2023年3月9日 予算特別委員会
復興防災部に対する質疑
(大要)


・いわて被災者支援センターについて

【斉藤委員】
 最初に、いわて被災者支援センターの取り組み、体制の強化についてお聞きをいたします。知事演述でも被災者支援センターの整備については触れていたと思いますけれども、今年度の実績はどうなっているでしょうか。

【被災者生活再建課長】
 いわて被災者支援センターの今年度の実績についてでありますが、令和4年度は、2月末までに163人から相談があり、昨年度から継続する相談者への対応と合わせて、述べ2344回対応しているところでございます。
 また、相談内容としましては、家族に関する相談が44人ともっとも多く、次いで住宅・不動産が19人、債務が13人、家庭が9人となっており、これらの相談が全体の約半数となっているところでございます。

【斉藤委員】
 例えば、相談対応回数は答弁あったように2344回、令和3年度は1288回だったんですよ。本当に倍近く増えていると。特に、専門家の派遣、弁護士による相談が115回、生活設計などの専門家の派遣が18回と。複雑で困難を抱える被災者の相談対応ですから、こうした専門家による相談支援が毎週県内4箇所でそれぞれ行われていると。そしてこれは、1回に限らないから、その後のフォローも含めて相談対応回数が2344回になっているんだと思います。
 それで、来年度わずかに委託費が増えました。増えた内容、額を示してください。

【被災者生活再建課長】
 被災者生活再建事業費ということになりますが、現予算額が4298万3千円となってございます。そのうち委託料につきましては、令和5年度は4112万3千円となっておりまして、令和4年度と比較しますと186万3千円増額されている状況となってございます。
 内容につきましては、関係市町村や社会福祉協議会と連携した相談支援を強化するということを考慮しまして、人件費の増額ということとしております。特に令和4年度は、相談支援員3名、事務員1名という経費で4名分計上しておりましたが、令和5年度は、相談支援員4名ということで、事務員が兼務という形で相談員を4名としたところでございます。

【斉藤委員】
 わずかに増やしていただいたと。これは評価しますけれども、人員は4名体制なんですよね。事務員の分を相談員にして、これは事務兼任ということになりますから、本当に最小限の増加ということにとどまっているのではないか。取り組みの実績からいって、あと2人3人ぐらい人員体制を増やさなくちゃならないのではないかと。
 そこで、個別支援計画を作成してフォローアップをしています。個別支援計画がどれだけ作成されて、その結果、支援が終了した、継続している、この実績はどうなっているでしょうか。訪問・同行支援の実績はどうなっているでしょうか。

【被災者生活再建課長】
 個別支援計画の作成と支援の状況についてでありますが、令和3年4月のセンター開設から、令和5年2月末までの間に、406人から相談がございました。そのうち、267人について個別支援計画を作成しまして、市町村等の関係機関のほか、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャル・プランナーとも連携しながら、一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援を行いまして、支援が完了した件数は173件となっているところでございます。
 また、訪問・同行支援の状況につきましては、相談者の自宅への訪問や、相談者とともに生活困窮の窓口への同行など、これまで35人に対し延べ52回対応したところでございます。

【斉藤委員】
 個別支援計画を作成して267人、完了が173人ですから、94人がまだ継続中ということになります。それと、困っている人ほど相談機関にかかりにくいというのが特徴です。ですから、訪問・アウトリーチが必要だということがNPOなどからも指摘をされている。
 私がいただいた資料では、同行支援は29回となっているんですが、まだまだやり切れていないんですよ。そして、相談対応回数は2344回と多いんだけれども、相談人数は、令和3年度は243人から163人に減少しているんですね。だからまだまだ相談対応しなくちゃならない方々、行き着いていない方々がかなりいるのではないか。そういう掘り起こしもできるような体制が必要だと思いますが、いかがですか。

【被災者生活再建課長】
 人員体制についてでありますが、委員ご指摘の通り、新規の相談者数が減少傾向にあるということと、令和4年度の相談件数が増加した背景には、令和3年度に相談をした方々のその後の状況の確認を一斉に年度当初に行ったということや、県外・県内避難者のアンケート調査を実施しまして、この意向確認、その後のフォローなどに対応した回数も含まれていることから、一部一時的に数が多くなった部分もございます。
 一方、支援を継続しなければならない方々の関係機関との連携ということが、回数がどうしても増えてくるので、そういった部分が増えてきた部分だと考えているところでございます。
 開設から2年間の状況を踏まえて、今回職員配置の見直しを行ったところでありますが、 今後相談の状況を注視しながら、体制等についてはできる範囲で受託した団体と調整を図りながら進めていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 昨年度・今年度、県内外の避難者の調査をやりました。今年度は、回答がなかった方々にやって、そして調査結果がまとめられております。この調査結果で、引き続き情報提供、支援が必要な方々がどれだけいるのか。そして、ゆくゆくは故郷に戻りたいという方々が何人把握されているか示してください。

【被災者生活再建課長】
 帰郷意向のある方の人数でありますが、調査をした結果、90 名の方から「帰郷したい」、「いずれは帰りたい」というような回答をいただいているところでございます。
 そのうち70名の方からはご連絡を頂戴しまして、災害公営住宅の募集案内や、県内の移住定住を支援するいわて暮らしサポートセンターの情報などを提供して、市町村とも連携しながら避難者それぞれのニーズに応じて帰郷に向けた支援に取り組んでいるところでございます。
 それから、調査の中でも、「帰郷はしないが何らかの支援が必要」という方に関しては、数は拾い上げておりませんでしたが、センターの方で個別に電話を差し上げて、そのお困りごとをお聞きしながら、必要な支援を今年度実施したということになってございます。

【斉藤委員】
 2年間にわたって、かなり丁寧に県内外の避難者の調査をして、90名の方々が「ゆくゆくは故郷に戻りたい」と。このフォローも引き続き重要になっていると。
 この被災者支援センターというのは、そういう意味ではやはり継続的に、中長期の見通しをもってやるべき課題なのではないかと思います。
 ところがこのアクションプランを見ますと、成果のところでは被災者支援センターという記述はあるんだけれども、今後4年間の活動では被災者支援センターという明記がないんですよ。これはいつまで続くのかということについて、センターの方が不安に思っております。少なくとも、このアクションプランの4年間は被災者支援センターは継続するし、状況によってはさらに中長期的な立場でやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

【被災者生活再建課長】
 中長期の取り組みについてでありますが、令和5年度においても、いわて被災者支援センターを設置し、弁護士やファイナンシャル・プランナーといった専門家や、市町村や市町村社会福祉協議会等と連携した相談対応などの支援を行うこととしております。こうした取組を今回第2期復興推進プランに位置付けたところでございます。
 今後も、被災者の安定した生活に向けて、地域住民が抱える複雑化・複合化した支援ニーズに対応する、そういった相談体制については、市町村や市町村社会福祉協議会などとの連携を強化しながら、被災者一人ひとりに寄り添って実施していくと考えているところでございます。

【斉藤委員】
 被災者支援センターの活動の中身については、アクションプランで書いているんですよ。ただ、その主体がどういうわけだか書かれていない。そこをしっかり位置づけてやっていただきたい。

・災害援護資金の状況について

【斉藤委員】
 災害援護資金の貸付と返済の状況はどうなっているか。返済できない方々への対応はどうなっているか示してください。

【被災者生活再建課長】
 災害援護資金の貸付と返済の状況についてでありますが、東日本大震災津波に係る災害援護資金の本県の市町村における貸付実績は、令和4年12月末までに、1,170件、30億 3,200万円余となっているところでございます。
 また、貸し付け実績のうち、借受人から市町村への返済額は15億3,763万円余で、貸し付け金額に占める割合は50.7%となっているところでございます。
 災害援護資金を返済できない状況への対応についてでありますが、令和4年9月末現在で、借受人の滞納件数は263件、滞納金額は2億3,400万円余となっているところでございます。
 県においては、借受人から市町村への約定償還が始まった平成29年度に、「東日本大震災に係る災害援護資金債権管理等マニュアル」を作成しまして、市町村に提供するとともに、同年から毎年、市町村担当者会議を開催しまして、円滑な償還に向けて市町村を支援しているところでございます。
 さらに、「いわて被災者支援センター」においても、経済面や生活設計の面などの相談に対し、ファイナンシャルプランナーや弁護士等の専門家が対応しておりますので、借受人などの円滑な償還に向けた支援を行っているところでございます。

【斉藤委員】
 263件が滞納になっていて、支払い期日到来件数が996件・26.4%、4件に1件以上は滞納になっていると。ここに被災者の大変深刻な生活実態があるのではないかと。
 阪神淡路大震災のときは、20年以上かかってこの災害援護資金の滞納を免除するということがやられました。生活福祉資金の特例は「非課税免除」ですから、この災害援護資金についても、そういう手立てもしっかり国と協議しながらやっていただきたい。

・自衛隊に対する青年の個人情報の提供について

【斉藤委員】
 自衛隊に対する個人情報の提供、県内市町村の状況はどうなっているでしょうか。
 全国的には、18歳・22歳等の青年の情報が提供されていますが、その情報提供の中身、根拠はどうなっているでしょうか。

【防災課総括課長】
 自衛隊に対する青年の個人情報の提供についてでありますが、まずその実態についてですが、令和3年度においては、県内全市町村が紙媒体等により情報提供を行っていると聞いてございます。
 提供している内容でございますけれども、「18歳に該当する方の氏名、生年月日、性別、住所」であると聞いてございます。
 情報提供に関する法的根拠については、自衛隊法施行令第120条の規定により、「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」とされてございまして、 この求めに応じて、提供するか否かにつきましては各市町村において判断しているものと認識しております。

【斉藤委員】
 自衛隊にだけ青年の名簿を提供するというのは、これは求人活動にとっても不平等だし、何よりも本人に知らせずに個人の情報を提供すると。これは許されないことだと思います。少なくとも、「あなたの情報を提供していいですか」という了解をとるべきだと思いますよ。
 本当にいまの自衛隊は、災害活動だけではないのですから。海外に展開するとか、これから敵基地攻撃能力にも関わるような自衛隊です。そういうことがあってはならないと。
 自衛隊法施行令、これは「求めることができる」なんです。市町村に義務づけていないんです。こういうものは、その他の会社も求人活動をやっているんだから、自衛隊だけ名簿を提供する。名簿の提供を受けた自衛隊が青年の戸別訪問をしていますよ。こんなことは本当に職業安定法上でも許されないことなんだと思うんですね。その点について、求められたから提供するという安易な提供の仕方を見直すべきだと思いますが、いかがですか。

【防災課総括課長】

 市町村において個人情報の提供についてでございますけれども、各市町村が保有する個人情報の取り扱いにつきましては、各市町村の個人情報保護条例に取り扱いが定められてございます。各市町村においては、その条例の規定を踏まえて判断しているものと考えてございます。

【斉藤委員】
 提供しているのは市町村ですからね。
 しかし、いま自衛隊をめぐる状況も大きく変わっております。「ふたたび子どもたちを戦場に送らない」という思いも強まっているところでありますから、自衛隊にだけ青年の情報を一方的に、本人の同意なくやるということはあってはならないと。このことを指摘して質問を終わります。