2023年3月13日 予算特別委員会
医療局に対する質疑
(大要)


・県立病院への200億円の繰り出しについて

【斉藤委員】
 200億円の問題がこの予算特別委員会で議論されているので、一言述べておきたいと思います。
 知事演述で、県立病院に200億円繰り出すと。これは、県立病院を何としても守り抜くという知事の固い決意だと思うんですよね。同時に、いま医療局長が答弁したように、救急医療や不採算部門、県民の医療を守るという点でこれは当然の支出だということもまたその通りだと思います。知事演述で触れた重みというのは、達増知事の県立病院を守り抜く、県民医療を守り抜く決意の表れと私は高く評価をしているところであります。

・県立病院の新型コロナ対応について

【斉藤委員】
 新型コロナに対する県立病院の対応についてお聞きをいたします。
 先ほど保健福祉部で、県立病院・公立公的病院の果たした役割を聞きました。第8波で1854人の入院患者のうち、県立病院は1266人・68.3%を占めたと。本当に県立病院があってこの新型コロナにしっかり対応できたということで、私は高く評価をしたいと思います。
 県立病院として、何病院、感染症病床をいくつ確保して今回の第8波に対応したのか示してください。

【医事企画課総括課長】
 県立病院の感染症病床の確保についてですが、新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、フェーズに合わせて病床を確保しており、県立病院においては6病院に22床配置している感染症病床を含め、16病院で最大269床の病床を確保し、患者の入院に対応しているところでございます。

【斉藤委員】
 それで、第8波は本当に今までにない感染拡大でありました。高齢者施設でのクラスターとあわせて、医療機関でのクラスターが増えたというのも特徴でありましたが、県立病院におけるクラスターの発生状況、感染や濃厚接触などで休業となった職員の状況はどうだったか示してください。

【職員課総括課長】
 県立病院におけるクラスターの発生状況についてでありますが、県からの発表においても施設名は公表されていないことから、個別の病院名については答弁を差し控えさせていただきますが、いくつかの県立病院において、クラスターが発生しているところであり、特に第7波・第8波の期間中に多く発生しております。
 次に、感染や濃厚接触などによる休業者数の状況についてでありますが、県内で感染者数が大きく増加した昨年秋以降では、12月13日に1日あたりの休業者が、最大の293人となりましたが、以降減少し、3月7日現在では10名となっております。

【斉藤委員】
 クラスターの発生件数は明らかにできると思うんですね。中央病院の運営協議会を傍聴で参加しましたが、病院内でクラスターが発生しますと、一般病床で看るんですよね。これは感染症病床の患者にならない。だからそういう意味でいくと、本当にクラスターが発生したときというのは、二重の意味で新型コロナに対応しなくちゃならない。また、職員も感染しますから、今お話があったように、ピーク時は293人の休業者ということで大変苦労されたと思いますが、発生件数を示してください。
 それから、コロナ対策で医師・看護師の増員はどうなされたのか。来年度はどういう体制となるのか、あわせて示してください。

【職員課総括課長】
 クラスターの発生件数でございますが、県立病院では、R4年2月からR5年現在まで42件ということでございます。
 新型コロナウイルス感染症に対応するための医師、看護師等の増員についてでありますが、看護師については、令和3年度及び令和4年度において、病院間の応援体制を強化するため、県北及び盛岡圏域、県央圏域、県南圏域、沿岸圏域の4つの圏域に各8人、計32人を配置するとともに、地域病院の感染症対応強化のため、4つの地域病院に各1人、計4人を配置し、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに対応してきたところであります。
 来年度においては、令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に位置づけられることとなりますが、引き続き県立病院が求められる役割に適切に対応していくため、看護師36人の増員措置を継続し、各病院に配置することとしております。
 なお、医師等については、経営計画に基づき着実な増員を図ってきた中で、感染症患者の受け入れにも対応してきたところであり、来年度においても必要な体制整備を図って参ります。

【斉藤委員】
 いま5類への移行の問題もありました。5類への移行で、県立病院として具体的にどういう影響を受けるのか。特に病床確保ですね、病床確保量が5月8日から変わると思うんですね。病床確保はどうなるのか。確保量はどのぐらい減少するのか。診療報酬の特例措置も大幅縮小となっています。これもどのぐらいの減収となるのか。その他影響のあるものを示していただきたい。

【経営管理課総括課長】
 5類への移行に対する県立病院の対応でございますけれども、県立病院では、新型コロナウイルス感染症重点医療機関として、 16病院で269床のコロナ患者専用の病床を確保しており、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに対応してきているところでございます。
 また、診療・検査医療機関としては19 病院・3地域診療センターが県の指定を受けまして、発熱患者等の診療や検査に対応してきているところでございます。
 5月8日からの感染症法上の類型見直し以降においても、コロナウイルスの感染力が変わる訳ではないことから、病院の感染対策については同様に継続され、対応については大きく変更はございませんが、国から示されました方針や感染状況に合わせて適切に対応していくということにしております。
 今後、県が策定します「移行計画」において、受け入れの医療機関の拡大や入院調整などの県における医療提供体制が決められていくことから、保健福祉部等と調整しながら、県立病院に求められる医療提供体制の整備に努めていくということにしております。
 それから、5類移行による空床確保補助金の見通しについてでございますけれども、国が3月10日に示した5類移行への基本方針では、この病床確保補助事業につきましては、補助単価をほぼ半額にすることや、その補助期間は当面9月末までとすること等が示されたところでございます。
 そうした情報をもとに、空床確保補助金の額については、今後、移行計画の中で県立病院に求められる確保病床数がどのくらいになるのかということもあるので、なかなか算出が難しいところではありますが、大体40%ぐらいの減少ないしは50%ぐらいの減少になるのではないかと見込んでいるところでございます。
 また、診療報酬関係の特例措置については、現在ほかの診療報酬と混ざり合った状態のため、どのくらいの影響になるか試算は行っていないところでございます。

【斉藤委員】
 40%〜50%病床確保量が減少になると。先ほどの質問では、予算上では30億円の病床確保補助金を減額した予算になっていると。それとだいたい符合するという話ですね。本当にそういうことになったら、コロナに対応すればするほど経営が成り立たないと。大学病院の話を先ほどしたんですけれども、大学病院だと1病院あたり4400万円赤字になりますと。今までの補助金を確保しないと対応できないという、医学部長・病院長会議の提言です。そういう意味で、やはり公的補助を減らすだけではコロナに対応できないと。そのことを医療局としてもリアルに打ち出して、全国自治体病院協議会とかいろんな形で必要な病院の体制、病床の体制、発熱外来なんかも上乗せ補助廃止ですから、やればやるほど赤字になってしまうということになりかねない。県立病院は赤字になるからできないというわけにはいかないので、その点ぜひ自治体病院協議会などでしっかり実態と声をあげていっていただきたい。

・医師、看護師確保の状況について

【斉藤委員】
 経営計画から見て医師の確保はどうなっているのか。看護師の確保はどうなっているのか示してください。

【医師支援推進監】
 現在の経営計画(2019-2024)では、令和元年度から令和6年度までの6カ年で、臨床研修医を含め76名の増員を計画しているところでありますが、令和4年度は11名の増員計画に対しまして、令和5年1月1日時点の配置実績は28名となっているところでございます。
 医師数が増加している主な要因としては、県立病院で義務履行を行う奨学金養成医師の配置が、令和4年度は107名と令和3年度と比較して13名増加していること、養成医師の配置が始まった平成28年度以降年々配置数が増加していることなどによるものと考えております。
【職員課総括課長】
 経営計画に対する看護師確保の状況についてでありますが、令和元年度から令和6年度までに45人、そのうち令和4年度までに37人増員する計画に対し、令和4年度までの実績は、計画を7人上回る44人の増員となっております。

【斉藤委員】
 今の看護師の答弁は、先ほど話された36人を入れてということですか。別枠ですか。

【職員課総括課長】
 先ほどのコロナの増員については、経営計画の増員とは別でやっておりますので、ご理解ください。

【斉藤委員】
 分かりました。コロナの増員分も来年度は継続するということでありますので、若干の改善になるのではないかと。
 しかし、看護師の月8日夜勤の状態というのは、今年度第3四半期までで前年度よりもさらに増加したという状況ですが、実態と、なぜ増加したのか、改善策はどうなっているのか示してください。

【職員課総括課長】
 看護職員の月8回超の夜勤者の状況と解決の取組についてでありますが、今年度12月までの実績で15病院、延べ1,470人となっており、令和3年度の同じ時期と比較して延べ167人増加しております。
 増加の要因としては、特にも第8波による感染者数及び入院患者数の増加、新型コロナウイルス感染症の陽性者との接触または感染疑い等に伴う出勤停止者が発生したことや、職員の子が通う学校などの休校による休暇取得者が生じたことに伴う調整などが挙げられております。
 医療局においては、これまでも育児休業取得者等の代替職員の正規職員による配置、夜勤専従などの多様な勤務形態の導入、採血業務の臨床検査技師への移管などのタスク・シフティングの推進、病児保育の導入による院内保育の充実などにより、職員の負担軽減を図る取組を進め、離職防止や新採用職員の確保を図るとともに、業務の繁閑に応じ、県立病院間で相互応援を行うなど、看護職員の夜勤回数の抑制に向け、取り組んできたところであります。
 昨今の感染者の減少も踏まえ、引き続き夜勤回数の抑制・解消に向けた取組を推進して参ります。

【斉藤委員】
 月8日夜勤が新型コロナの中とはいえ増加したということはきわめて残念。それだけに看護師の大幅増員が必要だということを特に強調しておきたいと思います。
 看護協会が、新型コロナの下で看護師の退職が増えていると指摘をしております。令和3年度は、普通退職102名でした。今年度の見込みはどうなっているでしょうか。また、来年度の看護師の採用計画、採用見込み、あわせて示してください。

【職員課総括課長】
 看護師の普通退職の状況についてでありますが、令和4年度の普通退職者は88名となる見込みであり、前年度と比較して14名の減となっております。
 また、令和5年度の採用に係る合格者数でございますが、看護師は150名の合格となっており、いま現在採用の方を進めているところでございます。

【斉藤委員】
 150名採用の見込みということですね。計画ではなくて。

【職員課総括課長】
 先ほど合格者数150名と申し上げましたが、その中で実際に採用者数はこれからのことになります。

・看護師の処遇改善について

【斉藤委員】
 看護師の処遇改善の対象者と対象者とならない看護師数、改善の内容を示してください。

【職員課総括課長】
 看護師の処遇改善の対象者と内容についてでありますが、昨年10月以降の国の看護職員等処遇改善事業については、令和4年度診療報酬改定において、救急搬送件数が年間200件以上で、診療報酬の救急医療管理加算に係る届出を行っている病院、または、三次救急を担う救命救急センターを有する病院に勤務する看護師・准看護師及び助産師が対象とされ、医療局においては、財源が補助金から恒久的な診療報酬に移行したことを踏まえ、この施設基準を満たす15病院の看護師・准看護師及び助産師、約3,100人を対象に、月額12,000円の特殊勤務手当を支給しております。

【斉藤委員】
 いま15病院・3100人処遇改善、処遇改善にならない看護師はどのぐらいいるのかと。これへの対応はあるのか。このことを最後にお聞きします。

【職員課総括課長】
 処遇改善の対象とならない看護師数と改善した場合の経費についてでありますが、現行の15病院を対象とした処遇改善に係る年間の所要額は、5億9200万円余でございます。うち医療局の負担は6500万円余となるのに対し、処遇改善の対象とならない看護師約300人も対象とした場合は、さらに5700万円を要し、医療局の負担は、1億2300万円余となる見込みであります。