2023年3月23日 2月定例県議会最終本会議
2023年度一般会計予算に対する賛成討論全文
私は、日本共産党を代表して、議案第5号、2023年度岩手県一般会計予算に賛成の討論を行います。
2023年度岩手県一般会計予算案は、いわて県民計画第2期アクションプランに基づいて、人口減少対策を最優先で取り組むべきものと位置付けています。
賛成する第一の理由は、人口減少対策と子育て支援策で思い切った積極的な施策が盛り込まれたことであります。
@高校生(18歳)までの医療費助成の現物給付化が8月から実施されます。
A第2子以降の保育料の無償化と第2子以降の在宅育児へ月1万円の支援金の支給は、子育て支援の充実で注目されている兵庫県明石市が実施しているものですが、市町村と協力して全県で実施することは全国トップクラスの取り組みとなるものであります。
B今年度から実施している産後ケアの無償化に加え、不妊治療への助成でも交通費の助成が拡充されます。
C大学への進学をめざす高校生に、15万円を貸し付ける新たな奨学金制度も新設されます。この奨学金は、県内大学への進学または大学卒業後に県内に就職した場合は返還免除となるものであります。
D不登校生への対応に取り組む高等専修学校への補助金も倍増されました。
こうした積極的な少子化対策、子育て支援策は、子育て世代の切実な要望に応えるもので、人口減少対策にとっても大きな力となるものであります。
賛成する第二の理由は、異常な物価高の下で、地方創生臨時交付金をすべて活用し、来年度予算と一体で提起された補正予算(第8号)(第9号)によって対策が講じられていることであります。
岩手県は、今年度、5月臨時議会の補正予算(第2号)で、全国に先駆けて、「原油価格・物価高騰対策パッケージ」を取りまとめ、いわて子育て世代臨時特別支援金給付事業など33億円の生活者・事業者支援策を講じました。6月議会での補正予算(第3号)では、「いわて県民応援プレミアムポイント還元」や配合飼料価格安定緊急事業費補助など31億円余、9月議会では、補正予算(第4号)で、いわて子育て世代臨時特別支援金の第2弾となる追加給付を所得制限を撤廃して実施、学校給食物価高騰対策等支援費、肥料価格高騰緊急総合対策事業費など29.7億円を措置しました。12月議会では、生活困窮者原油価格・物価高騰等特別対策費補助、医療・社会福祉施設等物価高騰対策支援費、肥料価格対策費補助・配合飼料価格安定対策費補助等で74億円を措置。2月議会では、補正予算(第9号)で中小企業者等事業継続緊急支援金支給事業20.7億円、バス・タクシー貸し切りバス運輸事業者等への交付金、配合飼料価格安定緊急対策補助など34.8億円を措置したところであります。「原油価格・物価高騰対策費」の合計は158.2億円余となります。公共事業を含めた経済対策の合計は552億円余となるものであります。
賛成する第三の理由は、新型コロナ対策に医師不足の中、県立病院のネットワークを生かして取り組んできたことであります。
特に感染者が急増した第8波では、感染者数が12万4851人(3月9日現在)、死者数が416人となりました。入院患者1854人のうち県立病院は全体の68.3%に当たる1266人を受け入れました。公的公立病院を含めると94.5%を占めます。医師、看護師の皆さんには大きな負担がかかりましたが、全国一の県立病院が新型コロナ対策に果たした役割は極めて大きなものがありました。知事演述で達増知事が「県民の命と健康を守るために、引き続き、医療局に200億円余を繰り出します」と述べたことは、県立病院の役割を高く評価し守り抜く決意を示したものと評価するものであります。発熱外来を拡充し、無料のPCR検査を継続実施してきたことも評価できます。希望者へのワクチン接種も、オミクロン株対応の12歳以上のワクチン接種率は、全国平均を14%上回る取り組みとなっています。
賛成する第四の理由は、東日本大震災津波からの復興と新たに「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」への対策を県政の重要課題に位置付けて取り組もうとしていることであります。
被災者の心のケアの継続的取り組み、被災者支援センターによる被災者の生活支援の取り組みは、「だれ一人取り残さない」という理念を貫く取り組みであります。主要魚種の大不漁の下で、「いわて水産業リボーン宣言」に基づく取り組みは着実な成果を上げつつあります。「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震」対策では、市町村の避難計画と個別避難計画の作成を支援する新たな施策が盛り込まれました。
第五に、気候危機打開、地球温暖化防止対策では、「第2次地球温暖化対策実行計画」の改定で、温室効果ガスの排出量を2013年比で41%から57%に大幅に引き上げる計画を示しています。これは政府の46%目標を大きく上回る積極的なものであります。
そのために、脱炭素化推進事業費(9千万円)やEV等普及促進事業費(1億400万円)など新規事業が盛り込まれているところであります。
新型コロナ禍に続き異常な物価高騰で、県民や事業者の生活と営業は、危機的な状況にあります。ところが、岸田政権はこうした生活と営業の危機を打開するどころか、敵基地攻撃能力の保有と軍事費を2倍化する大軍拡に、5年間で43兆円も税金をつぎ込もうとしています。これは、これまで歴代自民党政権自身が堅持してきた「専守防衛」の原則を投げ捨て、憲法も、平和も、くらしも破壊するものであります。
実際に、政府の来年度予算は、軍事費が6.8兆円、防衛力強化資金を含めると10兆円を超える大軍拡予算となっています。さらに歴史上初めて、護衛艦や潜水艦の建造費等の4343億円に軍事費に建設国債が充当されることも大問題であります。一方で社会保障費の自然増分が1500億円削減されています。中小企業対策費も教育費も減額であります。異次元の少子化対策の中身も財源も示されていないことはやる気のなさを示すものではないでしょうか。
達増知事は、「専守防衛を旨とする従来の日本国憲法第9条の解釈を変更し、日本の先制攻撃の可能性を示すことは、日本と周辺国との緊張が高まる危険性がある」、政府に対して「憲法9条の趣旨を尊重し、近隣諸国との、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に求める」と明言したことは憲法と平和、くらしを守る立場の表明として高く評価するものであります。
最後に、反社会的集団統一教会と自民党など地方議員との癒着の問題の解明は重要な県政の課題でもあります。
3月18日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は「政治家の皆様へ統一教会との関係断絶を求める声明」を発表しました。声明では、各政党と議会に、第三者委員会等のしかるべき機関を立ち上げ、所属する議員の統一教会との関係について、具体的に調査し公表することを求めています。残念ながら岩手県議会においても自民党の6人の県議が統一教会と関わっていたことが明らかになりました。しかし、自ら具体的な事実を公表していません。今議会でも一言の反省も述べられませんでした。
統一協会との関わりを具体的に明らかにし、統一教会との関係断絶を表明することを、私は強く求めるものであります。
以上申し上げ、2023年度岩手県一般会計予算の賛成討論といたします。皆さんの賛同を強くお願いを申し上げます。