2023年7月5日 文教委員会
令和6年度 県立学校の編制に対する質疑(大要)
・前沢高校の学級減について
【斉藤委員】
今回の県立学校の編制の問題については、最小限にとどめたということは、全体としては評価をしたいと思います。
それで、前沢高校が学級減ということで、小西さんの質問にもありましたけれども、支援の必要な生徒を受け入れるということで、私はやはり2学級規模でこそ、合理的・効率的にそういう通級指導を含めた、支援が必要な生徒に対する行き届いた教育が進むのではないかと思いますが、2学級から1学級になって、そういう取り組みはどのように変化するのかしないのか示してください。
【高校改革課長】
前沢高校への志願者数は年々減少してございまして、令和3年度から1学級規模となってございまして、令和4年度27人となって、管理運営規則に該当になり、今年度も伸びなかったというような状況にございます。
前沢高校は、委員ご指摘の通り、きめ細かな指導体制をつけております。そのようなきめ細かな配慮がある学校を希望する生徒が一定数、比較的多く入学している学校だということも認識してございます。
学級減となれば、当然それに見合った教員定数は減っていくことになりますが、学校においては今のきめ細かな指導体制を学級減となったとしても工夫をしながら続けていきたいと申しているところでございます。
【斉藤委員】
1学級規模の高校の場合には、1学級20人を割れば統合の対象になると。これは高校再編計画後期計画で明記をされていました。これは2学級から1学級というときに、これはどういう基本方針になっているのか。今の話ですと、前沢高校の場合には、3年間連続して、令和3年は39人ということだったんですけれども、39、27、33と、3年間1学級規模になったということなんですけれども、これは例えば3年間経過した場合には、そういう方向になるのか。この方針と、これまでのそういう1学級規模にしたときの経緯を示していただきたい。
【高校改革課長】
管理運営規則の適用についてでございますが、管理運営規則においては、入学志願者の数が、その不足する数が1学級の収容定員以上=40人以上であるときは学級数を減じることと定めておりまして、何年連続したからということではなく、単年度の入試状況によっても検討対象となるというものでございます。しかしながら、今の後期計画の期間中の運用でございますが、この管理運営規則による学級減については、後期計画の趣旨等を踏まえまして、入学者の状況や地域の取り組み、そして今後の中学校卒業予定者数の推移等も十分見極めながら、慎重に対応しているところでございまして、単年度での対応ということはしていないというところでございます。結果として2年連続になったところについては、学級減をしているというのは実態でございます。
【斉藤委員】
去年沼宮内高校の学級減が大問題になって、私は岩手町が特別な取り組みをやっているときに学級減が強行されたと。本当に残念だった。前沢の場合には3年連続したんですよね。だから沼宮内高校だって3年目きちんと見れば、今年の入学者は違った結果になったのではないかと思います。慎重に検討しているというのはいいんですけれども、例えば、2年連続して40人以上欠員が生じているのは、前沢、軽米、久慈東、一戸なんですよ。まだあるんですよ。だから前沢だけが今回学級減の対象になったと。これは慎重に検討していることですから、これは評価をします。しかしダブルスタンダードであっては、やはり地域の人は納得できません。去年の県立沼宮内高校の学級減は、そういう点では慎重さが欠けたと。率直にそれは指摘をしておかなければならない。本当に地域が本気になって取り組んでいるときに学級減がやられましたから、そのことは率直に指摘をしておきたいし、前沢が1学級減になっても、支援が必要な高校生に対して今まで通りにきちんと、先ほどは通級指導の加配が配置されるという話もありましたから、しっかりとそういうことができるようにやっていただきたいし、前沢の場合には、やはり地元から1割しか進学していないということが大変残念な結果だと。これは高校間格差が背景にあるんですよね。だから地元の高校の魅力が地域に伝わらないという、そういう根本的な問題があるのではないか。高校間格差が拡大すれば、地域の高校がなくなると。このことも大事な問題として県教委がしっかり受け止めるべき問題だと思います。
【高校改革課長】
前沢高校の件でお話があった件ですが、管理運営規則については、志願者数でカウントしてございます。前沢高校は、令和3年度は41人、入学者は39人でしたけれども41人の志願者がおりましたので、そこと今年で2年目の措置ということでお話させていただきたいと。
・大槌高校の普通科の改編について
【斉藤委員】
そこで、大槌高校の普通科、これが分かるようで分からないんですが、普通科の中で新時代に対応した改革の推進運動ということで、これは具体的に、普通科の枠内でどういう規模で新しい学科に取り組むことができるのか。今まですでにモデル的取り組みをやっていますから、今までの取り組みはどうなのか。そしてこれから普通科の地域探究科等という、地域社会に関する学科、これは例えば総合的な教育の時間がそのようになるのか、今までの科目がどう減って新しい科目が作られるのかも含めて示していただきたい。
【高校改革課長】
大槌高校の学科の改編でございます。普通科改革は、令和3年の「日本型学校教育の構築を目指して」という中教審の答申を受けて、高校生の学習意欲に関し、可能性および能力を最大限に伸長するため、特色化・魅力化に向けた取り組みの一つ、その中の一つとして、高校教育において普通教育を主とする学科の弾力化というものが示されたところでございます。この意義でございますが、普通科は、高校生の7割程度が通っているところでございますが、生徒の能力や適性、興味・関心等を踏まえた学びになっているのか、また「普通」という名称から一斉的または画一的な学びの印象を持たれているのではないかといった懸念がございまして、普通科においても生徒や地域の実情に応じた特色・魅力ある教育を実現するべきというものでございます。また、その実施にあたっては、従来の文系・理系の類型分けを普遍的なものに位置づけるのではなく、総合的な探究の時間を軸として生徒が社会の持続的発展に寄与するために必要な資質・能力を育成するための多様な学びに接することができるようにする、こういった目的で設置された、令和4年度から設置することができるようになったものでございます。
その要件でございますが、いくつかございまして、まず教科でございますが、特色等に応じた目標および内容を定めた学校設定評価に関する科目を設けて、当該科目についてすべての生徒に2単位以上履修させる。また、その学校設定評価に関する科目と総合的な探究時間とを合計6単位以上履修させるといった条件がございます。また、関係機関との連携・協力体制を構築するといったこと、関係機関との連絡調整を担う役割を持つような方を設置することが望まれるといったような条件がございます。
具体のイメージでございますが、資料の5ページに、大槌高校の取り組みということで、右側に図がございますけれども、これが大槌高校で展開している学校設定教科と呼ばれるものを模式したものでございまして、学校設定教科として「地域未来学」という教科を設定し、その中に「三陸未来探究」といった、これは総合的な探究の時間で実施しているものですが、この課題研究型の教科横断的な学びを行う三陸未来探究という科目を設定し、またその他にそれぞれの教科―国語・地歴公民・英語・数学・理科それぞれに探究的な学びとして「ひょっこり表現島」等の5つの教科を学校設定評価科目として設定してございます。これらの相互の教科間の関わりによって学習活動を充実させるというものでございます。
【斉藤委員】
大槌高校の地域未来学、箱のなかで、例えば「ひょっこり表現島」は「国」と書いているのは国語の時間という意味ですか。そうすると、まちづくり探究は地理・公民という、今までの枠の中でこういうことをやっていくということなんですね。それで、地域・大学・地元企業との連携ということで、経費もかかるんだと思いますが、そういう新しい取り組みをした場合には、そうした新たな経費についてもしっかりと措置をされるのかどうか。
【高校改革課長】
経費についてでありますが、まず今国からの委託事業を受けまして、令和6年度までの3カ年で普通科改革の取り組みをしているところでございまして、そういったところの経費またはコーディネーターの配置の経費が出ているところでございます。共同体制は、地元の自治体やPTAとかそういった方々、企業といった方々が参画した形で構成されているものでございます。
経費については、他の魅力化事業がございまして、そちらで対応してございます。
・一戸高校と福岡工業高校の統合について
【斉藤委員】
北桜高校の統合問題で、これは一戸も40人を超える定数になっているんですよ。これは3年続いていますよね。これは統合がらみで学級減にならなかったということで理解していいのか。残念ながら統合が決まってから、福岡工業高校の入学者が減りました。まったく残念な思いです。本当に全国的にも県内でも、資格取得などでトップクラスの成果をあげていた福岡工業高校、統合が決まったら入学者が減ると。本当に何をやっているのかと。新しい期待どころか、そういう今までの成果が台無しになるようなことになっているんじゃないのか。この点はどのように受け止めているか。
【高校改革課長】
北桜高校についてですが、ご指摘の通り、統合するということを表明してから福岡工業は入学者が増えてきたところでありますが、今年度残念ながら33人ということで47人の欠員というところでございます。
一戸高校についてもなかなか入学者が伸びていない状況にございます。一戸高校の学級減をしない理由でございますが、ご指摘の通り、統合に向けて地域等への説明において、福岡工業の工業科2学級、総合学科3学級ということでご説明をし、了解をいただいたうえで、そして統合に向けて検討してきたところでございますので、そういう経緯を含めて学級減の検討から除外したものでございます。
今後、統合新設校―北桜高校の魅力化の促進については、学校と協力しながら進めていきたいと考えているところでございます。
・住田高校について
【斉藤委員】
住田高校が2年連続して20人以下になったんですね。私はこれを一番心配しました。来年度統合になるのではないかと。高校再編計画後期計画ではそうなっているんですよ。しかし今回はそうしなかったと。これは本当に評価をしたい。そして住田町では一生懸命住田高校の魅力化に取り組んでいる最中なので、この地元の取り組みが来年には実るようにぜひ期待をしたいと思っていますが、どういうことで、配慮というか、慎重な対応になったのか示していただきたい。
【高校改革課長】
住田高校の入学者についてですが、今年の入学者が17人でございました。昨年度19人でございましたので、2年連続して20人を下回ったというところでございます。
高校再編計画においては、1学級校の取り扱いについては、入学者が20人以下となることが予想される際には、地域との意見交換等を実施することとし、直近の入学者が2年連続して20人以下となった場合には、原則として翌年度から募集停止とし、統合に向けた協議を行うと規定しているところでございます。
このことから、住田高校においては、昨年度9月12月に地域の関係者との意見交換を実施しまして、魅力化の取り組みと合わせまして、入学者確保に向けた取り組みを進めてきたところでありましたが、入学者の減少に歯止めがかからなかったというところでございます。
募集停止の判断につきましては、住田町に高校がなくなることにつながるということ、また今後の入学者の見込みやすでに進路を決定している中学校3年生への影響―こういったことを配慮しまして、慎重な検討を行ったところでございます。
結論といたしましては、現行の後期計画におけます1学級校の存在が地方創生の推進に大きな影響を果たしている地域もあり、一定の入学者のいる1学級校を維持するという方針を示していること、また住田町から高校や生徒に対する支援が充実していること、魅力化の取り組みによる志願者の影響等を踏まえまして、慎重に見極めたいというところでございます。令和6年度の募集停止を行わず1年判断を見送るという判断をしたところでございます。