2023年3月23日 2月定例県議会最終本会議
自民党・岩崎友一議員の発言の撤回等を求める動議についての趣旨説明
日本共産党の斉藤信でございます。自民党の岩崎友一議員の発言の撤回等を求める動議についての趣旨説明を行います。
2月22日の本会議での代表質問において、自民党の岩崎友一議員は、「実は先日、共産党が党首公選の必要性を訴えた元党職員を除名処分にしたことが大きく報じられました」「この共産党の言動、判断は、知事が言うかけがえのない民主主義と合致するものなのでしょうか」「共産党は、異なる意見を持った職員を除名処分にしたんです。これは大問題と思いますよ」と発言しました。
この発言は、事実をゆがめた日本共産党に対する攻撃であり、誹謗中傷というべきものです。私が動議を提出したのは、事実をゆがめた発言の撤回と謝罪、議事録からの削除を求めるためであります。
日本共産党が、当時党員だった人物を除名処分にしたのは、党首公選制を主張したからでも、異なる意見を持ったからでもありません。党員は党綱領と党の規約を認めて入党します。党の規約では、「意見が違うことによって、組織的な排除を行ってはならない」(第3条5項)、「党内に派閥・分派はつくらない」(第3条4項)、「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為は行わない」(第4条第2項)、「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」(第5条第5項)と定めています。
除名処分とした理由は、この人物が、自分の主張を、党内で一度として主張したことはなく、突然、党外から本の出版と記者会見という形で党綱領と党規約に反する攻撃を行ったからであります。このことは赤旗新聞や日本共産党のホームページでも公表していることであります。
それぞれの政党には政党の組織原則を定めている党規約があります。これは、憲法21条で保障された「結社の自由」にかかわる基本的人権の問題です。「結社の自由」とは、最高裁の判示で「各人に対して、政党を結成し、または政党に加入し、もしくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。他方、右のような政党の性質、目的からすると、自由な意思によって政党を結成し、あるいはそれに加入した以上、党員が政党の存立及び組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然である」としています。
ところが岩崎友一議員は、自ら調べることもせず、一部マスメディアの報道をうのみにして、「共産党は、異なる意見を持った職員を除名処分にしたんです。これは大問題と思います」と断言しました。これは、事実に基づかない、事実をゆがめて日本共産党を攻撃するものであり、誹謗中傷というべきものです。憲法21条で保障されている結社の自由を無視、否定するものです。「職員を除名処分した」という事実はありません。明確な誤りです。
岩崎議員の質問、発言は、テレビ中継されている本会議での代表質問という場での発言でした。公共の電波を利用したという点でも重大であります。さらに、日本共産党に対する質問、発言は、代表質問でありながら質問項目の通告にもなかったものでした。事実をゆがめた公党である日本共産党に対する攻撃、誹謗中傷が許されるなら、民主的な討論、議論は成り立ちません。
地方自治法第132条は、「普通公共団体の議会の会議または委員会において、議員は無礼な言葉を使用し、または他人の私生活にわたる言論をしてはならない」としています。この「無礼な言葉」について、専門家の解説では、1つ、「他人の私生活にわたる発言」、2つ、「発言の根拠が不明確である発言や事実と異なる発言」3つに、「基本的人権を侵害する発言」とあります。岩崎議員の発言は「事実と異なる発言」であり、憲法21条の「結社の自由」という基本的人権を無視、否定する発言であります。
一部の大手マスメディアは、党規約に反したことによる除名問題の事実をゆがめ、一方的に「国民遠ざける異論封じ」などと「社説」等で報道しました。これは、日本共産党に対する攻撃にとどまらず、憲法21条が保障した「結社の自由」に対する乱暴な攻撃として、見過ごすことができないものです。日本共産党は、除名問題の事実経過とその理由を丁寧に公表しています。その事実を誠実にみることもせず、一方的に事実をゆがめて日本共産党を攻撃することは、事実に基づく公正な報道姿勢を自ら投げ捨てたものと言わなければなりません。「結社の自由」に対する攻撃というわが党の批判に全く反論できないでいるのが実態です。
憲法学者の小林節さんは、「(敵基地攻撃能力の保有と大軍拡という)事態にストップをかけるために、野党は結束しなければならない。ところが、今、岸田大軍拡の道を止めようと野党の中核で頑張っている日本共産党に、メディアなどのバッシングが強まっています。」「新聞は第4の権力といわれるような社会的権力です。日本共産党の『結社の自由』を侵害する行為をしていると言わなければなりません。」「多くのメディアは岸田政権の敵基地攻撃能力の保有や大軍拡路線に対してまともな批判をしていません。日本共産党を攻撃する前にもっとやることがあるのではないでしょうか」と指摘しています。
こうしたマスディアの事実をゆがめた報道を調べもせず、うのみにして公党である日本共産への攻撃を、テレビ中継されていた本会議の代表質問の場で行ったことは二重三重に許されないことです。
以上が、自民党、岩崎友一議員の発言の撤回と謝罪、議事録からの削除を求める理由であります。民主主義と民主的討論を大事にする皆さんの賛同をいただきますようお願いして動議の趣旨説明といたします。