2023年3月9日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑
(大要)


・第2次地球温暖化対策実行計画改定(最終案)について

【斉藤委員】
 今回、2013年度で57%温室効果ガス排出量を削減するという積極的な目標で、高く評価をしたいと思います。これは、国の目標も大幅に上回るし、COP26グラスゴー合意で2050年1.5℃という目標をやるためには、2030年までに世界平均で45%、これは2010年比でやらなくちゃならない。排出量が多い先進国は、この目標を大幅に上回らないとだめなんです。そういう意味でいけば、この2030年までが勝負になっていますので、私は岩手県が高い目標を掲げて、これをやり切る具体的な取り組みを期待したいと思います。
 そこで具体的な問題についてお聞きしますが、家庭部門での排出量削減、これは構成比で17.6%で、全国平均の13.1%を超えている。岩手の場合は家庭部門の輩出が多いと。そこで57%削減というこれまた積極的な目標を掲げています。課題としては、高断熱性能の住宅リフォームへの助成、そして省エネの照明・電化製品の推進と。課題はいいんだけれども、これをどのように実行するのか。課題は提起されているけれども、具体的な実行計画がまだ不十分なのではないかと思いますがいかがでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 家庭部門での排出量削減についてですが、まず、住宅の省エネ化につきましては、エネルギー消費量の削減効果が高い一方で、ある程度大きな初期投資を要すると考えております。
 現在、県土整備部による省エネ改修への補助、県土整備部と農林水産部の連携による岩手型住宅への補助などを実施しておりますが、関係部局と連携して、県のホームページでまとめて住宅の省エネに関するページを作るなど、そういった分かりやすく情報提供をしていきたいと考えております。
 また、省エネ家電への買い替えは、電気代の節約や温暖化防止につながる取組であることから、県では、ウェブサイト 「いわてわんこ節電所」を活用して、買い替えによる温室効果ガスや消費電力量の削減効果、省エネ家電を選ぶポイントなどを周知しているところでございます。
 こういった取組は関係部局にまたがるところもあるので、県の推進本部でもしっかり議論をした上で、関係部局が一層連携して取り組んでいきたいと考えております。

【斉藤委員】
 それで、この実行計画の60ページで、岩手型住宅の推進の目標、現状値、2021年は建設戸数の23.6%、これが2025年30%に引き上げるという、この程度なんですね。そして、岩手型木造住宅の基準がはっきりしない。先ほど県土整備部で省エネ改修助成をやっていると。農林水産部は県産木材を使った住宅と。前にも言っているんだけれども、どういうレベルの岩手型住宅を推進するのか。ランク別があっていいと思うんです。長野県も鳥取県も国の基準を超えるヨーロッパ並の高い断熱性能の、三段階ぐらいの設定をして、そして補助率を高めていくと。このようにしなかったら、住宅の整備・改修で温室効果ガス削減は進みませんよ。せめて新築の半分ぐらいはそういうレベルにすると。国は2030年でZEH基準義務化なんです。2030年までにやることが大事なんですよ。2030年に義務化したって全然間に合わない。そういう意味で、鳥取や長野がすでにそういう高いレベルで独自の補助もやっていると。それを窓口一本化でやってほしい。実は国にもさまざま良い制度があるんです。例えば、先進的窓リノベ事業―窓枠ですね。これは来年度も100億円の予算がついているんですよ。だいたいこれは二重窓や断熱窓で補助率50%・最大200万円。窓を替えるだけでもかなりの断熱効果、国はこういう制度もあります。だから、国の制度をどう活用するか、県の制度をどう活用するか、そういうことを一つにして、本当に新築住宅の半分以上は新しい岩手型住宅を整備してもらう。そして省エネ改修、これは既存住宅の場合も、これも今モデル事業程度なんですよ。これをもっと積極的に進めていく必要があるのではないかと思いますが、来年度ぐらいでその一本化、住宅の高規格化を決めて取り組むべきではないですか。

【グリーン社会推進課長】
 住宅の省エネ化については、 県土整備部や農林水産部の所管事業ではございますが、 県庁全体の脱炭素に向けた取組は環境生活部が旗振り役となって動かなければならないと認識しております。
 来年度以降に向けて、できるだけ早い時期にという委員の意見だと思いますけれども、 関係部局としっかりと協議をして、一緒にどのような取組ができるのか検討してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 住宅の電気使用量、これはCO2排出量と関連すると思いますけれども、1年ベースで見ると暖房より多いのは照明、電化製品なんです。だから、この間特別委員会で長野県を視察してきましたけれども、長野県は条例をつくって、省エネ性能を電気店で説明をする義務づけをしています。物を買うときに、現場での説明で決定的なんですね。高いけれども5年10年で元が取れますよという説明があったら、高くても良い物を買うんです。そういう先進的な実例があるのだから、そういうことをやらないと、「いわてわんこ節電所」だけでは全然イニシアチブにならない。現場で省エネの照明・電化製品を説明し普及するとすることが必要なのではないか。
 運輸部門で、先ほどバス・タクシーEV化の補助が出ましたが、積極的で良いと思います。これは1億円を超える予算ですけれども、何台ぐらい想定しているのか。
 それでEV、電気自動車の普及に思い切って取り組むべきだと。実行計画では「次世代自動車」となっているんですね。次世代自動車には、ハイブリッドもクリーンディーゼルも全部入っているんですよ。いま世界はこれを対象にしていないんです。今どんなことが起きているかというと、中国のメーカーが電気自動車を日本で売るという時代です。本気でこの電気自動車の普及を図らなかったら、世界の自動車日本が崩れてくるぐらいの課題になったと思うんです。
 長野県は、2030年までに自動車保有率の10%をEVにすると。そのために、やはり充電スタンドを主なところに整備すると。どこに行っても充電できるという整備に取り組んでいるんですよ。だから、そういうところにお金をかけるべきだと。
 もう1つ言うと、水素は時期尚早です。今年度補正で出たけれども、全然使われなかった。使えないんですよ。スタンドもないし、燃料電池車を購入しても。こういう予算もEVの充電スタンド整備にやるような取り組みこそ運輸部門では必要なのではないかと思いますが、いかがですか。

【グリーン社会推進課長】
 運輸部門の脱炭素化についてですが、まず、1点目、予算に計上している台数は、EVバスについては4台分、EVタクシーについては24台を見込んでおります。また、EVタクシーについては、充放電設備についても24基分計上しております。
 次に自動車関係ですが、走行中に二酸化炭素を排出しないということでは、電気自動車や燃料電池自動車がございます。航続距離ですとか充電等に要する時間、インフラの整備状況がそれぞれ異なることから、その普及のためには、使用方法や地域特性に応じてユーザーの選択肢が増えることも必要と考えております。
 令和5年度当初予算案には、委員ご紹介のとおりEVタクシーやEVバス、充放電設備などの導入に対する補助を新たに計上したところでございます。
 県としては、走行距離が多いタクシーやバスをはじめとして、事業者向けに電気自動車等の普及促進を図ることで、運輸部門の脱炭素化を進めていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 もう1つ、岩手県のやる気を示すためには、県有施設で太陽光発電等を、本気で再エネ・省エネに取り組んでいるという姿を示すべきだと。200箇所の調査計画が40箇所になってしまいました。これは今年度中に調査結果が出ると。来年度は設計という話ですけれども、この見込みはどうですか。どういう形で、本当は来年度ぐらいに整備してほしいぐらいですが、見通しを簡潔に示してください。

【グリーン社会推進課長】
 県有施設への太陽光発電設備の整備についてですが、委員ご指摘のとおり、現在調査中でございまして、今年度中に調査結果が取りまとまってまいります。
 調査結果は、規模等が類似する他の県有施設に導入する場合の参考にするとともに、それぞれの施設において最適な導入手法や優先順位などを吟味した上で、来年度に具体的な導入計画を作成し、関係部局と連携して順次導入を図っていきたいと考えております。

・風力発電の開発計画について

【斉藤委員】
 風力発電の開発計画についてお聞きをしたいと思います。
 実行計画の14ページのところで、岩手県は北海道に次いで2番目に再生可能エネルギー推定利用可能量があると。ただこの中身を見ますと、陸上風力が209億kw/hなんですよ。全体が246kw/hで。
 いま大問題になっているのは、本当にイヌワシなどの稀少猛禽類の生息に影響を与えるような計画がすでに出ている。陸上風力はこれは単純じゃないと思います。発電計画が今どうなっているか。知事がそれに対してどういう意見を出しているか。
 もう1つは、実行計画に付随して、促進区域の設定に関する岩手県基準というのも示されています。遅きに失したという感じですが、これはどれだけの面積で促進、地域が設定されているか。今たくさん計画が出ている中で、これは有効性があるのか。どのぐらいの有効性があるのか示してください。

【環境保全課総括課長】
 県内の風力発電の計画についてでありますが、令和4年度に新規にアセス案件として届出のあった県内を事業区域とする風力発電事業は7件あり、そのうち3件でイヌワシに対する重大な影響が懸念されているところでございます。
 これらの事業は、環境アセスメントを審査する岩手県環境影響評価技術審査会から、事業区域の大部分が希少猛禽類の主要な行動圏になっている、希少猛禽類の営巣地に隣接していることが明らかで事業を実施した場合消失する可能性が高い、希少猛禽類の生息に十分に配慮して事業区域が設定されているとは言い難いなどの厳しい意見を頂いているところでございます。
 イヌワシは、いわて県民計画 ( 2019~2028) や岩手県環境基本計画で保全目標を設定している重要種であることから、県といたしましては、審査会の意見を踏まえまして、3件の事業者に対する知事意見において、事業区域の再検討などの計画の抜本的な見直しを求めているところでございます。
【グリーン社会推進課長】
 県の環境配慮基準の案についてですが、まず位置付けとしては、促進区域を設定するのは市町村になります。その市町村が設定するに当たっての基準・考え方を示したのが県の基準と思っていただければと思います。
 促進区域については、全国的に見ても2箇所しか設定事例がないと把握しておりまして、これから県内の市町村でも設定が進むように県としても支援してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 大船渡市の吉浜地区における太陽光発電計画、県の環境アセスの対象になったと思いますけれども、これはどうなっているか。今後の見通しを示して含めて示してください。

【環境保全課総括課長】
 大船渡市吉浜地区における太陽光発電計画への県の環境アセスメント等の対応についてでありますが、本事業は、岩手県環境影響評価条例第2条第3項に規定する第2種事業に該当することから、アセスの要否判定が必要となります。
 現在のところ、判定手続に必要な事業概要書について、事業者から提出がなく、手続が進んでいない状況でございます。

・県央ブロックのごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 プラスチック資源循環法に基づいて、プラスチックの分別・回収が義務づけられたというか、交付金の要件になったと思いますが、この県央ブロックでは、プラスチックの分別・回収・資源化はどのように検討されているのでしょうか。

【資源循環推進課総括課長】
 県央ブロックにおける検討状況についてでありますが、今年度、構成8市町が締結した「県央ブロックごみ処理広域化の推進に関する協定書」において、新ごみ焼却施設の稼働までに、プラスチックごみの分別回収及び再商品化を関係市町の全域で実施することとしております。詳細は今後の検討になると聞いています。

【斉藤委員】
 焼却場ができるまでに考えるといったら、これは計画なしで交付金の対象にならないのではないでしょうか。

【資源循環推進課総括課長】
 県央ブロックでは、循環型社会形成推進交付金の対象要件である循環型社会形成推進地域計画を国に提出しており、交付金の対象になる要件を満たすと聞いております。

【斉藤委員】
 中身がなくても対象になるんですか。

【資源循環推進課総括課長】
 ごみ減量化、分別回収等、全て記載した計画と認識しております。