2023年3月15日 予算特別委員会
農林水産部
(第二部)に対する質疑(大要)


・水産業再生の取り組みについて

【斉藤委員】
 今年度の主要魚種の水揚げ量、水揚げ額、魚市場ごとの生産量、生産額はどうなっているか。震災前との比較を含めて示してください。

【漁業調整課長】
 令和4年の主要魚種の水揚げ量は、サケは445トンで震災前の2%、サンマは3485トンで震災前の7%、スルメイカは2010トンで震災前の11%となっております。
 また、県内魚市場の総水揚げ量は79000トンで、こちらは震災前の45%。魚市場の水揚げ額は137億円で、震災前の58%となっております。

【斉藤委員】
 サケ・サンマ・スルメイカは、震災前のほぼ一桁台と。スルメイカは11%台ですけれども。サンマは生産額で見ると55%で、価格はかなり上がっているということだと思います。大変な大不漁に直面をしていると。
 そこで、県内漁協の経営状況はどうでしょうか。

【指導検査課長】
 県内漁協の決算状況でございますが、令和3年度決算につきましては、秋サケ等の主要魚種の不漁により、定置漁業等や販売事業で収益を確保できず、24漁協中16漁協が当期損失を計上したところでございます。
 令和4年度の決算でございますが、主要魚種の不漁により、依然として定置漁業の収益が低い水準にあるものの、サバやイワシ、ウニやアワビ等の水揚げ金額が増加したことにより、多くの漁協の収益改善が見込まれるところでございます。

【斉藤委員】
 岩手水産業リボーン宣言の実績について議論がありました。3つの柱で取り組まれているんですけれども、主要魚種の資源回復、これは種卵は1億粒計画よりも超えて確保できたと。アワビ資源については、新聞報道でもありましたが、7年ぶりに前年度を上回って111トン、しかし震災前比では30%にとどまっているという状況であります。
 増加している資源の有効利用という点ではですね、ウニの畜養・出荷を県内10地区で実施をしているということで、これは通年出荷といいますか、そういうことも可能になったということで評価をしたいんですが、その他に増加している資源あると思うんですけれども、これはどういう有効利用になっているのかということを示してください。

【水産担当技監心得】
 増加している資源といたしましては、イワシ、サワラ、シイラ等がございます。イワシにつきましては、水産技術センターの加工部の方で新たな加工材料としての活用ができないかということで、落とし身という形態の加工を提案し、加工業者の方々にも示すような取り組みをしております。
 来年度の事業の中では、増加している資源を活用して、新たな流通形態の販売の取り組みの調査等をすることといたしまして、計画をしてございます。

【斉藤委員】
 なかなかまだまだ捕れる魚を活用するというのはこれからの課題だと感じました。
 3つ目の柱は、新たな漁業・養殖業の導入ですけれども、アサリの養殖試験が県内5箇所で実施をされているということであります。サケ・マス類の海面養殖用の岩手オリジナル種苗の開発にも取り組んでおりますけれども、これはどこまでいっているんでしょうか。

【水産担当技監心得】
 岩手県の由来でありますサクラマスをもとに、産地化・差別化ができないかということで、オリジナル品種ということで取り組んでいるわけでございますが、現在まだ取り組み中でございまして、結果については時間がかかる状況であります。

【斉藤委員】
 サケ・マス類の海面養殖は、今年度1209トン、来年度は1700トンと1.4倍の増産の計画ということで、リボーン宣言に基づく取り組みも、基本的には着実に成果をあげているのではないかと評価をしたいと思います。
 ただ、主要魚種の大不漁の中で、これは漁協も漁民も大変な危機に直面していると。そこで、先ほどもクロマグロの話がありました。このクロマグロの漁獲状況、漁獲枠、定置網に入っている状況はどうなっているでしょうか。

【漁業調整課長】
 令和4年度における本県クロマグロの漁獲量は、令和5年2月28日現在で、30キロ未満の小型魚が84.7トンでございます。これは、県に割り当てられている割当量の93%、大型魚は63.3トンの漁獲がありまして、こちらにつきましては割当量の95%を消化しているところでございます。
 定置網には、クロマグロの漁獲割り当てを超過しないように、入網したクロマグロの放流を行っておりますが、令和4年度は、小型魚と大型魚あわせまして約13万5千尾、推定重量として約739トンのクロマグロを放流しているところでございます。

【斉藤委員】
 いま答弁あったように、これは漁獲の割り当てがあって、小型魚・大型魚あわせて148トンなんですね。しかし、定置にはたくさん入って、それを水揚げできない。放流した数が739トン。漁獲量の5倍、網に入っても放流しなくてはならない。クロマグロは高級魚ですから、高級魚が入ってくるのに水揚げできないというのは大変なことなんだと思います。
 おそらく岩手だけではなくて、全国でもこうした状況が生まれていると思いますけれども、この漁獲枠を拡大する手立てはないのか。県としてはどういう取り組みをしているのか示してください。

【漁業調整課長】
 まず、県では国に対しまして、クロマグロの資源量の増加にあわせまして、漁獲割り当て量を速やかに増加させていただくように要望しているところでありまして、こちらにつきましては今後も国に対して積極的に働きかけていくところでございます。
 本県に割り当てられました漁獲量の枠を増やす方法ということでございますが、こちらにつきましては、大臣管理漁業ですとか、他の都道府県から漁獲可能量を融通してもらうという手法がございます。こちらについては、本県では令和4管理年度におきましては、4回ほど大臣管理漁業ですとか、他の都道府県からの漁獲可能量の譲り受けを希望したところでございますが、他の都道府県等でも漁獲量が増加しているために、この要望の結果、青森県から0.1トン譲り受けることができましたが、それ以外の融通につきましては成立しない状況でございます。

【斉藤委員】
 宮古市内の漁協に調査に行き、このクロマグロの話をお聞きしてまいりました。200sクラスのクロマグロが100本以上入っていると。しかしこれは出荷できません。
 確認したいんですが、大型魚については漁獲枠が県全体、小型漁は漁協ごとの割り当てがあると聞きましたが、その通りですか。

【漁業調整課長】
 その通りでして、大型魚につきましては県全体、小型魚につきましてはそれぞれの定置のこれまでの実績等に応じまして数量の配分をしているところでございます。

【斉藤委員】
 それで、大型魚については12月10日で枠を超えたと。だいたい90%に達するともうストップかかるんですね。12月10日というのは、正月にかけて一番大事な時期なんですよ。この12月というのは、100s200sのクロマグロは、キロ当たり6500円だと。通常2000円3000円です。このときにはもうストップがかかって出荷できないというのは本当に残念な思いです。
 さきほど、30s未満は割り当てが94.1トンで、大型魚は66.6トン、なぜ大型魚の方が割り当て量が少ないのか。本来なら資源を考えたら、大型魚を捕って、小型魚は減らすという方が、経済的にも漁民にとっても良いと思いますが、なぜですか。

【水産担当技監心得】
 クロマグロの配分につきましては、国の方から配分量が決められておりますので、国の考え方に基づいて配分されているものと認識してございます。

【斉藤委員】
 資源の回復からいっても、大型魚を捕って、小さいのは放流する方が合理的じゃないですか。そして漁民にとってみれば大型魚の方が価値があるわけだから、200sを超えるものが100本以上も定置に入っているんですよ。それが出荷できないんですよ。そういう実態をぜひ国にも呼びかけて、この間追悼式に、うちの穀田国会議員が来ました。外務委員なんですね。漁業協定に関する議題が今月あるというので、クロマグロの問題を取り上げてもらうことにしましたが、これは国際協定でもあるので、今の資源の回復状況、実態を示して、大不漁のもとで捕れる魚が水揚げできないと、このぐらい辛いことはないと思うので、しっかりやっていただきたい。

・気候危機打開に向けた林業分野の取り組みについて

【斉藤委員】
 気候危機打開、温室効果ガス削減における林業分野の実績、課題、目標はどうなっているでしょうか。

【森林整備課総括課長】
 令和元年度の本県の森林吸収量は141万6千トンとなっております。また、第2次実行計画改定最終案での2030年度の森林吸収量目標は、現計画を6%上回る141万6千トンとしたところです。
 森林吸収量の目標達成に向けましては、利用期を迎えた人工林の伐採跡地での再造林や、間伐など、適切な森林整備を促進していくことが重要と考えておりますので、引き続き林業団体と一緒になって取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 森林吸収量は141万6千トンというのは2019年度の実績なんですね。それを維持すると。この間長野県に調査に行ったときには、長野県は森林吸収量も拡大するという目標を持っておりました。そういうことが検討できないかどうか。
 それと、いわて木づかい住宅普及事業ですけれども、これも先ほど議論がありましたが、今年度は新築126件、リフォーム18件、あわせて144件で、目標を上回る取り組みになり、来年度は新築140件、リフォーム20件、計160件で8698万5千円の予算案ということになっております。
 これは住宅に対する助成ですから、環境生活部でも取り上げましたが、住宅に対する助成というのは、1つは国の助成があります。そして県土整備部の助成もあります。林水もありますと。これを一本化して、新築やリフォームのときに、どれだけの助成が活用できるか。窓口を一本化して取り組むべきだと思うんですよ。そして岩手型住宅という、新築にしてもリフォームにしても、どういう新しい、レベルの高い断熱性、太陽光発電なども整備した、そういう住宅の新たなレベルを設定して、そこに県産材も組み込んでやるべきだと思いますけれども、それは今まで議論されているんでしょうか。

【森林整備課総括課長】
 森林吸収量の目標についてでございますが、全国的に人工林の多くは森林吸収量のピークとなる20年生40年生を超過しており、高齢化がどんどん進んでおり、国全体では、平成25年度の数値から令和元年まで23%減少しております。そのような中で本県は現状を維持するという計画を立てているところでございます。
【林業振興課総括課長】
 住宅に対する支援でございますけれども、先ほど委員からお話がありました通り、複数の部局、あるいは国が関係しております。県民に分かりやすい情報を提供していくことが大事だと考えておりますので、こういった関係する部局と打ち合わせをするといったものは当然大事でございますけれども、私どもとしては、今の県産材を使った支援制度を次どのようにしていくかということで検討を始めているところでございまして、今後県土整備部あるいは環境の方とも意見交換しながら取り組んでいきたいと思っております。

【斉藤委員】
 窓口が2つも3つもあるようでは、本気になって取り組んでいるとならないと思います。長野県は一本化しているんですよ。そういう意味では、しっかり議論して、予算はどこでつけるかはあるけれども、窓口は一本化して、あらゆる要望にワンストップで応えられると。国の助成もかなりのものありますから、国の助成も使える、県独自の助成も使える、県産材も活用できるという、そういう形でぜひ、これは温室効果ガス削減にとって大きな力になるので。そういうところでしっかりやっていただきたい。