2023年3月8日 予算特別委員会
ふるさと振興部に対する質疑
(大要)


・岩手県立大学理事長の給与について

【斉藤委員】
 県立大学の理事長の給与問題について。私は、これは大学の規定に基づいて、大学が自主的に決定するものと。本来大学の自治に関わる問題だと思います。
 そこで参考に、公立大学における理事長の給与、これは個人の額というのは公表されていませんから、規定上の額はどうなっているか示してください。

【学事振興課総括課長】
 学長と理事長を別に設置している公立大学法人の理事長の給与水準でございますが、2月13日現在で、我々把握した大学に限りますが、岩手県立大学におきましては月額99万7千円以内となっております。まず県立大学につきましては、期末手当が理事長には支給されないということでございます。
 同じく、期末手当が支給されていない大学が他に2つほど規定上調べることができまして、東京都公立大学法人につきましては、年額1400万円余〜2000万円余の間で、期末手当はございません。横浜市立大学につきましても1800万円で、期末手当がないということでございます。
 期末手当がある大学で申し上げますと、青森公立大学は月額63万5千円余、群馬県公立大学法人は89万5千円余、高崎経済大学が85万円、前橋工科大学が72万円、神奈川県立保健福祉大学が110万7千円と。そのほかに期末手当が別途支給されるという状況でございます。

【斉藤委員】
 今の規定上の額を見れば、決して岩手県立大学が突出して高いということでは全くないと。事実の問題だけ確認をいたしました。

・国によるJR東日本のローカル線切り捨てへの対応について

【斉藤委員】
 ローカル線切り捨ての理由、国の動向はどうなっているでしょうか。

【地域交通課長】
 国によるJRローカル線への対応についてでございますが、新型コロナウイルス感染症や人口減少などにより、利用者の大幅な減少によりまして、鉄道が有する大量輸送機関としての特性を十分に発揮できない路線があるという状況を踏まえまして、国において、将来に向けた利便性と持続可能性の高い地域モビリティへの再構築に向けた有識者による検討会が開催されたところでございます。同検討会が昨年7月に取りまとめた提言では、ローカル鉄道の再構築に関し、地方公共団体または鉄道事業者の要請に基づき、国が協議会を設置し、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かずに協議する新たな仕組みを創設することが適当であるされているところでございます。
 国では、同提言の趣旨を踏まえ、新たな協議の仕組みを地域公共交通の活性化および再生に関する法律に盛り込む方針でございまして、本年2月10日に同法を改正する法律案が国会に提出されたものと招致しているところでございます。

【斉藤委員】
 これに対して、県・市町村の対応状況はどうなっているでしょうか。

【地域交通課長】
 県内の自治体等の対応でございますが、昨年11月に開催いたしました、県と沿線市町で構成しておりますJRローカル線維持確保連絡会議を開催したところでございまして、JRローカル線を鉄道として維持していく基本的な方向性や、国等に対する要望等を実施することを確認したところでございます。
 これを踏まえまして、昨年12月に県と沿線市町合同で、国やJR東日本に対して、JRローカル線維持に向けた要望を行ったところでございます。
 また、路線ごとに沿線市町と連携しまして、JR線沿線自治体市町会議を設置することとしております。先日開催されましたJR山田線沿線市町会議では、鉄路の維持に向け、県と沿線市が連携して利用促進に取り組んでいくことを確認したところでございます。他の路線につきましては、現在、事務局を想定している市町や隣県の自治体との間で、会議の開催に向けた調整を実施しているところでございまして、調整が整った路線から順次会議を開催し、利用促進等鉄道ニーズに向けた検討を行っていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 いま国が主導で、赤字ローカル線を切り捨てると。大変危険な状況になっていると。全国で対象になっているのは61路線100区間。国土交通大臣は、「全部なくすわけじゃないが、その半分ぐらいなくなるんじゃないか」と言っていますよ。そうなると、国鉄の分割民営化のときに無くなった数と同じなんですね。それだけの大変なことになりかねない。これは、自治体とJRの要望によって協議会が設置されているということですから、自治体が要望しなければこの協議会はつくられないということですね。

【地域交通課長】
 再構築協議会の件でございますが、こちらにつきましては、地方公共団体または鉄道事業者の要請に基づきまして、国の方で主体的に設置するという形になると。その際に、国の方からは、地方公共団体において調整をするという形で制度設計が進んでいると聞いているところでございます。

【斉藤委員】
 決算のときにも取り上げたんですけれども、この2020年2021年というのは、たしかに新型コロナでJR東日本は赤字になった。その5年間の中で調べると、JR東日本は大幅な黒字なんですよ。2017年から2019年まで9738億円の黒字です。20年21年は合わせて6954億円の赤字でしたが、5年間で見たら2784億円の黒字だったと。すでに22年度は黒字基調ですよ。だから、赤字を理由にして、いま地方ローカル線を切り捨てるなんていう口実はまったくない。
 もう1つ指摘したいのは、22年3月期末決算で見ますと、JR東日本の内部留保は2兆8300億円です。莫大な内部留保をため込んでいると。これだけ利益をあげているJR東日本が、新型コロナに便乗して地方ローカル線を切り捨てようとしていることは許しがたい。
 そこで、新幹線を整備するときに、盛岡以北の新幹線整備にかかる自治体負担、在来線維持の費用負担はどうなったか示してください。

【地域交通課長】
 盛岡以北の新幹線整備にかかる自治体負担についてでございますが、東北新幹線の八戸延伸にともなう沿線市町の負担額も含む本県の負担額につきましては、961億円余と、事業費全体の約21%であったと承知しております。

【斉藤委員】
 在来線維持の費用負担も聞いたんだけれども。

【地域交通課長】
 並行在来線であるいわて銀河鉄道への費用負担でございますが、開業にともなうJR東日本からの資産取得にかかる費用や支援システムの整備費への補助につきましても、これまで県・市町村あわせて約170億円余となっているところでございます。

【斉藤委員】
 整備新幹線でこれだけの地方負担をしているわけですね。
 そこで、本当に全国の地方再生のカギを握る鉄道網を維持、守るために、日本共産党は3つの提案をしています。これは県の予算要望でも提起をいたしました。
 1つは、JRを完全民営化から国有民営に改革すること。国が線路・駅などの鉄道インフラを保有管理し、運行はJRが行う上下分離方式に転換を求めることであります。すでに整備新幹線はそのようになっています。国がJRに貸与する形に一部はすでになっています。欧州は全部この方式です。
 2つ目は、全国鉄道網を維持する財政的な基盤を確保する公共交通基金を設立して、地方路線、これはバスなどを含めて地方交通への支援を行う。財源はガソリン税をはじめ自動車税、航空関連税などの一部を充てると。新幹線や大都市での利益の一部を地方公共交通の維持に還流させるという提案をしています。
 3つ目は、鉄道の災害復旧制度をつくり、速やかに復旧できるようにする。実は、大災害のときに、道路とか橋は必ず復旧するんですよ。ところがJRは、この災害に乗じて鉄路を切り捨てる。本当に許しがたい。ですから、こうした災害復旧制度をつくって、鉄路の場合にもしっかり復旧するような仕組みをつくると。
 私たちは抜本的なこうした3つの提案をして、県予算要望でも知事にも示しましたが、この日本共産党の提案について、部長はどのように受け止めているでしょうか。

【ふるさと振興部長】
 いただいた県に対する要望、提案は見させていただいているところでございます。
 県といたしましても、三セク鉄道を含む鉄道ネットワーク、国が掲げる国土強靱化でありますとか地方創生を推進する観点からも重要であります。
 要は、沿線自治体の意向が最重要だと思ってございます。そういったことで、昨年11月に沿線自治体と話し合う場を設け、いずれ鉄路維持が原則、鉄路を維持していくという中でやれること、国に対する要望、利用促進をやっていくという話し合いをしたところでございます。
 国鉄改革の経緯からも、国が国策としてその維持を図るべきだというのが私どもの基本的な考え方でございますので、引き続きそういうスタンスで、これから沿線自治体の個別の路線ごとの協議も入ってまいりますので、市町村の意見もうかがいながら対応等について検討してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 JR東日本がこの5年間で見たら、立派な黒字であり、2兆8千億円を超える内部留保をため込んでいると。切り捨てる根拠はないと。
 そして日本共産党は、地方ローカル線を含めて長期に維持できる提案も行いました。ぜひ研究して、大義を掲げて、打開策を示して、この問題の対応にあたっていただきたい。

・マイナンバーカードの問題について

【斉藤委員】
 マイナンバーカードの取得は、法的には現在「任意」だと思いますが、強制する根拠があるんでしょうか。

【市町村課総括課長】
 マイナンバーカードの取得にかかる法律上の位置づけということでご答弁申し上げます。
 マイナンバーカードは、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律により、住民基本台帳に記録されている者の申請に基づき発行するものとされておりまして、取得は任意であると認識しております。

【斉藤委員】
 しかし昨日7日、政府が閣議決定をして、健康保険証等をマイナンバーカードに一本化するための関連法案を閣議決定いたしました。このマイナンバーの利用範囲の拡大、国民の口座登録の新たな制度も盛り込むと。そして法律によらない拡大もできると。手続きに異論があったけれども決めたと。きわめてこれは重大だと思います。
 そこで、マイナンバーカードの取得状況はどうなっているか。この間、2万円のポイント付与などでどれだけの財源をかけてきたのか示してください。

【市町村課総括課長】
 マイナンバーカードの取得状況についてご答弁申し上げます。最新の令和5年2月末現在の交付率でございますが、県全体で61.0%となっており、マイナポイント第2弾が開始される前の令和4年6月末時点の38.7%と比較し、22.3ポイント増加してございます。なお、全国平均は63.5%となっております。
 また、カードの県全体の申請率でございますが、令和4年6月末時点では44.4%でありましたが、暫定値でございますが、2月末時点では6月末と比べて34.9ポイント増加し、79.3%となっております。
【デジタル推進課長】
 マイナンバーカードの普及および2万円のポイント付与にかかる事業費について答弁申し上げます。県では、国の補助金を活用し、令和元年から令和3年度まで、国が実施するマイナポイント第1弾および第2弾の新聞広告やチラシ配布などを実施しておりまして、3年間の事業費総額は1007万7千円となっております。
 今年度は、県内16市町村を会場として、マイナンバーカードの交付申請、マイナポイントの申し込みにかかる支援会を開催しておりまして、当該事業費は658万9千円となっております。また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、9月補正で措置しましたマイナンバーカードの取得促進キャンペーン、こちらの事業費が1億4900万円となる見込みでございます。これら事業費の総額は、1億6566万6千円となっております。

【斉藤委員】
 岩手県だけで1億6千万円、そして市町村がそれぞれ同じように大変な税金を投入して、なりふり構わずマイナンバーカードの普及に取り組んできた。
 2万円のポイントをもらうために、どういうことが必要ですか。

【デジタル推進課長】
 2万円のマイナポイントをもらうためには、まずはマイナンバーカードを新規取得した後に、選択したキャッシュレス決済で2万円チャージまたは買い物をすると。そうすると、利用金額の25%ということで、5000円分のポイントが取得できます。さらに、マイナンバーカードを健康保険証としての利用の申し込みで7500分のポイント、さらに公金受取口座の登録で7500円分のマイナポイントということになりまして、合計2万円分のポイントが取得できるということになります。

【斉藤委員】
 結局、個人の情報を提供すればするほどポイントが出てくるという、本当に異常なものです。特に私は、保険証とマイナンバーカードを一体化することが大問題だと思います。
 医師などでつくられる全国保険医団体連合会は今年2月、「健康保険証を廃止する理由は一つもない」と、法案の撤回を厚労省に求めました。制度変更によって現場に混乱が生じることを問題視したと。申請を忘れた患者が医療機関の窓口で無保険扱いになるといった懸念も指摘したと。いまの健康保険証で何ら不都合ないんですよ。健康保険証というのは毎年自動的に更新される。ところがマイナンバーカードは5年ごとに更新しなければならない。そして医療やさまざまな情報がそこに集約をされ、口座まで集約をされて、その個人情報を国が利用する。また、条件によっては、民間大企業にも利用させるという驚くべきもので、情報漏えいを一番国民が心配をしています。こういう上からの強制はあってはならないと。
 2016年の1月からこのマイナンバーカードの交付が始まりましたが、7年2ヶ月経って、交付率が岩手は61%ですよ。無理矢理こういうことをやってきた。この問題について閣議決定もされましたけれども、こういうやり方が民主的なのか。本当に利便性高めるのか。私は健康保険証というのは今のまま使えるようにすべきだと思いますけれどもいかがですか。

【ふるさと振興部長】
 マイナンバーの利便性はさまざま、これから県民サービス・住民サービスの拡大のために、そういった観点で使われていくものと思っております。一方で、健康保険証等との一体化に向けましては、国民に広く理解が得られること、メリットや安全性について国において丁寧に説明を行うことが必要だと思ってございます。
 マイナンバーカードを持っていない方、取得したくない方、そういった方の意思も尊重して、十分に対応を図ることが必要だと思っておりまして、この点につきましては全国知事会を通じて国にも要望しているところでございます。