2023年3月14日 予算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑
(大要)


・新型コロナに続く物価高騰対策について

【斉藤委員】
 新型コロナに続く物価高騰で、県内中小企業の経営の状況をどのように把握しているか。岩手中小企業事業継続支援センターの話が何度か出ました。2月に第3回の会議も開かれています。そこで出された課題も含めて示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 県内中小企業の経営状況でございますが、岩手銀行盛岡事務所による直近の岩手県金融経済概況では、県内経済は一部に弱さが見られるものの、基調としては緩やかに持ち直しているとされているなど、改善傾向は見られるものの、消費者物価指数は引き続き前年を上回っているとされております。
 また、県が行っております12月末の事業者の影響調査結果におきましても、コロナ禍による売り上げ減少に加え、光熱費や原材料価格の高騰の影響を受けて利益が減少しているといった声が多く、中小企業者の方々を取り巻く環境は厳しい状況にあると受け止めております。
 先程来お話しをしております中小企業事業継続支援センター会議でも、各支援機関・金融機関からもいろいろな声を聞いております。俯瞰的に見ますと、やはりいまだに持ち直しているとはいえども、コロナ前と比べるとやはり売り上げの減少はまだ続いているということもございますので、まずは売り上げの確保が必要でございます。そして、各種のコストの増加というところ、電気料金、原材料価格、これに対する対応、利益がその分減っているということでございますので、その辺対応があります。一方、価格転嫁をしなければならないのですが、価格転嫁をするとお客様が離れるのではないかということで、なかなか価格転嫁ができないでいる、特にサービス業の方々も多くございます。そういった声も聞いています。
 そしてやはり人材の確保も課題でございます。一方で、賃上げをしなければならないのですけれども、その原資はどこから生まれるのかといったあたりで、賃上げの対応につきましてもお困りだというような、さまざまな課題が寄せられて把握をしているところでございます。

【斉藤委員】
 今日の新聞で、盛岡財務事務所が発表した1〜3月の法人企業景気予測調査によると、県内の景況判断指数は−21.6で、前回調査(2022年10〜12月期)から16.4ポイント悪化したと。悪化は2期連続、原材料や燃料価格の上昇、海外経済の減速が響いた。小売りは、物価高で消費者の購買意欲の低下を感じられたと。どちらかというと、本当に新型コロナ以上に、今の物価高騰が大変中小企業に打撃を与えていると。本当は国がもっと抜本的な対策を講じるべきだと思います。県は、今度の議会で中小企業経営継続支援事業というものをやりましたけれども、私はまだまだ不十分と思います。
 そこで、コロナ対策の融資実績と債務超過の実態、経営継続のための対策についてお聞きをしたい。

【経営支援課総括課長】
 コロナ対策での融資実績でございます。令和3年5月末まで実施しておりました新型コロナウイルス感染症対応資金=ゼロゼロ融資の状況でお答えいたしますと、累計で12110件の事業者に利用されておりまして、そのうち令和5年1月末までに全体の約6割の事業者の方から返済が開始をされています。ゼロゼロ融資の条件変更は、令和5年1月末時点で延べ416件となっておりますけれども、先ほど委員からもご指摘ありましたような各種の厳しい経営状況を踏まえますと、また、東京商工リサーチのアンケート調査結果でも、4割弱の県内事業者が過剰債務の状況にあるということで、今後多くの事業者が借入金の返済に支障をきたす可能性もあるのではないかと心配をしているところであります。
 今般、国の総合経済対策の一環で、ゼロゼロ融資を含めた既存の債務の返済開始をさらに繰り延べることを可能とし、加えて、新たな資金需要にも対応した貸付を可能とする信用保証制度を新たに創設されましたことから、県でも1月10日からこの伴走支援資金の改正を行いまして、借り換えの支援を行っているところであります。
 さらに、先に議決いただきました2月補正予算によります緊急支援金等により、事業者の事業継続をまずは支援をしつつ、支援センター会議構成の各団体と緊密に連携をしまして、事業者に伴走しながら、個々の事業者の実情に合いました経営計画の策定、あるいは販路開拓、補助金の獲得などを踏まえまして、多方面に伴走支援をしていくという体制を強化・拡充をしてまいります。

【斉藤委員】
 1月10日から開始をされた伴走型の支援資金、これは先の議論の中で、1月末は73件・15億1700万円余、そのうち43件が借り換えだったと。これは2月末は分かりますか。

【経営支援課総括課長】
 2月末の利用実績は、207件・47億600万円余となっております。このうち122件が借り換えの目的で活用ということになっております。パーセンテージで見ますと約59%でございますので、1月末の現状と同様となっております。

【斉藤委員】
 伴走型支援は、文字通り今の中小企業の厳しい状況に対応した支援策だと思うんですよ。これは本当に周知徹底して、活用できるようにしていただきたい。
 私も商工団体の方々からさまざま状況を聞いてまいりました。率直に指摘されたのは、価格転嫁ができないという、これは本当に厳しいと。実は、企業物価指数というのは9%下がっているんですね。消費者物価指数は4.1%です。だから本当に転嫁できていないと。転嫁できない理由もいろいろあるけれども、それに燃料費・水光熱費が上がっていますから、コストが上がるという状況で、本当に厳しい状況。商工会全体では、廃業が140件ぐらい出ているという話もありました。倒産ではなくて、もうギブアップしてしまうという状況もありますので、しっかりと、せっかくの岩手中小企業事業継続支援センター、効果が出ているようですから、しっかりフォローしてやっていただきたい。

・いわて旅応援プロジェクトについて

【斉藤委員】
 これまでの実績、宿泊者数はどこまで回復したか。4月以降の見通しを含めて示してください。

【プロモーション課長】
 いわて旅応援プロジェクトにつきましては、令和3年4月から継続的に実施しておりまして、令和5年2月までの精算した分で、延べ213万人、約129億円の利用があったところでございます。
 宿泊者数につきましては、観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、令和4年の日本人の県内宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年の9割弱、88.5%まで回復し、昨年9月と10月は令和元年を上回ったところでございまして、県内への宿泊者数はコロナ禍前の水準に戻りつつある状況と認識してございます。
 4月以降の見通しにつきましては、観光需要は回復傾向にあるものの、コロナに引き続き物価高騰の影響もございまして、引き続き観光関連事業者への支援が必要であることから、予算の執行状況を勘案しまして、今般3月末までとしていた、いわて旅応援プロジェクト第4弾の実施期間を、繁忙期であるゴールデンウィークを除きまして、6月まで延長したところでございます。

【斉藤委員】
 いわて旅応援プロジェクトが中断することなくこの間継続されてきたと。それが大変ホテル・旅館・観光に、厳しい中でなんとか持ちこたえる力になったのではないか。いま答弁ありましたけれども、この間の推移を見ると、令和元年の宿泊者数というのは、593万2700人泊でした。これはコロナ前。令和4年は524万8480人泊と88%。おそらく最近はもうほとんど戻っているということでありますけれども、新型コロナの中で本当にダメージを受けて、回復の過程にありますので。
 そこで、4月以降も6月まで継続という方向が国から示されました。今の第4弾の取り組みで、4月以降どのぐらいの原資を活用できるのか。これまでの実績から見ると、2ヶ月分なのか3ヶ月分なのか、分かりますか。

【プロモーション課長】
 4月から6月まで活用できる額につきましては、現在3月末までの利用状況が見通せないところでありまして、変動する可能性がありますけれども、すでに配分した額も含めまして約20億円程度と見込んでいるところでございます。
 いつまでもつかというところにつきましては、なかなか観光需要の動向もありまして、明確にはお答えできませんけれども、10月から12月に実施した第3弾につきましては、実績が約20億円程度、1月から3月までやっている第4弾ですけれども、見込みとして20億円弱を見込んでございますので、ある程度の一定期間までは事業を実施できるものと考えております。

【斉藤委員】
 ゴールデンウィークは除くということになっていますから、おそらく今までの実績、第3弾の実績を見ると3ヶ月弱なんですよ、20億円というのは。だいたい6月ぐらいまでは見通せるかなという感じはしますので、ぜひ頑張ってやっていただきたい。
 もうすでに今までの第4弾分が消化してしまったというところもあるようですから、その点の対策を一言だけお聞きします。

【プロモーション課長】
 事務局を通じまして、販売終了した施設につきましては、375施設中4施設が終了しているという報告が出ているところでございます。
 現在、4月延長に向けまして、各施設に対して原資配分の追加希望のアンケートをとっておりますので、先般可決いただきました補正予算2.5億円も活用しながら、引き続き支援してまいりたいと思います。

・高校・大学等の県内就職率の向上の取り組みについて

【斉藤委員】
 今年3月卒業の高校・大学・専門学校の県内就職の状況はどうなっているでしょうか。

【雇用推進課長】
 1月末現在の内定率で申し上げますと、内定が決定した方のうち、県内企業から内定を得た方の割合は、高校生が73.2%、大学生が41.7%、短期大学生が59.8%、専修学校生が51.5%となっておりまして、前年度と比べますと高校生以外で減少傾向となっているところでございます。

【斉藤委員】
 高校生は昨年度と同等ということですね。去年は74.1%までいきましたから、最終的にはもう少し上がるという。大学は昨年は45.5%、今回41.7%、専修学校は昨年は55.2%が51.5%と。ここの対策をしっかりやるべきではないかと。
 それと、今度のアクションプランでも、来年度から高校の県内就職率を84.5%になっているんですよね。年次計画で今まで4年間やってそこまで行かないんだから、もっと科学的に、一気に84.5%じゃなくて、4年後にそこまで到達するような対策をとるべきだと。願望の目標になったらだめだと思うんですよ。

【雇用推進課長】
 大学生等の就職率が昨年度と比べて減少している理由につきましては、岩手労働局の見解を聞いたところ、コロナ禍にともなう行動制限が緩和されたこと、企業側のオンライン選考が定着したことによりまして、県外に目を向ける機会が増えたと分析しているということでございました。
 こうした状況も踏まえまして、若者の地元就職をさらに高めるための取り組みを強化していく必要があると考えておりまして、インターンシップをはじめとしたさまざまな取り組みの強化を図っていくこととしております。
 また、県内就職を向上させていくためには、やはり息の長い取り組みとはなりますけれども、小学校段階から保護者を含めて県内の企業や産業状況を理解していただき、子どもたち自ら岩手で働き岩手で暮らす将来のライフデザインを描くためのキャリア教育を充実させていくことが重要と考えておりますので、今後ともキャリア教育の充実に向け取り組んでまいります。
 84.5%につきましては、現在のアクションプランでも目標としているものでございますし、東北1位を目指すというところでこの目標を掲げております。できるだけこの数値に近づけるよう、各振興局に配置しております就業支援員等の活動も含めて取り組んでまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 第1期のアクションプランのときにも、翌年から84.5%という目標を掲げたわけです。目標は立派だけれども、この目標設定は科学性がないと率直に指摘をしてきました。4年間やって、この間着実に上がっているけれども、いま答弁あったように、息の長い取り組みが必要だと言っているときに、もう少しそういうところを考えて、努力目標じゃなくて、やり切る目標を設定すべきだと。

・県内誘致企業の採用状況について

【斉藤委員】
 最後に、県内誘致企業の採用状況、この間の新規立地企業の雇用数はこの間どのようになっているか示してください。

【ものづくり自動車産業振興室長】
 平成29年度から令和3年度までの5年間で申し上げますと、新規誘致件数は87件、これにともなう雇用人数は、令和4年4月1日現在で約4500人となっております。
 出身地別の集計は行っておりませんので、県内出身者の採用状況については把握していないところでございますけれども、例えば、県南の大手半導体企業では、従業員の約9割が県内出身者と聞いております。このため、多くの誘致企業では同様以上、多くの岩手県出身者を採用しているものと考えてございます。