2023年7月7日 6月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の請願不採択に対する反対討論全文


・マイナンバーカードの運用停止を求める項目について

 日本共産党の高田一郎でございます。
 請願陳情受理番号107号「健康保険証を持てない人をつくりだす健康保険証廃止の中止を求める請願」について総務委員会では不採択となったとの委員長報告ですので、委員長報告に反対の立場で討論を行います。
 総務委員会に付託された請願項目は、「トラブルの全容解明を行い解決策が示されるまでマイナンバーカードの運用を止める」ことであります。
 請願項目に賛成する第1の理由は、個人情報の漏洩や医療機関などでの重大なトラブルが続いているからであります。
 マイナンバーカードは、医療情報、年金情報、公金受取口座、別人の情報が大規模にひもづけられ、マイナ保険証も医療機関での重大なトラブルも後を絶ちません。岸田総理がシステムの再点検を指示した後も、トラブルが相次いでいます。
 開業医などで組織されている全国保険医団体連合会ではオンライン資格確認システムを運用している医療機関の65.1%・5,493医療機関で何らかのトラブルを経験してます。医療機関におけるトラブル、誤情報は命や健康に及ぼす影響があり、政府は事態を軽視してはならないと思います。一昨日の国会の閉会中審査では、厚労大臣、デジタル大臣、総務大臣の三大臣が個人情報の保護にかかわる重大な事態を認めました。いったん立ち止まって第三者を含めた徹底的な検証こそ行うべきです。
 第2の理由は、介護などが必要な高齢者や障がい者の医療を受ける権利が奪われ、関係者からも不安の声が出ていることであります。
 医療団体からは、「マイナ保険証は現行の保険証以上に厳重な保管・管理が求められており、施設の職員に重大な責任を負わせるような進め方はやめていただきたい」と訴えています。訪問、在宅医療、高齢者、独居者の方々の申請、管理も未解決であり、障がい者団体からは、「障がい者の場合マイナンバーカード申請、取得、利用に大きな問題を抱える」として発信し続けています。「人にやさしいデジタル」というのであれば、関係者の不安払しょくこそいま優先すべき課題だと考えます。
 今日のトラブル多発の背景は、政府が昨年秋の保険証廃止方針を突然表明し、期限付きの2万円ポイント取得や保険証として登録を急ぐなど強引な普及策が国民の健康や個人情報の保護など二の次三の次で進められたことにあります。
 国民の怒りが全国各地に広がっています。JNNの世論調査でも、マイナ保険証の「廃止」「延期」が合わせて73%にもなっており、「原因究明し再発防止が先決、選択制に戻せ」(読売新聞)、「マイナ保険証一本化強行許されぬ」(朝日新聞)、「混乱続くマイナカード拙速排し立ち止まる時だ」(毎日新聞)等、いま全国紙、地方紙の多くのメディアも立ち止まって検証をするよう社説を掲げているように国民の怒りは沸騰しています。
 ところが岸田政権は、「システムの再点検」を指示する一方、運転免許証、介護保険証などのマイナンバーカードの一体化を進めると表明し、河野デジタル大臣は、マイナンバー制度とカードが混乱しているとしてカードの名称変更に言及するなど、名前を変えてごまかそうとするなど国民の不信を招いていることへの反省はまったくありません。
 いま必要なことは行政への信頼です。そのためにも健康保険証の廃止の中止とともに、トラブルの全容解明を行って、問題点をすべて究明することが必要ではないでしょうか。国民の不安にこたえるためにも、解決策が示されるまで運用を止めることは多くの国民が求めており、請願に賛成するものであります。
 以上の理由から不採択となった委員長報告に反対するものであります。ご清聴、誠にありがとうございました。