2023年7月5日 文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・全国学力テストの問題について
【斉藤委員】
最初に、学力テストの問題から聞きます。
「いわて大県構想」を掲げている方々の大事な政策に、「学力の全国平均以上をめざす」と。学力テストですよね。これは文科省の方針にも反するし、競争教育をますます激しくするものではないのかと大変危険を感じましたのでお聞きをいたしますが、全国学力テストの目的は何でしょうか。この実施要項にあたって、今度のテストにおける「学力」というのはどのように記述をされているのでしょうか。
【学校教育企画監】
全国学力・学習状況調査の目的についてでありますが、委員ご指摘の通りですね、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることなどが目的でございます。
学力につきましては、「この調査結果で測定できるのは、学力の特定の一部分である」と規定されているところでございます。
【斉藤委員】
令和5年度の全国学力・学習状況調査に関する実施要領の6ページに「調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要」だと。私は全国学力テストを全ての子どもを対象に悉皆調査すること自身に問題があると思います。教育の課題を把握するためには抽出調査で良いというのが専門家の指摘でありますから、結局、全校・全生徒を調べれば、学校の比較、生徒の比較、市町村・県別の比較にしかならない。これが競争を激しくする。
合わせて、今年の4月28日の文科省の通知では、「調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ、本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった点が一部から寄せられている。それは本調査の趣旨・目的を損なうものである」と、ここまで書いている。そういう実態があるからここまで書いているわけですね。県内で、過去問などの事前学習に取り組んでいる学校はどのぐらいあるか県教委は把握していますか。
【学校教育企画監】
ご指摘の本県における事前学習を行った学校について、数値としては把握していないところでございます。
【斉藤委員】
学力テストを実施しているわりには、きわめて無責任だと思いますね。そういうことがあってはならないと文科省が言っているわけだから。
昨年度の全国学力・学習状況調査について、岩教組が毎年調査したものをいただきました。「調査実施前に事前学習を行いましたか」―「行った」36.9%、「自校採点を行った」11.9%。自校採点までやっているんですね。完全にこれは行き過ぎではないのかと。回答した先生方の自由記述の中に、「点数だけで子どもを評価してしまう傾向が強まり、点数に振り回されるように感じる」「傾向分析と対策に追われているが、人手も時間のゆとりも足らず、授業改善に生かす余裕がない」「落ち着いて学級づくりをしていきたい時期に、時間をとられるのが切ない」と。これは4月の実施ですから、新しい学級ができて、学級づくりをしなくちゃならない、そういう一番大事な時期に全国学力テストを行うと。いま私が指摘したこうした実態について、どう受け止めていますか。
【学校教育企画監】
岩教組の調査の詳細については承知をしておりませんけれども、仮に調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させるなど、数値データの上昇のみを目的としているととらえかねないような取り扱いがあれば、本調査の趣旨・目的を損なうものであると考えております。
県教委といたしましては、先ほど委員おっしゃられたような調査の趣旨・目的というのは、学校現場に周知しておりますし、我々といたしましても訪問指導等を通じまして、改めて本調査の適切な向き合い方や適切な指導改善の方策等について、学校における理解を深めていけるよう努めてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
文科省が通知まで出して、そういうことは好ましくないと言っているわけだから、県教委もきちんと徹底すべきだと思いますよ。結局は、良い点数を取らないと評価されない。だから必死でやるわけですよ。もし岩手県として学力テストの平均点以上に上げようと思ったら、県が音頭をとって競争を激化させるということになるのではないか。そのような目標を持ってやったらそうなりませんか。
【学校教育企画監】
県教育委員会といたしましては、全国平均点以上にするという目的のために調査を実施するつもりはございませんので、そのようなことにはならないと考えております。
【斉藤委員】
あなた方は調査をしないで実態も把握していない。岩教組は毎年実態調査をやって、さっき私が言ったような深刻な事態になっているんですよ。36.9%が事前学習をやっている。自校採点をやっているのが11.9%ですよ。異常なことですよこれ自身は。
そこで、実はこの学力テストを中心にしたこのような異常な教育システムについて、国連子どもの権利委員会、これまで4回5回の政府に対する勧告、必ず指摘されているのが「競争的な教育制度が子どもの心と体の健康に否定的な影響―いじめ・不登校・自殺等を与えることへの懸念」が指摘された。2019年に4回5回合わせた勧告が行われました。そこでは「あまりに競争的なシステムを含む、ストレスフルな学校環境から、子どもを解放することを目的とする措置を強化すること」という勧告。毎回厳しい勧告が指摘されているということをご承知ですか。
【学校教育企画監】
勧告の内容についは存じ上げております。
【斉藤委員】
知っていると。どう受け止めていますか。
【学校教育企画監】
国連子どもの権利委員会の勧告の受け止めについては、社会性を身に付ける途上にある児童生徒が、集団で活動する場合には、しばしば対人的ストレスのほか、悩みや緊張などのストレスなどの発生の側面があることは承知しております。
県教委といたしましては、児童生徒一人ひとりの特性や学びの状況を読み取り、適した指導方法を考えることはもちろん、子どもたちが主体的に学ぶ姿勢を育み、対話や共同をしながら深く学ぶことができる教育活動を目指してまいりたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
国連子どもの権利委員会、いわばグローバルな角度から見て、日本の教育がどんなに異常なのかと。これが繰り返し勧告をされて、そして実際実施している学力テストでも、具体的な歪みが出ていると。こういうときに、全国平均以上を目指すような取り組みをしたら、ますますこれは学校も教育も子どもたちも苦しめることになるのではないか。最後に教育長にこの問題についてはお聞きしたい。
【教育長】
国の調査でございますので、これは児童生徒の学習上の課題を踏まえて身に付けるべき学力、具体的な問題の形で示すということで、学習上のつまづきや教員の学習指導上の課題などを明らかにして、授業改善を推進すると。それから、学習状況の改善、学習意欲の向上を含むたしかな学力の定着をめざすものということが趣旨ということでありますので、国の調査でございますので、我々はその趣旨に沿った形で、先ほどお話がありましたような適切ではない対応がなされないように、そういう現場を指導しながらということが先ほどありましたが、適切に対応していくべきものと考えてございます。
【斉藤委員】
きわめて不十分な答弁ですね。私は、国連子どもの権利委員会からも指摘されて、現実にそういう競争主義の教育が進んでいるときに、全国平均以上などという目標・方針を掲げたら、さらに教育・学校は歪むんじゃないかと聞いたんですよ。端的に答えてください。
【教育長】
文科省からは、この調査で測定できるのは学力の特定の一部であるということで、序列化や過度な競争が生じないようにすることが、教育上の効果・影響に十分配慮する必要があると出ておりますので、その通り実施していくべきものと考えてございます。
【斉藤委員】
教育長とは最初の論戦ですけれども、本当は時間があればもっと徹底的にやりたいところだけれども、次のテーマがあるので今日はやめますが、残念です。その程度の答弁では。
・県立不来方高校バレー部員の自死事件について
【斉藤委員】
不来方高校バレー部員の自死事件から丸5年が経過をいたしました。
3月13日に、県教委の処分がなされました。この点で、県教委の具体的にどういう調査・検証が行われたのか。戒告という軽い処分となった理由は何か。なぜ2人だけの処分なのか示してください。
【教職員課総括課長】
まず県教委の対応についての調査・検証というところでございます。県教委の関係職員の処分に向けた調査についてでございますけれども、第三者委員会の調査報告書におきまして、「県教育委員会が主体的に調査や指導を行わなかった点、あるいは前任校における顧問教諭の不適切な指導等にかかる情報を現任校との間で共有しなかった点について、組織的な対応が不足していた」と指摘されているところでございます。また、再発防止岩手モデル策定委員会の理由の解明チームでは、学校および県教育委員会の組織としての対応が不適切あるいは不十分だった点を明らかにするため、具体的な調査方法等について、外部委員の皆様にお諮りをしながら、当時在籍していた職員から聴取を行い、事実関係の確認を進めてきたところでございます。こうした第三者委員会の指摘を踏まえ、また、岩手モデル策定委員会における事実関係の確認作業と平行いたしまして、当時の県教育委員会の職員個々の行為がですね、処分等の対象となる非違行為にあたるかどうか、処分権者である県教育委員会として関係職員からの聴取を行い、具体的な対応状況等について個別に検討を行ってきたものでございます。
2人の職員を戒告処分とした理由についてでございますが、繰り返しになりますが、各年度における県教育委員会としての対応としての不適切あるいは不十分だった点を調査・確認を行ってきた結果ですね、このうち平成27年9月に提起された民事訴訟の過程におきまして、平成28年6月に、顧問教諭による一部生徒に対する平手打ちの事実が判明し、また平成29年11月の一審判決では、原告生徒に対する不適切な言動の事実が認定されたところでございます。このように、平成28年度および29年度における対応におきまして、顧問教諭による平手打ちの事実が判明した後や、一審判決後にかかる事実を、同教諭が勤務する学校の管理職に対して具体的に情報提供を行わず、また同教諭の体罰行為等を把握していながら、同教諭にかかる人事管理の徹底を求める指示を行わなかったことなどについて、担当事務の実施に適性を欠いたものと判断をいたしまして、先例などを踏まえまして、当時の県立学校職員の人事管理を所管する県立学校人事課の職にあった2名について、戒告が相当であると判断したものでございます。
処分対象者がなぜ2人なのかというところでございますが、いま申し上げた通り、28年29年に顧問教諭による平手打ちの事実が判明した後、一審判決後にかかる事実を共有しなかったというところについて特に比率が高いと判断したものでございまして、2名について処分対象としたものでございますし、当時の教職員課総括課長にあった2名についても、管理監督に適性を欠いたということで措置の対象としたものでございます。なお、28年29年以外の年度につきましては、個々の職員の対応として、懲戒処分対象とするまでの非違性は認められなかったものでございますし、平成26年以前の期間における県教委の関係職員につきましては、すでに全員退職しておりますことから、地方公務員法の懲戒処分には問えないという判断もあったものでございます。
【斉藤委員】
2月4日に、第8回再発防止岩手モデル策定委員会が開かれました。私も傍聴いたしました。大変重要で重大な委員会でした。というのは、被害者の方が「県教委が検証していた内容は全く事実と違う」と。具体的な事実をいくつも挙げて指摘をしたのです。それを受けて、参加している委員がこういう発言をしました。「事実関係と被害者ご家族様が把握している事実関係が大幅に違っていることが改めて分かった。もっときちんと整理しておかなければならないと思う。さまざまな情報を再びいただいて、この理由の解明を根っこの部分からやり直さなければならないと思っている。我々が見せられている『理由の解明』に書かれている事実というものが、いかにあったことを隠蔽するような、虚偽に満ちたものであるかということが非常によく理解できた」と。参加した委員の方々がこういう発言をしました。今までのあなた方の検証は何だったのか。この指摘を受けて、検証調査やり直していますか。
【教職員課総括課長】
第8回再発防止岩手モデル策定委員会に対する発言の受け止め、指摘を踏まえた調査のご質問でございますが、当時の事実関係の整理にあたりましては、これまでも事前に外部委員の皆様に具体的な調査方法等についてお諮りをしながら、当時在籍していた職員に聴取を行ってきたところでありまして、理由の解明チームとして誠実に取り組んできたところでございます。一方、委員からご指摘のありました通り、ご遺族様、被害生徒ご家族様、さらに外部委員の皆様から、事実関係の整理等につきましてさまざまなご指摘やご意見をいただいたところでございまして、これについては真摯に受け止めているところでございます。
そうしたところを受けまして、理由の解明チームといたしましては、当時の学校・県教育委員会の対応と事実関係に関しまして、ご遺族様、被害生徒ご家族様に対し、文書での照会、または直接お会いをいたしまして、当時の事実関係にかかるご認識をうかがいながら確認を進めているところでございます。
第9回策定委員会におきましては、ご遺族様、被害生徒ご家族様のご認識も含めて、改めて事実関係を整理の上、ご報告をする予定としているところでございます。今後におきましても、ご遺族様、被害生徒ご家族様のご認識や、これまで外部委員の皆様からいただいたご意見等を踏まえまして、事実関係や学校および県教育委員会の組織としての対応において、不適切・不十分だった点を整理をし、それとともに具体的な再発防止策の検討を進めてまいりたいと思っております。
【斉藤委員】
8回も策定委員会開いて、こういう指摘が出てくるということ自身がきわめて重大な事態ですよ。
この策定委員会で被害者の後輩が発言をしました。これは陳述書を出した後輩であります。部分的にちょっと紹介します。「仮に自分の子どもが同じような目に遭ったら多分許せないだろう」「正直もしも同じような指導が今後続いていたら、精神疾患になる者とか、あとは同じように命を絶ってしまう事案が絶対にあったのではないか」「私が入部した当時から確実に暴力はあった。私の職場で同じような行為を上司からされたとしたら、確実に懲戒免職になるだろう」―こういう発言ですよ。自ら顧問教師の暴言・体罰を体験した後輩です。そういう中身が陳述書に出たのです。しかしあなた方は、この陳述書について反論しなかった。この陳述書があなた方に渡ったのは2018年の6月です。不来方高校バレー部員の自死事件の1ヶ月前です。重大な暴言・暴力を克明に陳述した陳述書を受け取っていながら、それに対応しなかった。それで1ヶ月後に自死事件は起きたのです。あなた方は10月になって証人尋問は必要ないという対応をとった。対応した県教委の職員はどなたですか。職責を言ってください。なぜこの陳述書を無視したんですか。ここで指摘された暴力をなぜ無視したんですか。
【教職員課総括課長】
陳述書の受け止めでございます。当時の対応でございますが、県教育委員会には、いま委員からお話があったように、平成30年6月4日に報が県に到達しております。受領後すぐに、元顧問教諭に対する聞き取りを行いましたが、当該教諭は陳述書に記載された行為について「記憶が定かではない」と証言をしており、陳述書の内容が事実であるか判断できなかったものでございます。また、代理人弁護士と協議をし、陳述書を作成した元部員と原告の被害生徒は活動の期間が重なっておらず、当該陳述書は被害生徒への暴行の事実を裏付けるものではないと判断したものでございます。
一方、当時の対応の検証の過程で、改めて振り返りますと、県教育委員会では陳述書をあくまでも訴訟上の資料として取り扱っており、また陳述書の内容が事実か確定していないという認識のもと、訴訟上の対応のみを進め、陳述書の内容を踏まえた適切な人事管理を行うという意識が希薄だったと言わざるを得ず、結果として顧問を継続させることにつながり、その後の重大事案の発生を防げなかったと認識しているところでございます。
【斉藤委員】
あなた方が3月24日に、当時の県教委、28年度29年度の県立学校人事管理責任者を処分をした。その理由は、裁判の過程で同教諭の体罰・暴力が明らかになったにも関わらず、そのことを当該高校に通知しなかったという意味ですよ。これは第一審ですよ。第一審で顧問教諭は自らの虚偽の証言を翻したんです。それは、遅まきながら県教委が、裁判で証言した元部員の体罰の実態を明らかにしたからです。やっとあなた方はその証言を受けて自ら県教委が調査したこの元部員3人も体罰を明らかにした。こういう結果ですよね。もっと重大なことが仙台高裁で明らかになったのに、それを無視した。もっと重大な県教育委員会の対応だったんじゃないですか。
だいたい顧問教諭が「記憶が定かではない」というのは、否定できなかったということでしょう。あなた方は、本当にずっと一貫して、盛岡一高も県教委も深刻な暴力の事実・実態を無視してきた。その挙げ句に今度の事件が起きたのです。私は一番決定的な証言・証拠がこの陳述書だと思っています。このぐらい詳細な具体的な証言はありませんよ。それに真摯に対応しないで、1ヶ月後に事件が起こってしまった。これがなぜ処分の対象にならないんですか。
【教育長】
陳述書の対応につきましては大森課長からお話があった経過をたどって、訴訟上の対応は顧問弁護士と協議しながら進めたということでございます。ただ、そういったものが出された以上、何も対応しなくて良かったのかというのは思うところでありますが、当時、この陳述書が出て、訴訟対応していたというところもありますし、1ヶ月後に自死事案が起きたと。その間何もしていなかったわけではなくて、その顧問教諭を呼んでヒアリングをして対応してしていたというところはあり、ただ、その後訴訟が終わってもこの陳述書について何らかの対応をしたのかと言えばそういうことはないということで、改めて今回岩手モデルを策定する中で、21年までさかのぼって調査し、この30年の陳述書も確認の上、再度関係者にヒアリングを行った上ですが、なかなか陳述書の裏付けを確定するには至らなかったということで、処分理由にはできないという判断がなされたということでございます。
【斉藤委員】
あまりにもずさんだったと。不来方高校事件の前に盛岡一高事件があって、この陳述書は盛岡一高でどういう暴力・暴言があったかという陳述書なんですよ。本当に深刻な暴力・暴言が日常的に行われていた。しかし、顧問教諭は学校に対して一貫して「そういう体罰・暴力はない」と言ってきて、盛岡地裁に訴えられて、その過程でやっとその証言を翻して体罰はあったとなったんですよ。この顧問教諭の二重三重の虚偽の対応というのは本当に万死に値すると言ってもいいぐらいです。そのことをあなた方は知りながら、まともな県教委としての対応をしなかった。それが陳述書の対応に表れた。あなた方が反論しないから証拠採用されているんですよ、この陳述書は。あれだけの暴力・暴言があったら、本当に一審判決を踏まえて、あなた方はこういう暴力・暴言をやめさせる対応を即とるべきだったんじゃないですか。それを無視して、裁判対策にだけ対応してしまったということになりませんか。先ほど若干の不十分さを認めたけど、若干なんてものじゃないです。
【教職員課総括課長】
陳述書の訴訟手続き上の取り扱いについてご説明させていただきます。陳述書につきまして、先ほど平成30年6月1日付で控訴人側弁護士から仙台高等裁判所に提出があり受理され、6月4日に県に到達したところでございます。平成30年9月16日付で訴訟人側弁護士から仙台高裁に対し、陳述書を作成したバレー部員への証人尋問を行うことが申し出が行われたところでございます。
これに対しまして県側は、平成30年10月2日付で準備書面を仙台高裁に提出をいたしまして、陳述書を作成した元部員と控訴人とがバレーボール部で活動した期間が重なっていないと。したがって本件で問題となっている被控訴人に対する暴行の事実関係について知る者ではなく、証人尋問の必要性は認められない旨主張したところでございます。
平成30年10月10日の第5回弁論準備手続きの際、裁判官から裁判官3人による合議の結果、証人尋問は必要がないと判断したとの発言があり、証人尋問は行われないこととして決定されたところでございます。
その後、平成30年11月20日の第2回口頭弁論において、裁判長から控訴人側の承認申請について、陳述書を作成した元部員の方については陳述書の提出があり、合議の結果申請を却下する旨の決定が伝えられたというところでございます。
訴訟の手続きはこの通りでございますが、一方で、先ほど答弁申し上げましたけれども、当時の対応として訴訟対応にあまりにも重視をしたというところで、本来であれば陳述書の内容をもって、人適切な人事管理をすべきだったところ、そうした意識が希薄だったというところで、その後の重大事案の発生を防げなかったということで、反省をしているというところでございます。
【斉藤委員】
盛岡一高事件がこの事件の原点というか、ところが盛岡一高事件については責任が解明されていないんですよ。誰も処分されていない。みんな退職したということもあるでしょう。しかしこの責任は検証されなければならない。そして一番の問題は、盛岡一高でまったくまともな調査がされなかったことなんですよ。それを追認したのが県教委なんです。ここに私は第一の問題があると思っています。
第二の問題は、裁判の過程で、顧問教師が虚偽の答弁をしていたということが明らかになった。それを踏まえて、本当に厳格な対応をとるべきだった。体罰・暴言が明らかになったという程度ではないですよ。この虚偽の証言というのは。その時点で本当に県教委が顧問教師の言い分のままに、訴訟対応してやってきたと。仙台高裁行ってもその顧問教諭をかばうような裁判をやったと。深刻な暴力の実態に結果的には目を背けてきたと。そういう県教委の対応はわずかこの2人の一時的部分的な対応だけで処分が終わる問題ではない。この全体の経過の中で、その時々の県教委の対応はどうだったのか。その責任はどうだったのか。私は検証されるべきだと。このことを指摘して終わります。