2023年7月7日 6月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の意見書に対する賛成討論全文


・選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書

 日本共産党の高田一郎でございます。
 発議案第4号「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書」に対し賛成討論を行います。
 いま世界では夫婦同姓を法律で義務づけている国は、残念ながら日本だけであります。国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと何度も勧告してきました。夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしの課題であります。
 結婚時に改姓するのは現在も女性が96%であります。姓の変更を強制していることは、仕事や社会生活を送る上での様々な不便・不利益をもたらし、自分のアイデンティティを奪われると感じるなど、個人の尊厳を脅かしています。夫婦同姓を求める現行規定は「法の下の平等」そして「婚姻の自由」など憲法に反すると多くの裁判が全国各地でたたかわれてきました。当事者の自由な意思決定に現行法である民法が制約となっていることは明らかだと思います。
 夫婦同姓の義務は、明治憲法で男性優先の家族内秩序がつくられ、女性は法的に無能力者とされた男尊女卑の社会でつくられたものであり、そもそも時代錯誤であります。
 1996年には法務省の法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法の改正を答申しています。しかし、自民党を中心に、古い価値観に固執する一部の勢力が変化を拒み続け、今日に至るまで法改正の実現を阻んでいるのであります。
 反対する勢力は、「夫婦別姓は家族のあり方に深く関わる」という言い分であります。本音を言えば、家族のきずなが壊れるということだと思います。
 しかしそんなことはありません。「同姓だからきずなは崩れない、別姓だからきずなは崩れる」ということに何の根拠もありません。内閣府の世論調査では、別姓で「家族の一体感(きずな)が弱まる」という人は3割、「影響ない」はその2倍の6割で、国民の認識とのずれは明らかであります。
 だいたい家族のあり方は、国が上から指図して決めるものではありません。家族のあり方は多様であって、当事者の自由な選択に任されるべきであります。それが憲法が規定している個人の尊厳ではないでしょうか。
 もう一つ、「国民の間にもさまざまな意見がある」ということであります。岸田総理も、夫婦別姓を求める議連のメンバーになっています。しかし国会では、国会議員から質問されれば、「国民の間にさまざまな意見がある」と後ろ向きの発言を繰り返しています。毎日新聞の世論調査でも69%が賛成、政府の調査でも、婚姻が一番多い30代で84%が賛成。圧倒的多数が賛成だという結論が出ています。若い世代が将来にとって足かせとならないような制度を作るべきではないでしょうか。
 もちろん反対の方もいらっしゃいますが、さまざまな意見があって、最後まで一定の反対が残ったとしても「選択的」ですから、誰もこれによって不利益を被ることはありません。さまざまな意見があったとしても、選択的夫婦別姓制度を導入しない理由にはならないと思います。
 世界経済フォーラムが「ジェンダーギャップ指数2023年版」を先月公表いたしました。日本は前年の116位からさらに順位を下げて、146カ国中125位でした。主要7カ国(G7)の水準に遠く及ばないだけでなく、開発途上国や軍政国家を含む東アジア・太平洋地域の中でも最下位という、不名誉な位置にあります。その責任はあげて政治にあります。歴代の政権は「男女共同参画」や「多様性の尊重」などを言いながら、本気で男女格差の是正、ジェンダー平等に取り組んできませんでした。
 家族のあり方は多様化し、夫婦・家族のかたちはさまざまです。個人の選択に寛容な社会をつくっていかなければなりません。現在も11都道府県議会含め359自治体で意見書が可決されています。「男女がともに活躍できる社会実現のために、選択的夫婦別姓制度を法制化することは急務であります。
 以上が賛成する理由であります。ご清聴誠にありがとうございました。