2023年3月8日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・供述調書改ざん事件について
【斉藤委員】
それでは第一に、供述調書改ざん、公用公文書毀棄事件について質問いたします。
昨年の3月に、事件の被害関係者の供述調書を県警の警察官、巡査部長が改ざんし、上司の警部補がそれを容認したというものです。保管すべき変更前の調書を破棄した問題について、12月28日、岩手弁護士会は公開質問状の回答を明らかにしました。質問と回答について示してください。
【刑事部長】
まず、岩手弁護士会からの公開質問状についてでありますが、岩手弁護士会が作成したものであり、県警察としてはお答えする立場にございません。
また、これに対する県警察からの回答につきましては、先方との個別具体的なやりとりに関することでありますので、お答えを差し控えさせていただきます。
【斉藤委員】
公開質問状はここにあります。弁護士会がきちんと公開しています。「公開質問状」とはそういうものですよ。市民に公開して回答を求める、これが公開質問状ですよ。
6項目の質問項目があります。@「本件改ざん行為の具体的内容」、A「本件改ざん行為を行った巡査部長、改ざん行為を容認した警部補の氏名及び所属警察署・所属部署」、B「改ざんされた供述調書が刑事手続きにおいて利用されたか否か。利用されたのであれば、いかなる手続きにおいて利用されたか」、C「本件改ざん行為に関する被疑者・被告人及び弁護人への説明の有無。説明をしたのであれば、いつ説明したか」、D「今後予定している具体的な再発防止策の内容」、E「第三者委員会等外部の目による調査等の実施予定」―この6項目です。この6項目にどう回答したんですか。「公開質問状」ですから、示してください。
【刑事部長】
回答した文書の公開についてでありますが、県警察といたしましては、岩手弁護士会からの文書に対する回答でありまして、公開を前提として回答した文書ではございません。
【斉藤委員】
弁護士会は何と言っているか。「まともな回答はなかった」と。「中途半端な再発防止策がかかれていた」と。どういう再発防止策を出したのですか。
【参事官兼首席監察官】
今回の事案を受けて県警察がとった再発防止策でございますけれども、再発防止に向けた通達の発出、あるいは本部長名による危機意識共有のための緊急指示の発出、同種事案防止にかかる部内共有のための資料発出、加えまして、監察を通じた指導、失敗した際のリカバリーに関する教養資料の改正、およびこれらの指示、教養状況の確認等を通じて再発防止の対策をとっておるところでございます。
【斉藤委員】
弁護士会が2月28日に会長声明を出しました。「岩手県警察における供述調書の改ざんを踏まえ、取り調べの全面可視化を求める」会長声明であります。この事件について、「刑事手続きで用いられる証拠が、捜査機関によって破棄・改ざんされれば、それによって誤った事実が認定され、ひいては冤罪という重大な人権侵害を生む高い危機が生じることは言うまでもない。本件は、刑事司法の根幹を揺るがすきわめて重大な事態である」と。この指摘をどのように受け止めていますか。
【参事官兼首席監察官】
この事案につきましては、県警察といたしましても、きわめて重大に受け止めているところでございます。
こういった事案を発生させてしまったことについては、非常に残念に思っておりますし、それ故、再発防止のための多角的な対策・検討を行って再発防止に努めているところでございます。
【斉藤委員】
岩手弁護士会は、今度の事案を踏まえて、「捜査機関が行う取り調べを全面的に録音・録画することが必要だ」と指摘をしています。この全面的録音・録画すべきだという提案について、いま実態はどうなっているのか。今後どのように録音・録画を進めようとしているか示してください。
【刑事部長】
取り調べの録音・録画の実態についてでございますけれども、まず、録音・録画の対象となる事件についてですが、裁判員裁判対象事件などでございます。具体的には、殺人や強盗致傷事件などであります。このほかに、犯罪捜査機関において、罪名は限定せず、精神に障がいを有する被疑者にかかる取り調べ等の録音・録画が努力義務とされております。
本県では、平成21年4月の施行開始から、令和4年12月末までに、裁判員裁判対象事件等については169件、精神に障がいを有する被疑者の事件については344件の取り調べの録音・録画を実施しています。
なお、実施事件の詳細等につきましては、個別の事件捜査に関することですので、答弁は差し控えさせていただきます。
この内容に沿って適正に実施してまいります。
【斉藤委員】
会長声明には「報道によれば、岩手県警においては昨年5月、60歳代の巡査部長が事件の被害者の供述調書を誤って破棄するという事案が生じ、さらに同年8月には20歳代の巡査長が、事件関係者の作成した反省を趣旨を示す自筆の書類を紛失し、代わりに自らが作成した同様の書類を決裁書類として提出していた事案が発生している」と。
この供述調書改ざん事件後も、こうしたことが出ているという、再発防止が徹底されていないんじゃないかと思いますけれども、なぜこんな事件がその後出ているのですか。そしてそれにどう対応しているんですか。
【参事官兼首席監察官】
ただ今ご質問のありました昨年5月の事案につきましては、警察署の巡査部長が、被害者の供述調書に誤りがあり、新たな調書を適正な手続きを経て作成し直したため、元の供述調書を不要と考え廃棄したという事案でございます。また、昨年8月の事案につきましては、 警察署の巡査長が、立件しない軽微な事案ではありましたが、行為者に作成させた誓書―これは反省文のようなものになりますけれども、これを紛失したことから、同書類を自ら作成し、決裁に際して提出したという事案でございます。
これらは、文書取扱原則の誤認、あるいは、警察文書の重要性に関する意識が希薄であるなど、いずれもあってはならないものであったほか、特に8月の事案については、捜査自体への影響はなく、また、その内容自体も虚偽性は認められないものではあったものの、自らの失敗を繕うために行ったものであり、重く受け止めるべき事案であると認識しております。
加えて、委員から指摘がありましたこれらは、3月発生の事案を受け、一部前後はありますが、組織を挙げて再発防止のための指導・改善に取り組んでいる中で発生しているものであることから、これらを受け、私どもといたしましては、再発防止のための取組の一層の強化を図るべく、業務主管部門における指導・教養はもとより、本部長が自ら、県下警察署長会議や部内の幹部対象の会議等において、事案の重大性や再発防止の重要性について繰り返し訓示・指示を行っておりますほか、先ほどもご説明いたしました再発防止に向けた通達の発出5本を発出しております。あるいは、本部長名による緊急指示1件、部内教養のための資料発出は8件、そういったところを通じまして、再発防止を徹底してまいりたいと対応しているところでございます。
【斉藤委員】
本部長にお聞きをします。私は12月議会の一般質問でも取り上げました。本部長は「非常に重く受け止めている」と繰り返し答弁いたしました。「非常に重く受け止めている」重大な事案だったんだけれども、この処分は、捜査書類改ざんした巡査部長は所属長訓戒、それを容認した警部補は本部長訓戒です。懲戒処分にも当たらない軽い処分で済ませている。これだったら「非常に重く受け止めている」というのは言葉だけにしかならないんじゃないか。そんな甘い問題ではないんじゃないか。岩手弁護士会がこの問題を重大視して、公開質問状を出して、会長声明まで出して、再発防止を求めている事件ですよ。なぜこんな軽い処分になったんですか。
【警察本部長】
ただ今のご質問に対しましては、12月の議会におきましても答弁申し上げておりますけども、事案自体非常に重く受け止めておりますけれども、関係職員の処分については、事案の内容並びに全国及び県内のこれまでの先例を踏まえて厳正に対処しているところであります。そういうことでご理解いただきたいと思います。
【斉藤委員】
結果的に、懲戒処分にもならない、こういう訓戒程度で済ませていたら反省にならない。これだけ供述調書を改ざんしても訓戒で済むとなってしまう。これでは全然「重く受け止めている」ということにはならない。
もう1つ、12月の一般質問で取り上げました。公安委員会にいつどのように報告したか。公安委員長は、いつどのように報告を受けたか答えませんでした。しかし私が指摘したように、2回報告していると。ところが公安委員会の記録には何も書かれていないのです。なぜこれは公安委員会の記録にこれだけ重大な事案が記録されていないのか示してください。
【警務部長】
公安委員会の議事録についてでございますけれども、岩手県公安委員会運営規則第10条に基づきまして適正に作成されているものと認識しております。
【斉藤委員】
私が今回の質問のためにいただいたあなた方の「公用公文書毀棄事案時系列」にも、「8月24日公安委員会に報告」「6月8日公安委員会に報告」となっているんです。しかし、公安委員会の議事録に何も書いていないんですよ。これが適切に処理されたということなんですか。記録するほどの事件でもなかったということですか。このことについてきちんと答えてください。
【警務部長】
繰り返しになり恐縮ですけれども、公安委員会の議事録につきましては、岩手県公安委員会運営規則第10条に基づきまして、適正に作成しておりますのでご理解いただければと思います。
【斉藤委員】
「非常に重く受け止めている」事案ですよ。それをあなた方は報告したというけれども、記録にも一言も書かれていない。重く受け止めていない証拠じゃないですか。そして、市民の立場で県警察を監督する公安委員会で議論した記録がないのですよ。これは本当に重大だと思います。公安委員会の議事録は考え直さなければだめですよ。もっと市民が検証できるようにするべきです。
・横断歩道の設置、補修について
【斉藤委員】
向中野地区の横断歩道設置の要望が、これは数年来要望が出されて、そして現場の調査もやっていただきました。必要性も認めていただきましたが、実はここは、実質通学路なんです。危険だから通学路に指定していないんです。そういうところです。いつ事件が起こってもおかしくないと。地元の人たちから切実に要望がありましたので、直接東署に要望にも行きました。この設置の具体的な見通しを示していただきたい。
本町通1丁目の横断歩道、ほとんど消えて見えなくなって危険な状態だと。これは1丁目の2箇所です。安全のために横断歩道があるのに、その横断歩道が消えている。こうしたときに、ただちに補修すべきだと思いますが、これはどのように対応されるのか示してください。
【交通部長】
盛岡市向中野地区の横断歩道設置要望についてでありますが、昨年7月に御要望を受けて、管轄する盛岡東警察署におきまして、交通量や横断需要等の必要な調査を行っております。朝の時間帯、特に中学生の横断が多い、あとは車の通行も多いという実態でございます。
必要と判断された場合には、警察署の交通規制対策協議会への諮問、道路管理者との調整、 工事の発注といった手続きを経ることとなるために、現時点で設置時期についてお答えすることは困難であります。なお、要望がありました箇所に対する歩行者の安全対策につきましては、通学時間帯を中心としました警戒活動等を行ってまいります。
摩耗した横断歩道の補修についてでありますが、摩耗の進んだ箇所のうち、通学路や公共施設、医療施設付近にある緊急性や必要性の高い横断歩道から優先的に補修しているところであります。
令和5年度につきましても、委員ご指摘の箇所を含めまして、緊急性や必要性を個別に検討し、早期の補修に努めてまいります。
【斉藤委員】
分かりました。具体的な事例で、同種のものがたくさんあるんだと思います。しかし同時に、私が提起した問題は、やはり子どもたちの安全に関わる課題ですし、本町1丁目の問題は、病院・官公庁にも近接した部署ですから、そういう点でぜひ必要なものは早急に解決されるように強く求めて終わります。