2023年3月16日 予算特別委員会
予算編成替えを求める動議に対する質疑(大要)


【斉藤委員】
 動議の内容はきわめて部分的な修正を求めるものですが、なぜ修正動議としなかったのか。予算案を撤回して編成替えを求める動議としたのはなぜでしょうか。

【岩崎友一委員】
 今回いろいろ私ども勉強させていただく部分もございましてですね、例えば国会ですと、共産党さんなんかはですね、修正動議のようなものを出されております。一方、国民民主党さんなんかはですね、まさに今回のように編成替えを求める動議ということで、また動議の出し方もさまざまあるかと思うんですが、今回私たちが考えたときに、県の今回の予算の足らざる部分をしっかりと追加でやっていただこうと、編成してやってもらおうという思いで、その趣旨と照らし会わせたときに、編成替えを求める動議の方が形としては整っているという判断で、こういった形で提案をしたものです。

【斉藤委員】
 日本共産党は、毎回予算案に対して組み替え動議を出しています。組み替え動議というのは、ムダを削り、必要な事業を増やすという提案なんです。ムダな軍事費とか公共事業とか。日本共産党は具体的な提案をして、何を増やすべきか、何を減らすべきか提案していますよ。
 結局、きわめて部分的な修正なんだけれども、修正案を準備できなかったから、当初予算案を撤回して編成替えを求めるという、とんでもない提案になったのではないですか。

【岩崎委員】
 そういったことは全くございません。

【斉藤委員】
 答えられないということです。わずかな部分的な修正なんだから、どのぐらいの財源がかかって、その財源はどう手当するかぐらいの提案をしなかったら、動議に当たらないと、率直に指摘をしておきたいと思います。
 具体的な中身についてお聞きをします。動議では、「第二子以降の保育料の無償化および在宅育児支援について、第一子までを対象の範囲に拡大すること」を求めています。第二子以降の保育料の無償化を所得制限なしで実施することは、全国的にもトップレベルの積極的な対策です。第一子まで拡大する理由は何でしょうか。県の提案は、市町村事業として実施するものです。ですから、市町村と調整したうえで提案をしています。もし第一子からだとすると、市町村も調整なしで実施するということになりますが、その必要な財源はどう考えて提案したんでしょうか。

【岩崎委員】
 第一子まで範囲を広げるということは、子育て世代の方々がより子どもを出産しやすい環境をつくるために、第一子まで対象を拡大すべきであるというものでございます。おっしゃる通り、市町村との共同作業というか連携が必要になりますが、今回の第一子以降の部分に限りましても、各市町村から、事前に情報もなく急にこういったことをやるというような話もあったと聞いております。ですから、これはおっしゃる通り、市町村としっかり連携をしなければなりませんけれども、しっかりそこは丁寧に連携を図ったうえでやることによって、より子どもを産みやすい環境をつくることができると考えてございます。

【斉藤委員】
 現段階で市町村の調整何もないわけです。第二子以降は、市町村もほとんど2月議会・3月議会で予算を提案していますよ。第一子を無理してやるとなると10億円かかるんですよ。これは全額県が負担するという発想で提案しているんですか。

【岩崎委員】
 今回はですね、編成替えを求める動議ということで、県にこういった部分をやってほしいということでございます。ですから、まったく県が全額負担ということもございませんですし、制度の趣旨に則れば、市町村との連携もしっかりやってほしいということでございます。

【斉藤委員】
 支離滅裂になりましたね。結局これは市町村に半分負担してもらっている制度なんです。市町村との調整なしに県が予算化したら、県がやるんですねということにしかならないじゃないですか。こういうのはイロハですよ、予算を編成するうえで。
 次に、「国の制度も活用して、中小企業の賃上げのための助成制度の創設」を求めていますが、国の中小企業向け最賃引き上げ支援策―業務改善助成金は、補正予算で100億円、当初予算で10億円計上されています。今年度も実施されましたが、3割程度しか消化されませんですた。なぜかというと、「生産性向上のための設備投資を行い」ということが要件となっているんです。さらに、「賃上げをした後に、設備投資の一部が助成される」ものです。中小企業の6割以上が赤字です。赤字の企業が借金して設備投資して、賃上げしてからその一部だけ補助される―こういう国の制度は使えないのですよ。賃金を上げるというんだったら、中小企業に思い切った国の支援なしにできません。日本共産党は、大企業がこの10年間で増やした内部留保150兆円に、年2%を5年間課税するだけで10兆円の財源を確保できると。この10兆円を全部中小企業支援に回して、中小企業が賃上げできるようにも提案しています。こういう提案こそ必要ではないですか。いかがですか。

【岩崎委員】
 おそらく今回のですね、動議の内容とも趣旨がずれているかと思います。あくまで私どもは、今回の提案された予算の中で、中小企業支援、賃上げ部分が不足をしているということから、こういった内容を概要に組み込んだものであります。

【斉藤委員】
 あなた方の提案で「国の制度も活用して」と言っているから聞いたのです。国の制度はいま私は紹介している中身です。設備投資をして賃上げしてから、設備投資の一部が補助される制度です。6割以上が赤字の中小企業が賃上げできるような制度ではないじゃないですか。中身が分からないで提案したんじゃないですか。
 働き方改革については、県の当初予算に、魅力ある職場づくり推進事業費、これは新規事業で盛り込まれています。知っていますか。

【岩崎委員】
 1120万円の事業です。

【斉藤委員】
 そういう働き方改革の新規事業も提案しているんですよ。
 それと、日本商工会議所の最低賃金引上げ影響調査では、賃上げに必要な支援策は「税負担の軽減」が第1位で56.3%です。だから私が言ったように、大企業の内部留保を活用して、還元して中小企業を支援すると。そして社会保険料の負担を軽減すると。このような具体的施策が、赤字の中小企業でも賃上げできる条件をつくるのです。
農林水産業の物価高騰対策支援も提案されています。本来、国が全面的に物価高騰分を補てんすべきです。私は農林水産委員会でも指摘しました。欧米ではどこでもやっているんですよ。物価高騰分、余った牛乳を全部買い上げて、生産費を補償しているのが欧州・米国のやり方なんです。それをやっていないのは日本政府だけではないですか。本来、物価高騰対策というのは、補正予算で行うべき課題なんです。ところが自民党の経済対策がまったくない。岩手県は、地方創生臨時交付金全部使っているんですよ。本来、物価高騰対策というのは、補正予算で対応すべき課題ではないですか。国に対して「地方創生臨時交付金を早く地方に回せ」と、こう主張するのがあなた方の責任じゃないですか。

【岩崎委員】
 私どもとしましては、昨年来、自民党本部、政府に対しまして、震災復興もそうですし、コロナ・物価高対策についてですね、しっかりと国においても支援をするようにということは求めてきたものであります。また、地方創生臨時交付金の本県への増額に関しても何度も要望に参っているところでございます。
 その他の質問に関しましては、もうこれは国の話になりまして、今回の予算とは全く異なる話になりますので、答弁は控えさせていただきます。

【斉藤委員】
 岩手県は、ささやかな臨時交付金を全部使って予算措置しているのです。足りないのですよ。国の経済対策があまりにも貧困だから、部分的だから、必要な対策が地方でとれない。そのことを率直に指摘をしておきます。
専修学校への私立学校と同程度の支援の強化も提案されています。当初予算では、これまでの補助額を倍増しています。これ自身評価すべきではないでしょうか。私立学校並みの支援ということになれば、本来、国の私学助成の対象にすべきではないでしょうか。

【岩崎委員】
 重ねてになりますけれども、今回の動議は、県の令和5年度予算に関して、私どもの方から編成組み替えを求めているものでございまして、国がどうのこうのというのはまた話の筋が違うかと思いますので、答弁は控えさせていただきます。

【斉藤委員】
 全く答えられない答弁ですね。提案では「専修学校への私立学校と同程度の支援」と言っているんですよ。私立学校には私学助成が入るのです。だとしたら、専修学校も私学助成の対象にするというのが本来の道筋ですよ。そして今回の当初予算では、この専修学校に対して、一人当たりの単価を倍加したんですよ。このレベルは、東北では山形と同程度で、東北トップクラスです。そういう倍増の予算を提案したのが今度の当初予算です。これは評価すべきことであって、本来国がやるべき肩代わりを県がすることではないと思うけれども、答えられますか。

【岩崎委員】
 専修学校の支援に関しましては、予算も当然何人かの委員が取り上げられましたけれども、非常に重要なものであると思っております。基本的な考え方でございますけれども、国がやるべきところは国、ただ、国がやらないから県がやらないというのはまた別の話だと思っておりまして、この事業に関わらず、国がやらなくても必要であるという事業は、各都道府県でさまざまな分野において予算措置されているのが現状であります。そういった観点から、今回は県に対して、私立高校と同程度の基準に運営費補助をすべきということで提案をさせていただいたものであります。

【斉藤委員】
 この専修学校への補助というのは、今度の当初予算で倍増したものなんですよ。何もしていないんじゃない、倍増したんです。
 もう1つ、「被災企業への物価高騰対策としての財政支援制度の創設」という提案をしています。物価高騰対策というんだったら、恒常的制度ではなくて緊急の対策を考えるべきじゃないでしょうか。
「被災地経済の活性化、風化防止および震災の伝承を目的とした大規模かつ広域的な事業を行う」と提案していますが、具体的な中身はなんですか。

【岩崎委員】
 今の震災関係の2点ですね、「復興与党」というように斉藤議員おっしゃってこられましたので、ちょっと今の質問は悲しい部分もございますけれども、東日本大震災津波の被災地、本当に複数ローンを抱えている事業者というのは、ただでさえ普通ローンがあって、その後コロナがあり、物価高がありということで、県内の他の地域よりもきわめて厳しい状況下に置かれているわけでございます。この辺はご理解いただけると思うんですが、そういった事業者からですね、「会社が厳しい」「お金も返せない」という声がどんどん高まっているわけでございまして、そういった部分にしっかりと財政措置をすべきというのが1点目でございます。
 2点目に関しましては、2019年に三陸防災復興プロジェクトを行いましたけれども、さまざまな反省もありましたけれども、やはり良かった部分はしっかりと継続をしてやっていくことが必要であると思っています。沿岸被災地は、洋野町から陸前高田市まで広域に渡りますので、各圏域をターゲットにした場合に、やはり県が音頭をとるべきだと思っております。加えて、今年3月11日も追悼式をする市町村が減ってしまいました。そういった中で、追悼の場、地域経済の活性の場、風化の防止、伝承、こういった観点からしっかりと大きなプロジェクトを行っていくということが、そういったことにつながっていくという趣旨で提案をさせていただいたものであります。

【斉藤委員】
 被災企業への物価高騰対策として財政支援制度を創設しているから、物価高騰対策というなら恒常的制度ではなく緊急の対策を考えるべきだと聞いたんですよ。これは考え方の問題ですよ。
 被災地経済の活性化、風化防止、震災の伝承、残念ながら具体的な中身がありませんでした。
 全体として、きわめて部分的な修正でありながら、中身は抽象的、思いつきの修正、財源の裏付けもない。私は率直に言って、これは編成替えを求める動議には値しないと断ぜざるを得ない。
 以上で質問を終わります。