、今回の補正予算での減額理由は、世帯主等の死亡や県外で住宅を再建したことなどにより、補助金の支給要件を満たさなくなった世帯が生じたことによるものです。
 なお、補助金の支給対象となっているにも関わらず、未申請だった被災者に対しては、今年度市町村と県が連携して訪問や電話等により制度を丁寧に説明の上、申請を促したところであり、補助要件を満たす被災者への支給は年度内にすべて完了する見込みです。

・閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の請負契約について

【斉藤議員】
 議案第96号、閉伊川筋藤原地区水門災害復旧工事の請負契約の締結に関する議決の変更に関し議決を求めることについて質問します。
 これは、請負者の吸収分割契約の締結により名称が変更したものによるものであります。これによって事業の進捗に影響はないものと考えますが、閉伊川水門工事全体の進捗状況と完成見込みを示してください。閉伊川水門の対応津波高、東日本大震災時の津波高、日本海溝・千島海溝沿いの予想最大津波高はどうなっているでしょうか。

【県土整備部長】
 閉伊川水門の進捗状況についてでありますが、閉伊川水門においては、令和8年度の完成を目指して、現在、水門土木工事、水門設備工事を進めております。水門土木工事の令和4年3月末時点の進捗率は約62%となっており、今年度は二期工事となる右岸側仮閉切工事が9月に完成し、現在は水門基礎部の地盤改良工事などを進めているところです。また、水門設備工事の令和4年3月末時点の進捗率は約55%となっております。
 次に、閉伊川水門周辺の津波高についてでありますが、閉伊川水門の計画津波高は10.4mであり、東日本大震災津波発災時の道の駅みやこ付近の津波痕跡高は10.67mとの調査結果が示されております。また、県の津波浸水想定における閉伊川河口部の想定最大津波高は11.1mとなっております。

<再質問>

・中小企業者等事業継続緊急支援金について

【斉藤議員】
 ご答弁ありがとうございました。若干再質問させていただきます。
 中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業費でありますけれども、物価高騰対策支援金の教訓を生かしてということで、これは評価をしたいと思います。物価高騰対策支援金は11億円余の事業費だったと思いますが、779事業者、これは両方支援金を支給した者も含めて、6300万円の活用にとどまったと。本当にこれは重大なことだったと思います。
 そこで、今回制度が見直しをされました。申請の審査も支給も商工団体ということになります。3月20日から審査をして、支給をしてと。おそらく少なくとも6ヶ月かそれ以上になると思いますけれども、この人件費、委託費、これは何ヶ月を見込んでやっているのか。かなりの体制になると思うんですね。商工団体から私が強く求められているのは、短期的に専門的な人材確保するのは難しいと。年間を見通してやってくれれば、本採用で人を確保して養成ができると。そういうところを見越した商工団体への支援であるべきだと思いますが、この委託期間、必要な人員体制、このことを示してください。

【商工労働観光部長】
 商工指導団体への人件費等の支援につきましては、期間等についてこれから調整してまいりますけれども、地域企業経営支援金のときには、事業費のおおむね5%を事務費として補助しております。今回の支援金の額に当てはめますと、おおむね事務費として補助する分が9400万円程度になる見込みでございます。

・運輸事業者運行支援緊急対策費について

【斉藤議員】
 運輸事業者運行支援緊急対策費なんですけれども、その他の事業もほとんど燃料費高騰の3分の1補助なんですね。これは県・市町村・事業者それぞれが高騰分を負担するという考え方です。運輸事業者運行支援金、例えば市町村がどれだけ県と同調して使用しているのか、このことを示してください。

【商工労働観光部長】
 運輸事業者運行支援緊急対策費の市町村の実施状況でございますけれども、我々把握しているところで、現在、花巻市や北上市をはじめ11市町で、単価もほぼ県と同じような規模で支援がなされております。

・財政調整基金について

【斉藤議員】
 財政調整基金のところで、プライマリーバランスの推移もご答弁いただきました。平成24年以来黒字が継続して、令和5年度は415億円黒字になると。県債残高も1兆2千億円から7400億円に大幅に減少すると。この努力は高く評価をしたいと。