2023年3月23日 2月定例県議会最終本会議
自民党・岩崎友一議員の発言の撤回等を求める動議に対する米内紘正議員の質疑(大要)
【米内紘正議員】
自由民主党の米内紘正でございます。
それでは、岩崎議員の発言の撤回等を求める動議に関しての、今の提案理由の説明に対して、質問をさせていただきます。質問が3回しかできませんので、最初に14項目の質問をさせていただきますので、メモを取りながらよろしくお願いいたします。
@元党職員の松竹氏が、共産党に対して、党首公選制を取り入れるように主張したことは事実でしょうか。
A松竹氏が除名されたことは事実でしょうか。
B松竹氏は、除名されたことについて納得しているのでしょうか。もし納得していないとしたら、どのように主張しているのでしょうか。
C他にも先日、元党員・鈴木元氏という方が、党改革を提案して、除名されたとの報道がありましたが、事実でしょうか。
D両者の除名理由として、分派活動や党に対しての外部からの攻撃が挙げられていますが、事実でしょうか。
E分派活動というのは、具体的にどのような行動のことを指し、誰が分派活動だと判断したのでしょうか。
F共産党の規約の解釈権は、誰にあるのでしょうか。
G共産党では、どの政党よりも長い23年間にわたって、党首が交代していないというのは事実でしょうか。またその間、複数人が立候補しての選挙戦が行われていないことは事実でしょうか。
H今回、結社の自由の侵害ということを挙げられていますが、一般的に結社の自由とは、団体が意思実現のために、諸活動を行うにあたって、公権力の干渉を受けないものであると解釈されていますが、今回、岩崎委員の発言について、どのような公権力の干渉を受けたのでしょうか。
I今回の動議は、事実に基づかないことに対しての発言という理由で、謝罪と撤回と議事録削除が求められておりますが、新聞報道はまったく事実に基づかないフェイクニュースということでしょうか。
J事実に基づかないのであれば、各社に対して記事の訂正と謝罪を申し入れていたのでしょうか。
K松竹氏のインタビュー記事を掲載した長崎新聞に、共産党長崎県委員会が抗議を行ったことに対し、共産党の小池書記局長が、抗議を撤回し謝罪したとの報道がありましたが、事実でしょうか。もし事実であるならば、なぜ謝罪したのでしょうか。
L今回岩崎議員は、除名理由には一切触れず、松竹氏が党首公選制を主張した事実、松竹氏が除名された事実、それに対して新聞報道があった事実に基づいて自身の意見を述べたのですが、それが誹謗中傷、攻撃にあたるのでしょうか。
M公党に対して見解を述べることが誹謗中傷であり、結社の自由の侵害にあたると考えているのでしょうか。
以上です。
【斉藤議員】
ただ今の質問にお答えをいたします。
松竹氏の主張は、党首公選制の実現と安保条約、これを容認しろと、自衛隊合憲化という主張であります。これは、党の綱領・規約にまったく反するものであります。こうした意見があるなら、党規約に基づいて、本来、党の内部で議論して、党内問題として解決すべきものでありました。しかし、先ほどの趣旨説明で私が述べたように、党内で規約に基づく主張や討論をまったくせずに、突然外部から、本の出版、記者会見という形で、党規約と党綱領に全面的な攻撃をかけた―これが党規約に反する除名の理由であります。
2番目の除名をしたのはその通りであります。日本共産党は除名をする場合、本人との話し合いを行います。党規約に基づいて、こういう形で規約に反していますよと、そのことについては全面的に認めています。
3番目ですけれども、松竹氏は納得したのかと。それは分かりません。除名した以上は、党外の関係ない人ですから、この方が納得しているか納得していないか、我々が判断するものでもございません。
鈴木元氏、これは松竹氏と一緒に本を出版して党を攻撃したという方でありまして、調査の上、松竹氏と同じように、党内で意見を言ったり議論したりすることなく、突然党外から攻撃したということで、除名処分を行っているのは事実であります。
5番目の分派活動というのは、実は松竹氏は、この鈴木元氏に対して、党攻撃の本を準備していることを知って、一緒に1月に出版すれば大きな効果があると、急かせて鈴木元氏の党攻撃の本を出版をさせた。これは党攻撃のために分派活動を行ったということでありまして、この事実を松竹氏も認めているところであります。
分派活動の6番目の問題は、その通りであります。
規約の解釈は、もちろんこれは日本共産党の規約ですから、そして規約を認めてすべての党員は入っているわけですから、これはこの解釈というのは、解釈に違いが出るような、そういう抽象的、曖昧なものではありません。中央委員会でも、都道府県委員会でも、地区委員会でも、支部でも、これは同じように解釈できるものであります。
党首が交代していないのはなぜか。実は、日本共産党は2年から3年に一度党大会を開催します。党大会は、2ヶ月半前から大会決議案を明らかにして、全国で全党討議を行って、そして地区委員会、県委員会、党大会、このレベルで大会決議案に対する意見を集約して、最終的には党大会で、4日間5日間の討論を踏まえて決定するものであります。ですから、この党大会で毎回中央委員会が選出をされて、その中央委員会が幹部会委員長、書記局長、その他の常任幹部会を選出すると。その結果、党大会で毎回選出をされるという形で、今の志位委員長は党委員長に就いているというのが実態であります。
結社の自由というのは、私が先ほど詳しく最高裁の判示を読み上げました。まったくその通りでございます。結社の自由というのは、憲法21条で保障をされた権利でありますけれども、これは、各人に対して政党を結成し、または政党に加入し、もしくはそれから脱退する自由を保障するとともに、政党に対しては高度の自主性と自立性を与えて、自主的に組織運営をなし得る自由を保障しなければならない。他方、右のような政党の性質、目的からすると、自由な意思によって政党を結成し、あるいはそれに加入した以上、党員は政党の存立および組織の秩序維持のために、自己の権利や自由に一定の制約を受けることがあることもまた当然であると。いわば党の綱領と規約を認めて入党した党員は、その党の規約に基づいて活動する義務があるわけであります。意見を言う権利もあります。そして、党を脱退して意見を述べる自由ももちろん保障されているわけです。これは、結社の自由という意味であります。
10番目の、事実に基づかない新聞報道はフェイクか―。その通りであります。実は、私が言ったように、異論があったから、党首公選制を主張したから除名処分にしたのではないのです。先ほど私が詳しく党の規約を紹介したように、党の規約は、「意見が違うことによって、組織的な排除を行ってはならない」「党内に派閥・分派はつくらない」「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為は行わない」「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」と定めています。この党規約に反したから、除名処分を行ったのであって、冒頭紹介したように、「意見の違うことによって、組織的な排除を行ってはならない」というのが党の規約なのであります。ところがそこを無視して、一部の大手新聞は、社説等でですよ、「異論封じの強権体質」とか、異論を述べたから除名をしたという事実とまったく違った報道をしている、悪意の報道だと。不見識だと。そしてそれは結社の自由に対する侵害だと。私は趣旨説明でも言いましたが、結社の自由に対する侵害ということについては、いまだ大手新聞はまったく反論できないでいるのが実態であります。
次に、各社に訂正を求めたか。こうした新聞大手に対して私たちは、言論には言論で反論する、こういう形で徹底して、この誤り、事実を主張しております。
長崎新聞のインタビュー記事については、私は承知しておりませんので、これは答えは差し控えます。
13番目の、松竹氏は、党首公選制を主張している、そういう新聞報道は事実かと。こういう質問だったでしょうか。党首公選制を主張しているのは事実です。これは党の規約に反するものであります。日本共産党は、先ほどお話ししたように、党大会で中央委員会を選出します。中央委員会で党の委員長や書記局長など、党の指導部を選出します。それはなぜかというと、分派をつくらない、集団的指導体制を確立するためであります。これは日本共産党の戦後の、ソ連・中国からの干渉を受けて、党が分裂したという、本当に痛苦の教訓から私たちが打ち立てたものであります。党首公選制というのは、結局、党首選挙で派閥をつくって、そういう派閥を容認する体制になります。もう一つは、党首公選制というのは、直接選ばれますから、党首に権力が集中します。党首が党の役員を全部決めてしまうんです。これが民主的な運営なのか。私たちは集団的指導体制。志位委員長が委員長ですけれども、委員長が独断で政治的な決断・判断をすることはございません。常任幹部会、幹部会、中央委員会、党の機関で重要な決定はすべて討議して、民主的に決定する、これが集団的指導体制であります。
14番目は記憶がありませんから、改めて質問してください。
今の質問については以上でございます。
【米内議員】
それでは最初から。
松竹氏および鈴木氏の除名に関しては、本人が納得しているかどうかは分からないということであります。両者ともですね、「今回の除名処分はこじつけだ」と。鈴木氏に関しては同日記者会見をし、「書いたことは全部事実だ。除名される筋合いはない」と反論しております。常日頃、中国・ロシアなどと「話し合いで解決しろ」と言うのに、党内では意見が合わないと即刻除名とし、攻撃と認定するのでしょうか。そして、あとは知らないというスタンスなのでしょうか。1点目でございます。
2点目、分派活動に関してであります。かつて共産党は、共謀罪の成立の際に、「捜査機関が人々の話し合い、内心に深く踏み込んで捜査し、介入し、処罰するものだ。警察のさじ加減一つで重大な人権侵害にさらされる」として反対しております。まさに今回の件こそ、2人が話した内容を「分派活動」と認定する。党幹部の指導部のさじ加減一つで除名という処分を与えられるという、まったく同じ論理だと思いますが、いかがでしょうか。
次に、結社の自由であります。新聞・マスコミが反論がないと言っておりますが、先ほどの公権力の干渉ということについても説明がありませんでした。岩崎議員は、共産党に対して、規約の改正も団体の解散も求めていません。権力を用いて圧力をかけたこともありません。まったくもって結社の自由を侵害していません。それでも結社の自由の侵害だと言うなら、岩崎議員が権力を用いて共産党の党運営に介入した事実をお知らせください。
事実に基づかない報道に対して、反論、議論を持ってと言っておりましたけれども、事実に基づかないのであれば、それは訂正を求めて、訂正記事を出させて、それでも折り合わない場合は訴訟を起こすべきであります。それらの各行動を行わないということは、事実であると分かっているからではないでしょうか。また、党の書記局長が長崎新聞に対して謝罪までしていることに対して、知らないというのは甚だ不可思議であります。ホームページにも載っておりました。なぜ謝罪をしたのか、もう一度見解を聞きます。
最後14番は、公党に対して見解を述べることが誹謗中傷であり、結社の自由の侵害にあたるかということでありますが、共産党はこれまで、自民党あるいは他党へのいろいろな見解を述べてこられました。我々の内部の事実とは異なるようなこともありました。これまでのそれらの見解も、攻撃・誹謗中傷を行ってきたという認識でしょうか。
【斉藤議員】
「除名される筋合いはない」と、除名された元党員が述べていると。このことは、私たちが除名した段階で党の関係者じゃないわけですから。その人たちが引き続き党攻撃を行っているのは事実です。許されないことです。
そしてこの党攻撃を行っている背景には、私は、権力側のかなり仕組まれた反共キャンペーンがあったんだと思います。文春から本が出版される、日本記者クラブで記者会見が設定される、週刊新聞で報道される。こういう形で仕組まれた反共キャンペーンに乗っかっている。根本に何があるか。党綱領路線に対する変節なんです。安保条約を容認しろとか、自衛隊は合憲だとか。安保条約というのは、日米軍事同盟の中心問題で、これが今の軍拡、敵基地攻撃能力の最大の根拠になっているのです。アメリカの核抑止力だけは否定して、米軍の抑止力は必要だということまで主張しています。まさに、綱領路線からの変節というのが、この除名された党員の本質でありました。
分派活動は、私が先ほど答えた通りです。党を攻撃する本を一緒に出版しようと呼びかけて、実際にそのようにやったと。党を攻撃することで協力者をつくったという事実は、本人たちが認めて、私たちは除名処分の理由の1つにしているものであります。
共謀罪は、まさに権力が、さまざまな情報に対して監視する、そして攻撃するというためにつくられた憲法違反の法律ですよ。これは自民党自身が反省しなくちゃならない。
結社の自由の侵害だと言うのは、日本共産党は党規約に基づいて党運営をしています。一番の事実誤認は、異論加えたから除名したのではないということです。党首公選制を主張したから除名したのではないということです。その事実を覆い隠して、いわばマスコミが、自分が言いたいようなシナリオで報道していることが間違いであって、結社の自由を理解しない、不見識きわまる報道だと。そのことは率直に指摘しておきたいと思います。
事実に基づかない発言とはどういうことか。それは、なぜ除名されたかというこの事実について、まったくマスコミの報道を鵜呑みにして、事実とは違う共産党への攻撃を行っている。事実に基づかない攻撃というのは誹謗中傷なんです。事実と違ったら、訂正し撤回する、謝罪する。当たり前のことではないでしょうか。そのことを指摘されても、居直る。これで民主的な討論が保障できますか。
長崎新聞の問題については、私は残念ながら、地方の問題ですので、その経過は知りませんので、そのことについてはお答えできません。
最後は何でしたか、もう1回質問してください。
【米内議員】
なかなかあまり聞いても答えが返ってこないんですけれども、まさにいま事実の議論をしている中で、先ほどの除名の流れに関して、「根本に反共キャンペーンがある」という、それは一体事実に基づくものかどうかの発言は分かりませんけれども、まさに事実に基づかない発言が議会で行われたのではないかと思っております。
今回、岩崎議員の発言に関しては、見解の相違はあるものの、事実に反して誹謗中傷を行った部分は一点もございません。
今回、共産党の元党職員が党首公選制を訴えた事実、その元党職員が除名された事実、それらに対しての報道があった事実、除名された元党職員が除名処分の撤回を求めている事実、党首が23年間にわたって替わっていないという事実を踏まえて、岩崎議員が見解を述べただけであります。赤旗新聞を鵜呑みにするわけにもいきません。それに対しての撤回と謝罪と議事録の削除、今まさに県議会において現在進行形で行われている事態こそが、異論封じであります。除名の経緯や党の規約など、共産党員でない我々にとって、まったく関係のないことであります。
斉藤議員は、これまで県議会の中で、幾度となく「自民党の悪政」と発言をしてこられましたが、自民党は悪政を行ったという事実は、党の規約や党の文書の中では記載されていません。それは斉藤議員の見解であり、我々との見解の相違であります。ただ、我々は撤回も謝罪も議事録の削除も求めません。
もし今回の一件が事実でないならば、まずはマスコミに対して記事の訂正と謝罪を求めるべきであるのに、それを行っていないということが、今回の動議が事実の一方的な押し付けであると、ご自身が認識されていることの証左であります。一方の言い分のみが事実として認定され、違う意見を言った人物が撤回と謝罪に追い込まれるとしたら、それは旧ソ連のスターリンの大粛清や、中国の毛沢東主導の文化大革命のような粛清とまったく同じであります。言論の府である議会において、議員が発言した意見に対して、謝罪と撤回と議事録削除がなされたとしたら、それは県議会に汚点を残すこととなり、重大な言論弾圧であります。
今回の動議は、長崎新聞に対して言論弾圧を行い、共産党本部が謝罪に追い込まれた事案と何ら変わりはなく、もし今回のことがマスコミ報道等によって広く県民の知ることとなれば、長崎新聞と同様に、共産党本部からの謝罪がある案件かもしれない。それぐらい重大な言論弾圧が県議会において行われたということであります。
斉藤議員におかれましては、これまでの25年以上にわたる議員生活において、どれほど他党に対して、斉藤議員の言葉で言えば「攻撃」を行ってきたかという、胸に手を当てて考えてほしいと思います。
テレビ中継で行われたことも、問題の一つとして挙げられていますが、議員たるもの、テレビ中継の有無によって発言の内容が左右されるほど落ちぶれておりません。むしろ、不特定多数の人に対して発信しているという点では、斉藤議員が朝の街頭活動で個人名を出して攻撃しているのと何ら変わりません。
公党たるもの、多少の批判は受け入れてこそ、議論が活発化するのではないでしょうか。
斉藤議員が今後自民党に対して、自民党の中の事実に反する批判を行ったとしても、我々は心の中で「ダブルスタンダードだなあ」と思うことはあっても、動議を出すことはありません。それほど不見識ではございません。
今後、このような言論弾圧が県議会で起こらないことを願って質問を終わります。